いま、キャリアウーマンや女医さんが「卵子凍結」を受ける理由とは…?【受精前卵子凍結】を残しておくメリット・仕事との向き合い方・予算などを調査しました!

いま、キャリアウーマンや女医さんが「卵子凍結」を受ける理由とは…?【受精前卵子凍結】を残しておくメリット・仕事との向き合い方・予算などを調査しました!

今すぐではなくてもいずれ子どもを産み育てたいと希望する女性も少なくないでしょう。しかし、年齢を追うごとに卵子の数が減り質も低下していくため、妊娠には適齢期があります。そこで、現在注目を集めているのが、受精前卵子凍結です。将来妊娠が現実的になったときに備え、卵子が若いうちに保存しておく女性が増えているよう。今回は受精前卵子凍結について詳しく解説します。メリットや費用などを理解したうえで、ライフプランの選択肢の1つにするか検討してみてはいかがでしょうか。

1.なぜ今、卵子凍結が注目されているのか?

まずは、卵子凍結とは何か理解して、注目を集める背景をチェックしていきましょう。

卵子凍結とは

卵子凍結とは、卵巣から採取した受精前の卵子を凍結し保存することです。卵子凍結には、受精卵を凍結する受精卵凍結と、未授精卵を凍結する受精前卵子凍結の2つがあります。

受精卵凍結不妊治療の一環として、体外受精の過程の1つとして行われるほか、将来的に子どもを望む夫婦やカップルが対象です。それに対して、受精前卵子凍結未婚の方が対象になります。受精卵凍結の方が成功率は高まるため、パートナーがいる方は受精卵凍結を勧められるケースが多くなります。

これまでは受精卵の凍結のみ可能でしたが、冷凍保存技術が発達し未受精卵の長期保存が実用化されました。年齢を重ねた女性が妊娠する道を閉ざさないための手段の1つになっています。

卵子の質が年齢とともに低下する理由

妊娠に影響を及ぼすのは、卵子の数と質。同じ卵子であっても、年齢を重ねた分だけ卵子の質は低下します。卵子は生まれたときから卵巣内に存在し一緒に年齢を重ねることに加え、新しく作られることはありません。また、年齢を重ねるごとに卵子の数が減少していくこともわかっています。高齢になるほど妊娠しにくくなる傾向にあるのは、卵子の絶対数が少なくなることに加え、卵子が受精しにくかったり上手く成長できなかったりするなど、妊娠能力が低下することが理由です。

卵子凍結により採卵したときの年齢で卵子の老化をストップしておくことができるため、質を維持することにつながります。卵子凍結の目的は、卵子の保存により将来の妊娠に備えること。例えば30歳のときに卵子凍結をして40歳に妊娠をする場合、30歳のときの妊娠率の維持が期待できることになります。妊娠率を高めることにより体の負担はもちろん精神的な負担を軽減することにもなるでしょう。

受精前卵子凍結の需要が高まっている理由

受精前卵子凍結には、主に2つの目的があります。1つ目は治療を行う前に行う医学的適応による卵子凍結。放射線治療や抗がん剤など、場合によっては卵巣にダメージを与える可能性がある治療もあります。その場合、治療を行う前に卵子凍結をして、病気の完治後に妊娠が望めるよう卵子を保存しておきます。

2つ目は健康な女性が自らのライフプランに合わせて行う、社会的適応による卵子凍結。今現在妊娠の予定はないがいずれは子どもを産みたいと希望している場合に行います。社会適応による卵子凍結の対象となるのは、以下に当てはまる方です。

・将来のパートナーと子どもを持ちたい方
・仕事や介護などの理由により今すぐ妊娠を望むのが難しい方
・パートナーはいても今すぐに結婚の予定がない方

もともとは医学的適応による卵子凍結が主流でしたが、現在需要が高まっているのは、社会的適応による卵子凍結です。女性の社会進出が進み、仕事を持ちキャリアを積む女性も多くいます。令和5年に行われた厚生労働省の調査によると、女性の平均初婚年齢は29.7歳となっており、妊娠適齢期といわれている20~30歳を超えて結婚・出産を迎える方も多いのが近年の傾向。それに伴い、妊娠しにくくなることを懸念する方が増えたことが、卵子凍結の関心を集めるに至った背景です。卵子凍結の技術が実用化されたことで、妊娠の時期をある程度コントロールするという選択肢ができたといえるでしょう。

卵子凍結に年齢制限はある?

卵子凍結ができる年齢や保存期間は、受診する医療機関の方針によって異なります。日本生殖医学会のガイドラインによると、採卵は40歳未満、凍結した卵子を体外受精に用いるのは45歳未満となっており、これに準ずる医療機関が多いでしょう。採卵する年齢制限は39歳まで、凍結した卵子を使用する年齢制限は44歳までと考えておくのがおすすめです。卵子凍結を検討する理由やタイミングは人それぞれ異なりますが、卵子凍結するなら若ければ若いほど良いといえます。

2.受精前卵子凍結のメリットと実際の体験談

卵子凍結によるメリットは、卵子の質を採卵時のまま維持して、将来の妊娠に備えられること。卵子凍結により、臨んだタイミングで顕微授精へと進むことができ、キャリアプランやライフプランを立てやすくなるというメリットもあります。

受精前卵子凍結を選んだ女性たちのリアルな体験談

実際に受精前卵子凍結を行った女性のリアルな体験談をチェックしてみましょう。

33歳独身彼氏なし|結婚のプレッシャーが減った

子どもは欲しいと思ってはいるのですが、仕事が忙しくて婚活する余裕もなくここ何年も彼氏がいません。ここ1年くらい婚活していたのですが、早く結婚したいという気持ちが先行して、なかなか良い方と巡り会えないことにストレスになってしまって。いったん婚活をお休みして、卵子凍結を検討し始めたんです。たとえ彼氏ができてもすぐに結婚、妊娠と進むかどうかは分からないし、年齢的にも今だなと思い、卵子凍結を決めました。卵子凍結しておくことでプレッシャーが軽減して、結婚を急ぐ気持ちが落ち着いたのは私にとって大きなメリットだったと思います。

28歳独身彼氏あり|未来のための保険に

決して安い費用ではないし子どもがいる未来も想像できないので悩みましたが、お金が自由に使えて少しでも若いうちにと思い、卵子凍結しました。彼氏はいますが、正直結婚相手はこの人!とは完全に決め切れないところもあり…(笑)まだ仕事も頑張りたいので、すぐに妊娠・出産は考えられないというのも理由の1つ。相手がいても離婚や死別の可能性もゼロではないし、病気をすることもあるかもしれない。さらに、今はいいと思っていても、40歳を超えて急にやっぱり子どもが欲しくなることだってあるかもしれないので、もしものときに備えることができるのは私にとって大きなメリットでした。

34歳シングルマザー|子どもに兄弟ができる可能性を

30歳で結婚、出産とトントン拍子に進んだものの、幸せな結婚生活はわずか1年ほどで終わりをつげ、32歳のときに離婚。現在3歳になる息子を育てながら一生懸命働いています。恋人もいないし出会いも求めていませんが、息子に兄弟を作ってあげたいという気持ちはありました。卵子のクオリティを考えると30代後半に差し掛かる前が望ましいという話を聞き、卵子凍結しておくことに。息子と2人の生活に満足しているので今後使わない可能性も多いにありますが、卵子凍結しておくことで未来の選択肢が広がるかもしれないと思うことが、心の平穏につながっています

体験談を踏まえた受精前卵子凍結のメリット

上記の体験談をもとに、卵子凍結のメリットを見ていきましょう。卵子凍結によるメリットは、卵子の質を採卵時のまま維持して、将来の妊娠に備えられること。今は子どもがいる生活を考えられなくても、いざ欲しいと思ったときに手を打っていないと後悔する可能性も。卵子凍結は、未来の自分に選択肢を残すことにつながります。

万が一子宮や卵巣の病気になっても、卵子凍結により妊娠の可能性を捨てずにすむかもしれません。卵子凍結しておくことで、妊娠への準備が整ったタイミングで顕微授精へと進むことができるため、キャリアプランやライフプランを立てやすくなるというメリットもあります。

また、妊娠したいのにパートナーがいないなどの焦りから解放されるという精神面なメリットも大きいよう。仕事やパートナー探しを焦らずに取り組むことができる、安心材料になるでしょう。体験談の中には、「自分のタイムリミットがよぎって結婚を迫る、というメンヘラ行動を抑えることができ大人の余裕を演出できる」といった意見もあり、なるほど…と編集部でも盛り上がりました。

3.受精前卵子凍結にかかる費用と手続き、成功率について

受精前卵子凍結にかかる費用や手続き、成功率について確認していきましょう。

卵子凍結にかかる費用

社会的適応の卵子凍結は保険適用外の治療です。そのため、かかる費用はすべて自分で負担しなければなりません。卵子凍結にかかる料金体系は医療機関によって異なりますが、目安の費用は以下のとおりです。

<卵子凍結にかかる費用の目安>

採卵前:検査、排卵誘発剤 5~15万円
採卵:採卵、凍結処理 15~40万円
採卵後:卵子保管料 3~5万円/年間

卵子凍結は、採卵の準備、採卵、凍結、保管、出庫とそれぞれの工程で費用がかかります。排卵誘発剤の種類や量は卵巣機能によっても変動するため、それぞれかかる費用には差が出ます。また、採卵や採卵後の保管料の費用は、凍結する卵子の個数により変動するケースが多いようです。

助成制度のある自治体もある

卵子凍結は保険適用外の自費診療です。しかし、2023年に少子化対策の一環として東京都が受精前卵子凍結の費用補助制度を導入しました。さらにサイバーエージェントやメルカリなど、卵子凍結の費用補助を福利厚生に導入する民間企業もあります。卵子凍結を福利厚生に導入する目的は、社員の長期的なキャリア形成や優秀な人材の確保など。経済的な負担を抑えられる可能性があることも、卵子凍結の関心が高まる要因となっています。

卵子凍結までの流れ

卵子凍結は、以下の流れで進めるのが一般的です。

1.診察・検査
2.排卵誘発
3.採卵
4.卵子凍結・保管

まず、血液検査や超音波検査などを行い、卵巣期や卵子の数などを調べます。質の良い卵子を採取するため内服薬や注射などにより卵巣を刺激し排卵を誘発し、できるだけ多くの卵子を成熟させ、排卵の有無を確認し問題がないと判断されると採卵手術です。麻酔で痛みを抑え、膣から卵巣に細長い針を刺して卵子を採取。凍結方法には緩慢凍結法とガラス化保存法の2つがありますが、主流は液体窒素を用いたガラス化保存法です。凍結用容器に卵子を入れ、超高速で冷凍します。

なお、凍結できるのは成熟卵子のみとなっており、未成熟卵子や変性卵子の場合凍結できません。採卵できる数は個人差があり、1度の採卵手術で希望の個数が採卵できない場合は、2ヶ月ほど空けて再度採卵手術を行います。

卵子融解の流れ

卵子凍結した卵子で妊娠を望む場合は、卵子融解し体外受精するという段階を踏む必要があります。専用の容器に入れ凍結していた卵子を温め、眠っている細胞を起こします。その後、顕微受精で受精卵を培養。順調に育ったタイミングで子宮内に移植し、「着床」すれば「妊娠自体は成立」となります。

卵子凍結による妊娠の成功率

卵子凍結は妊娠・出産の可能性を高める方法の1つですが、卵子凍結をしたら必ず妊娠できるかというとそうではありません。海外の論文によると、凍結した未受精卵の妊娠率は以下のとおりです。

<凍結未受精卵の妊娠率>

融解後の生存率 90~97%
受精率 71~79%
着床率 17~40%
胚移植あたりの妊娠率 36~55%
融解卵子1個あたりの妊娠率 4.5~12%

採卵できた卵子のうち、妊娠可能な胚の状態まで育つのは20~30%ほど。さらに、妊娠率は採卵時の年齢や凍結する卵子の数によっても差があります。

<採卵時の年齢による妊娠率>

採卵時の年齢 5個 10個
35歳以下 15.4% 60.5%
35歳以上 5.1% 29.7%

妊娠の可能性を高めるためには、保存する卵子は多いに越したことはありません。20個以上の卵子を凍結しておけるのが理想的でしょう。

となると、「卵子の個数を担保するための排卵誘発」「卵子をとるための、頻度高いお休み」また、卵子が無事に採取・凍結できたとしても、「卵子個数に合わせた保存料金」など、乗り越えるべき課題は多そうです。

また、卵子の年齢は若くても、35歳以上の出産であれば高齢出産になることに変わりはありません。高齢出産になると妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群などのリスクが高まることも理解しておきましょう。

まとめ

さまざまな事情により、妊娠適齢期での妊娠が難しい方も少なくないでしょう。受精前卵子凍結は、将来の妊娠に備える保険としての選択肢の1つ。卵子凍結したからといって将来の妊娠が保証されるわけではありませんが、子どもを産む可能性を残すことにつながります。住んでいる自治体や企業の福利厚生によっては、経済的な負担を抑えて受精前受精前卵子凍結ができる可能性もあります。今回の記事を参考に、卵子凍結をライフプランの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。

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