【あきラボ 潜入レポ】眼形成修正の最前線──鹿嶋友敬先生が語る”治す美容外科”の真髄

📌記事全体の3つのポイント
✅あきラボ 第25回は鹿嶋友敬先生が登壇、眼形成修正手術の真髄を披露
✅他院修正、難治症例、先天性疾患まで多岐にわたる修正スキルを解説
✅美容医療の現場で起きている過当競争と質の低下への危機感も共有

美容医療を良くする医師たちがフラットに学び合う医師の集まり「あきラボ」って何?何が目的で、どんな場なの?

~垣根を超えた学びと成長の場を目指して~

「あきラボ」は、田中亜希子先生(あきこクリニック院長)が2022年11月にスタートさせた美容医療のスタディーグループで、現在までに25回を迎えています。
この会は、美容医療における知識の共有や臨床経験の深化を目指し、講義だけでなく活発なディスカッションを通じて、医師たちがフラットに学び合う場を提供しています。

あきラボ誕生の背景

開業医としての実体験から「孤独感」や「相談できる場の少なさ」を感じていた田中先生は、「日々の疑問を気軽に相談できる場を作りたい」との思いから、あきラボを立ち上げました。特定の年齢や経験に縛られることなく、「学びたい」「成長したい」という意欲があれば誰でも参加できるフラットな雰囲気が特徴です。クリニックや分野の垣根を超えたこの勉強会は、若手からベテランまで、多様な医師が集まり、それぞれの視点から意見を交わす貴重な場となっています。

「あきラボ」がもたらす価値とは?

現代の美容医療は目まぐるしく進化を遂げる一方で、誤った情報や不適切な施術がリスクとなることも少なくありません。そんな中、あきラボは「正しい知識を共有し、現場の課題を解決する」ことを目的に掲げています。
新規参入を考える医師には正しいやり方を学ぶ機会を提供し、ベテラン医師には自身の悩みを共有し合える安心感のある場を提供します。「ただ講義を聞くだけでなく、参加者全員で話し合う」このスタイルは、他の勉強会とは一線を画しています。

平日の夜を中心に開催しているあきラボですが、田中先生は「今後は合宿形式での開催も企画したい」と一泊二日程度のスケジュールで、参加者同士がフランクに意見を交わしながら、医療の知識を深めるだけでなく、楽しい思い出も作れるような場を目指しています。
また、遠方の医師にも参加しやすい時間帯や形式での開催も積極的に取り入れ、美容医療の未来を支える学びの場をさらに広げていく計画だと語っている。

※商標登録済みの「あきラボ」
「あきラボ」は現在、「AKILAB アキラボ」として商標登録されています(第41類:教育、娯楽、スポーツ、文化/第44類:医療、美容、農林)。田中先生のリーダーシップのもと、この勉強会は医療現場で直面する課題に真摯に向き合いながら、美容医療業界の進化と発展に貢献する重要な存在として、今後ますますその価値を高めていくものと筆者は感じています。

※このイベントはセミクローズドにて写真撮影禁止のものも多かったのですが、講義内容を聴取しながら記載しております。

『あきラボ』 発起人 田中 亜希子 先生

あきラボの発起人は、美容医療分野で活躍する田中亜希子先生。

ドクタープロフィール

出典:あきこクリニックHP

医療法人社団 英僚会 理事長
あきこクリニック院長
田中 亜希子 先生

●東京大学医学部卒業後、大手美容外科副院長などを経て2009年にあきこクリニックを開院。2013年に医療法人社団英僚会を設立し、院長と兼任で理事長に就任。

【第22回】美容医療のリスクとトラブルシューティング:朝日 林太郎 先生の記事はこちら

医療の原点に立ち返る──あきラボ第25回の現場から

第25回目となるあきラボに登壇したのは、オキュロフェイシャルクリニックグループ代表・鹿嶋友敬先生。テーマは「眼科領域における美容外科修正について」。200枚超のスライドと膨大な臨床症例を交えた約90分の圧巻講義が展開された。

会場には25名超の医師が参加。若手からベテランまでが緊張感と期待感の入り混じる空気の中、鹿嶋先生の精密な症例提示と理論に食い入るように集中していた。

講義では、眼窩腫瘍摘出、先天性眼球突出、甲状腺眼症、眼瞼下垂、下眼瞼外反など、通常の美容外科では経験しづらい重症・難治・他院修正のリアルな症例が次々紹介された。

中でも印象的だったのは、複数施設で手術困難とされた巨大眼窩腫瘍を摘出し、視力を0.02から1.0に回復させた症例。また、眼窩骨折後の非対称眼の骨修正や、顕微鏡下での瘢痕剥離・筋肉操作による他院眼瞼下垂修正手術など、緻密な技術が披露され、会場は驚嘆と称賛に包まれた。

出典:あきラボ Instagram

眼形成修正医療の国内第一人者
鹿嶋 友敬(かしま ともゆき)先生

美容医療の広がりとともに、表層的な「美しさ」の背後では、高度な修正手術を要する難治症例も増え続けている。そうした中で、日本における眼形成修正医療の最前線を牽引する存在が鹿嶋友敬先生である。
群馬大学医学部卒業後、国内屈指の聖隷浜松病院で眼形成を修練、さらにUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)への臨床留学で世界最高水準の技術を習得。
現在は、全国5拠点を展開するオキュロフェイシャルクリニックグループ代表として、年間2000件超の日帰り全身麻酔手術を執刀。眼瞼下垂、眼窩腫瘍、先天奇形、甲状腺眼症など、機能障害と美容的課題が交錯する難症例に対し、精緻な顕微鏡手術で対応している。
今回のあきラボ第25回では、豊富な修正経験をベースに、美容医療の修正現場のリアルと、医療の専門性が崩れつつある現状への警鐘が示された。

オキュロフェイシャルクリニックグループ

眼形成医から見た美容外科の課題──なぜ修正患者が増えるのか

鹿嶋先生は、眼形成外科医として、美容医療の過当競争と質の二極化についても危機感を示した。専門家と非専門家の境界が曖昧になりつつある。形成外科医はすべての部位を手掛けるが、逆に各部位の技術習熟が浅くなる傾向がある

短期トレーニングを経た未熟な施術が増える一方で、修正を要する患者が水面下で増え続けている現実──。鹿嶋先生は修正医療には「診断→手術→評価」のサイクルを繰り返す職人的積み上げが不可欠と説く。

さらに「すべてを手掛けるのではなく、専門領域に特化することが質の高い医療提供に繋がる」とし、“医療版ランチェスター戦略”を提言。飲食店のメニューを例に、「絞り込むことでこそ満足度は高まる」とわかりやすく表現した。

鹿嶋友敬先生──国内屈指の眼形成スペシャリスト

鹿嶋友敬先生は、世界的眼形成外科の臨床現場を知る日本屈指の修正医である。

  • 群馬大学医学部卒業後、国内屈指の聖隷浜松病院眼形成眼窩外科で修練。さらにUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)へ臨床留学し、世界最高峰の技術を取得。

  • 現在は、オキュロフェイシャルクリニックグループ(東京・新前橋・大阪・京都・千葉)を展開し、年間2000件超の日帰り全身麻酔手術を執刀。

  • 診療領域は、眼窩腫瘍、甲状腺眼症、眼瞼下垂、眼瞼外反、先天奇形、難治他院修正など。保険診療と美容医療の両面から対応可能な希少なスペシャリストである。

今回のあきラボ第25回では、こうした鹿嶋先生の豊富な修正経験に裏打ちされたリアルが示され、美容医療の「本当の専門性とは何か」を問う90分となった。

表層美から機能美へ──美容医療の次なる進化

症例ケースや実例を次々と提示しながら、鹿嶋先生は「本質的な診断力と専門性こそが、患者の救済と美容医療全体の質を守る鍵である」と語った。その言葉には、日々修正現場と向き合うスペシャリストならではの重みがあった。

NERO編集部解説
✅POINT✅

  • 美容医療修正の”最後の砦”を担う眼形成の実力が示された90分

  • 単なる二重形成や注入では対処できない「内部構造の異常」に精緻に対応

  • 他院で困難とされた症例を顕微鏡下で一つ一つ剥離・矯正する専門性の高さ

  • 短期間トレーニングで拡大する美容医療の課題に、専門家の診断力が警鐘

  • 形成外科の守備範囲が広がる一方で「特化×精密」の必要性を強く提言

  • 「病気も診る美容外科医」という新しい時代の専門医像が浮き彫りに

本物の修正外科とは何かを示した90分~

美容外科の表層的”仕上げ”とは全く異なる、機能的かつ整容的な修正外科の本質が垣間見えた貴重な回だった。
医療の原点である「病気を治す力」を土台にして、重症・難治・他院修正・先天異常といった症例にも冷静に対応する専門性。こうした医師こそ、今後の美容医療の安心・安全を牽引していく存在となるだろう。

表面だけでなく”内部構造”まで正しく把握できる眼形成修正医の重要性を、NEROはあらためて実感した。

※イメージ図

セッション終わりに記念撮影!
心理的安全性が高く、研鑽し合う熱気から溢れる笑顔が印象的でした。

出典:あきラボ Instagram

編集長コラム—「美容医療の未来を共に創る場」

鹿嶋先生の提示した修正外科の実践は、美容医療の「分岐点」を鋭く浮き彫りにした。市場拡大の裏側で、専門性を持たない施術者による誤診と過剰介入が累積し、その後始末としての修正医療が静かに増殖している。
これは単なる医療技術の問題ではなく、美容医療全体の教育構造・参入障壁・紹介文化の不在が生む必然でもある。

鹿嶋先生のように病態生理に立脚し、診断と修正を一貫して担える人材は極めて希少だ。今後、美容医療が「職人の世界」から「分業と専門特化の世界」へと移行できるか否か──その成否が修正患者の増減を決定づける。

まさに、美容医療の成熟とは「修正医療を不要にする教育構造」の再設計にかかっている。

「良き美容医療の団結の輪」の精神で築かれる連携と学びの場が、美容医療の未来にとって重要な基盤となるでしょう。患者が安心して治療を受けられる社会を目指し、私たちは引き続きこの取り組みをNEROは応援していきます。