
保険×自由診療ハイブリッドの是非――混合診療タブーの先にある社会課題
SBCメディカルグループ(CEO:相川佳之)は2025年10月1日、中野マルイ6階に「肌の青空クリニック」を開院すると発表した。
新ブランドの特徴は、保険診療と自由診療を組み合わせる“ハイブリッド型”モデルを前面に打ち出している点にある。
公式サイトも公開され、オンライン予約や開院記念キャンペーンも開始。だが今回の発表は、単なる新規出店にとどまらず、美容医療業界が長年避けてきた“保険診療と自由診療の壁”に一歩踏み込む動きとしても興味深いと筆者は感じる。
📌 記事をざっくりまとめると…
SBCが新ブランド「肌の青空クリニック」を中野に開院
保険×自由診療ハイブリッドモデルを採用
制度上、混合診療はタブーだが現場では横行
背景には診療報酬マイナス改定による経営難も
X(旧Twitter)では「競争激化を歓迎する声」と「混合診療リスク懸念」が交錯
制度設計と現場ニーズのすり合わせが不可避に
INDEX
① 現状 ― 保険と自由診療の“ねじれ”か
日本の制度では、保険診療と自由診療を同日に併用できない。
自由診療を加えると「混合診療」とされ、保険が適用されなくなるのが原則だ。
しかし現実には、皮膚科・美容皮膚科領域で「保険診療で入り口を作り、自由診療に橋渡しする」ハイブリッド経営が横行してている事実もありそうだ。
背景には、保険診療だけでは治療が完結しないケースや、診療報酬マイナス改定による経営悪化がある。
保険診療に依存すれば薄利多売となり、自由診療を導入せざるを得ないクリニックも少なくない。
👉 ただし今回のSBCの参入は、この「ねじれ」を整理し、両者を制度的にどう共存させるかの答えを探る第一歩とも言えるかもしれない
② 社会課題 ― 揺れる制度と世論の反応は?
X(旧Twitter)では、美容クリニック関係者が
「ついに湘南が自費と保険のハイブリッドを始めた」
「競争せざるを得ない時代に」
と投稿。
一方で、
「混合診療のリスクを国が周知すべき」
「保険料負担が増える」
と懸念する意見もあり、世論は割れている。
自由診療が保険と共存できるモデルが広がれば、“保険診療一本”で経営してきたクリニックの収益悪化につながる可能性もある。
👉 しかし視点を変えれば、これは制度の再設計を迫る社会的シグナルともなり得る。
③ 現在から未来へ ― 医療制度の持続性を問う
混合診療を禁止しつつも現場ではハイブリッドが広がる――。
この矛盾を放置すれば、制度と現場の乖離が拡大し、患者の公平性や安全性に新たなリスクを生む。
いま必要なのは、制度を守ることと現場の実情を認めることの両立を探る視点だ。
👉 未来を見据えれば、ハイブリッド診療は持続可能な医療制度への転換点になり得る。
④ SBCの動きが布石となるか
今回の「肌の青空クリニック」の発表は、単なる新規ブランドの誕生ではない。
自由診療を主力としてきた大手が、保険診療と組み合わせる挑戦に踏み出した点で注目される。
SBCの意図は「美容をもっと身近に」だが、その動きは結果的に、保険診療と自由診療の融合に最適解をもたらす可能性を秘めている。
👉 この布石が制度改正の議論を後押しするなら、ハイブリッド診療は“抜け道”ではなく未来志向の新たな選択肢として社会に定着するかもしれない。
編集長ポイント
~ハイブリッド診療は制度破綻か、それとも未来の最適解か~
SBCが掲げた保険×自由の融合は、患者にとっては身近さと選択肢の拡大をもたらすが、制度的にはグレーゾーンを映し出す挑戦でもある。
だが、この挑戦を「リスク」とみるか、「制度改革のトリガー」とみるかで未来像は変わる。
美容医療が社会的な裾野を広げる今こそ、制度と現場をつなぐ“正解”を模索する好機だ。SBCの動きは、その試金石になる可能性がある。
まとめ
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SBCが「肌の青空クリニック」を中野に開院、保険×自由のハイブリッドモデルを導入
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保険診療と自由診療の混合は制度上タブーだが、現場では横行
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背景には、治療の実効性と保険診療の経営的限界がある
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X上では「競争激化を歓迎する声」と「混合診療リスク懸念」が交錯
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今後は、制度設計と現場ニーズのすり合わせが不可避に
参考文献
▼以下、参考内容/