何が起こったのか?大手ミュゼの社長が突如解任
2025年2月10日、国内最大手の脱毛サロン「ミュゼプラチナム」の運営会社MPHに激震が走った。
ある日突然、前社長・三原孔明氏が解任されたのだ。
「株主総会が開かれ、全取締役が解任された」
そんな書面が突如送られ、ミュゼの新しい代表取締役には阿部博氏が就任。
しかし、三原氏はこの事実を事前に知らされておらず、本社に駆けつけたが入室すら許されなかった。
三原氏は「クーデターだ」と主張し、会社の金庫を持ち出そうとしたが、最終的には警察が出動する騒動に発展。
この出来事が明るみに出たことで、改めて「ミュゼの経営の不透明さ」がクローズアップされることとなった。

NERO独自視点
なぜミュゼの経営交代は繰り返されるのか?
1. 大手でも経営は不安定?投資ファンドの関与が続く理由
ミュゼはこれまでも株主交代が続いている。
2015年以降、RVHや船井電機、高野友梨氏の企業、KOC・JAPAN、グローバルブリッジファンドなどが経営に関与してきた。
特に2024年に運営がMPHに移管され、筆頭株主となったのはグローバルブリッジファンドだったが、今回はその株式を「トラスト」という企業が取得し、経営の主導権を握った。
頻繁にオーナーが入れ替わるということは、経営が安定していない証拠でもある。
脱毛業界は市場が成長し続けているものの、競争も激化している。
投資ファンドのような外部資本が絡むことで、企業の成長よりも短期的な利益確保が優先され、経営方針が安定しないケースは珍しくない。
「なぜミュゼは何度も経営交代を繰り返すのか?」
これは、業界全体の構造的な問題と密接に関係している。
2. 美容業界は「事業売却前提」で経営される時代へ?
ここ数年、美容業界では「事業を育てる経営」よりも「投資目的の運営」が増えている。
脱毛サロンや美容クリニックが次々と買収されていく背景には、
✔ 美容業界の成長市場としての魅力
✔ M&A(企業買収)が利益を生みやすい環境
✔ 短期的にブランド価値を高めて売却するビジネスモデル
こうした「売却前提の経営」が主流になりつつある。
特に脱毛業界は、
- 高額な前払いプランがあるため「キャッシュが回る」
- 店舗数が多いほど企業価値を高めやすい
- 集客力が強ければ、投資家にとって魅力的
という点から、ファンドや投資家が目をつけやすい市場になっている。
だが、その結果、経営の方針が短期間で変わり、従業員や顧客が振り回されるという事態が続いている。

3. 影響を受けるのは「従業員と顧客」
経営の迷走が最も影響を与えるのは、従業員と顧客だ。
現在、ミュゼには全国約3000人以上の従業員が働いているが、
「会社が今後どうなるのか」という不安を抱えるスタッフも多いだろう。
また、顧客の視点で考えれば、
- 契約は今後もちゃんと継続されるのか?
- 施術の品質に影響はないのか?
- 店舗の閉鎖などはないのか?
といった疑問が出てくるのは当然だ。
投資ファンド主導の経営は、「短期的な利益確保」が目的になることが多く、サービスの質が維持される保証はない。
また、経営が不安定な企業では、突然の契約変更や施術中止といったリスクもある。
ミュゼは業界最大手としてブランド力があるものの、
「経営の安定性とサービスの持続性が保証されるかどうか」は、今後の動向を見極める必要がある。
まとめ
美容業界の“成長”と“リスク”が共存する時代へ
✔ ミュゼの経営交代劇は、美容業界の「投資ビジネス化」を象徴している
✔ 投資ファンド主導の経営では、短期的な利益が優先される傾向があり、経営の安定性が課題
✔ 美容業界は成長市場である一方で、サービスの安定性が損なわれるリスクも増している
美容業界は「成長」と「リスク」が隣り合わせの市場になってきている。
事業拡大が加速する一方で、「この会社は本当に信頼できるのか?」という視点が、顧客や従業員にとってより重要になってくるだろう。
ミュゼの行く末は、美容業界全体の未来を占う試金石となるかもしれない。