【Global News】「偽造ボトックス販売者に最長2年の懲役刑」— 英国MHRAが無認可製品の流通を一斉摘発、制度改革も加速

2025年8月30日、英国医薬品・医療製品規制庁(MHRA)が
無認可のボトックス製品に起因するボツリヌス中毒事件の多発
を受け、
違法販売ネットワークの一斉摘発と刑事訴追を正式に発表。

41件の中毒症例が確認され、流通経路は韓国製無認可製剤の密輸・闇販売に集中。
英政府は同時に、美容医療クリニックの自治体認可制導入を表明し、
「無資格施術」と「未承認薬流通」の二重構造にメスを入れた。

📌 記事をざっくりまとめると…

  • 英国内で無認可ボトックスによる中毒症例41件が発生

  • MHRAが違法販売者を刑事訴追、最長2年の懲役刑+無制限の罰金を適用可能

  • 韓国製製剤(Botulax・Innotoxなど)が大量押収(4,700本超)

  • BAPRAS(形成外科学会)は「訓練を受けた医療従事者による施術の徹底」を支持

  • 英国政府が美容クリニックの認可制制度導入を発表

違法流通の拡大と中毒症例の実態

イングランド各地で報告されたボツリヌス中毒症例41件
多くは家庭、美容院、SNS経由の非医療施術によるものだった。

押収された製品の多くは韓国製で、
Botulax、Innotox、Rentox、Toxpiaなどが主要ブランドとして確認。
MHRAは「製品の安全性は一切保証されておらず、医薬品の偽造市場が美容業界に浸透している」と指摘した。

中毒患者の一部は呼吸障害や全身麻痺に陥り、
NHS(英国国民保健サービス)下で集中治療を受けている。
事件は「美容が命を奪う可能性」を現実化させた。

「偽造ボトックス販売者に最長2年の懲役刑」— 英国MHRAが無認可製品の流通を一斉摘発、制度改革も加速

MHRAの法的措置と刑事追及

MHRA刑事執行部は、無認可製品の販売・供給に関与した業者を特定し、
2012年ヒト医薬品規則(Human Medicines Regulations 2012)に基づく捜査を開始。

違反者には最長2年の懲役刑および無制限の罰金が科される可能性がある。
国境警備隊やSNS事業者との連携により、4,700本以上の違法ボツリヌス製剤を押収

「犯罪者は美容整形の人気につけ込み、安全よりも利益を優先している。
我々は全国規模で摘発し、責任者を法廷に立たせる」
— MHRA刑事執行部長 アンディ・モーリング

この発表を受け、英国形成外科学会(BAPRAS)も声明を発表。
「無認可製品による被害は、無規制な施術文化が招いた必然」として、
安全施術と資格者制度の徹底を求めた。

制度改革と認可制導入の動き

英国政府は8月初旬、美容注射やフィラー施術を提供する全クリニックに地方自治体からの認可を義務付ける方針を発表。
施術者の資格、医療監督体制、衛生基準を明確化することで、
「美容ビジネスから医療システムへ」構造を戻す狙いだ。

この制度は2026年度中の施行を目指しており、
自治体は独自に施設監査を実施、違反時は認可取り消しとなる。

BAPRAS広報担当アエノン・ハーパー・マシン氏は次のように語った。

「美容医療の信頼を守るには、
エビデンスに基づいた安全施術と、
訓練を受けた医療専門家による管理以外に道はない。」

「偽造ボトックス販売者に最長2年の懲役刑」— 英国MHRAが無認可製品の流通を一斉摘発、制度改革も加速

消費者保護と社会的影響

MHRAは消費者に対し、
「資格者による施術」「認可製品の確認」「SNS販売の回避」を徹底するよう呼びかけている。

SNSで流通する“安価な美容注射”の裏には、
偽造薬・希釈薬・未承認原料が潜む。
それは「安い美」ではなく、「安い命」の取引だと同庁は強調する。

美容医療の自由化が進む中、
倫理と監視の空白地帯が生まれている現実を、
今回の事件は突きつけた。

編集長POINT
~自由診療の「市場化」が孕むリスク~

BBCの薬剤師事件が「処方・診察プロセスの逸脱」だとすれば、
MHRA事件は「供給チェーンの崩壊」を意味する。両者の根にあるのは、
医薬品を“モノ”として扱い始めた美容医療の構造的欠陥だ。

製剤の自由化と倫理統制のバランスを取らなければ、
市場は自壊する。

制度設計・監視・教育。
この3点を揃えない限り、
「安価な注射の代償」は、必ず誰かの命で支払われる。

「偽造ボトックス販売者に最長2年の懲役刑」— 英国MHRAが無認可製品の流通を一斉摘発、制度改革も加速

まとめ

  • MHRAが無認可ボトックス製品の違法流通を一斉摘発

  • 刑事罰:最長2年の懲役+無制限の罰金を明文化

  • 韓国製製剤4,700本押収、中毒症例41件を確認

  • 政府は自治体認可制度を導入、BAPRASが支持表明

  • 美容医療の自由化が孕む倫理・制度・安全性の再定義が始まる

NEROでは、アジア各国における医療の制度変容と自由診療の構造分析を継続的に報じている。
今後も「医療市場の倫理とサステナビリティ」をテーマに、
日本がどこまで自由診療を拡張すべきか、その境界を問い続ける。

美容医療に関連するニュースをキャッチ次第、投稿していきます!
編集長のコメントも記載していくので、情報をトレンドキャッチしたい人はぜひお気に入りに登録してくださいね。