男性の健康に欠かせないのが、男性ホルモン(テストステロン)です。いわゆる男らしさを作る性ホルモンで、活力のもととなります。男性ホルモンは年齢とともに減少する傾向にあり、体の不調の原因になることも。「最近やる気が出ない……」と感じているなら、もしかすると男性ホルモンが影響しているのかもしれません。そこで今回は、男性ホルモンを増やす方法について解説します。ホルモン補充療法についても解説するので、不調が気になる方はぜひ参考にしてみてください。
1.男性ホルモンの働きとは
まずは、男性ホルモンの働きについて解説していきます。
■男性ホルモンとは
男性ホルモンは、筋肉質でがっしりした、いわゆる男性的な体つきに影響を与える性ホルモンです。男性ホルモンのうち95%が睾丸で作られるテストステロンのため、男性ホルモン=テストステロンという認識でも間違いはないでしょう。
男性ホルモンの働きには、骨格や筋肉の成長を促すほか、性機能にも作用します。また、前向きな思考、高い集中力など、精神面にも影響を及ぼすのも特徴です。
テストステロン値が高い男性は活力がみなぎり、女性からも魅力的に思われる傾向にあるでしょう。
このように、男性ホルモンは男性の活力のもととなる重要な物質ですが、分泌量には個人差があるもののピークは20~30代で、それ以降は徐々に減少していきます。また、加齢だけでなく、食生活や肥満、ストレスなどの影響により男性ホルモンが減少することもあります。
■男性ホルモンが低下するとどうなる?
テストステロン値の低い男性は、全体的に活力がなくなり落ち込みやすいなどの特徴が見られる傾向にあるでしょう。テストステロン値の減少により、顔つきが変わったように感じられることもあるそうです。男性ホルモンが低下すると、さまざまな症状が現れます。
<体の症状>
・疲労感や倦怠感
・不眠
・肩こり
<性行動にまつわる症状>
・性欲がなくなる
・勃起障害
<精神的症状>
・気力がなくなる
・集中力が続かない
・イライラする
・不安になる
<自律神経にまつわる症状>
・めまい、耳鳴り
・のぼせ、手足の冷え
・動悸、息切れ
このように、男性ホルモンの影響は多岐に及びます。男性ホルモンが減少することで肥満や高血圧、高脂血症など生活習慣病の発症リスクが高まることもあるでしょう。ホルモンバランスの減少により、男性更年期障害に陥るケースも。ほてりや肩こり、不眠、発汗など女性の更年期障害と同じように精神面と体の両方に症状が出現します。
2.男性ホルモンを増やす方法はある?
男性ホルモンを増やすには、以下のような方法が挙げられます。
■筋トレをする
筋肉への刺激は、男性ホルモンを増やすのに有効です。大きな筋肉を動かすトレーニングが、男性ホルモンの分泌を促すそう。ただし、あまりに激しい運動は男性ホルモンを低下させる原因になることも。スクワットを10回×3セット、軽いウォーキングやランニングを30分程度など、無理せず続けられる方法を選びましょう。
■栄養バランスのとれた食事を心がける
男性ホルモンを増やすには、食事からの栄養素も重要になります。男性ホルモンの上昇が期待できる栄養素は、タンパク質や亜鉛、ビタミン。これらの栄養素を意識的に取り入れながら、バランスの良い食事を心がけましょう。
反対に、アルコールや大豆製品、グレープフルーツは過剰摂取すると男性ホルモンの減少につながる可能性があります。普通に摂取する分には問題はありませんが、食べ過ぎ・飲み過ぎは避けておいた方が良いでしょう。
■十分な睡眠とストレス解消
十分な睡眠とストレス解消も、男性ホルモンに大きな影響を与えます。睡眠は量よりも質を重視しましょう。就寝前のテレビやスマホは睡眠の質が低下する原因になります。就寝前にぬるいお湯に浸かる、部屋を暗くしてリラックスする時間を設けるなど、睡眠の質を高める環境作りも大切です。
とくにストレスは男性ホルモンが減少する原因となります。とはいえストレスなしに生活するのは難しいため、自分に合ったストレス解消方法を見つけてストレスを溜めない生活を心がけましょう。
■サプリメントや漢方を摂取する
サプリメントや漢方薬を摂取する方法もあります。サプリメントで直接男性ホルモンを補給できるわけではありませんが、亜鉛やマカといったさまざまな成分が配合されたサプリメント「テストステロンブースター」も販売されています。忙しくて食事のバランスが気になるなら、効率的に栄養を摂取できるサプリメントに頼るのも良いかもしれません。
症状が軽い場合には、漢方薬を取り入れるのも1つの方法です。男性ホルモンにまつわる代表的な漢方薬には以下のようなものが挙げられます。
漢方薬の名称 | 効果 | おすすめの方 |
補中益気湯(ほちゅうえっきとう) | ストレスで分泌されるコルチゾールの分泌を低下 | だるい、疲れやすい |
八味地黄丸(はちみじおうがん) | 男性ホルモンの一種DHEAの分泌を高める | 頻尿、手足の冷えの症状がある |
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう) | コルチゾールの分泌を低下させテストステロンの分泌を高める | ストレスを感じている |
即効性は期待できませんが、だるさや疲れを解消する効果も期待できるため、元気に過ごしたい方にもおすすめです。
■ホルモン補充療法を取り入れる
医療機関で男性ホルモンを補充する方法もあります。ホルモン補充療法で多く行われているのは、注射と塗り薬による治療。ホルモン補充療法をする場合、クリニックなどの医療機関で血液検査によりテストステロン値を測定します。テストステロン値の検査はどの診療科でもできますが、専門的なアドバイスを受けられるよう、メンズヘルス外来や男性更年期専門外来を受診するのがおすすめです。
3.男性ホルモンを増やすホルモン補充療法とは
ホルモン補充療法について詳しく確認していきましょう。
■ホルモン補充療法の種類1.注射
ホルモン補充療法で多く使われているのが、筋肉注射による投与です。注射してから3~4週間ほどでテストステロン濃度が低くなるため、1~4週間のペースで通院して男性ホルモンを補充する必要があります。注射の痛みはありますが、高用量で投与できる、副作用が少ないといった理由でよく用いられている方法です。
■ホルモン補充療法の種類2.外用薬
外用薬で男性ホルモンを補充する方法もあります。吸収率の高い部位に塗布することで、皮膚からテストステロンを吸収。毎日塗布するため、一定の血中濃度に保てるのが特徴です。注射と比べて緩やかな症状の改善効果が期待できるでしょう。注射と外用薬を併用して治療することもあります。
■ホルモン補充療法の副作用や注意事項
ホルモン補充療法は基本的に安全な治療方法ですが、肝機能障害や多血症などの副作用を引き起こす可能性もあります。また、前立腺がんや肝臓病、睡眠時無呼吸症候群を患っている方は、病状が進行する可能性を加味してホルモン補充療法はできません。また、精巣機能が低下するため、不妊治療中の方や子どもを望んでいる方は医師に相談したうえで検討しましょう。
■まとめ
男性ホルモンは、体だけでなく精神面にも密接に関係しています。なんだかやる気が起きないといった不調は、もしかすると男性ホルモンの減少が原因かもしれません。調子が悪いと感じたら、早めにクリニックに相談することをおすすめします。男性ホルモンを増やす生活を心がけることはもちろん、ホルモン補充療法による治療もぜひ検討してみてください。
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