
避妊インプラントと聞いて、何をイメージするでしょうか。
「初めて聞いた」「ミレーナとどう違う?」など、人それぞれの回答が出てくるかもしれません。
避妊インプラントは日本ではまだあまり浸透していませんが、避妊以外の月経困難症などに対して効果が期待できることが特徴です。
知識を身につけると、避妊や女性ならではの悩みに役立てられるでしょう。避妊方法に悩んでいる方、毎月の月経で困っている方はぜひご一読ください。
避妊インプラントとは?

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避妊インプラントとはどのようなものか、一般的に知られている避妊方法と一緒に見ていきましょう。
■女性主体で行う主な避妊方法
ここでは、女性が主体となって取り組める避妊方法を3つご紹介します。
低用量ピル
低用量ピルは医師に処方してもらう経口避妊薬です。正しく服用すると避妊率が高いといわれています。
生理の時期を調整できるため、イベントに合わせたり妊娠を希望したり、自身の都合によって飲む・飲まないが選択できる点が特徴です。
なお、基本的には毎日服薬する必要があり、飲み忘れると避妊に失敗してしまうリスクを伴います。
避妊以外に、PMS症状や月経痛の緩和、月経量の減少といった効果も見込めます。
経口による調整のしやすさという面ではハードルが低いものの、定期的に通院して処方してもらう手間が必要です。
費用は自費診療の場合、1ヶ月あたり3,000円程度が相場です。月経困難症などの治療で服薬する場合は保険適用の対象です。
ミレーナ
医師が子宮内部に挿入する器具で「子宮内黄体放出システム(IUS)」や「避妊リング」とも呼ばれています。
避妊効果が高いことと、最長5年ほど効果が持続する点や、健康上の理由や副作用によって低用量ピルが服用できない方も選びやすい点が大きな特徴です。
経口ではないため飲み忘れの心配がなく、月経痛の緩和や月経量の減少、子宮内膜症や子宮体がんの発症リスク低減といった効果も期待できます。
ただし、挿入時に痛みを伴う可能性や、費用面ではデメリットを感じる場合も。
基本的には自費診療となり、5万円前後の費用が必要です。月経過多や月経困難症の場合、保険適用となる可能性があります。
避妊インプラント
医師によって二の腕の皮下に挿入してもらう避妊器具で、別名「皮下インプラント」です。
避妊インプラントに含まれるプロゲスチンにより、妊娠を促す黄体形成ホルモンの分泌を抑制する仕組みです。
一度挿入すると高い避妊効果が見込め、最長3年ほど効果が持続するといわれています。
低用量ピルが合わない方が選択しやすい点も大きな特徴で、月経痛の緩和や月経量の減少にも役立ちます。
経口ではない点や持続期間の長さなどから、避妊インプラントとミレーナを比較検討する方も多いようです。
ただし、費用面ではミレーナとの大きな違いがあります。
2025年8月時点、日本ではまだ承認されていない避妊器具となるため、避妊・疾患の治療目的、いずれの場合も保険適用にはなりません。
■避妊インプラントの安全性は?
避妊インプラントは、日本ではまだ認知度の低い避妊方法です。
世界保健機関(WHO)で効果や安全性が認められており、世界100ヶ国以上での使用実績があります。
避妊効果が高く、日本では婦人科クリニックなどのメニューに導入されているケースが見られます。
ミレーナと比較する方も多いですが、費用をはじめ、メリット・デメリットやリスクなどを踏まえたうえで、総合的に判断する必要があるでしょう。
避妊インプラントの仕組みやメリット・デメリットは?

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避妊インプラントについて、さらに詳しく見ていきましょう。
■避妊インプラントの仕組み
避妊インプラントはマッチ棒くらいのプラスチック製の器具で、皮下に埋め込んで装着します。
黄体ホルモンが排卵を抑制してくれることで避妊効果が期待できる仕組みです。挿入時の施術時間は30分ほどで、体への負担も少ないです。
妊娠を希望する場合は、避妊インプラントを取り出します。取り出すとホルモンバランスがインプラント挿入前の状態に戻るため、不妊になる可能性はありません。
ただし、個人差はありますが、避妊インプラントの挿入によって生理が止まる方もいるようです。
■避妊インプラントのメリット・デメリット
続いては、避妊インプラントのメリットやデメリットを詳しく確認していきます。
避妊インプラントのメリット
低用量ピルのように毎日服用する必要がなく、飲み忘れの心配がありません。
薬の処方で毎月通院する手間がかからないため、多忙な方には大きなメリットといえるでしょう。
また、最長3年の効果の持続が見込めるため、長期にわたって避妊しやすく、しばらくは妊娠を予定していない場合も家族計画が立てやすいです。
副作用などの都合で、低用量ピルが服薬できない方が選択しやすいこともメリットでしょう。
体質などが原因でミレーナが適用とならなかった場合も、避妊インプラントなら適用となる可能性が高いといわれています。
避妊以外に、月経痛など女性ならではの悩みにも効果が見込める点は大きいでしょう。
避妊インプラントのデメリットと副作用
針がついた専用の器具で皮膚に挿入するため、注射針の痕が残ります。
痕は小さいため、徐々に目立たなくなりますが、周辺に内出血を伴うこともあることを覚えておきましょう。
また、副作用として、一時的な頭痛や不正出血、体重増加などの症状・身体的変化が起こる場合もあります。
妊娠を希望する場合や効果の持続期間が過ぎた際は、皮膚を切開し、医師に除去してもらう必要があります。
保険適用外となるため、費用の負担が大きくなってしまいデメリットに感じることがあるでしょう。
破損のリスクから、生活面などで制限を受ける点もデメリットといえるかもしれません。
避妊インプラントを挿入した箇所(腕)は、美容医療や血圧測定、予防接種などを受けることができません。
美容医療を検討している方は、十分に留意したうえで施術計画を立てる必要があります。血圧測定や予防接種の際は、片方の腕が対応不可である旨を伝えましょう。
■避妊インプラントの費用
避妊インプラントは、10万円前後で挿入できるクリニックが多いようです。麻酔代などを別に設定しているケースもありますので、よく確認しましょう。
メンテナンス頻度は少なく、通院のコストはあまりかかりません。基本は半年や1年に一度と考えておくと良いでしょう。
クリニックによってはメンテナンス不要としている場合もあるため、事前にメンテナンス計画について確認しましょう。
ただし、メンテナンスが不要とされている場合も含めて、トラブル時の対応については、しっかりと聞いておいてください。
なお、持続期間とされている約3年間のあとや妊娠を希望するなどで避妊インプラントを抜去するときは、別途費用が必要です。
避妊インプラントはどこで受けられる?

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避妊インプラントを取り扱っているクリニックは、まだ限られています。
一部の婦人科や女性内科、美容クリニックなどで扱っていることが多いようです。
ホームページなどを調べてみるほか、避妊インプラントがどこでできるか気になったら、最寄りのクリニックなどで尋ねてみるのも良いでしょう。
避妊インプラントについて興味がある場合は、まずはカウンセリングを受け、ご自身に避妊インプラントが適しているか確認しましょう。
まとめ
避妊インプラントは、女性主体の避妊方法として新しい選択肢といえるでしょう。
とくにミレーナを検討している方にとっては、魅力的に映る部分もあるかもしれません。
しかし、避妊インプラントもミレーナも、体内に器具を挿入することによって、デメリットやリスクを伴うことは必至です。
費用面での負担も、施術によって大きく異なる可能性があります。医師のカウンセリングや説明を受け、納得したうえで自分に合った選択をしていきましょう。
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