W CLINIC総院長 足立 真由美先生にインタビュー。「W CLINIC」は、外見だけでなく、心身のバランスを総合的に診るホリスティック医療で女性の持つ悩みを多方面からサポート。最新の美容技術に加え、東洋医学・婦人科・皮膚科・形成外科といった多角的なアプローチで、女性の本質的な美を提供しています。今回は総院長の足立先生に、医師として歩まれてきた経歴や今後のビジョン、美容医療業界へ寄せる想いなどをお伺いしました。
INDEX
ドクターズプロフィール
W CLINIC 総院長
足立 真由美(あだち まゆみ)先生
形成外科医・美容外科医・美容皮膚科医として培ってきた経験を活かし、“美は健康な身体から”をコンセプトとした「W CLINIC(ダブルクリニック)」を2014年に設立。その後、女性のライフステージに寄り添う婦人科「W Femina Clinic(ダブルフェミナ クリニック)」や、男性を専門にトータルビューティーを提案する「W Clinic Homme(ダブルクリニックオム)」を開院。また2019年に手掛けたホリスティックカフェを腸活カフェ「W holistic café(ダブルホリスティックカフェ)」として2023年にリニューアルオープンするなど、常に最先端の美を提供し続けている。プライベートでは母としての顔も持つ。
(経歴) 2001年 和歌山県立医科大学卒業、大阪医科大学(現 大阪医科薬科大学)形成外科教室 入局 _大阪医科大学(現 大阪医科薬科大学)大学院医学研究科卒業 医学博士取得 2003年 医療法人東和会 第一東和会病院形成外科勤務 _同院、美容皮膚科・美容外科の設立に携わり、管理責任医師を担当 2010年 某美容クリニック院長に就任 2014年 大阪心斎橋に、今までにない新たなコンセプトの美容クリニック「W CLINIC」を設立 2017年 医療法人涼葵会 理事長に就任 2019年 医療法人涼葵会 W CLINIC 梅田院開院 (資格) 日本医師会認定産業医 日本抗加齢医学会 専門医 (所属学会) 日本皮膚科学会 日本美容皮膚科学会 日本抗加齢医学会 |
美容医療への情熱 ~自身の怪我の経験から始まった美容医療への道~
―――まずは、足立先生が医師を志したきっかけについて教えてください。
医師を志すことになった大きなきっかけは、祖父の他界でした。当時看護師さんと触れ合う機会が多かったことから、看護師になりたいと思っていました。そのことをお世話になっていた小学校の先生にお話ししたところ、医師としての道もあるよと言っていただいたんです。その言葉が私にとっての転機となり、医師の道を選びました。
―――大学をご卒業された後、形成外科を選択されたのはどのような理由からでしょうか。また、そこから美容医療の分野を目指すようになった経緯についても教えてください。
高校生の頃ハンドボール部に所属していたのですが、一年生の頃に前十字靭帯を損傷してしまい、外科手術を受けました。結構大きな手術で膝に傷跡が残ってしまい、ずっとコンプレックスになっていて。それで大学在学中に、形成外科の先生に傷跡の修正手術をしていただいたんです。そのときの経験から、形成外科を目指すようになりました。
けれど、実際に医師となって形成外科の医局に入ってみると、コンプレックスを解消するような診療科ではなく、外傷による多発骨折などミゼラブル*なものの方が多くて。私が目指しているものとは少し違うなと感じていたんです。また、当時医局に素晴らしい教授がいらっしゃったのですがその教授が他界され、技術を学ぶという点でも目標を見失ってしまい、早い段階で美容医療の分野も選択肢として考え始めていました。
そんなイメージを膨らませつつあった頃、大阪医大の直属の先輩に池田欣生(よしお)先生や「東京美容外科」の麻生泰(とおる)先生がいらっしゃって。その先輩たちとの出会いから、形成外科の医局にいながらアルバイトとして美容医療に関わらせてもらうようになりました。それが美容医療へ進むことになった私の原点です。
*ミゼラブル…悲惨な、不幸なという意味。
―――美容医療の分野へと入ったときに、どのような想いやビジョンを持たれていましたか。
美容医療の分野へと入ったのは、形成外科に入って1年ほどしたときのことです。当時お世話になっていた美容クリニックでは、1年経った頃には色々と任せていただけるようになっていました。もちろんその分、たくさん経験を積ませていただいていたのですが、当時の自分の状態で続けていくことに少し不安も感じていて。そのため、その頃から皮膚科の領域を勉強したり、形成外科の病院で勤務させていただいたりと、幅広い知識を身に付けられるように努めていました。
―――独立開業に至ったきっかけや背景について詳しくお聞かせいただけますか。
某クリニックで院長をさせていただいていた経験から、クリニックの立ち上げや運営に対して私でもやっていけるのではないかと自信を持てるようになっていました。そして何より独立を決意したのは、現在当院のマーケティングを担当しているパートナーとの出会いも大きかったですね。
そのパートナーは私の親友で、まつげサロンのスクールを運営しており、ブランディング力にも長けた方です。より良いクリニックにしていくためには、彼のような素晴らしい人材が必要だと思いました。でも雇われている身では自分の思いのままに動くことはできません。そこで開業を決意しました。
また、私の中には美容医療に対して、女性をきれいにしたりコンプレックスを解消したり、制限なく生活をするためのものであってほしいという想いが根底にあります。今でこそ市場が開けてきている美容医療ですが、私が美容医療に入った当時はまだトーニングが普及していませんでしたし、レーザー治療の価格帯も30,000円はするという時代でした。そういった背景もあり、美容医療が多くの方の悩みに寄り添える身近な存在になるよう、価格帯を下げることや、一般の方をターゲットにしてやっていきたいと考えていましたね。私たちの想いに共感して来てくださった方には、最短で健康や美容を叶えてもらえるようなクリニックでありたい、そんな風に思っていました。
―――保険診療から自由診療の美容医療の分野へと入り、ギャップを感じる場面もあったのではないでしょうか。美容クリニック開業後、どのような学びや気づきがありましたか。
保険診療は、マイナスをゼロにするものですが、美容医療はプラスのものをより高いところへと目指すものであり明確なゴールがありません。私たちのクリニックよりも優れた技術を持つ別のクリニックがあれば、お客さんは当然そちらへと流れて行ってしまいます。
競争が激しいこの業界で私たちを選んでいただくためには、新しい技術を習得したり、情報を常に発信し続けたりすることが重要だと改めて実感しました。情報発信や集客の点で言うと、当時はインフルエンサーマーケティングもまだ新しい集客方法の1つで効果的でした。私たちの想いや取り組みを多くの方に知っていただくために、新しい宣伝方法も積極的に活用していましたね。
足立真由美先生の強み ~女性の悩みに寄り添い、本質的な美を追求したい~
―――美容医療の枠を超えて、婦人科を設置したり腸活カフェを手掛けたりと様々な形で女性の美をサポートされています。ホリスティック医療というお考えに至った経緯を教えてください。
開院して感じたのは、女性が持つ肌のお悩みは、メンタル面を含め様々な要因からきているということ。そのため、女性特有の悩みに寄り添う診療科である婦人科を設置し、そこから複合的に治療していくことが重要だと感じました。しかし、一般的な婦人科は病気や妊娠を診る診療科であり、肌や心の不調などについて気軽に相談できるような窓口ではないように思います。美容医療では、見た目の美しさを追求するだけでなく、自身の体の状態を知ることもとても大切なことです。私たちのクリニックでは体の状態を深く知れる場所であるとともに、日々の不調に寄り添い本質的な美を追求できるような新しい女性医療を作りたいと考えました。
また、病気になってサプリメントを服用しても、体の環境や生活習慣が整っていなければ効果を十分に発揮できません。そのような場合は、腸や食事など内側から改善していくことも大切です。日々の診療の中で必要だと感じたものを少しずつ取り入れ、いろいろな業態と紐づけていった結果、今の「W CLINIC」の形態に至りました。
また、幅広い治療を展開する当院の形態は集客面においても1つの戦略になると考え、競争が激化していている美容業界で、独自の路線でオンリーワンを目指して戦っていこうと思いました。
―――展開されている診療内容や施術が本当に幅広く、患者様への訴求力が高いと感じます。そのような視点こそ足立先生の強みだと思うのですが、ご自身ではいかがでしょうか。
私にはこれという長けたスキルや強みはありません。けれど、一緒に走ってくれている仲間たちは、みんな各分野におけるトップランナーばかりです。新たな視点を持つことや、新たなマーケットを獲得して拡大するという点において、他には負けない素晴らしいチーム力があると思っています。
1つのことを研ぎ澄ましていくよりも、積極的にいろいろなものを取り入れてメニューの幅を広げていき、最先端のものをお届けしていく。そんな新しいクリニックの形を今後も変わらず追求していきたいです。
―――「W CLINIC」では現在メンズ美容も展開されています。そのカテゴリーに着手しようと決断されたきっかけや理由について教えてください。
男性美容はこれからまだまだ伸びてくる市場です。他よりも早い段階で取り入れておきたいという想いがありました。実際すでに男性の患者様は当クリニックでも増えてきていますし、需要の高まりを感じています。さらに男性の患者様から、「男性が気軽に通えるクリニックを作ってほしい」というお声をいただいたことも、メンズ専用クリニック立ち上げの大きな後押しとなりました。
―――「W CLINIC」の今後の展開やビジョンについてお聞かせください。
私たちが今後も患者様に継続して受け入れていただけるように、先生方や同志を集めてもっと技術力と商品価値を高めていきたいですね。さらに10年先もこの業界で生き残っていくために、食の文化を取り入れるなどさまざまな新しい取り組みを行い、オンリーワンを研ぎ澄まし続けていきたいと考えています。食の分野に美容医療が参入していけば、もともと食に興味のあった方たちが美容医療にも興味を持ってくれるので、マーケットとしては広くなります。
そこで現在、医療面からの発信だけでなく、食の面から発信をするといった違う切り口でもっとアプローチしていこうと取り組んでいるところです。健康食品やサプリなど食に関するモノやツールを使って情報発信をすることで、私たちの存在や取り組みを知っていただくという流れができればいいですね。
私たちの想いや取り組みを発信し続けていくことが、多くの方たちと繋がるきっかけとなり、強力なパートナーが得られることにも繋がると思っています。これからもたくさんの方たちの助けを借りて、健康を意識した美容クリニックというブランディングを強化していきたいです。
美容医療業界の今後の課題 ~医師の質を保ち業界全体の健全化を図ること~
―――日本の美容医療業界における課題についてどのようにお考えですか。
少しずつ敷居が低くなってきている美容医療業界ですが、その敷居が過度に低くなりすぎると技術のクオリティにバラつきが出たり、利益主義に走ってしまったりするクリニックが出てきてしまいます。敷居を一定の基準で保ちながらも間口を広げていくためには、新たなターゲット層を掴みに行くことも重要です。
また、医師のクオリティを保つために勉強会や情報を発信する活動の場などに積極的に参加していく姿勢を持ち続けることも重要です。私たちの今できることを追求して、積極的に取り組んでいくことが、美容医療が学問的にもより認められることに繋がり、患者様の安心にも繋がる。そして、この業界全体の発展へと繋がっていくのだと思います。
―――最後に美容医療の分野に関心を持っている若手の医師の方に向けてアドバイスやメッセージをお願いします。
美容医療は、さまざまな階層の方をご対応する特殊なサービス業と言えるかもしれません。学生生活から社会人になっていきなり美容医療の分野に入ってしまうと、そのギャップに驚かれる方も少なからずいるのではと思います。
明確なゴールがない美容医療では、患者様が求めていることを察し、寄り添ってご対応する接遇が何よりも大切です。初めから美容の分野へと飛び込むのではなく、まずは医療をベースとして他の診療科で経験を積むというのも選択肢の1つとして視野に入れてみてはいかがでしょうか。