「疲れやすい……」は更年期のせい?いつもの疲れとの見分け方とは

「疲れやすい……」は更年期のせい?いつもの疲れとの見分け方とは

「疲れやすいのは更年期のせい?」40代・50代の女性の中には、こんな考えが頭をよぎったことがある方は少なくないはず。疲労感の原因はさまざまですが、更年期の場合はセルフケアや治療で症状の軽減を目指せる場合があります。まずは疲れの原因をクリアにすること。そして、更年期だった場合の適切なケアや治療方法をみていきましょう。

1.疲れやすい原因を知りたい!これって女性の更年期?

出典:photoAC

「だるい、眠い、何もしたくない……。」そんな日々が続くと、40代の女性の中には“更年期”という言葉が頭をよぎる方もいるはず。まずは40代=更年期と決めつけずに、疲れやすい原因を順番に考えていきましょう。

■疲れが取れないと悩む40代・50代の女性は多い

「体がだるい、疲れやすい日々が続いていると原因は更年期?」と考える40代・50代の女性は少なくありません。この世代の疲れの原因として考えられるものを3つ挙げてみました。ご自身に当てはめて原因をクリアにしてみましょう。

体力的な疲労

通勤や家事など、体を動かして疲れているケース。肉体を動かすことで知らないうちに体には疲れがたまります。人間の筋肉量は20代をピークとして徐々に減少傾向に。40代・50代になると筋肉量の減少によって疲れやすくなるため、これまでと同じ生活をしていても疲労感を覚えやすくなるのです。

メンタル的な疲労

仕事や家事によってストレスを感じているケース。40代・50代ともなると、仕事では役職がついたり、家庭では子どもの進学などで心理的負担が増えたりする頃です。女性ホルモンのエストロゲンはストレスに耐える力があるといわれています。しかし、40代・50代になるとエストロゲンの分泌は減少するため、ストレスに弱くなっているともいえます。

更年期による症状

40代・50代のいわゆる更年期にあたる年代特有の症状であるケース。閉経に伴ってホルモンバランスが変化して血行不良を招き、疲れを感じやすくなります。また、エストロゲンの分泌減少によって自律神経が乱れ、疲労感を覚えやすくなります。

■更年期って何?更年期障害とは

更年期とは一体どのようなものか、また更年期障害について詳しくみていきます。
まず、「更年期」とは閉経を挟んで10年ほどの期間を指します。女性は45~55歳くらいの方が多いでしょう。無症状の方もいますが、8割の人が何かしらの自覚症状があり、その症状は数百種類にもおよぶといわれています。代表的な症状はホットフラッシュ(ほてり、のぼせ)、頭痛、関節痛、腰痛、肩こり、めまい、冷え、イライラ、不眠、憂うつ感、集中力の低下などです。
これらのうち、症状が重く仕事や家事など日常生活に支障が出てしまう状態を「更年期障害」といいます。治療の必要性は、次の「簡略更年期指数」である程度分かるため、気になる方はチェックしてみましょう。

■簡易更年期指数でセルフチェック!

簡易更年期指数の各症状の点数をチェックし、最後に各点数を合計しましょう。(※1)

症状 点数
1 顔がほてる 10 6 3 0
2 汗をかきやすい 10 6 3 0
3 腰や手足が冷えやすい 14 9 5 0
4 息切れ、動機がする 12 8 4 0
5 寝付きが悪い、眠りが浅い 14 9 5 0
6 怒りやすく、イライラする 12 8 4 0
7 くよくよしたり、憂うつになる 7 5 3 0
8 頭痛、めまい、吐き気がよくある 7 5 3 0
9 疲れやすい 7 4 2 0
10 肩こり、腰痛、手足の痛みがある 7 5 3 0
合計点数

上記のチェックの自己採点の評価法は次のとおりです。(※1※2)

合計点数
0~25点 異常ありません
26~50点 食事や運動に注意しましょう
51~65点 更年期・閉経外来を受診しましょう
66~80点 長期の計画な治療が必要です
80~100点 各科の精密検査に基づき、長期の計画的な治療が必要です

2.更年期はどうやって乗り越える?

10年ほど続く更年期、どのように乗り切れば良いのでしょうか。まずは今の生活を見直すだけでケアできる可能性があります。

■まずはおうちでセルフケア

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自宅でできるセルフケアをまとめました。今の生活を少し変えるだけでできるものがほとんどです。ぜひ実践してみましょう。

早寝早起きで質の良い睡眠

更年期の症状には、寝付きが悪かったり、夜中に目が覚めてしまったりという症状もあります。疲れが取れない40代の女性は、寝不足で眠い朝を迎えていることも。早寝早起きで体内時計を整え、質の良い睡眠を取りましょう。

バスタイムはシャワーより入浴

バスタイムはシャワーで済まさず、ゆっくり入浴するのがおすすめです。湯船につかると体がリラックスして寝付きが良くなります。また、温かさや水圧によって血流が促され、疲れが取れやすくなったりむくみが和らいだりする効果も期待できます。

バランスの良い食事にタンパク質をプラス

女性ホルモンのエストロゲンの減少は、筋肉量の減少にもつながります。バランスの良い食事をベースに、タンパク質を積極的に摂るようにしましょう。もともと現代の日本人はタンパク質不足といわれているため、十分に摂る必要があります。納豆や豆腐などが簡単に取り入れやすいでしょう。

腹式呼吸で自律神経を整える

更年期は自律神経が乱れ、症状が表れます。ストレスも自律神経の乱れにつながるため、腹式呼吸で緊張をほぐしてリラックスするのも1つです。
腹式呼吸の方法は簡単で、呼吸するときにまずは鼻から息を吸い、お腹の下のほうを膨らませるようにします。吐くときは口からで、お腹の同じ部分から息を押し出して凹ませていくようにイメージします。これを繰り返していくと疲れが和らいでいくでしょう。

軽い運動をルーティンに

散歩やウォーキングなどの有酸素運動は、ストレス発散やリラックス効果が見込めます。忙しくてなかなか時間が取れない場合は、エレベーターではなく階段を使う、降りる駅の1つ前で下車して歩くなど体を動かすよう意識してみましょう。

美容点滴でケアする女性も

セルフケアとは異なりますが、高濃度ビタミンC点滴など、美容点滴で疲労を取るケースもあります。疲れが取れない、体がだるいという40代・50代の女性は、サプリメントのランキングトップ商品を試すなど、日常生活にプラスの行動で疲れを取ろうとする方もいるようです。しかし、ビタミンは水溶性のため、摂取した大半は尿から出てしまいます。点滴の場合は直接血液に注入するため、効果的にビタミンの働きを得られるのです。

■治療方法は自分に合った方法で

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更年期で治療が必要となった場合は、複数の方法から選べます。自分に合った方法を選び、少しでも症状の軽減を目指しましょう。

カウンセリング・生活改善

医師に生活環境やライフスタイルをきいてもらい、生活改善の指導を受けます。指導内容は、食生活の改善などです。うつや不安が主な症状の場合は、抗うつ薬・抗不安薬などとカウンセリングを並行して進める場合もあります。

ホルモン補充療法

減少してしまったエストロゲンを補充する療法です。更年期の代表的な治療で、効果も高いといわれています。子宮の有無で使用する薬が異なり、リスクも伴うため、しっかりと医師と相談したうえで治療方針を決めましょう。

漢方療法

一般的な薬物療法に比べて副作用が少なく、効果も穏やかなのが特徴です。心臓や肝臓、腎臓に疾患を持つ方はホルモン補充療法が適用できないため、漢方療法をすすめられることがあります。漢方薬は種類が大変多いため、さまざまな効能をバランス良く取り入れられます。

プラセンタ療法

ホルモン補充療法よりも副作用が少ない療法で、レディースクリニックや美容クリニックで受けられます。エイジングケアで使われるイメージがありますが、疲労や倦怠感などにも効果が見込めます。

低用量ピル

年齢がまだ若くプレ更年期症状の方、定期的な生理がある方は低用量ピルのほうが治療に使いやすい場合もあります。ただし40歳以上の場合は血栓症などのリスクが上がるため、医師とよく相談する必要があります。基本的にはホルモン補充療法などを優先して行うケースが多いです。

3.更年期と思っていたら他の病気が隠れている場合も……

更年期と似た症状の病気に関節リウマチ、肝炎、腎炎、貧血、メニエール病、五十肩などが挙げられます。更年期の症状だから仕方ない、と放置しておかず、体に不調が続くようであれば早めに医療機関を受診し、検査を受けるようにしましょう。日頃から女性の体の健康を相談しやすい婦人科のかかりつけ医を見つけておくことも大切です。

■まとめ

疲れやすさの原因はさまざまですが、更年期の場合は治療が必要な場合もあります。40代・50代で疲れやすいと思ったら、まずはセルフケアで体調の回復を目指しましょう。症状が長く続く、重い場合は放置せずに医療機関を受診しましょう。適切な治療で更年期の症状が軽減したり、上手く付き合っていく方法を見出せたりするかもしれません。また、更年期ではなく他の病気の早期発見にもつながります。

【参考】
(※1)女性の健康クリニック 小山嵩夫クリニック「更年期症状指数票」

(※2)オムロン「簡略更年期指数」

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