
東京美容医療クリニック 院長/wi clinic 総理事長 高 尚威先生へインタビュー。レーザーメーカーである株式会社K.O.tech(ケーオーテック)代表も務める高先生。コーテックの愛称で親しまれるレーザーメーカーで、使いやすく高品質・安価なレーザー開発への飽くなき挑戦を続けるレーザーキングの熱い想いに迫ります。開発秘話や起業当時の反省点、これからの美容医療業界に届けたいサービスなども率直にお話いただきました。
INDEX
ドクターズプロフィール
東京美容医療クリニック 院長/wi clinic 総理事長/K.O.tech 代表
高 尚威(こう しょうい)先生
奈良県立医科大学卒業後、いくつかのクリニック勤務を経て、2015年から湘南美容外科クリニックにて勤務。2017年に東京美容医療クリニックを開院し、現在は東京美容医療クリニック院長とwi clinic総理事長を務める。2017年には美容医療用レーザー機器の開発を行う浪速エージェント合同会社(現:株式会社K.O.tech)を設立。
(経歴) 2010年 タカナシクリニック 勤務、きぬがさクリニック 勤務 2015年 湘南美容外科クリニック 勤務 2017年 東京美容医療クリニック 開院 2017年 浪速エージェント合同会社(現:株式会社K.O.tech) 設立 2019年 wi clinic 開院 |
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レーザーキング誕生秘話 ~納得できる機械がないなら、自分で作れば良い~
―――医師でありながら、ご自身でレーザー機器を開発しようと思ったきっかけを教えてください。
美容医療の現場で診療する中で、「自分のクリニックで使うためのレーザーを作りたい」と思うようになったことが、レーザー機器の開発を始めたきっかけです。当時の美容医療用のレーザー機器は、高価な割に効果がそれほど良くないという印象を抱いていて。もっと価格を抑えて高品質なレーザー機器が作れるのではないかと感じ、そこに活路を見出しました。
レーザー機器の代理店業をしている知人がいたこともあり、「自分でもできるかもしれない」という感覚が芽生えたのも大きな要因です。工夫次第でもっと良いものが作れるのではないかと考えるようになり、レーザー開発への挑戦に至りました。
―――具体的にどのようなレーザー機器を作りたいという考えはあったのでしょうか?
アジア人の肌質に合ったレーザー機器を作りたいという思いがありました。欧米メーカーが製造するレーザー機器は、必ずしもアジア人の肌質に適しているわけではなく、実際の使用で不向きだと感じることが少なくありませんでした。
これは、例えば医療機器のMRIでも同様で、日本人の体格には不要なほど大きな機器が主流になっているのと似た状況です。欧米メーカーは世界市場向けに製品を作っているため、日本人向けに調整を依頼しても実現は難しい。そうであれば、最初から国内で日本人の肌に合った機器を作るべきだと考え、開発に踏み出しました。
―――レーザー機器の開発を実現していくうえで、大変だったこともあると思うのですが、レーザーメーカーとして成功できた一番の要因は何だとお考えでしょうか?
レーザー機器の開発を実現できた最大のポイントは、優れたエンジニアとの出会いです。人生が変わったと言えるほどの出会いで、品質管理のプロフェッショナルであるエンジニアと仕事をする機会を得られたことは、大きな転機になりました。自分のアイデアを形にしてくれるエンジニアと仕事ができたことで、自分の理想とするレーザー機器の開発を実現できたと感じています。
また、エンジニアと一緒に中国の工場を訪問した際、現地でものづくりの爆発力を感じたことも、レーザー開発の挑戦への後押ししてくれました。現地の開発力や、顧客の声を受けてすぐに改善に取り組むスピード感は、本当に素晴らしいものがあります。
国内レーザーメーカーK.O.techの存在意義 ~すべての開発は、ドクターの声から始まる~
―――K.O.techが医療レーザー機器を開発する際に大切にしていることは何でしょうか?
私たちが医療レーザー機器を開発するうえで最も大切にしているのは、「現場の医師の声を反映させること」です。起業当初は私一人の考えをもとに開発を進めていましたが、黄 聖琥先生や匂坂 正信先生といった臨床の第一線で活躍されている先生方のご意見を伺う中で、K.O.techが進むべき方向に気づかされました。
現場で診療を行う医師とともに技術を進化させていくことこそがK.O.techの使命であり、私たちの技術開発は常に「現場のドクターの声」から始まるべきだと考えています。また、国内メーカーとして日本の医師が求める細やかなニーズを深く理解し、大手メーカーでは実現しにくいスピード感や柔軟な対応も重視しています。
▽黄先生のインタビュー記事はこちら
―――製品を発売した当初のご対応に反省があったとお伺いしています。具体的に教えていただけますか?
創業初期の大きな反省点は、不具合への対応体制が十分ではなかったことです。初期不良の発生自体が多かったわけではありませんが、不具合発生時に迅速かつ適切な対応ができていなかったと、今振り返って痛感しています。
私は機械いじりが好きなので、軽微な故障であれば自分で直してしまうことが多く、その感覚を顧客である医師の方々にも求めてしまっていました。しかしこれは、日本の商習慣や医療機器の安全性から考えると、適切ではありませんでした。精密機械である医療機器には、何よりも安心と安全が求められます。発売当初の経験を通じて、その重要性を再認識することができました。
―――臨床経験豊富な医師の意見に耳を傾けるようになったことや、発売当初の反省から、高先生自身やK.O.techにとってどのような変化があったのでしょうか?
黄先生が理事を務めるカスタマイズ治療研究会に参加するようになったことで、私自身、大きく成長できたと実感しています。カスタマイズ治療研究会は本当に素晴らしい場で、世界トップレベルの臨床知識を学ばせていただき、学んだことは診療や製品づくりにしっかりと反映させています。
例えば、皮膚診断装置のビフォーアフターの画像をもとに、的確なアセスメントを行えるようになりました。また、K.O.techの開発者として、美容機器の使用経験が豊富な先生方から、性能や使用感に対するさらなるご要望を直接伺えることも、とても貴重な機会です。
発売当初の経験があったからこそ、品質・価格・サービスすべてにご満足いただける製品づくりを目指し、メーカーとして一歩ずつ成長を重ねてこられたのだと思います。そして今では、現場の医師に寄り添った製品開発とサービスの提供を、より強く意識するようになりました。黄先生・匂坂先生とともに行っている「KO-LABO」の活動も、こうした私自身の変化の表れだと感じています。
▽KO LABOについてはこちら
K.O.techの技術 ~現場の声×エンジニアの執念が叶える先端技術~
―――ここからは、K.O.techのレーザー機器についてお伺いします。K.O.techの代表製品であるサーマジェンは、どのような経緯で開発に至ったのでしょうか?
サーマジェンの開発は、ある偶然の出会いから始まりました。美容皮膚科の分野で豊富な知見を持つ医師から「サーマクールのようなRF(高周波)機器でアジア人の肌に合うものがあれば良いのに」という声をいただいたことがきっかけ。現場のリアルなニーズに応えたいという思いから、エンジニアとともに試作を重ね、誕生したのがサーマジェンです。
まさに顧客目線から生まれた製品であり、現場の声に耳を傾けた結果として、先端技術がうまく形になった1つの好例だったと思います。
【K.O.tech主要3製品】
ヴィーナス・ワン
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KOレーザー
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サーマジェンEVO
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特徴 | アジア人の肌に特化 蓄熱式と熱破壊式の2つのダイオードレザーを採用した医療脱毛レーザー 5つのモード切替により、オーダーメイド脱毛を提供可能 |
2種類の波長から選び、肌トラブルにアプローチできるQスイッチヤグレーザー シミには3種類の照射パターンから選択可能 |
RF高周波治療機器 チップサイズは3種類 2種類の周波数を使い分け、皮膚の浅い層から深い層までアプローチ可能 グローブタイプもあり ※シリーズには、ニードルRF(サーマニードルEVO)もあり |
期待される効果 | ・2種類のレーザーにより、毛の発育を根本的に抑制 ・1回の照射でより多くの毛の抑制効果大 ・産毛から青ひげまで脱毛効果あり ・男性のひげは専用のアタッチメントあり |
・シミや毛穴、ニキビ跡、くすみ、ハリ改善などに効果あり ・モード選択により、顔全体のくすみやシミをやさしくトーンアップや、肌の刺激を抑えハリと弾力を再生させる効果あり ・痛みやダウンタイムを抑えられる |
・肌やフェイスラインの引き締め ・リフトアップ効果 ・シワ、毛穴開き、たるみの改善に効果あり ・グローブタイプでは、指先から繊細かつエステティック要素も交えた高周波照射が可能(2025年5月から順次発売予定) |
―――新しくサーマハンドが発売予定ですが、開発背景や特徴をお教えいただけますか?
サーマハンドの開発の背景には、サーマクールの特許切れがあります。具体的には、6.78MHzという周波数帯での治療技術に関する特許が切れたことで、同じ周波数を使った後発機器が次々と市場に出回るようになったんです。
そうした状況の中で、他社と同じ土俵で消耗戦をするのではなく、差別化できる製品を作ろうと考えました。その折に、ある看護師の方から「ボルニューマのハンドピースは関節のように動いて肌にフィットするのが使いやすい」と伺い、それが大きなヒントになりました。それなら、いっそのこと手そのものを使ったほうが良いのでは?という発想が生まれ、手袋型の高周波治療機器であるサーマハンドの開発へとつながっていきました。
―――サーマハンドの開発でも周りの方の意見に耳を傾けたことが功を奏したわけですね。サーマハンドの発案から製造までの道のりは順調でしたか?
実は、製品の完成までにはかなり苦労しました。完成の1ヶ月前になっても、出力が本来の半分ほどしか出せず、開発チームで何度も試行錯誤を重ねていました。どうにも打開策が見つからない中、偶然にもパワー出力が十分なサンプル機が1台だけ完成したんです。
そのサンプル機と他の機器との違いを突き止めるため、エンジニアたちと徹底的に比較・検証を行いました。結果として、高出力の理由となる構造上の違いを発見することができ、量産化への道が開けました。偶然の産物ではありましたが、それを見逃さずに原因を突き止めたエンジニアには本当に感謝しています。
―――K.O.techはエンジニアとの連携が強いとの印象を受けるのですが、開発を支える組織体制にこだわっている点はありますか?
ものづくりにおいて、ひとりの優秀なエンジニアの存在は非常に大きな意味を持ちます。とくに医療機器のように高い精度と安全性が求められる製品では、品質管理がとても重要!品質管理のプロフェッショナルが在籍していることこそが、K.O.techを支える大きな柱だと考えています。
例えば、スマートフォンを製造する際にネジが1本足りなかったとして、代わりに2ミリ長いネジを使った場合、外観上はわずかなズレで済むかもしれません。しかし、品質管理という観点では、このわずかなズレすら許されるべきではありません。
「ネジ1本もごまかさない」その姿勢を組織全体に徹底し、妥協を許さない文化を作ることが大切だと考えています。技術力だけでなく、倫理観と責任感を持ったチームこそが、K.O.techの最大の強みです。
レーザー治療のこれからの発展 ~情報をオープンにし、美容医療に貢献する~
―――今後力を入れたいサービスやビジョンについて教えてください。
デジタル化が進む中、私たちも情報提供の手段としてデジタルを積極的に活用していきたいと構想中です。すでに公式LINEを通じたデモ体験予約や最新情報の発信、ウェビナー動画の配信などを行っています。今後はさらにコンテンツを充実させ、「ここを見ればすべてが分かる」と思っていただけるような情報提供を目指しています。
例えば、サーマニードルの肝斑モードについて知りたいとき、ワンクリックでレーザーの原理や関連する勉強会動画などにアクセスできるような仕組みが理想です。もちろん、こうした情報をデジタルで網羅すると、対面での営業機会が減り、営業面での不利も生じるかもしれません。しかし、医師や医療機関の利便性を最優先に考えれば、デジタルでの情報発信の充実は不可欠です。レーザー治療の質が向上することは、結果として患者さまの満足度にもつながると考えています。
K.O.techが目指すのは、医師の「右腕」となれるような存在です。レーザー機器を実際に扱う方々にとって本当に役立つサービスをこれからも積極的に提供し、医師とともに成長できるメーカーでありたい。そして、時代の流れに寄り添いながら、美容医療業界の発展に貢献していきたいと考えています。
―――国外でも珍しいレーザー機器を開発されていますが、今後はグローバル展開も視野に入れているのでしょうか?
当社の中国工場では、品質に満足できるレーザー機器を安定的に製造できる体制を整えています。今後、世界市場への展開を視野に入れるにあたり、FDA認証の取得は欠かせないステップです。
FDA認証に必要な検査やデータの蓄積を進めることで、他国での認証取得も円滑に進められるようになるでしょう。検査体制を整え、しっかりとしたデータを蓄積したうえで、日本発のレーザー機器を世界に届けることに挑戦していきたい<と考えています。
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