尿が漏れやすかったり、膣に空気やお湯が入りやすかったりする場合、膣がゆるんでいる可能性があります。そんなとき、「膣トレ」を行うと膣のゆるみを自身でケアすることが可能です。今回は、ゆるみの原因や膣を締めるメリットについて紹介するとともに、膣トレの方法を具体的に解説。簡単に膣を締める方法や治療について知りたい方は、ぜひお役立てください。
1.「膣を締める」骨盤底筋トレーニングの効果とは
骨盤底筋トレーニングは、膣を意識して締める運動で、「膣トレ」や「尿漏れ防止体操」、「ケーゲル体操」とも呼ばれています。膣圧アップのカギとなる骨盤底筋の鍛え方とともに、骨盤底筋とはどんな働きをしているのかを解説しましょう。
■骨盤底筋を鍛えると膣圧アップするの?
骨盤底筋とは、骨盤の底にハンモック状に広がる筋肉のこと。子宮や膀胱、直腸といった骨盤内の臓器を下から支えるという、体にとって重要な役割があります。
骨盤底筋は、さまざまな原因によってゆるみやすいことが特徴。骨盤底筋はゆるむと、尿漏れしやすくなったり、膣から空気やお風呂のお湯が漏れやすくなったりするほか、男女ともに性交時の満足度が低下するなどの変化が起こり、人知れず悩む方も少なくありません。
骨盤底筋を鍛えると膣圧がアップするほか、子宮や膀胱、直腸を正しい位置にキープし、尿漏れなどの悩み解消につながりやすくなります。
■まずは自分の骨盤底筋を見つけよう
骨盤底筋の鍛え方や膣の締め方がわからないという方も、まずは自身の骨盤底筋を見つけるところから始めてみましょう。骨盤底筋は複数の筋肉で構成されているため、位置を把握するにはコツが必要ですが、明確になればトレーニングを行う際に力を入れるべき場所を意識しやすくなります。
まずは、トイレで排尿するときに尿を止めてみてください。そのときに使っている筋肉が骨盤底筋です。膀胱炎を防ぐためにも、骨盤底筋を意識できたら、すぐに尿を止める動きをやめましょう。
もう1つの方法として、膣に指を入れる手法があります。膣に指を挿入し、膣の周りの筋肉を収縮させて、指に圧力をかけてみましょう。その際、指を持ち上げているように感じる筋肉が骨盤底筋です。
■骨盤底筋トレーニングのやり方を紹介
ここからは、骨盤底筋トレーニングの方法をご紹介します。寝ながらでも座ったままでもできるため、楽な姿勢で試してみてください。
1 呼吸を整える
まずは姿勢と呼吸を整えると、コツをつかみやすくなります。
2 骨盤底筋を意識して力を入れる
息を吸いながら膣や肛門を締めるように、ゆっくりとお腹に力を入れましょう。
3 力を入れたままキープしてリラックス
2~3秒お腹に力を入れた状態をキープした後、息を吐きながら力を抜きます。前述した動きを何度か繰り返し行えば完了です。
骨盤底筋トレーニングは、毎日根気強く続けることが大切です。1日5~10回・2~3セットを数週間~数ヶ月続けることで、骨盤底筋が鍛えられ膣を締める効果が期待できます。
2.膣の締まりが悪い……そもそも原因は?
膣がゆるんでしまう主な原因についてチェックしましょう。
■膣がゆるむ原因│加齢
年齢を重ねるうちに肌にたるみが出るのと同様に、膣の状態も変化します。
膣の内側は粘膜で覆われており、その周りを骨盤底筋が囲む構造です。加齢によって女性ホルモンのエストロゲンが減少すると、膣の粘膜を構成するコラーゲンが作られにくくなり弾力が低下。膣壁が徐々に平坦になります。さらに、体全体の筋力とともに骨盤底筋の力も衰えていき、膣のゆるみにつながるのです。
■膣がゆるむ原因│経膣分娩での出産
経膣分娩で出産すると、膣内が拡大するほか骨盤底筋が引き伸ばされます。産後にある程度は元に戻りますが、元の状態まで完全に回復させることは難しいでしょう。さらに、骨盤底筋に大きな力がかかることで、膣周りの筋力が低下。膣の締まりが悪くなって尿が漏れやすくなることがあります。早い段階から膣トレを始めると、効果的な尿漏れ対策につながるでしょう。
■膣がゆるむ原因│運動不足・肥満・姿勢の悪さ
骨盤底筋は、他の筋肉と同様に使わなければ衰えてしまうため、運動不足の方は膣がゆるみやすい傾向です。さらに肥満によって骨盤底筋に負荷がかかると、ゆるみの悪化につながります。
また、長時間のデスクワークや高いヒールを頻繁に履くなど、バランスの悪い姿勢をとり続けることも筋力低下の原因に。
骨盤底筋トレーニングを継続して、衰えを食い止めることが大切です。
3.膣を締めるとどんなメリットがあるの?
膣圧をアップさせると健康にうれしい効果があるといわれています。3つのメリットをみていきましょう。
■血行が良くなる
骨盤底筋を鍛えると、子宮や骨盤周りの血流がアップして冷え性の改善につながるケースも。さらに、冷えや血行不良が原因の1つである生理痛の軽減や、お腹が温まることで腸の調子が良くなるといった変化も見込めます。
多くの女性を悩ませる冷え性ですが、子宮周りの血行を良くすると、冷えにくい体質へ変えられる可能性があるのです。
■尿漏れ対策・子宮脱の予防ができる
骨盤底筋は排尿をコントロールし、尿漏れを防ぐ働きも担う筋肉。機能を高めると、尿道周りの筋肉も引き締まり、尿漏れの防止や改善が見込めます。
またシニア女性に見られる症状で、子宮や膀胱などの臓器が下がり、外に出てきてしまう「子宮脱」や「膀胱脱」を予防できるメリットも。子宮脱や膀胱脱は、出産の回数が多く、更年期を過ぎた世代の女性に多い症状です。膣のゆるみ対策を行うことで、シニア期を迎えたときにQOLを向上できるでしょう。
■ナイトライフの充実
性交時にパートナーから膣のゆるみを指摘されたり、挿入時に自身が満足感を十分に得られなかったりという悩みを持つ方もいるでしょう。膣が引き締まると膣の締め付ける力が上がり、女性側の感度もアップする効果が見込めます。膣のゆるみを解消することは、健康だけでなくナイトライフの充実にもつながるでしょう。
4.膣のゆるみは美容医療で治療できる!
膣を締める骨盤底筋トレーニングは、始めてすぐに効果が出るのではなく、一定期間コツコツと続ける必要があります。運動が苦手な方や即効性を求める場合は、美容クリニックで婦人科形成に関する治療を受けるのも1つの手。ここからは、代表的な3つのメニューをご紹介しましょう。
■ヒアルロン酸注入・脂肪注入
顔のシワやへこみが気になる部分をボリュームアップさせる施術である「ヒアルロン酸注入」や「脂肪注入」ですが、膣を締める治療にも用いられます。
ヒアルロン酸注入は、膣内の壁にヒアルロン酸を注入し、ゆるんだ膣壁に厚みを出す施術です。ヒアルロン酸は徐々に分解されて吸収されるため、効果は永久的ではありません。持続期間は長くても2年ほどで、効果がなくなる前に再注入を行うことが推奨されています。
脂肪注入は、自身のお腹や太ももなどの余分な脂肪を採取し、脂肪細胞を膣の粘膜に注入して、膣を引き締める施術です。ヒアルロン酸注入とは異なり、一度治療を受ければ定期的に注入する必要はありません。
■膣ハイフ
膣ハイフは、膣内にハンドピースを挿入して、膣粘膜の深部へ超音波エネルギーを照射する施術。
熱による刺激により、軽いダメージを受けた粘膜内のコラーゲン線維は、大量のコラーゲンを生み出します。その作用によって膣内に弾力が生まれ、膣のたるみ解消の効果が見込めるでしょう。
効果を持続させるためには、1年に1回程度のペースで施術を受けることが推奨されています。
■膣壁形成
膣壁形成は、膣の粘膜の層と筋肉の層を切開して、縫合することで膣の状態を改善する治療。膣の入り口から奥のほうまでしっかりと引き締めることができ、一度治療を受けると効果は半永久的に続くといわれています。
上記メニューのうち、ヒアルロン酸注入・脂肪注入と膣ハイフはメスを使わない施術であるのに対し、膣壁形成は外科手術となります。自分に合った膣を締める治療を知るためにも、まずはクリニックで症状を伝えてみると良いでしょう。
■まとめ
たとえ親しい友人であっても、打ち明けるのが難しいデリケートゾーンの悩み。他人と比較できない分、人知れず悩む方もいるのではないでしょうか。膣の締まりに関するトラブルは誰でも起こる可能性があるため、恥ずかしがる必要はありません。膣を締めるトレーニングを行ってもゆるみが改善しない場合、フェムケアのメニューが充実したクリニックに気軽に相談してみてください。膣のゆるみを解消して、尿漏れ改善や子宮脱などの症状を予防し、快適な毎日を送りましょう。
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