年々PMS(月経前症候群)や生理痛がひどくなっている気がして「どうしたものか」とお悩みではありませんか?人によってはナチュラルホルモン補充療法で、さまざまなトラブルを軽減できるかもしれません。そこで今回は、ナチュラルホルモン補充療法とはどういうものか、施術の流れや注意点、費用相場などを詳しく解説します。
1.ナチュラルホルモン補充療法とは?
ナチュラルホルモン補充療法をご存知ですか?「ホルモン補充療法 体験談 ブログ」などと検索してみると、「更年期の不調や若返り、アンチエイジング」などの口コミが記載されているかもしれません。
まずはナチュラルホルモンがどういうものなのか、どういった方にナチュラルホルモン補充療法が向いているのかについて紹介します。
■ナチュラルホルモンとは?
ナチュラルホルモン補充療法で使うナチュラルは、体にとってごく当たり前なという意味で用います。体にとってナチュラルなホルモンとは、もともと体にあるホルモンと化学的構造が同じホルモンのことです。
結果ナチュラルホルモン補充療法とは、もともと体にあるようなナチュラルホルモンを補充する治療のことをいいます。人はさまざまな臓器からホルモンが分泌されており、分泌が適量であれば年相応の若々しさや健康を維持できます。
しかし体調の変化や年齢を重ねることでホルモン産生機能が低下し、ホルモン分泌が低下。疲れやすくなったり筋肉量が減少したりなど、さまざまな症状があらわれることがあります。そこで行われる治療がホルモン治療です。
一般的に、更年期障害の診療で使われるホルモン剤は合成ホルモン剤で、体内のホルモンに似せた薬剤です。そのため人によっては拒否反応を示して副作用が出ることも。一方ナチュラルホルモンは、もともと人の体にあるホルモンと同じ化学構造のため、拒否反応が出にくい傾向にあります。
■どのような症状に悩んでいる方に向いているの?
ではナチュラルホルモン補充療法は、どういった症状に悩んでいる方に向いている治療なのでしょうか?
PMSでお悩みの方
PMSとは月経前症候群のことです。月経前にうつ症状やイライラ、不安などの精神症状が出たり、頭痛や腰痛、むくみなどの身体症状が出たりします。自律神経にも作用するため、のぼせや倦怠感、めまいなどが起こることもあります。
PMSの原因は、まだはっきりとは解明されていません。ただし、女性ホルモンの変化が影響していることが考えられるため、ナチュラルホルモン補充療法にてホルモンを補うと症状を軽減できる可能性があるのです。
更年期・更年期前後の症状でお悩みの方
閉経前後の10年間を指す更年期。体や精神に多様な不調が伴いますが、更年期障害では日常生活に支障をきたすほどの状態に陥っています。女性ホルモンが大きくゆらぎながら低下することが原因といわれており、これによって急にほてるホットフラッシュやめまい、関節の痛み、疲労感、不眠などのさまざまな症状があらわれます。
更年期障害で起こる症状は女性ホルモンのゆらぎが起因するため、変化をゆるやかにするようホルモン補充をすれば症状を軽減できるでしょう。また更年期障害は女性だけではなく、男性にも起こり得ます。男性の更年期障害でもナチュラルホルモン補充療法は有効です。
年相応の若々しさを手に入れたい方
ホルモン分泌の低下によって体の不調を起こしますが、太りやすくなったり肌のハリが低下したりする外見や内面の変化にも影響しています。
そのためナチュラルホルモン補充療法を行えば、肌に弾力が生まれたり代謝がアップしたりすることも考えられるでしょう。また記憶力や感情の起伏にも作用するため、心身ともに健康を維持したい方にも向いています。
2.ホルモンの重要性とは?
ナチュラルホルモン補充療法を用いれば、体への負担を抑えてさまざまなトラブルに対処することができそうですが、そもそもホルモンとはどういうものなのでしょうか?ホルモンについて簡単に解説します。
■そもそもホルモンとは?
先ほど少しふれましたが、ホルモンは内分泌腺で作られて血液中に放出されます。そして各細胞に運ばれることで体の器官を正常に動かすのです。
具体的には体温や生殖、免疫システムといった体の機能を調整します。そのためホルモンの分泌量が減少すると、体や感情などに影響を及ぼすのです。
■女性ホルモンの種類
女性ホルモンの量は20代をピークに減少し始めます。そして40代になると急激に減って、50代以降は20代の約半分になるともいわれているのです。ここでは、女性がとくに意識したい女性ホルモンについて見ていきましょう。
プロゲステロン
女性ホルモンにはプロゲステロンとエストロゲンがあります。それぞれの量が上下することでバランスをとっており、単純に女性ホルモンを増やすと良いわけではなくバランスが大切なのです。
まずプロゲステロンは、別名妊娠を助けるホルモンと呼ばれています。排卵後から次の月経にかけて分泌され、基礎体温を上げる・食欲を増進させる・受精卵を着床させやすくするといった役割があります。
一方で、体調不良を起こしたり気持ちを不安定にさせたりするケースも。肌の調子が悪くなるのも、プロゲステロンが影響しているといわれています。
エストロゲン
エストロゲンは妊娠に向けて子宮内膜を厚くする働きがあり、基礎体温を下げたり女性らしい体を作ったりする作用があります。月経後から排卵前に多く分泌され、体調や気持ちを安定させる役割もあるのです。
エストロゲンにはエストロンやエストラジオール、エストリオールがあります。1つ目のエストロンは卵巣や肝臓、脂肪組織などで作られ、エストロンが過多になると乳がんや子宮がんのリスクが高まるといわれています。
2つ目のエストラジオールは閉経前に卵巣で産出され、エストロゲンとしての効果が最も高いホルモンです。3つ目のエストリオールは、エストロンやエストラジオールを肝臓で変換することで作られるホルモン。乳がんや子宮がんから身を守る働きがあります。
3.ナチュラルホルモン補充療法の流れ
ここからはナチュラルホルモン補充療法の流れについて見ていきましょう。一般的な美容医療とは違って専門医の診察後すぐに治療に入るわけではなく、検査を経たうえで治療を始めていきます。
■ホルモン検査
まずは問診を行い、唾液や血液検査によってホルモンの状態を確認。どんな症状で悩んでいるのかを医師に相談しながら、不足しているホルモンや最適な摂取量を客観的に分析する必要があるのです。検査結果が出るまでに、一般的には3週間~1ヶ月ほどかかります。
■治療方針を決める
検査結果をもとに、医師が不足するホルモンを処方する・これからの治療方針を決定する流れです。ナチュラルホルモン補充療法に使うナチュラルホルモン製剤は、日本では製造されていません。そのため基本的には諸外国から輸入する必要があります。
補充方法としては、サプリメントやプロゲステロンクリームといったクリームなどさまざまな手法があるので、使い方は医師に確認しましょう。
■定期検診
ナチュラルホルモン補充療法を行うと、不足しているホルモンを補っているため全体のホルモン量が変化します。よって定期的にホルモン分泌状況をチェックして処方量を調整しなければなりません。
ナチュラルホルモンといえども諸症状が起こる可能性があるため、何か変化があれば担当医師に相談しましょう。
4.ナチュラルホルモン補充療法で知っておきたいこと
最後に、ナチュラルホルモン補充療法で知っておきたいことをまとめました。注意点や費用相場などを確認しましょう。
■注意点
ナチュラルホルモンは体にあるホルモンと化学的構造が同じですが、体調や体質によって合わないこともあります。むくみや吐き気などの副作用が起きた場合は、速やかに病院で相談しましょう。また、閉経後でも月経が起こる可能性があります。
■費用相場
ナチュラルホルモン補充療法は保険適用ではありません。どれくらいの費用がかかるのでしょうか?一般的に検査費用や診察料、ホルモン剤の代金などがかかります。
費用相場としては、各種検査・診察費用に2~10万円程度、ホルモン剤の費用として月に1~4万円程度です。ただし摂取量や処方内容によって変わります。
■まとめ
ホルモン剤の使用というと、更年期障害の際に利用するイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれません。しかしナチュラルホルモン補充療法であれば、PMSや年相応の若々しさを手に入れたい方にも向いているアプローチです。PMSなど周期的につらい期間を迎えているのであれば、ホルモン量を調整することで症状を軽減できるかもしれません。また、早めにナチュラルホルモン補充療法を始めておくと、年齢を重ねて更年期を迎えるときにも対処しやすいでしょう。
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