
美容医療が拡大する中、その質が問われる時代が到来しています。
美容皮膚科診療に従事する医師の間でも、「エビデンス重視」の診療への意識が高まっており、自由診療の現場では医師と患者、さらには美容医療を取り巻く社会全体での認識のギャップが浮き彫りになっています。
美容医療の質とエビデンス重視:自由診療の現状と課題とは?
美容医療は、近年の社会的ニーズの高まりとともに急速に拡大していますが、その発展が果たして健全かどうかについては疑問が残ります。
特に、自由診療の中で施術やサービスの質が保証されていない現状に対して、医師や患者の間で懸念が広がっています。
この問題に対して、東京女子医科大学名誉教授の川島眞氏は、美容皮膚科診療に従事する医師を対象に行ったアンケート結果を、第43回日本美容皮膚科学会(2025年8月16~17日)で報告しました。
川島氏は、「美容皮膚科診療も医療であり、エビデンスが重視されるべきだ」と訴え、質の向上を目指す重要性を強調しています。
直美医師の雇用と評価:医師としての知識と規律が問われる
アンケートにおいて、美容医療の施術を行う医師の中で、いわゆる「直美医師(美容医療専門の医師)」の雇用状況について尋ねたところ、13%が「雇用している」と回答しましたが、85%は「雇用していない」としています。
さらに、「直美医師」の誕生については、75%の医師が「好ましくない」と回答。
理由としては、「医師としての基本的知識に欠ける」「医師としての規律・倫理を十分学んでいない」などが挙げられています。
これに対し、「許容できる」とした25%の医師は、「美容医療技術の習得」や「労働時間の差が大きい」などを理由に挙げており、医師の視点でも意見が分かれていることがわかります。
カウンセラーによる施術プラン提案のリスク
美容クリニックにおけるカウンセラーによる施術提案について、77%の医師が「好ましくない」と回答。
医師の最終確認を経ずに施術プランを決定することへの懸念が広がっており、過剰な施術誘導や医師判断と異なるケースが生じるリスクを指摘する声が多く上がっています。
低評価施術と未承認機器の使用に関する現状
アンケートでは、未承認機器の採用に対して74%の医師が「採用することがある」と回答し、低評価の施術や効果の疑問がある治療法が依然として行われている実態が明らかになりました。
川島氏は、「患者リテラシーの向上に伴い、低評価の施術が見抜かれる可能性がある」と警鐘を鳴らしています。
質の向上を目指す美容医療の未来
美容医療は急速に進化していますが、その拡大が健全であるかどうかは問われています。
医師としての知識や倫理、エビデンスに基づく治療が必須であり、自由診療におけるリスクも多く存在する。
カウンセラーやインフルエンサーの役割に関しても、業界内での認識にギャップがあり、医療の信頼性が失われる危険性があります。
今後は、患者のリテラシー向上に対応しながら、より質の高い美容医療の実現に向けた努力が必要です。
まとめ
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美容医療の質の向上が求められる中、エビデンス重視の診療が重要に。
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直美医師の雇用に反対する医師が75%。医師としての知識や規律の重要性。
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カウンセラーによる施術提案に77%が反対、医師の最終確認の重要性を訴える。
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インフルエンサーによる広告は87%が不適切と回答、過剰表現や責任の所在の問題。
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未承認機器や低評価施術の採用が見られ、質の向上が急務。
参考文献
▼以下、参考内容/
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