天神竹井皮膚科美容皮膚科 看護師長 千手 有希さんへインタビュー。千手 有希さんは、カスタマイズ治療を提供する「天神竹井皮膚科美容皮膚科」で看護師長として活躍されています。昨今、美容ナースへの注目度が高まっている中、インスタでは「美容看護師ゆきち」として幅広い年齢層から支持を受ける存在でもある千手さん。今回は、千手さんがこれまで歩まれてきたキャリアや、カスタマイズ治療に関わる看護師として大切にされていることなどを伺いました。
INDEX
プロフィール
天神竹井皮膚科美容皮膚科 看護師長
千手 有希(せんじゅ ゆき)さん
大学卒業後、当時としては珍しかった新卒で美容看護師になる道を選択。美容外科クリニックで研鑽を積む中で皮膚科に興味を持ち、カスタマイズ治療の考え方に感銘を受ける。現在は、福岡県にある「天神竹井皮膚科美容皮膚科」で看護師長として第一線で勤務するかたわら、「美容看護師ゆきち」としてインスタグラムでも積極的に情報を発信。フォロワー数は6,000人を超える(2024年12月時点)。
(経歴) 2008年 大学卒業後、都内の美容外科 入職 2011年 地元・福岡の皮膚科・美容皮膚科 入職 2019年 天神竹井皮膚科美容皮膚科 入職 |
▷天神竹井皮膚科美容皮膚科公式HPはこちら
▷千手 有希さん公式インスタグラム(@yukichi1219)はこちら
美容医療への情熱 ~異例の道を選んだキャリアパス~
―――千手さんは大学を卒業後、新卒で美容看護師になるという当時としては珍しいキャリアをお持ちですが、どういった理由で美容の世界に進まれたのでしょうか。
美容の道に進むきっかけとなったのは、失恋でした。それまで美容の道に進むことは考えていなかったのですが、失恋を機に美容についてすごく考えるようになって。美容は女性にとって一生付き合っていくもので、年齢によって美容への取り組み方は違ってもすごく大事な要素であることに気づいたんです。また自身が美容皮膚科に行ったときに、看護師さんがすごく親身になってくださって。“私もこんな風に幅広い世代の患者さんに手を差し伸べられる人になりたい”という強い想いが、当時としては珍しい新卒で美容看護師になるという道を選ぶ動機になりました。
―――新卒で美容看護師になることに対する周囲の反応はいかがでしたか?
あまり良く思われないことが多く、大学の進路担当の先生にも止められましたね。でも、それを振り切ってでも美容に進みたいという強い想いがあったので、そのまま突き進みました。
入職後は、注射や点滴といった医療行為自体が初めてだったので、一から習得していく過程で先輩方にはすごく迷惑をかけたと思います。初めて入職したのは美容外科クリニックだったので、全身管理についての勉強もすごく頑張りました。
―――美容の世界では、医療行為の技術もさることながら、患者さまに対する接客の要素も重要です。この点はいかがでしたか?
私は新卒で美容の世界に入ったので、当初より接客の要素の重要性を体感していました。なので、接客で特段戸惑うことは少なかったと思います。キャリアを積んだ今の立場からすると、病棟での勤務経験が長い看護師が美容の世界に転向したときの方が、接客の要素に戸惑われている印象が大きいですね。病棟で求められることと美容の世界で求められることは、かなり違うのだと思います。
知識や技術が求められるのはもちろんですが、美容看護師に最も求められているのは心のケアではないでしょうか。私自身も失恋がきっかけで美容クリニックに行きましたし、きれいになりたい何らかのきっかけがあって美容クリニックに来られる患者さまが多くいらっしゃいます。施術の最初から最後までずっと関わるのは看護師なので、患者さまとの会話の中でどんな想いでクリニックに来てくださったのかをくみ取ることが大事だと思いますね。
美容医療の中には、施術後に副作用やダウンタイムが出るものもあります。施術前にそういった可能性をきちんと説明して、患者さまの不安を取り除くのも看護師の重要な役割です。患者さまとのコミュニケーションの中で、その方のキャラクターに合わせた方法で不安要素を取り除いていくのは大事なスキルだと思います。
―――美容看護の魅力はどんなところだと思われますか?
医療の技術的なスキルに加えて、接客やコミュニケーションスキルなど多くの要素が求められる分、やりがいが感じられるところです。
患者さまとのコミュニケーションを重ねていくうちに信頼関係が築けて、施術に満足して笑顔になってくださったときは本当にホッとしますし、すごくうれしい瞬間ですね。
カスタマイズ治療との出会い ~チームが一丸となって高め合う~
―――「天神竹井皮膚科美容皮膚科」では、チーム医療によるカスタマイズ治療*を提供されています。美容皮膚科のカスタマイズ治療に出会ったきっかけは何だったのでしょうか?
美容皮膚科に入職する前に美容外科で皮膚の施術をしていたとき、“皮膚科の知識をもっと掘り下げたら面白そうだ”と興味が湧いてきたんです。それで美容皮膚科に転職して、後に「天神竹井皮膚科美容皮膚科」の院長となる竹井 賢二郎先生と出会いました。
2018年に美容皮膚科学会で、カスタマイズ治療の第一人者である「KO CLINIC & Lab」院長の黄 聖琥(こう せいこ)先生のお話を初めて聞いて、目から鱗が落ちるような感覚を経験しました。それまでは、例えばレーザートーニングや内服など“この症状にはこの治療法”という決まりきった考え方しかありませんでした。でも黄先生のお話を聞いて、皮膚層は全部つながっていて、私の頭の中にあったアプローチ法とは全然違う考え方があることに驚きましたね。
その後も多くの医師のお話を聞かせていただきながらカスタマイズ治療の知見を深め、「天神竹井皮膚科美容皮膚科」の開業メンバーとして勤務し始めました。竹井先生はしっかりとしたエビデンスに基づいた医療を大事にされているので、私も何か新しい医療を取り入れようと提案するときにはエビデンスがしっかりしているかを意識するようにしています。
*カスタマイズ治療…美容皮膚科の自由治療で、画像診断装置による診断をもとに一人ひとりに合った治療機器や施術を選択する治療法。
―――チーム医療でカスタマイズ治療を提供する中で、看護師の役割についてどうお考えですか?
チーム医療では医師や看護師だけでなく、カウンセラーや受付担当に至るまでそれぞれに役割があり、どれも欠けてはならない要素です。その中で看護師は患者さまと密に関わりつつ、医師と患者さまのパイプ役となる重要な役職だと思います。
医師からの指示と診断を看護師が正確に理解して施術できるかどうかが、治療のキーポイントとなります。美容皮膚科の治療では多種多様なデバイス(治療機器)を使うので、それぞれのデバイスの特徴を理解していなければなりません。デバイスに対して皮膚がどのように反応するかは患者さまによって異なるので、経験値も必要です。医師と同じ目線で画像を理解するスキルと、患者さまと同じ目線に立って説明できるスキルの両方も不可欠です。
当院では医師主催の勉強会が定期的に行われており知識が深めやすく、疑問点はすぐ医師に質問してチームで共有できる環境が整っています。自分の興味がある分野の知識を深めていけるのは楽しいですし、患者さまの肌に自分の手で施術する責任がある以上、もっと知識やスキルを磨いていきたいと思っています。
美容皮膚科の患者さまの中には、肌をきれいにしたいという想いから強めの施術をご希望される方も少なくありません。でも、肌をきれいにするためには攻め施術よりも守りの施術が必要な場合もあります。患者さまの想いと実際に必要な治療がかけ離れていると、患者さまに素直に伝えるのはすごく大変ですが、面白くやりがいがある部分だと思いますね。
患者さまに何かをお伝えするときは、なるべく否定的な言葉を使わないようにしています。患者さまの想いをきちんと受け止めた上で、「こちらの方がいいですよ」とプラスの言葉をかけることが多いですね。
―――チームが一丸となるために、どんな工夫をされていますか?
チームのメンバーが役職関係なく何でも話せるように、コミュニケーションをすごく大事にしています。会話の中でもチームのメンバーにクスッと笑ってもらえるよう、全然関係のない話をすることもよくしていますね。何かあっても、声をかけてもらいやすい関係を構築できるよう意識しています。
看護師の育成では、毎回施術の画像を撮ったり施術後にフィードバックを行ったりしながら、徐々に補助輪を外していくようなイメージで育成しています。メンバーが少しずつでもスキルアップしていければ、チームはもっと良くなりますから。
美容看護師業界の今後の動向と期待 ~美容看護師の本当の姿を知ってもらいたい~
―――千手さんが感じられる、看護師業界の課題と今後に期待することをお聞かせください。
美容看護師はキラキラした世界だというイメージでこの世界に入ってくる方がいますが、これは現実とギャップがある認識だと思います。
私は東京と福岡のクリニックで勤務した経験がありますが、東京の美容看護師は仕事をきちんと医療として捉えている人が多いと感じます。一方で、地方では美容看護の仕事をキラキラしていると勘違いした認識でとらえている方が多い印象です。美容看護も医療に携わる者として真面目に取り組んでいることを、もっと知っていただきたいですね。
今後は、講演会などで美容看護師がどのような看護を展開しているのかをきちんと伝えていきたいと思っています。最近ではいろんな看護師がいますが、やはり看護師は医師の指示をきちんと守り、職域を超えるようなことがあってはなりません。美容を通じて、看護の本質についても伝えていきたいです。そのためには、美容看護師という職業がきちんと定義される必要があると思います。
講習会をする美容看護師も増えてきていますが、一方で医師の中には「承認が下りていない機器について講習するのは良くないのではないか」という意見もあります。きちんとしたルールを作って、美容看護師が胸を張って講演や講習をできる環境が整ってほしいですね。そのための取り組みの一端として、黄先生が代表理事を努めるカスタマイズ治療研究会の看護師会運営メンバーとしても活動しています。これから美容医療を学ぶ看護師や、一緒にこの業界を盛り上げてくださる看護師たちの新たな学びの場を作っていきたいと思っています。
美容医療の世界は素晴らしい分野だと私は思っていますが、今の看護学校の教科書には美容医療のことがまったく載っていません。看護学校でもしっかり取り上げられるところまで美容医療を盛り上げていきたいというのが私の理想です。
読者や患者さまへ向けて伝えたいメッセージ ~怖がらず最初の一歩を~
―――美容医療に興味はあるけど、実際には踏み出せない読者も多いと思います。読者に向けてメッセージをお願いします。
私も実際に患者さまから「クリニックに来るのが怖かった」「勇気が必要だった」という言葉をいただくこともあります。怖がらないでいただきたいということを一番伝えたいですね。お話をしてどんな状態か見させていただくだけでも良いですし、無理におすすめするようなことはしないので、まずはカウンセリングだけでもお越しください。
―――若手の看護師に向けてアドバイスをお願いいたします。
美容看護師は、美容であっても医療なので泥臭い一面がたくさんあります。医療として患者さまに看護を提供するという意識で、一緒に頑張ってほしいなと思います。
この記事を読んだあなたにおすすめの関連記事
【治療の内容】
ピコトーニング
【治療期間および回数の目安】
月に1回程度まで
【費用相場】
1回 約¥11,000~ ¥22,000
※部位によって異なります。
【リスク・副作用等】
乾燥、ニキビ、ごくまれに色素脱失など
【未承認機器・医薬品に関する注意事項について】
・本治療には、国内未承認医薬品または薬事承認された使用目的とは異なる治療が含まれます。
・治療に用いる医薬品および医療機器は、クリニック医師の判断のもと、個人輸入手続きが行われています。個人輸入における注意すべき医薬品等に関する情報は、下記をご参考ください。
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/purchase/index.html
・薬事承認を取得した製品を除き、同一成分や性能を有する他の国内承認医薬品および医療機器はありません。
・諸外国における安全性等に係る情報
-重大なリスク・副作用などが明らかになっていない可能性があります。
・万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。