【第48回日本美容外科学会総会(JSAPS)】招待講演に迫る― VR/AR/MR/XRで変わる外科医療の現場と、空間コンピューティングが描く手術アシストの未来図

招待講演の全貌

2025年9月26日、第48回日本美容外科学会総会・第154回学術集会(JSAPS)にて、注目を集めたのは帝京大学冲永総合研究所 Innovation Lab教授/Holoeyes株式会社CEO・杉本真樹氏による招待講演だった。

テーマは
「空間コンピューティングとAIによる次世代外科手術アシスト ― VR、AR、MR、XRの臨床実装」

会場は立ち見が出るほどの盛況。
杉本氏が語ったのは、外科手術の効率化と教育の進化、そして医療の社会的インパクトに関する最新知見だった。

【第48回日本美容外科学会総会(JSAPS)】招待講演に迫る― VR/AR/MR/XRで変わる外科医療の現場と、空間コンピューティングが描く手術アシストの未来図

📌 記事構成POINT

  • XRxAIが“非効率な医療”を可視化し、効率化の第一歩に
  • 小規模クリニックや美容外科にも広がる民主化テクノロジー
  • Apple Vision Pro対応 医療アプリを世界初リリース、すでに臨床導入開始
  • 教育・臨床・環境負荷軽減まで、医療の社会実装が加速

外科医 × 起業家 × 教育者 ― 杉本 真樹氏の軌跡

【第48回日本美容外科学会総会(JSAPS)】招待講演に迫る― VR/AR/MR/XRで変わる外科医療の現場と、空間コンピューティングが描く手術アシストの未来図

杉本 真樹(すぎもと まき)
医師・医学博士/帝京大学冲永総合研究所 Innovation Lab 教授/Holoeyes株式会社 共同創業者・CEO
Apple社「世界を変え続けるイノベーター30名」に選出
外科医として現場に立ちつつ、XR・ロボット手術・空間コンピューティングを社会実装する起業家・研究者

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👉 Holoeyes Inc.

未来医療を映し出す4つの視点とは?

🔹 医療現場の「非効率」を可視化する

杉本氏が最も強調したのは、
「医療の非効率をどう効率化するか」 という視点だった。

周術期短縮 → 麻酔量削減 → 薬剤コスト低減 → 合併症リスク抑制。
患者の安全と病院経営の両立に直結する仕組みであり、会場の多くが深くうなずいていた。

「医療費の上昇を抑えるだけでなく、現場のモチベーションを回復させる」
地方病院で疲弊した医師を目にしてきた経験から生まれた、この言葉には重みがあった。

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🔹 教育の革新

「受け身の教育から、体験し、語り継ぐ教育へ」
講演の中でも、この一節は強く響いた。

VRカンファレンスやアバター教育によって、距離や経験の差を超えた臨場感ある学びが可能になる。

すでに高等学校「情報学」の教科書にはHoloeyesのXR技術が掲載されており、若い世代にとっては “未来の技術”ではなく“日常の学習環境” になりつつある。

「我々が知らない方が遅れている」
その言葉に、会場に一瞬、静かなざわめきが走っていたのは筆者も感じた。

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🔹 Apple Vision Proとの融合

「世界で初めて医療機器認証された、Vision Proに対応した医療アプリをリリース済みです」
この発言に、会場からどよめきが起きた。

Holoeyes MD*は臓器の3Dモデルデータや表情の再現を可能にし、
美容外科・形成外科領域では患者説明や治療計画の補助や、若手教育などでの活用が進んでいる。

【第48回日本美容外科学会総会(JSAPS)】招待講演に迫る― VR/AR/MR/XRで変わる外科医療の現場と、空間コンピューティングが描く手術アシストの未来図

「技術は代替ではなく強化のためにある」
杉本氏のこの言葉は、現場の医師への力強いエールでもあった。

*販売名:医療用画像処理ソフトウェア Holoeyes MD(認証番号:302ADBZX00011000)


🔹 環境負荷を減らす「グリーンサージェリー」

ディスプレイや消費電力を減らし、CO₂排出や廃棄物を削減。

欧州で広がるグリーンサージェリーの流れを、日本にも根付かせたいと語った。

単なる技術論ではなく、
“医療を環境負荷まで考える産業へ進化させる” という哲学的視点が、聴衆に新鮮な衝撃を与えた。

【第48回日本美容外科学会総会(JSAPS)】招待講演に迫る― VR/AR/MR/XRで変わる外科医療の現場と、空間コンピューティングが描く手術アシストの未来図

製品と社会実装、そして国際的評価へ

杉本氏の思想は、単なる構想にとどまらず Holoeyesの製品群として具現化 されている。

  • Holoeyes MD:術前シミュレーション/「術中サポート」「術中アシスト」
  • Holoeyes VS:遠隔カンファレンスで暗黙知を共有
  • Holoeyes Edu:スマホとゴーグルで誰でも学べる教育アプリ
  • Holoeyes Biz:展示会・営業研修を「体験型」に変革


中外製薬との連携事例では、学会展示ブースに長蛇の列ができ、参加者からは
「説明を超えた体験だ」 と感嘆の声が相次いだ。

【第48回日本美容外科学会総会(JSAPS)】招待講演に迫る― VR/AR/MR/XRで変わる外科医療の現場と、空間コンピューティングが描く手術アシストの未来図

国立がんセンターや歯科大学、婦人科領域の手術など幅広い現場で応用が進行中。
こうした取り組みは国内にとどまらない。

欧州内視鏡外科学会EAESでは環境負荷低減の取り組みが評価され、2年連続で学会賞であるOR Ready Awardを受賞。

科研費の採択や国際論文発表も続き、
「臨床・教育・研究を結びつける社会実装型イノベーション」 として国際的にも高く評価されている。

美容医療の未来にも直結する可能性も

Holoeyesが描くXR医療は、
美容外科・形成外科における患者説明や術後シミュレーション、安全性の向上 に直結する。

自由診療で求められる「納得感」と「信頼性」をどう高めるか――
その答えの一端を、杉本氏の講演は示していた。

【第48回日本美容外科学会総会(JSAPS)】招待講演に迫る― VR/AR/MR/XRで変わる外科医療の現場と、空間コンピューティングが描く手術アシストの未来図

編集長POINT
~自由診療にも波及する、医療の再設計~

医療を進化させるのは暗黙知をいかに伝承した「知見の伝え方」である。

杉本氏が描いたのは、熟練医師の経験をAI・XRに学習し、
誰もが共有できる“未来の標準”を創る姿だった。

「働き方改革ではなく、働きそのものを改革すべき
――この宣言に、会場の空気が一瞬震えた。

効率化は保険診療の持続可能性を守り、臨場感ある教育は若手医師を伸ばす。
さらに美容・自由診療では、患者の納得感と信頼性を圧倒的に高める力となる。

これからの競争は、技術の優劣ではなく、
”暗黙知をいかに伝承し、医療全体を効率化、最適化するか” で決まる。

そしてそれこそが、医療全体の未来を動かす原動力になる。

杉本氏の講演は、「医療の進化は共有の力から生まれる」ことを、
確かな熱量で示していたと筆者は心底感じた。

まとめ

  • 杉本真樹氏はJSAPS招待講演で 「医療の非効率を効率化する視点」 を提示
  • 教育革新:VRカンファレンス・アバター教育で「受け身」から「体験型」へ
  • Apple Vision Pro対応:世界初の医療アプリを開発、上市し臨床導入
  • グリーンサージェリー:CO₂削減でGX時代の医療へ
  • Holoeyes製品群:臨床・教育・研究を結ぶ社会実装型イノベーション
  • 保険診療の持続性だけでなく、美容・自由診療での「納得感と信頼性」向上にも直結

”いかに暗黙知を伝承し、医療全体を効率化、最適化するか”
その答えを、杉本氏はすでに走りながら示していた。

【第48回日本美容外科学会総会(JSAPS)】招待講演に迫る― VR/AR/MR/XRで変わる外科医療の現場と、空間コンピューティングが描く手術アシストの未来図

*販売名:医療用画像処理ソフトウェア Holoeyes MD(認証番号:302ADBZX00011000)