第1章:脱毛だけじゃない、“見た目の悩み”と子ども世代
腕や足の体毛、ニキビ、毛穴の開き── 思春期の肌トラブルや“見た目”に対する悩みは、今や男女問わず子どもたちにとって深刻なテーマとなっている。
医療脱毛の低年齢化が進む一方で、美容皮膚科では「毛が気になる」「目立つニキビが恥ずかしい」などの相談も急増中。
こうした背景には、SNSやオンライン授業など、常に“顔を見られる”生活が当たり前になった時代性がある。

第2章:米国の調査にみる「子どもと美容医療」への姿勢
ミシガン大学の調査では、「子どもが非外科的施術を受けることを認める」親は18%にとどまり、31%は「どんな理由でも禁止すべき」と回答。
“精神的な安心”や“いじめ対策”などの理由でさえ、3〜4割の容認にとどまった。親の6割以上が慎重姿勢を示していることになる。
さらに、「子どもが施術を希望する理由」に対しても、「キャリアのため」「SNSの影響」などには共感が得られず、米国では“必要性”と“年齢的な適正”が強く問われている。
第3章:日本における“許容”と“慎重”のあいだ
日本でも、医療機関が提供する子ども向け脱毛プランが登場し、 親子で話し合いながら施術を受けるケースが見られるようになった。
「親に内緒で毛を剃っていた」「からかわれて辛かった」── 子どもたちの本音に触れた親が、“美容ではなく悩みのケア”として施術を認めるケースが増えている。
同時に、医療機関のカウンセリング体制やリスク説明、安全対策の重要性がこれまで以上に求められていることも事実だ。

第4章:問い直される“美容医療の意義”──誰のため、何のため?
脱毛やスキンケアだけではない。子ども世代に広がる“美容医療への関心”は、単なる見た目の美しさではなく「自分を好きでいられるか」に直結している。子どものメンタルヘルスや社会適応の視点からも、医療機関の役割は“外見の変化”以上に“心の支援”へと変わりつつある。
一方で、過度な美容介入が「子ども時代の自然な成長機会」を奪わないよう、“やらない自由”を尊重する意識も欠かせない。

🧠 編集長POINT
~「『やりたい』と『やらせたくない』の間で揺れる親子の選択」~
子どもへの美容医療は、“見た目の変化”だけでなく“自分らしく生きる感覚”を支える選択肢にもなりうる。一方で、それを「当然のこと」と捉えてしまえば、見えない圧力が子どもたちに降りかかる可能性もある。
NEROは、美容医療の“自由”を広げると同時に、“強制されない安心”も保証される社会のあり方を問い続けたい。
