「ビタミンCは肌に良い」というイメージを抱いている方は多くいます。中には、できる限りたっぷり摂取したいと思う方もいるでしょう。とはいえ、ビタミンCを過剰に摂取してしまうと、体に何らかの影響を及ぼしそうで、心配ではありませんか?そこでこの記事では、ビタミンCを過剰摂取したことによる体への影響や、摂取量の目安、適切な量を摂取するためのポイントなどを紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
INDEX
1.ビタミンCの過剰摂取による影響
まずはビタミンCを過剰に摂取することで、体にはどんな影響があるのかを確認しましょう。
■水溶性なので体には害がない
結論からいうと、ビタミンCを過剰に摂取しすぎても体に悪影響はないとされています。なぜなら、ビタミンCは水溶性の栄養成分なので水に溶けやすく、余分に摂取しても体に蓄積されずに体外に排出されるからです。
■体の調子が悪くなる可能性はある
体に害がないといっても、ビタミンCを摂りすぎると以下のような不調が起こる可能性があります。
倦怠感
ビタミンCを過剰に摂取すると、稀に体のだるさや関節痛などの風邪症状のような倦怠感が起こることがあります。これは「鉄」と深く関係しており、ビタミンCには鉄の吸収を促進する効果があるからです。そのため、ビタミンCの摂りすぎによって、食品などに含まれている鉄の吸収率が高まり、鉄過剰症の発症につながる可能性が……。だるさや疲れやすさなどの症状が現れたら、鉄分とともに、ビタミンCの摂取量も見直してみてもいいかもしれません。
胃腸の不調
ビタミンCの摂りすぎによって胃腸に不調が現れる可能性もあります。ビタミンCの摂取量が多いと、腸の水分吸収の機能に影響が起こり、腹痛や下痢などの症状が出やすくなります。
吐き気
ビタミンCの摂りすぎで吐き気が起きる可能性も。体質も関係するので一概にはいえませんが、一度に大量のビタミンCを摂取したときに吐き気がある場合は、過剰摂取を疑ってもいいでしょう。
■摂取量が多すぎると吸収率が下がってしまう
ビタミンCは肌に良い成分ですので、しっかりと体内に吸収したいもの。しかし摂りすぎてしまうと、かえって吸収率を下げてしまう可能性があるため、十分な注意が必要です。具体的には、1,000mg以上のビタミンCを摂取した場合、吸収率は50%以下になってしまいます。
一方、一日の摂取量が200mgまでは吸収率が90%ほどに急増します。おのずとどれくらいの量のビタミンCを摂取するのが適正なのか、見えてきた方もいるのではないでしょうか。
2.一日のビタミンC摂取量の目安は?
ビタミンCの摂取量の目安は、年齢や性別などによって異なります。以下を参考に、一日あたりのビタミンC摂取量の目安をチェックしてみましょう。
年齢 | 摂取推奨量 |
生後6ヶ月 | 40mg |
生後7~12ヶ月 | 50mg |
1~3歳 | 15mg |
4~8歳 | 25mg |
9~13歳 | 45mg |
14~18歳(男子) | 75mg |
14~18歳(女子) | 65mg |
成人(男性) | 90mg |
成人(女性) | 75mg |
※参考:https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c03/09.html(厚生労働省eJIM)
なお、妊婦の方は80~85mg、授乳中の方は115~120mgが目安の摂取推奨量です。喫煙者の方は成人の摂取推奨量に35mgプラスします。このように生活スタイルによっても数値が異なることを理解しておくといいでしょう。
3.逆に摂取量が少なすぎるとどうなる?
ビタミンCの過剰摂取による体への影響はないものの、逆に摂取量が少なすぎる場合には、下記のような弊害があります。健康面・美容面どちらにも影響が起こり得るので、必ず確認しておきましょう。
■免疫力の低下
ビタミンCには白血球の働きを助ける役割があります。白血球の能力が低くなると、体内の細菌やウイルスへ働きかける力が弱まってしまうため、ビタミンCの不足は免疫力の低下につながる可能性が。風邪を引きやすくなったり、倦怠感をおぼえやすくなったりするケースがあります。ビタミンC不足には気を付けましょう。
なお、ビタミンCが著しく欠乏した状態を放置すると、壊血病を発症する可能性もあります。壊血病は、疲労感や歯肉の炎症、関節痛などさまざまな症状が起こる病気です。貧血を発症することもあるため、放置するのは危険です。健康のためにも、ビタミンCは適量を摂取するようにしましょう。
■鉄分が吸収しづらくなる
ビタミンCは鉄の吸収を助けてくれる働きもあります。そのため、鉄不足が気になりやすい女性の方にとって、ビタミンCは必須の栄養分といえるでしょう。鉄の吸収を助けるために、鉄分を多く含む食材と一緒にビタミンCを取り入れることを意識してみてください。
■肌のハリ・弾力の低下
ビタミンCは、肌のハリ・弾力のもととなるコラーゲンの合成に必須の栄養素です。そのため、ビタミンCの摂取量が不足すると、コラーゲン生成量が低下し、肌のハリや弾力も減少してしまう可能性が高まります。
コラーゲンの合成時に体内のビタミンC量が十分であるかどうかが重要であるため、日頃からビタミンCを摂る習慣をつけておくといいでしょう。健康面に大きな影響を与えやすいビタミンCですが、美容面においても重要な栄養素です。
■シミやシワへのアプローチ効果が薄れる
ビタミンCには、メラニン生成を抑制してくれる働きも期待できます。そのためビタミンCが不足していると、シミへのアプローチ力が低下する可能性があります。また、ビタミンCは活性酸素を取り除く効果も期待できるので、健やかな素肌を保つためにも必要な栄養素でしょう。
4.ビタミンCを適量摂取するには?
ビタミンCを適量摂取するために抑えておきたいポイントは以下の2点です。食事から摂取することが理想ではありますが、忙しい現代人は上手にサプリメントを取り入れることも得策でしょう。ビタミンC摂取について詳しくチェックしてみましょう。
■ビタミンCを多く含む食材を選んで食べる
まずビタミンCを適量摂取するためには、栄養素を多く含む野菜や果物などを積極的に選ぶことが大切です。ビタミンCを多く含む食材は以下のとおりです。
- オレンジ
- グレープフルーツ
- いちご
- アセロラ果汁
- キウイフルーツ
- ブロッコリー
- ピーマン
- パセリ
- 菜の花
- じゃがいも
- さつまいも
ビタミンCは水溶性の栄養素なので、水にさらすと大切な栄養分が流れ出てしまいます。そのためできる限り生の状態の野菜や果物から摂取することが理想です。
また、ビタミンCは一度に吸収できる量が多くないため、一気に多量摂取するのではなく、複数回に分けて摂るのが大切です。満腹時のほうが吸収率は高まるため、食後のデザートにオレンジやいちごなどの果物を食べる習慣をつけると、効率良く摂取できるでしょう。意識的にビタミンCを多く含む食材を摂取するよう、心がけてみてください。
■サプリメントを摂取する
食事での摂取が難しい場合は、ビタミンCをしっかり補給したい方はサプリメントを検討してみましょう。ビタミンCのサプリメントは、粒や粉、グミタイプなどさまざまな形状がありますので、自分に合ったものを選ぶと習慣化しやすくなります。
食材からの栄養補給を意識するとなると、3食栄養バランスが整った食事を用意する必要があるため、忙しい現代人にとってはハードルが高いかもしれません。サプリメントで栄養を補うのも一つの手ということを頭に入れておくといいでしょう。
また、美容皮膚科で処方される「シナール」というビタミンC補給薬も存在します。内服を続けることで、メラニン色素の生成を抑えてくれたり、コラーゲンの生成を促したりする効果があります。気になる方は、美容皮膚科の医師に相談してみましょう。
5.サプリメントや服薬によるビタミンC摂取時の注意点
最後に、ビタミンCをサプリメントや服薬によって摂取する場合の注意点を見ていきます。ビタミンCの過剰摂取によって、体への害があったり、死亡したりすることはありません。しかしビタミンCを大量摂取すれば良いというわけではなく、適当な量を守ることが大切です。
■一日の推奨量を守る
サプリメント服用時は、一日に決められた推奨量を必ず守ること。過剰に摂取しないようにしましょう。前述のとおり、ビタミンCは一度に摂取しても効率的に吸収できる量には上限があります。飲み方を意識して活用すると良いでしょう。
■空腹時を避けて水またはぬるま湯で飲む
ビタミンCのサプリメントを飲むときは、飲み方以外にもタイミングも意識してみることが大切です。「満腹時のほうがビタミンCの吸収率は高まる」と前項でお伝えしましたが、その理由は、空腹時は吸収の速度が速いぶん、過剰分の排出もあっという間だからです。空腹時を避け、水かぬるま湯で飲みましょう。
■上手に摂取したいなら医療機関に相談を
主に美容目的でビタミンCのサプリメント摂取や服薬を考えているなら、まずは美容皮膚科や美容クリニックで相談しましょう。肌の状態や健康状態を見て、適切な摂取方法を提案してくれるはずです。ビタミンCを効率的に摂取したいと考えている方にとって、サプリや服薬は管理がしやすい方法です。医師と相談のうえ、習慣として取り入れてみましょう。
■まとめ
ビタミンCの摂りすぎによって、肌荒れやニキビができるなどの肌への影響はほとんどありません。しかし、ビタミンCが肌にいいからといって、大量摂取するのは避けたほうが良いでしょう。反対に摂取量が少なすぎるとビタミンC欠乏症を巻き起こす危険があるため、要注意です。健康や肌の美しさをキープするには適切な量と摂取方法を知り、習慣として生活に取り入れていくことが大切です。体・肌のために、ビタミンC摂取量の目安を頭に入れておきましょう。
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