
韓国国会が2025年9月25日、
医療従事者以外によるタトゥー施術を圧倒的多数で可決。
これにより、33年間続いた禁止令がついに解除され、
タトゥーは“正式な職業”として法的に認められることとなった。
新法では、タトゥーと半永久的メイクを包括的に「タトゥー行為」と定義。
国家免許を取得した者のみが施術できる仕組みが導入される。
1992年の最高裁判決以来、
医療行為として制限されてきたタトゥー産業は、
制度的な保護と社会的地位の確立という新たなフェーズへと移行した。
INDEX
Ⅰ.何が起きたのか ― 医療行為から職業へ
韓国国会は9月25日、
医療従事者以外によるタトゥー施術の合法化法案を可決。
1992年、最高裁がタトゥーを「医療行為」と定義して以来、
非医療従事者による施術は33年間、違法とされてきた。
新法では、タトゥーとセミパーマネントメイク(眉・アイラインなど)を
「タトゥー行為」として一括管理。
国家資格を取得したタトゥーアーティストのみが施術を許可される制度が整備された。
これにより、長年“地下文化”として存在してきたタトゥー業界が
法の枠内で正式に認知されることとなる。
Ⅱ.なぜ起きたのか ― 長年の禁止を乗り越えて
韓国では長く、タトゥーが犯罪や反社会的文化の象徴とされ、
医師以外の施術は刑罰の対象だった。
しかし、近年ではK-POPをはじめとする若者文化・自己表現の象徴として浸透。
BTSのジョングク、BIGBANGのG-DRAGONらが見せたタトゥーが
社会の価値観を静かに変えていった。
何千人ものアーティストが署名・請願・訴訟を通じて
「職業としての正当性」を訴え続けた結果、
ついに国会がその声を受け入れた形だ。
この法案は単なる合法化ではなく、
文化と法の“共存”を模索する社会的合意の産物でもある。
Ⅲ.今後どうなるのか ― 業界の展望と影響
新制度により、タトゥーアーティストは
国家試験合格後、正式な免許制のもとで活動可能となる。
衛生管理・安全基準の義務化によって、
業界全体の透明性が高まり、信頼性の再構築が進む。
これに伴い、クレジットカード決済の普及や税制整備など、
“影”の経済圏だったタトゥー業界が正規産業として可視化されていく見通しだ。
さらに、アートメイク・美容医療との制度接点も生まれ、
業界横断的な連携モデルへの発展が期待されている。
Ⅳ.日本への示唆 ― 制度設計が問う“医療と文化”の境界線
日本では現在も、
タトゥー(刺青)は医療行為として定義されており、
医師の監督・指示のもとでなければ施術は認められない。
一方で、「アートメイク」は美容クリニックを中心に広く普及しており、
医療行為と文化的表現の線引きがあいまいな状態が続いている。
韓国が制度的にタトゥーを“ライセンス制で管理する文化職”と位置づけたのに対し、
日本は依然として“医療の延長線上”にとどまっている。
この違いは、
「安全性をどう担保するか」という衛生学的観点だけでなく、
“職能をどの領域で認めるか”という社会設計の問題でもある。
日本では、タトゥーが美容・文化・医療のどの文脈に属するか明確でないため、
行政も医師会も議論を避けてきた経緯がある。
韓国の今回の制度化は、
「文化と安全を両立させる制度的折衷」として、
日本の美容医療界にも大きな示唆を与えるものだ。
アートメイクやピコレーザーなど、
医療とアートが交差する領域が増える中で、
“誰が・どこまで担うのか”を法的に再定義する動きは避けて通れない。
編集長コメント
~ 自由化の本質は“制度化された信頼”にある~
今回の合法化は、
単なる自由の拡大ではなく、信頼を制度で可視化するプロセスだ。
“違法ではない”ではなく、“安全にできる”をどう実現するか。
ここに国家と産業の成熟度が表れる。
日本の美容医療業界も、
技術だけでなく制度・倫理・説明責任の再設計が求められる局面にある。
韓国が選んだ道は、
「禁止か自由か」ではなく、“信頼のための自由”という第三の道。
日本もいずれ、この問いに向き合うことになるだろう。
まとめ
韓国でのタトゥー合法化は、
医療・文化・倫理の交差点で生まれた制度改革だ。
33年の葛藤を経て、タトゥーが社会的職能として認められた今、
その意義は国境を越え、日本の美容医療制度にも波紋を広げる。
自由と安全のバランス、文化と医療の線引き――
その答えを探す旅は、アジア全体にとって始まったばかりだ。
参考文献
▼以下、参考内容/
▲以上で終了▲
NEROでは美容医療に関連するニュースをキャッチ次第、投稿していきます!
編集長のコメントも記載していくので、情報をトレンドキャッチしたい人はぜひお気に入りに登録してくださいね。