赤みは、見た目には同じように見えても、その原因によって治療のアプローチが大きく異なります。血管の拡張によるものなのか、炎症が関与しているのか、あるいはその両方なのかを見極めることが、効果的な改善への第一歩です。
そこで今回は、赤みの原因として挙げられることの多い「酒さ」「毛細血管拡張」「炎症後紅斑」の特徴や原因をわかりやすく解説。
さらに、症状タイプに応じた治療法の選び方まで解説します。自分の赤みのタイプを理解し、正しい治療選びの参考にしてください。
INDEX
赤み=血管拡張?それとも炎症?
赤みの原因を正しく理解することは、適した治療を選ぶうえで欠かせません。血管の拡張によるものなのか、炎症が関与しているのか、あるいはその両方なのかによって、治療の考え方は大きく変わります。
顔の赤みに関連する代表的なものとして、「酒さ」「毛細血管拡張」「炎症後紅斑」などがあります。ただし、この3つは同じ分類の疾患ではありません。
酒さは、顔の赤みやほてり、毛細血管拡張、丘疹・膿疱など、さまざまな症状が現れる慢性炎症性疾患です。症状の現れ方には個人差があり、血管反応や炎症など複数の要因が関与すると考えられています。
一方、毛細血管拡張は、皮膚の毛細血管が拡張し、皮膚表面から透けて見える状態を指す所見です。
独立した特定の病気を指すというよりも、酒さをはじめとする皮膚疾患や紫外線による影響など、さまざまな要因によってみられることがあります。炎症が目立たなくても、拡張した血管によって赤みが持続する場合があります。
また、ニキビなどの炎症が治まった後に残った赤みは「炎症後紅斑(PIE:Post-Inflammatory Erythema)」と呼ばれる状態です。炎症による血管の拡張などが関係し、赤みが時間とともに薄くなることもありますが、長期間残る場合もあります。
このように、同じ赤みに見えても、疾患そのものによる赤みなのか、血管拡張という所見なのか、炎症後に残った赤みなのかによって背景はさまざま。まず赤みが生じている原因や肌の状態を見極め、その病態に合わせて治療を選ぶことが重要です。
波長で違う!赤みに効く光の仕組み
血管が関係する赤みにレーザーやIPL(光治療)を用いる場合、治療選びのポイントとなるのが「波長」です。使用する波長によって、光の届く深さや反応しやすいターゲットが異なるためです。
では、なぜ赤み治療では532nmや589nm、595nmといった波長が使われるのでしょうか。ここからは、血液中のヘモグロビンと波長の関係をひも解きながら、代表的なデバイスの特徴や使い分けを見ていきましょう。
なぜ赤みに532・589・595nm?ヘモグロビンと波長の関係
血管の赤みを治療するときは、血液中のヘモグロビンに吸収されやすい光を選ぶことが重要です。
血液中のヘモグロビンは特定の波長の光を吸収する性質があります。レーザーなどの光がヘモグロビンに吸収されると、光エネルギーが熱に変換されます。この熱作用を利用して、赤みの原因である血管にアプローチします。
ヘモグロビンは、特に418nmや、542nm、577nm付近の光を吸収しやすいことが知られています。実際の血管治療では、こうした光の吸収特性に加えて、光が皮膚のどの深さまで届きやすいか、血管の太さや深さ、照射条件などを考慮して波長が選択されます。
例えば、血管による赤み治療には532nm、589nm、595nmなどの波長が用いられています。また、より深い位置にある血管をターゲットとする場合には、1064nmなどの長い波長が選択されることもあります。
つまり、赤み治療では「赤い部分にレーザーを照射する」のではなく、赤みの原因や血管の状態を見極めたうえで、「どの波長の光を使うか」を考えることが、治療機器を選ぶうえで重要になります。
赤みに使われるレーザーと光治療|主要デバイスを比較
赤みに用いられるデバイスには、大きく分けてレーザーとIPL(光治療)があります。
レーザーは特定の波長の光を照射し、標的となる血管などへ選択的に作用するのが特徴です。一方、IPLは複数の波長を含む光を照射するため、赤みだけでなくシミや色ムラなど、複数の肌悩みに同時にアプローチできます。
また、同じレーザーでも搭載されている波長によって光が届く深さや標的への吸収特性が異なります。代表的なデバイスの特徴を比較してみましょう。
| デバイス | 照射タイプ | 波長 | 特徴 |
| ADVATx (アドバテックス) |
レーザー | 589 nmと1,319 nm | 赤み改善と美肌治療を同時に行う |
| エクセルV | レーザー | 532nm/1064nm | 血管や赤みの改善に幅広く対応 |
| Vビーム | レーザー | 595nm | 血管にピンポイントで作用する色素レーザー |
| ノーリス | IPL (光治療) |
530~950nm | 肌全体に穏やかに作用 |
それぞれ照射する波長や光の特性が異なるため、「どの機器が最も優れているか」ではなく、赤みの原因や血管の状態に適したデバイスを選ぶことが大切です。
タイプ別!赤みに対する治療の考え方
酒さ・毛細血管拡張・炎症後紅斑では、治療の考え方にどのような違いがあるのでしょうか。代表的な選択肢を整理します。
| 赤みのタイプ | 主な特徴 | 治療の考え方 | デバイス治療の例 |
| 酒さ | 持続する赤みやほてり、丘疹・膿疱など症状はさまざま | 現れている症状に応じて薬物療法やデバイス治療などを組み合わせる | パルスダイレーザー(Vビームなど)、IPLなどを症状に応じて検討 |
| 毛細血管拡張 | 皮膚表面から拡張した血管が透けて見え、赤みとして目立つ | 血管の深さや太さなどを見極めて治療する | Vビーム、エクセルV、IPLなど |
| 炎症後紅斑 | 炎症が落ち着いた後に残る赤み | 原因となる炎症をコントロールし、残った赤みに対する治療を検討する | 状態に応じてレーザーやIPLなど |
酒さとの関連が研究されている要因の1つが、毛包などに生息するニキビダニです。すべての酒さがニキビダニによって生じるわけではありませんが、症状によってはその関与も考慮しながら診断・治療方針を検討することがあります。
また、酒さは現れている症状によって適した治療が異なります。ここからは、症状ごとの特徴と治療の考え方を詳しく見ていきましょう。
酒さは症状によって治療が違う|症状別の治療選択
酒さは、かつて「紅斑毛細血管拡張型」「丘疹膿疱型」「鼻瘤型」「眼型」などの病型に分類されることが一般的でした。現在は、患者さまごとに現れている症状を評価する「表現型」を重視して治療を組み立てる考え方が広がっています。
たとえば、持続する紅斑や毛細血管拡張が主体であれば、血管をターゲットとしたレーザーやIPLなどが選択肢になります。
一方、丘疹や膿疱など炎症性の症状が目立つ場合は、外用薬や内服薬などによる治療を検討。血管拡張や持続する紅斑を伴う場合には、症状に応じてデバイス治療が選択肢となることもあります。
鼻を中心に皮膚の肥厚や凹凸が生じる場合には、症状に応じて外科的・物理的な治療が検討されることがあります。
また、目の乾燥や異物感、充血など眼症状を伴う場合には、皮膚だけでなく眼科との連携が必要になることもあります。
このように、酒さでは血管だけを治療すればよいとは限りません。現在現れている症状を1つずつ評価し、炎症への治療、血管へのデバイス治療、スキンケアや生活習慣の見直しなどを組み合わせていくことが重要です。
酒さでは治療とあわせて、紫外線や急激な温度変化、飲酒、刺激の強いスキンケアなど、自分の症状を悪化させる要因を把握して避けることも大切です。
赤み治療のエビデンスを解説|パルスダイレーザーとIPL
赤み治療に用いられるレーザーやIPL(光治療)については、酒さや毛細血管拡張などを対象としたさまざまな臨床研究が行われています。
ただし、研究で効果が報告されている治療であっても、すべての赤みに同じような効果が期待できるわけではありません。赤みの原因や症状、血管の深さ・太さ、肌質などによって適した治療は異なります。
ここでは、赤み治療の代表的な選択肢である「パルスダイレーザー」と「IPL(光治療)」について、臨床研究で報告されている効果や特徴をもとに、実際の治療ではどのように使い分けられるのかを見ていきましょう。
血管の赤みに用いられる「パルスダイレーザー」
パルスダイレーザーは、血液中のヘモグロビンを主なターゲットとするレーザーです。代表的な機器であるVビームでは595nmの波長を用い、拡張した血管に選択的に熱作用を与えることで、血管性の赤みにアプローチします。
パルスダイレーザーについては、酒さに伴う持続性紅斑や毛細血管拡張などを対象とした臨床研究が行われており、血管性の赤みに対する有用性が報告*されています。
治療後には一時的な赤みや腫れ、紫斑などが生じることがあり、程度や持続期間は照射条件などによって異なります。
広範囲の赤みにアプローチする「IPL(光治療)」
IPL(Intense Pulsed Light)は、レーザーのように単一の波長を照射するのではなく、幅広い波長帯を含む光を照射する治療です。使用する波長帯を調整することで、ヘモグロビンだけでなくメラニンなど複数の標的にアプローチできます。
そのため、顔全体に広がる赤みのほか、シミや色ムラなど複数の肌悩みが混在している場合にも選択肢となります。
酒さに伴う持続性紅斑や毛細血管拡張に対してIPLを用いた臨床研究*もあり、赤みの改善が報告されています。ただし、IPLは機器によって搭載されている波長帯や照射方法が異なるため、すべてのIPLで同じ効果が期待できるわけではありません。
赤み治療は保険適用?費用の目安もチェック
赤み治療にかかる費用は、赤みの原因や選択する治療によって異なります。酒さなどの皮膚疾患に対する診察や一部の薬物療法は保険診療の対象となる場合がありますが、赤みの改善を目的としたレーザーやIPL(光治療)などは自由診療となるケースが一般的です。
そのため、「赤みがある=レーザー治療」と考えるのではなく、まずは医師の診察によって原因を見極めることが大切です。炎症に対する薬物療法を優先するのか、血管性の赤みに対してデバイス治療を行うのかによって、治療内容だけでなく費用も変わります。
また、日本では保険診療と自由診療を一連の診療として組み合わせる、いわゆる「混合診療」は原則として認められていません。実際の診療区分や費用については、治療を受ける医療機関で事前に確認しましょう。
自由診療で赤み治療を受ける場合の費用は、使用する機器や照射範囲、照射方法などによって幅があります。
例えば、Vビームによる全顔への照射では、1回2~8万円程度が費用の目安です。IPLやエクセルV、ADVATxなども、機器や照射範囲によって料金が異なります。
また、赤みの状態によっては複数回の施術が必要になることもあります。1回あたりの料金だけで判断せず、必要な治療回数や治療期間も含めて確認しておくことが大切です。
※自由診療の料金はクリニックや照射範囲、使用する機器などによって大きく異なります。上記はあくまで目安です。
赤み治療はまず自分のタイプを把握することから!
顔の赤みは一見同じように見えても、酒さや毛細血管拡張、炎症後紅斑など、その背景はさまざまです。さらに血管性の赤みでは、血管の深さや太さによって適した波長やデバイスも異なります。
また、酒さでは赤みだけでなく、丘疹・膿疱などの炎症性症状がみられることもあり、薬物療法とデバイス治療を症状に応じて組み合わせることがあります。
赤み治療で大切なのは、見た目の赤さだけで治療を選ばず、原因や病態を見極めることです。赤みが続いている方や自分のタイプがわからない方は、医師の診察を受け、自分に合った治療方法を相談してみましょう。
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| 施術の内容 | ADVATx (589nm・1319nmの2波長を、肌の状態や目的に応じて照射するレーザー治療) |
| 施術期間および回数の目安 | 2~4週間ごとに3~5回程度 ※状態によって異なります。 |
| 費用相場 | 20,000~50,000円程度 ※各クリニックによって異なります。本施術は自由診療(保険適用外)です。 |
| リスク・副作用等 | 赤み、ほてり、腫れ、内出血、水疱、熱傷、色素沈着、瘢痕、一時的な肌荒れやニキビの悪化など |
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| 施術の内容 | エクセルV(532nmと1064nmの2波長のレーザーを照射し、赤みや色素斑などの肌悩みにアプローチするレーザー治療) |
| 施術期間および回数の目安 | 約4週間ごとに3~6回程度 ※状態によって異なります。 |
| 費用相場 | 10,000~60,000円程度 ※各クリニックによって異なります。本施術は自由診療(保険適用外)です。 |
| リスク・副作用等 | 赤み、腫れ、ヒリつき、紫斑、水疱、かさぶた、やけど、色素沈着、瘢痕など |
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| 施術の内容 | Vビーム(血液中のヘモグロビンに吸収されやすい595nmのレーザーを照射し、赤みの原因となる血管にアプローチする施術) |
| 施術期間および回数の目安 | 3~4週間ごとに3~5回程度 ※状態によって異なります。 |
| 費用相場 | 20,000~80,000円程度 ※各クリニックによって異なります。本施術は自由診療(保険適用外)です。本施術は自由診療(保険適用外)です。 |
| リスク・副作用等 | 赤み、腫れ、痛み、かゆみ、紫斑、水疱、かさぶた、やけど、色素沈着、色素脱失、瘢痕など |
| 未承認機器に関する注意事項について | Vbeam II(VビームII)は、皮膚良性血管病変の治療を目的として国内で承認された医療機器です。(医療機器承認番号:22800BZX00358000) 承認された使用目的:単純性血管腫、乳児血管腫、毛細血管拡張症の治療 |
| 施術の内容 | ノーリス(IPL(光)を肌に照射し、シミ・そばかすなどの色素性病変や赤み・毛細血管拡張などの血管病変にアプローチする施術) |
| 施術期間および回数の目安 | 3~4週間ごとに3~6回程度 ※状態によって異なります。 |
| 費用相場 | 10,000~45,000円程度 ※施術範囲や各クリニックによって異なります。自由診療の場合は保険適用外です。本施術は自由診療(保険適用外)です。 |
| リスク・副作用等 | 赤み、ほてり、腫れ、痛み、かゆみ、かさぶた、水疱、やけど、色素沈着など |
| 未承認機器に関する注意事項について | Nordlys(ノーリス)は、表在性皮膚良性色素性疾患、血管病変の治療および長期減毛を目的として国内で承認された医療機器です。 医療機器承認番号:30400BZX00032000 |




