1. 未承認製剤の流通と業界の裏側
NEROが入手した情報によると、正規代理店を通さずに並行輸入された未承認美容製剤が使用されており、その製品の品質が保証されていないことが問題視されている。
具体的には、製品の外箱に封印がわざと剥がされて開封跡があり、その真正性に疑問が持たれている状態で市場に流通している事例が発覚。
写真:未承認美容製剤のQRコードが削除された写真
QRコードが削除されたことで、製品の追跡や品質管理に大きな問題が生じている。通常、QRコードは製品の製造ロット番号、出荷元、流通経路、使用期限などを確認するために必要不可欠であり、これがないと製品の正当性を確認する手段が失われる。
この製品を扱う業者が、実はとある美容クリニックのMS法人であるという事実が新たに明らかになった。
業者側は、「本来は、EU内で消費する製品を日本に横流しするためにQRコードを削った」と説明。しかし、これを購入したクリニック側では、製品に細工が施されている可能性が高いため、患者に使用することはできないと判断し、1箱も使用しなかったと断言している。
2.業界全体に広がる問題
この未承認製剤の流通問題は、業界全体に広がる可能性があり、美容医療の信頼性に深刻な影響を与える。
業者は「安売り」を掲げ、消費者が手を出しやすくなるが、裏で行われているのは製品の偽装や流通経路の不透明さであり、不正確な情報が業界内に拡散されている。
価格重視で選ばれた製品は製造元不明で品質保証がされていないため、消費者にとってのリスクは極めて高い。
業者やクリニックが価格面の誘惑に駆られる背景には、美容業界内の競争と利益追求のプレッシャーが影響しているが、結果的にその選択が患者の命を脅かすことになりかねない。
3.消費者に与える影響と警戒の必要性
消費者の視点では、安価な製品が常に安全であるとは限らないことを認識する必要がある。
安い理由は、しばしば品質管理や正規ルートを経ていない製品に起因しており、信頼できる医療機関での施術を選ぶことが最も重要だ。
消費者も自分の健康を守るため、製品の選定や施術者の確認を徹底する責任がある。安価な製品に手を出さず、使用される製品が正規代理店を通じているか、品質保証がなされているかを事前に確認することが、リスク回避のために不可欠だ。
編集長POINT
~安さの裏に潜む危険! 信頼性重視が患者の命を守る~
美容医療において、価格重視の選択がどれほどリスクを伴うか、業界全体が再認識しなければならない。確かに、価格の安さは一見魅力的に見えるが、安価な製品が必ずしも品質を保証するわけではない。実際に、価格優先で選ばれた製品が患者の命に関わる重大なリスクを生む可能性があることを忘れてはならない。
医療機関には、患者の安全を最優先に考え、信頼性のある製品を選び、正規業者と取引を行う責任がある。無責任なコスト削減が患者に対する危険な結果をもたらすことがあると、自覚するべきだ。
消費者自身も、自らの健康を守るために、価格だけでなく製品の信頼性を最優先に考えるべきだ。例えば施術を受ける際には、使用される製品がどこから仕入れられ、どれほど信頼できるものなのかをしっかりと確認する責任がある。なかには開封前の箱を開けるところから見せてほしいというケースもあるのだ!
安価な選択肢がすぐに見える一方で、その選択がもたらすリスクはしばしば消費者の目に見えないところに潜んでいるかもしれません。品質が保証されていない製品を安易に選ばず、信頼できる情報に基づいて選択することで、安全・安心を守ることができるはずです。
まとめ
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未承認の美容製剤が市場に流通し、その品質が保証されていない事実が発覚
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美容医療業界全体で、信頼できる製品の選定が強く求められている
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消費者に対し、価格ではなく製品の信頼性と品質を重視するように呼びかけ
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医療機関は患者の安全を守るため、安易に安価な製品を選ばないことが重要
 
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今後も「医療市場の倫理とサステナビリティ」をテーマに、日本における自由診療の拡張についても深く掘り下げて発信していきます。
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