■【JISAMとは何か?】
JISAM(日本美容医療総合学会)は、2025年1月に正式に設立された、美容医療に関わるあらゆる立場の人々──先生、看護師、受付スタッフ、エステティシャン、関連業者、そしてメディア関係者までを包括する、日本で初めての“全方位型”の総合学会である。
その前身となるのが、2007年に日本形成外科学会(JSAPS)内にてスタートしたMSCS(Medical Skin Care Specialist)。17年にわたって延べ31回の講習会を開催し、現場の基盤を支えてきた学習プラットフォームだ。
JISAMはこのMSCSの精神を継承しつつ、「すべての人が安心して美容医療を受けられる社会」を目指す組織としてアップデートされた。
JISAM理事長・大久保正智先生が登壇し、設立の理念を語る冒頭の挨拶では、17年に及ぶMSCSの歩みと、JISAM設立に込めた想いを力強く表明。科学的根拠に基づく美容医療の普及と、多職種による共創の必要性を改めて強調した。(写真/NERO編集部)

JISAM理事・白壁征夫先生が祝辞を述べる
長年にわたり美容医療の安全性と教育に尽力してきた白壁先生は、「すべての職種が学び合える場の必要性」を強調。学会設立を“業界の転換点”と位置づける力強いメッセージに、会場の多くが深く頷いた。(写真/NERO編集部)
■【現地潜入】JISAM設立パーティーの“熱”
2025年5月17日、都内で行われた設立記念パーティーにNERO編集部が潜入取材。
会場には日本の美容医療を牽引する先生たちと、関係者が多く集い、JISAMの理念と今後の活動方針が共有された。
パーティー冒頭、スクリーンに映し出されたスライドには以下のような強いメッセージが並んだ:
- 「美容医療は、科学的根拠と正しい知識に基づくべきである」
- 「誰もが責任ある行為者であることを自覚せよ」
- 「現場の信頼回復には、現場の人材育成こそ不可欠」
加えて、美容医療に蔓延する情報の玉石混交や、広告・施術・人材教育における倫理的課題が言及され、“学び直しと共育”の必要性が全会場に共有された。

都内会場には、美容医療の第一線で活躍する先生方や医療従事者、事務職・関連業者まで多職種が集い、JISAMの理念に耳を傾けた。スライドを用いた理事長の講演では、会場全体が静まり返り、真剣な空気が満ちていた。(写真/NERO編集部)
■【資格制度の創設と今後の展望】
今回の設立では、新資格制度「日本美容医療検定」の創設が発表された。1級〜3級を想定し、医師に限らず、看護師やカウンセラー、受付、さらには美容医療に関心のある一般人までを対象とする。
さらに、2023年に設立された日本スキンリーディング協会(SRA)とも連携し、「皮膚(Skin)を読む(Reading)」という概念を教育軸に据え、美容医療の新しい基礎教育インフラとして拡張していく構想も示された。

資格制度創設の構想を語る 青木 律 先生(グリーンウッドスキンクリニック立川 院長)
「日本美容医療検定」および「スキンリーディング検定」の連携による教育体系の再構築について、青木先生が具体的な展望を語った。立場や職種を超え、誰もが学べる美容医療の共通基盤を作る意義が強調された。(写真/NERO編集部)
編集長POINT
~総合学会という“社会インフラ”の誕生~
JISAMは単なる学会ではない。これは、美容医療を「一部の専門家のもの」から「社会の共通財産」へと移行させる第一歩だ。
資格制度・研修・啓発・倫理──すべての基盤を築きなおすことは、「美容医療の民主化」であり、「共に創る時代」の始まりである。
NEROは、こうした知識と制度の再構築こそが、日本の美容医療が国際的信頼を得るために不可欠な道筋であると確信している。

まとめ
- JISAMは医師以外も対象とする日本初の“総合”美容医療学会
- 17年間続いたMSCSの発展系として正式設立
- 倫理・科学・教育を重視し、“商業主義”の再考を掲げる
- NEROが現地取材し、第一線の声と理念をレポート
- 「日本美容医療検定」など資格制度の導入を予定
- 美容医療の社会的信頼を再構築する新たな起点として期待される