2002年に登場した高周波(RF)機器・サーマクール。たるみ治療の分野で多くの恵みをもたらしてきましたが、近年その特許が切れたことにより、さまざまな後発機器がデビューしています。
そこで今回は、RF戦国時代で頭角を現している機器について、技術面から徹底比較。2025年注目のRF機器マップをご紹介します。RF機器によるたるみ治療を賢く選び抜くために、ぜひお役立てください。
世はまさにRF戦国時代!サーマクールの版権切れがもたらしたものとは?
まずは、なぜ今たるみ治療において高周波(RF)機器を比較する必要があるのか、背景とRF市場の現状を紐解いていきましょう。
■まずは知りたい!高周波(RF)治療の仕組
高周波(RF)治療は、高周波エネルギーを皮膚に照射しコラーゲン生成を促すことで、肌を引き締めてリフトアップを目指すたるみ治療の1つです。
切らないたるみ治療として注目されているだけでなく、シワ改善や毛穴の引き締め、肌質改善などの効果が期待できるため、多くの方に選ばれています。
■サーマクールの終焉が開いたパンドラの箱の正体
2002年にアメリカで初代サーマクールが発売されて以降、長きにわたり“切らない”シワ・たるみ治療機器として、前線で活躍してきました。しかしながら、特許が切れたことにより、オリジオやザーフなど新たな機器が韓国を中心に続々と登場。世はまさにRF戦国時代となっています。
新たに登場した機器は、サーマクールのメカニズムを基本に、たるみに効果的な高周波(RF)機器を目指して開発されています。
同等以上の効果に加えて、アジア人の肌質に合う・痛みやダウンタイムがより配慮されている・肌質改善にも利用できるなど、期待できる複次的な効果をいかに付加されているのかが機器比較のポイントに。これは、もはや「RF=たるみ治療」にとどまらなくなってきたといえるでしょう。
▽高周波(RF)機器の歴史と今後の予測についての記事はこちら
■後発機器はなぜ価格を抑えつつ効果が出せるの?
後発機器が安い価格で複次的な効果まで期待できる機器に仕上がっている理由は、いくつかあります。
ジェネリック医薬品やジェネリック家電を想像してみてください。特許切れしたサーマクールの成熟した技術をベースとして、機器の開発を進められたことも大きな理由の1つでしょう。
さらに、2025年9月には、今まで消耗品とされていた照射チップが半永久的に使用できるハイドロフェーズが登場。
高周波(RF)治療に使えるよう確立された技術はそのままに、さらなる機能開発に注力できたことは、コスト・労力ともに大きな助けとなったはずです。安い価格には、その恩恵が反映されています。
▽高周波(RF)4大機器の体験談も盛り込んだまとめ記事はこちら
MHz、モノ・バイ、冷却機能、専門技術をわかりやすく解説
ここからは、高周波(RF)機器に使用されている技術的な要素について、各機器の仕組みに注目しながら解説します。
■ジュール加熱vs誘電加熱:熱の性質がもたらす効果の違い
高周波(RF)機器の熱エネルギーの発熱方法には、ジュール加熱と誘電加熱の2つの方式があります。
サーマジェンやボルニューマなどの機器にはジュール加熱が採用されています。ジュール加熱は、水分が少なく抵抗の大きい脂肪層で熱が強く発生しやすく、ボリュームのある脂肪、つまりたるみ治療に効果的です。
一方、サーマクールやデンシティなどに採用されている誘電加熱は、水分量が多い真皮層で効率的に熱し、肌の引き締めやコラーゲン生成にアプローチします。電流が流れない分、肌を均一に加熱できるのも誘電加熱の強みといえるでしょう。
■熱の届け方を変えた!モノポーラ・バイポーラ・モノバイポーラ
高周波のアプローチ方法には、肌の深部からたるみに働きかけるモノポーラや、肌の浅い層に働きかけて小ジワケアにも効果が期待できるバイポーラなどがあります。
サーマクールまではモノポーラ式が主流でした。しかし、モノポーラ・バイポーラを同時に照射可能なデンシティや、皮下脂肪まで高周波エネルギーをしっかり届けるデュアルモノポーラ式を搭載したザーフが登場。
さらに技術は進化し、専用グローブの指先についた小型ハンドピースから細かな部位に照射が可能な、サーマハンドも注目の高周波(RF)機器として名を連ねています。
▽高周波(RF)機器開発を手がける高 尚威先生のインタビュー記事はこちら
■痛みと効果を両立させた「冷却制御技術」の進化
初期のサーマクールで課題となっていたのが、高い効果と引き換えに強い痛みを伴うこと。後発機器では、肌への熱効率(効果)を落とさずいかにうまく機器を冷やすことができるかに、工夫が凝らされています。こうした技術進歩が、痛くないのに効果が高い施術を叶えています。
<各機器の冷却制御技術>
- サーマクールFLX:冷却ガスやバイブレーション機能を組み合わせて、熱効率を保ったまま痛みを軽減
- ボルニューマ:冷却・振動システムと広範囲の深部加熱を両立
- デンシティ:肌質に合わせた5段階のクーリングシステムを搭載
- XERF(ザーフ):デュアルRFで出力を抑えつつ引き締め効果を実現
- ハイドロフェーズ:金属アタッチメントに水膜をつくり、継続的に表皮を冷却
■【コラム】深達度を決定づける「MHz論争」の結論
高周波(RF)機器で主に使用されている2つの周波数、6.78MHzと2MHz。「結局、何が違うの?深く効くのはどれ?」と思っている方も多いのではないでしょうか。
6.78MHzはエネルギーが表層に集中し、真皮や浅い脂肪層の引き締めに優れる一方、2MHzは波長が長く深部まで届くため、脂肪層や筋膜(SMAS)レベルへの作用が可能です。つまり「より深く効く」のは基本的に2MHzといえるでしょう。
ただし、近年ではザーフのように2つの周波数を同時照射するデュアル周波数の機器が登場し、表層から深層まで一度でアプローチできるようになりました。2024年に発表された論文では「デュアル周波数は真皮層~脂肪層まで効果を及ぼし、副作用が少ない*¹」と報告されています。
しかしながら、実際にはそれぞれの肌状態や目的に合わせた加熱方式・周波数の選定が重要です。理論上はこうだからこの機器と決めるのではなく、カウンセリングで医師と理想をすり合わせ、ベストな選択を導き出しましょう。
▽カスタマイズ治療™の第一人者・黄 聖琥先生のインタビュー記事はこちら
2025年版高周波(RF)機器たるみ治療比較MAP
それぞれの機器には強みが異なるため、「痛みが苦手かどうか」「悩みの主役は肌質か脂肪か」といったポイントを意識すると、グッと“賢い選び方”につながります。ここからは、各高周波(RF)機器の特徴やスペックをご紹介しましょう。
■サーマクールFLX

出典:C-edge
痛み・熱感をより軽減!即時的な引き締めから長期的な引き締めまで期待できる、サーマクールシリーズ第4世代。
- 加熱方式:誘電加熱(モノポーラRF)
- 冷却制御システム:照射前~後に冷却ガス噴射、多方向バイブレーションで熱感・痛みに配慮
- MHz:6.78MHz
■ サーマジェン
サーマクールをアジア人向けに改良!頬コケにも配慮した継続メンテナンス重視の1台。
サーマハンドはサーマジェンEVOの専用グローブ型ハンドピース。
- 加熱方式:ジュール加熱(ハンド)と誘電加熱(チップ)(モノポーラRF)
- 冷却制御システム:冷却と温度調整を同時に行う
- MHz:3.6MHz、5MHz
■ボルニューマ
細かな照射モード調整でRF治療をカスタマイズ化!自然な変化を導く。
- 加熱方式:ジュール加熱(モノポーラRF)
- 冷却制御システム:冷却・振動機能で、熱拡散を防止し温度を均一化
- MHz:6.78MHz
■オリジオ
強力冷却システムで痛みに配慮!韓国発、たるみ治療しながら肌質改善。
- 加熱方式:誘電加熱(モノポーラRF)
- 冷却制御システム:肌温度を感知し自動冷却
- MHz:6.78MHz
■デンシティ
特許取得のモノバイチップ搭載!短期間で効果を実感しやすい一台。
- 加熱方式:誘電加熱(モノポーラRF+バイポーラRF)
- 冷却制御システム:5段階のガス冷却システムと照射ごとのエネルギー調整システムあり
- MHz:6.78MHz
■XERF(ザーフ)
表皮層~脂肪層の深部までアプローチできる!小ジワから厚い脂肪のたるみまで◎。
- 加熱方式:誘電加熱(2種類のモノポーラRF)
- 冷却制御システム:2つの周波数で低い出力でも深部を加熱できる
- MHz:6.78MHz+2MHz
■Hydro Phase(ハイドロフェーズ)
2025年9月登場の次世代たるみ治療機器!2種のチップ×独自技術で深部まで熱を届ける。
専用グローブ・サーマハンドもハンドピースとして使用可能。
- 加熱方式:誘電加熱・ジュール加熱両方あり(チップによる)(Hydro-Phase Resonance)
- 冷却制御システム:ペルチェ+薄膜誘導ジェルでクーリングし表皮を35度以下にキープ
- MHz:-
※この機種は消耗品のない高周波ともとられがちですが、独自技術のため厳密には高周波ではありません
まとめ
サーマクールの版権切れがもたらしたRF戦国時代は、版権切れがあったからこそ、痛みに配慮されつつより高い効果が期待できる高周波(RF)機器の登場を促しています。
今回の記事で少しだけでも仕組みを理解できれば、きっと施術選びの視点も変わってくるはず。これからも技術進化が見込まれる高周波(RF)機器。たくさん機種がありますが、技術の違いという面からも、機器選びを楽しんでみてください。
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