女性医療クリニックLUNA 理事長 関口 由紀先生にインタビュー|フェムゾーンの健康をサポートし元気な中高年女子を増やしたい!

女性医療クリニックLUNA 理事長 関口 由紀先生にインタビュー|フェムゾーンの健康をサポートし元気な中高年女子を増やしたい!

女性医療クリニックLUNA 関口 由紀先生にインタビュー。日本では数少ない女性泌尿器科をベースに、幅広い観点で女性医療を追及し、女性の悩みを総合的にサポートする同院理事長の関口先生。SNSやテレビなどのメディアでも、女性のライフステージに寄り添った情報を多数発信していらっしゃいます。そんな関口先生に、泌尿器科を選択した理由や開業までの道のり、女性医療の課題や今後の取り組みまで、詳しくお話を伺いました。

ドクターズプロフィール

フェムゾーンの健康をサポートし元気な中高年女子を増やしたい!「女性医療クリニックLUNA」理事長 関口 由紀先生にインタビュー

女性医療クリニックLUNA (ルナ)理事長
関口 由紀先生(せきぐち ゆき)先生

泌尿器専門医としてさまざまな病院で勤務医を務めたのち、神奈川県横浜市元町に「女性医療クリニックLUNA」を開院。現在は「女性医療クリニックLUNAグループ」の理事長を務める。『90歳まで、人生の現役を目指しましょう。』をキャッチフレーズに、西洋医学、東洋医学と広い観点で女性医療を追求。日本フェムテック協会の代表理事を務め、著書も多数。テレビや雑誌、SNSなどで、女性のライフステージに寄り添った情報を発信している。

(経歴)
1989年 山形大学医学部卒業、横浜市立市民病院 入職
1991年 横浜市立大学医学部泌尿器科 助手
2003年 横浜市立大学医学部泌尿器科 女性泌尿器外来担当
2005年 横浜元町女性医療クリニックLUNA 開設
2007年 医療法人LEADING GIRLS理事長就任、横浜市立大学大学院医学部泌尿器病態学修了 客員准教授
2009年 日本大学グローバル・ビジネス研究科 修了、経営学修士(MBA)取得
2012年 LUNA骨盤底トータルサポートクリニック 院長就任
2013年 横浜市立大学大学院医学部 泌尿器病態学客員教授
2017年 LUNA骨盤底トータルサポートクリニック院長退任、女性医療クリニックLUNAグループ理事長就任
2021年 日本フェムテック協会代表理事就任、フェムゾーンラボ(株)社長就任
2022年 日本女性財団理事就任
(資格)
日本泌尿器科学会認定専門医・指導医
日本東洋医学会認定漢方専門医・指導医
日本性機能学会認定専門医
日本排尿機能学会認定専門医
日本女性骨盤底学会認定専門医
医学博士
経営学修士
(所属学会)
日本泌尿器科学会
日本排尿機能学会
日本性機能学会
日本女性骨盤底医学会
日本東洋医学会

医師としての背景 ~通例を避けマイナーな泌尿器科の道へ~

―――まず初めに、医師になり泌尿器科を専門に選んだ理由を教えてください。

手に職をつけたくて、小さい頃から医師になりたかったんです。医学部を卒業したあとは、「横浜市立大学医学部泌尿器科」の医局を選びました。当時は『女医は内科や産婦人科、皮膚科に行くもの』という通例がありましたが、その流れに乗るのは嫌だったんです。

泌尿器科を選択したのは、体力面も精神面も強くないので、メジャーな分野よりもマイナーな分野の方が良いと思ったから。泌尿器科は専門科の中でも選ぶ医師が少なく、ましてや女医の泌尿器科医はさらにマイナーでした。メジャーよりもマイナーを選ぶというのは、私の人生の姿勢でもあります。そこから10年間、勤務医としてのスキルを学びました。

女性医療への情熱 ~女性泌尿器科を女性医療の1つに~

フェムゾーンの健康をサポートし元気な中高年女子を増やしたい!「女性医療クリニックLUNA」理事長 関口 由紀先生にインタビュー

―――関口先生は女性泌尿器科を専門にされましたが、どういった経緯があったのでしょうか?

泌尿器科のキャリアを築くのと合わせて、いろいろな分野の先生と交流していく中で女性医療に興味を持つようになりました。女性医療という分野の中には、当時婦人科と乳腺科、内科しかなかったんです。アメリカではすでに女性泌尿器科は婦人科と分離しており、女性医療の中に女性泌尿器科を加える必要性を感じました。日本ではまだ女性泌尿器科は存在していなかったのですが、他にやっている方もいないし、女性泌尿器科が女性医療の1つの位置づけとなるよう目指すのも良いなと女性泌尿器科を専門にすることを決めました。

―――その想いが関口先生の開院された「女性医療クリニックLUNA」につながったのですね。先生が独立してクリニックを開業された経緯を教えてください。

泌尿器科医としてのキャリアと女性医療の知識を提供できるクリニックで働く道を模索しているときに、友人の内科医に「開業するから附属する女性クリニックのマネージャーをやらないか」と打診を受けたんです。まさにやりたい形だと二つ返事で承諾して準備を進めていたのですが、女性医療についての考え方の違いが明らかになり、折り合えず破談になってしまいました。

その段階ですでに他の先生方に声をかけていたので、内科、婦人科の先生と泌尿器科の私とで女性医療クリニックをグループ開業することに。そこから分院したり細分化したりして横浜元町の駅近くのビルで、2階に「女性医療クリニックLUNAネクストステージ」、3階に「女性医療クリニックLUNA横浜元町」という形で落ち着きました。

―――「女性医療クリニックLUNA」について教えてください。

フェムゾーンの健康をサポートし元気な中高年女子を増やしたい!「女性医療クリニックLUNA」理事長 関口 由紀先生にインタビュー

「女性医療クリニックLUNA」では、泌尿器科の専門をベースに、女性の悩みを総合的にサポートしています。2階フロアの「女性医療クリニックLUNA横浜元町」は更年期以前の女性をターゲットに、婦人科と乳腺外科に対応するクリニック。3階フロアの「女性医療クリニックLUNAネクストステージ」は、更年期以降の女性をターゲットに、女性泌尿器科・女性内科・皮膚科・美容皮膚科・形成外科 に対応しています。

加えて、理学療法士による骨盤底リハビリテーションやアートメイクを行うメディカルビューティーラボ、運動できるヘルススタジオがあり、元気な中高年女子を増やすサポートをしているのが特徴です。女性は閉経前後で注意すべき健康問題が大きく変わるため、2つのクリニックに分けました。

―――「女性医療クリニックLUNA」は、総合的なフェムゾーンの美容医療を提供していると伺いました。

そうなんです、2000年くらいからレーザー治療が顔だけでなくフェムゾーンにも用いられるようになったのです。自慢なんですが、日本で最初の経腟的なエネルギー照射手術の治験をして、論文*を出だしたのは当院なんです。その後、美容外科のほうがプロモーション力があるので、美容外科中心にフェムゾーン美容医療の流行が起こっています。しかしフェムゾーンの手術でトラブルがあった場合は、外からはもちろん内側も診られる婦人科医と泌尿器科医の方が強いのです。現在がんばって「女性医療クリニックLUNA」で、安全で総合的なフェムゾーンの美容医療ができるとマーケティングしているところです。

*J Womens Health (Larchmt). 2013 Sep;22(9):775-81. doi: 10.1089/jwh.2012.4123. Epub 2013 Aug 16.

―――「女性医療クリニックLUNA」の今後の展望を教えてください。

乳腺も同時に診られる婦人科は他にもあり、競争が厳しくなってきたので、「女性医療クリニックLUNA横浜元町」は今オールジェンダークリニックに改革しようと思っているところです。現在ホルモンを補充する方の割合が増えてきていて。男性性のある男性は歳を取ると男性ホルモンを、女性性のある方は女性ホルモンを補充しますし、トランスジェンダーの方も然りです。性ホルモンを補充するメリットは多いのですが、デメリットもある。そのデメリットをきちんと管理したり、トラブルに対処したりするクリニックにしようと計画しています。

―――オールジェンダークリニック!クリニックとして今後力を入れていきたいのはどのようなことですか?

今後力を入れていきたいのは、フェムゾーンのジェルやソープの販売や、骨盤底トレーニングの指導、ホルモン補充のオンライン診療です。私は50歳以上の女性には、局所の女性ホルモンと全身の少量の男性ホルモンの補充が一番良いと思っていて。まずはオンライン診療で試してもらって、それで効果が感じられないようなら来院してもらってレーザー治療等を検討するなど、段階的なシステムにしようかなと検討しています。

女性医療の課題と使命 ~女性が理想の人生を送れるようサポート~

フェムゾーンの健康をサポートし元気な中高年女子を増やしたい!「女性医療クリニックLUNA」理事長 関口 由紀先生にインタビュー

―――女性医療にはどんな課題があると考えていますか?

緩和されてはきていますが、日本の社会にはまだまだ根強いジェンダーギャップがあります。例えば、妊娠していたり赤ちゃんを育てたりしている女性は、自分のためにお金を使ってはいけないという潜在的な共通意識がある。自分のことは後回しにするのが当たり前になっていて、自分の健康は自分で守るというヘルスリテラシーが他の国よりも弱いんです。

でも、健康を後回しにするから長生きしないのかというとそうではなくて。閉経してホルモンバランスが変わると、元気になる方が多いんです。しかし、ただ長生きするだけが良いというわけではありません。90~95歳まで長生きする方は多いけど、最後の10年くらい寝たきりになったり体が痛かったりと、世界一長生きする日本人女性の健康寿命は、他の先進国に比べて短いんです。95歳ぐらいまで自分のことは自分でできて、1ヶ月に1回くらいパートナーとデートするという生活を送りながら、最後は1~2週間でポックリ死ぬのが理想的。日本人女性の多くが理想の人生を送れるよう、サポートしていきたいと思っています。

―――これから関口先生が注力していきたいことを教えてください。

これからは、ポスト更年期の女性の健康問題(生活習慣病や骨粗鬆症、骨盤底障害等)の治療を深め広げるとともに、閉経関連尿路性器症候群(GSM)と女性の男性ホルモン補充、ジェンダー医療に自分の能力を使おうと思っています。まだノウハウが蓄積されていない分野を深掘りして、システム化したいですね。

GSMが起こる理由は、女性ホルモンの減少によるもの。日本人女性にGSMが多いのは、閉経すると性生活も終わりという感じになる方が多いのも1つの要因です。しかし、更年期以降も性生活を大事にしている女性の方が、人生が豊かになると思う。その少数派を少しでも増やしていく努力をしたいなと思っています。だって、何歳になってもパートナーがいてときどきデートしてドキドキする方が楽しいじゃないですか。もちろん性生活が嫌という方は無理にする必要はありませんが、楽しみたいけど諸事情でできないという方にはいろんな方向からサポートできるかなと思っています。

フェムテックについての情報発信にも力を入れています。フェムテックの意味は、なかなか理解しにくいところもあります。フェムゾーン(腟と外陰)の健康を守ることだけではなく、女性が適切な健康情報を得て前向きに自分自身で生き方を選ぶ、その女性たち達を会社や社会がサポートするという広い意味があります。そういう情報を繰り返し発信して目に触れる機会を提供できるよう、院内LINEとインスタとX(旧Twitter)とフェイスブックに毎日投稿するよう自分に課しています。さらに“フェムゾーンラボ”や、“女性のキレイリズム”などのインターネットサイトにも毎週投稿しています。ライフスタイルにはいろんなタイミングがあって、普段は何も思わなくても必要なタイミングで情報が目に留まって、ある日気づくことがある。私の発信する情報が誰かの気づきになれば良いですね。

―――精力的に活動されている関口先生ですが、その原動力はどこからきているのですか?

私はアイデアも行動力もあると思うのですが、先ほども言った通り体力面も精神面も弱いので、軽い目標がないと動けないタイプなんです。さらに仲間にサポートしてもらえないと、なにも一人ではできないという強い自覚もあります。私はこの社会が作った標準的な人間だと思っていて、私が困ったり辛かったりすることはきっと日本の女性が困っていることだろうという妙な自覚があるんです。だから、ポスト更年期の楽しい人生を深掘りして自分にとって身近な問題を解決することは、女性にとっても日本の社会においても良いはずだと信じて、自分にできることはやりたいと思っています。

読者の方にメッセージ ~将来性の高い泌尿器科で元気な中高年をサポート~

フェムゾーンの健康をサポートし元気な中高年女子を増やしたい!「女性医療クリニックLUNA」理事長 関口 由紀先生にインタビュー

まずは患者様に向けて。私は更年期以降のフェムゾーンの健康と全身の健康を維持して、元気な中高年女子を増やしたいと思っています。自分が楽しいことを最優先するような人生を送ってほしいというのが私の願い。そのためには何よりも健康が大事です。体調が悪い時は何かしらの原因があるので、その原因を考える習慣をつけると良いですね。女性の健康を守れるようサポートをするので、何かあればぜひ相談に来てください。

若手医師に向けては、泌尿器科の将来性はすごくあることをお伝えしたいです。女性の半分は50歳以上で、50歳以上の女性の半分はフェムゾーントラブルを抱えている。患者様の母数は多いうえに、男女とも自分の行く道に関わる医療でもあります。泌尿器科が気になる方、ぜひお待ちしております。

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