
昨今、日本でも少しずつ認知されつつあるフェムケア。
「見えないところまで美しくなりたい」「女性としての自信を持ちたい」と美容目的で実践する女性も多くいますが、フェムケアの効果はそれだけではありません。
本記事では、女性特有のあらゆる不調を整え、美と健康を両立させるフェムケアの可能性に注目。
セルフケアと美容医療の上手なバランスの取り方についてお伝えします。
さらに、婦人科医×美容外科医によるNEROだけの特別座談会も開催 。フェムケアをタブー視せず、“自分ごと”として捉える必要性について一緒に考えていきましょう。
女性の美と心身の健康をサポートする「フェムケア」
今まで多くの女性たちにとって、膣などのデリケートゾーンにまつわる悩みは周囲に相談しづらいパーソナルな話題であったはず 。
それがここ数年で少しずつ“タブー視”する傾向が薄れ、社会全体でオープンに取り上げられるようになってきました。
女性特有の心身の変化や不調を整える「フェムケア(Femcare)」も、以前と比べるとかなり浸透してきたのではないでしょうか。
日本でフェムケア(膣ケア)が広まったのは、美容雑誌での特集や美容系インフルエンサーの影響もあるでしょう。
“膣美容”という言葉が生まれ、膣環境を整えることが美容につながるという考えも、美意識の高い女性の間で広まりつつあります。
また、多くの美容クリニックではデリケートゾーンの悩みにアプローチできる美容施術も導入されるように。
こうした影響からか「フェムケア=美意識の高い一部の人がするもの」というイメージもあり、“自分ごと”として捉えていない女性が多くいます。
しかし、本来のフェムケアは美容目的だけにとどまらず、女性の心身の不調をケアし、健康維持をサポートするもの。
習慣づけることで、年齢を重ねても自分らしく健やかな生活を送れるようになるでしょう。
フェムケアに期待できる効果は、次に挙げたように、外見的なことから機能維持につながるものまでさまざまです。
- 膣のゆるみを引き締める
- 性交時の痛みを軽減する
- 黒ずみやかゆみ、ニオイをケアできる
- 性感染症リスクを軽減できる
- 血流アップにより冷えやむくみをケアできる
- 自律神経が整いやすくなる
- 肌の調子が整いやすくなる
こうして見てみると、デリケートゾーンの調子が心身全体の健康に影響を及ぼしていることが分かります。
膣周りの不調や不快感は「病院に行くほどじゃない」「加齢や出産によるものだから仕方ない」と放置されがちですが、フェムケアは女性にとって日々の生活の質を高め、年齢を重ねても活力を損なわないために必要なケア。
表面的ではなく、心身の土台から健やかに整えるケアだということを覚えておいてください。
10代〜50代|年代別のリアルな悩みと対処法
女性特有の不調や悩みの原因とされているのは、加齢によって分泌量が変動する女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)。
ここからは、10代~50代にかけて年代別に現れやすくなる悩みと対処法についてお伝えします。
■【10代】汗や皮脂に注意!清潔に保つケアを
フェムケアを始めるタイミングに正解はありませんが、初潮を迎える頃が目安とされています。
10代は、汗や皮脂分泌が活発な時期。デリケートゾーンには雑菌が繁殖しやすくなり、ムレやニオイ、かゆみが発生しやすくなります。
<10代のフェムケア>
この時期はデリケートゾーンを清潔に保つために、こまめにナプキンを交換したり、丁寧に洗浄したりすることが大切。
学校でも快適に過ごせるように、生理用品は肌に優しいものや扱いやすいものが良いでしょう。
■【20代~30代】トラブルが増える性成熟期はストレスケアを
仕事やプライベートで忙しく、妊娠・出産を経験する女性も多いこの時期。
卵巣機能が最も活発になる“性成熟期 ”を迎え、おりものトラブルも増えやすくなります。
<20代~30代以降のフェムケア>
おりものなどによるニオイやかぶれ、ムレが起きないように、肌に優しい下着の使用、ナプキンやおりものシートのこまめな交換を心がけましょう。
また、忙しい日々の中でストレスがたまるとホルモンバランスが乱れやすくなるため、サプリメントや日々の食事で栄養面をケアしつつ、ストレスを貯めないことを意識しましょう。
■【40代以降】膣の保湿を徹底!更年期を意識したケアを
女性ホルモンの分泌量は20代~30代でピークを迎え、40代以降から減少していきます。
閉経前後の更年期を迎える人も多く、女性ホルモンのバランスが乱れることから心身の不調を感じやすくなります。
また、エストロゲン分泌量の減少によって骨密度が下がり、骨粗しょう症を発症する人も。膣内は乾燥やゆるみが進み、デリケートゾーンの不快感に悩まされることも多くなります。
<40代以降のフェムケア>
この時期は、デリケートゾーンの保湿ケアが重要。尿漏れや頻尿に悩まされることも増えるため、常に膣周りを清潔に保つことも大切です。
更年期による諸症状はセルフケアでは改善が難しいことも。不調は放置せず、婦人科などで治療を受けることも検討しましょう。
セルフケア?それとも美容医療?症状に合わせたケアの選び方
フェムケアには症状や目的によってさまざまな手段があります。まずは、何から始めれば良いのでしょうか。
■まずはセルフケアから!膣の状態をチェックしよう
フェムケアのスタートは、デリケートゾーンの健康状態や変化に意識を向けるところから。
普段からおりものの色やニオイをチェックしたり、入浴時に優しく触ってみたりすると、不調や変化に気づきやすくなります。
また、市販品で膣環境チェッカーも販売されているので、試してみても良いかもしれません。
日頃から実践できるセルフケアとしては、次の方法があります。
- デリケートゾーン専用ソープや保湿剤でケアする
- 体質や肌質に合う生理用品を選ぶ
- 通気性の良い下着を身につける
- 膣やその周囲をマッサージする
- 膣トレーニングで骨盤底筋を鍛える
膣やその周りの乾燥、ゆるみは、日頃からセルフケアを継続することである程度は予防することが可能です。
生理用品や下着にも気を配ることで、常に清潔に保つこともできるでしょう。
とくに年齢を重ねてからは、婦人科系疾患を予防するためにもぜひ取り入れたいケアです。
■フェムケアと美容医療
当然ながら、セルフケアだけではデリケートゾーンの不快な症状や不調を治療することはできません。
セルフケアを続けても改善されない場合には、美容クリニックでの美容医療という選択肢もあります。
例えば、フェミニンエリアへアプローチできる美容医療 には次のようなものがあります。
施術 | 施術内容 | こんな悩みにおすすめ |
膣レーザー | 膣壁へ炭酸ガスレーザーを照射し、膣粘膜表面へアプローチする。 | 膣のゆるみ・乾燥・膣周辺の黒ずみなど |
膣HIFU | 高密度焦点式超音波を膣内へ照射し、膣粘膜の深い層へエネルギーを届ける。 | 膣のゆるみ・ハリ不足・尿漏れなど |
ヒアルロン酸注射 | 大陰唇や膣にヒアルロン酸製剤を直接注入する。 | 加齢による膣壁のボリューム減少・ハリ不足・乾燥など |
医療VIO脱毛 | 医療用レーザーを照射し、VIO部位のムダ毛を根本から除去する。 | 自己処理による肌荒れ・見た目や衛生面での悩み |
⼩陰唇縮小 | 肥大や左右差のある小陰唇の余分な部分を切除し、形を整える。 | 摩擦による痛みや黒ずみ・見た目の悩みなど |
副皮切除術 | 小陰唇前方の余分な皮膚(副皮)を切除する。 | 副皮の肥大による不快感・黒ずみなど |
膣縮小 | 膣内側の粘膜を切開して、縫合する。 | 膣のゆるみ・性交時の感度低下など |
クリトリス包茎 | クリトリスを覆う包皮を切除する。 | 性交時の感度低下・見た目の悩みなど |
美容医療によるフェムケアの魅力は、ニオイやかゆみなど人にはなかなか相談しづらい諸症状を複合的に、即時的にケアできるところ。
医師の管理のもと治療を進められるので、何かトラブルが起こった際にも安心です。
まとめ
日本のフェムケア市場は年々拡大傾向にあり、2025年はますます“タブー視”からの脱却が進んで、一般常識の1つとして認知されるのではないでしょうか。
女性にとってフェムケアは、自分自身を大事に扱うための大切な行為。
人生の質や自己肯定感を高めることにもつながるでしょう。
そのため、フェムケアを美容トレンドの1つとして消費せず、社会全体で取り組んでいくことが求められます。
みなさんもまずは身近なフェムケアから、少しずつ普段の生活に取り入れていきましょう。
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