【NERO潜入レポ|レスチレン®】 ヒアルロン酸の常識?! 「なぜ自然に見える人とそうでない人がいるのか」に迫る —— “量”ではなく“読み方”で結果が変わる理由とは

📌 記事をざっくりまとめると…

  • ヒアルロン酸治療は今、
    「どれをどれだけ入れるか」から
    “入れる前にどう読むか”へシフトし始めている。
  • 自然に見えるかどうかは、
    量ではなく顔の構造・動き・設計で変わる可能性が示された。
  • レオロジーの視点からG’やストレインといった指標を用い、
    “硬い・柔らかい”という感覚的な判断を再定義
  • さらにNASHA® と OBT™ は
    優劣ではなく、位置保持か動きへの適合かという役割の違いとして議論された。
  • AART(Assessment(アセスメント), Anatomy(解剖学), Range(選択可能な治療幅), Treatment(治療))という順序思考が、顔をパーツではなく“空間として読む”新しい視点として提示

【NERO潜入レポ|レスチレン】 ガルデルマ なぜ自然に見える人とそうじゃない人がいるのか —— ヒアルロン酸をめぐり医師たちが議論した“顔の読み方”

ヒアルロン酸治療というと、
「どの製剤を入れるのか」
「どれくらい入れるのか」
そんな話を思い浮かべる人も多いかもしれない。

けれど今回、医師限定セッションに集まった医師たちが議論していたのは、
“どう入れるか”ではなく、“入れる前に何を見ているのか”だった。

海外の形成外科医が提示したのは、
顔をパーツではなく
“全体の設計図”として読む視点

国内の臨床医が語ったのは、
感覚や経験だけに頼らず、
レオロジーという科学的な性質から治療を考えるというアプローチ。

そしてパネルディスカッションで繰り返し共有されたのは、
「どこまで変えるか」よりも
“どこで止めるか”という判断だった。

なぜ同じヒアルロン酸でも、
自然に見える人とそうでない人がいるのか。

その違いは、
技術の派手さではなく、
顔の構造・動き・時間軸をどう読み解くかという“入れる前の思考”にあるのかもしれない。

本記事では、
Dr. Stephanie Lam による顔のアセスメント評価の再定義、
宮田 成章 先生が語ったレオロジーという視点、
そして慶田 朋子先生・田中 亜希子先生・梁川 厚子先生らの臨床ディスカッションを通して、

美容医療がいま向かっている
“顔を読む時代”のヒアルロン酸治療を読み解いていく。

📸 写真:医師限定・クローズドイベントのため一部のみ記録
【NERO潜入レポ|レスチレン】 ガルデルマ なぜ自然に見える人とそうじゃない人がいるのか —— ヒアルロン酸をめぐり医師たちが議論した“顔の読み方”

写真:顔のアセスメント評価や注入判断について議論が交わされたクローズドセッションの会場風景

■Opening|なぜ“自然さ”は人によって違って見えるのか

今回のセッションで医師たちが繰り返し語っていたのは、
新しい手技やトレンドの紹介ではなかった。

議論の中心にあったのは、
顔をどう観察し、どこまで介入するのかという“読み方”だった。

顔のアセスメント評価という考え方、
レオロジーという科学的な視点、
そして硬さや柔らかさの異なる製剤をどう使い分けるのか。

テーマはそれぞれ異なりながらも、
共通していたのは
“入れる前に、どこまで顔を理解できているか”という問いだった。

会場で感じられたのは、
ヒアルロン酸治療が
「入れる量」を語る時代から、
“自然に見える理由を考える医療”へと移行しつつあるという空気感だった。

【NERO潜入レポ|レスチレン】 ガルデルマ なぜ自然に見える人とそうじゃない人がいるのか —— ヒアルロン酸をめぐり医師たちが議論した“顔の読み方”

写真:国内外の医師が登壇したクローズドセッションの様子(医療関係者向けイベント)

◆ Session 1:Introduction to AART and Deep dive into Facial Assessment

※本セッションは医師向けの高度な臨床判断を含むため、
具体的な注入手技や症例詳細は本記事では扱わない。

【NERO潜入レポ|レスチレン】 ガルデルマ なぜ自然に見える人とそうじゃない人がいるのか —— ヒアルロン酸をめぐり医師たちが議論した“顔の読み方”

AART理論から学ぶ“顔の読み方”と顔のアセスメント評価
—顔をパーツではなく“空間”として読むという視点—

SPEAKER|Dr. Stephanie Lam
Central Health Medical Practice(Hong Kong)

ヒアルロン酸治療というと、
多くの患者が気にしているのは
ほうれい線や目元など、ひとつのパーツであることが多い。

しかしDr. Stephanie Lamが最初に提示したのは、
その発想を少し立ち止まって見直すという視点だった。

患者が気にしている部位だけを整えても、
顔全体のバランスが変わらなければ
結果が不自然に見えてしまうことがある。

だからこそ重要なのは、
治療に入る前に
顔を「部分」ではなく“空間”として観察することだと語った。

AARTという評価の順序

“入れる前”に行う顔のアセスメント評価

講演の中で紹介されたのが、
※AART(Assessment → Anatomy → Range → Treatment)という評価フレームだ。

これは、
いきなり治療に進むのではなく、

  • Assessment|アセスメント

  • Anatomy|解剖

  • Range|選択可能な治療幅

  • Treatment|治療

という順序で思考するというもの。

肌質、骨格、ボリューム、左右差、表情のクセなどを
ひとつずつ整理しながら顔を読み解いていく。

とくに印象的だったのは、
同じヒアルロン酸でも“入れる層”が変わるだけで結果が大きく変わるという話だ。

年齢による変化は
骨・脂肪・筋肉・皮膚のすべてに起こるため、

“どこに入れるか”よりも
顔のどの層が変化しているかを理解することが重要
だと強調された。

【NERO潜入レポ|レスチレン】 ガルデルマ なぜ自然に見える人とそうじゃない人がいるのか —— ヒアルロン酸をめぐり医師たちが議論した“顔の読み方”

一度に変えないという設計

段階的アプローチという考え方

さらに講演では、
一度に大きく変えるのではなく、
治療を段階的に分けていく考え方も共有された。

患者が最初に望んでいる部位とは別の場所から整えることで、
顔全体の印象が自然に変わるケースも少なくないという。

こうしたアプローチは、
過度な変化を避けながら
“少しずつ整っていく感覚”を患者と共有できる点が特徴だと語られた。

講演の中で繰り返し示されていたのは、
ヒアルロン酸治療は単なる注入ではなく、

医師と患者が一緒に顔を理解していくプロセスでもあるということだった。

顔のアセスメント評価は診断だけでなく、
患者とのコミュニケーションを深めるツールとしても機能する。

その結果、
患者自身が自分の顔の変化を理解しやすくなり、
自然な変化への納得感につながる可能性が示された。

≪Takeaway|自然さは「量」ではなく“読み方”で変わる≫
患者が気にしている場所=最初に治療すべき場所とは限らない

・AARTという順序思考が評価の軸として提示
・同じヒアルロン酸でも層や部位によって印象が変わる可能性
・段階的なアプローチが自然な結果につながる考え方
・顔のアセスメント評価は診断だけでなく患者理解を深めるプロセス(コミュニケーションツール)として共有

【NERO潜入レポ|レスチレン®】ガルデルマ ヒアルロン酸の常識?! 「なぜ自然に見える人とそうでない人がいるのか」に迫る —— “量”ではなく“読み方”で結果が変わる理由とは

写真:Dr. Stephanie Lamの講義内容をもとに、AART(Assessment → Anatomy → Range → Treatment)の概念をNERO編集部が再構成したビジュアル

◆ Session 2:レオロジーを知ろう― 「感覚」ではなく「サイエンス」で治療を選択するために ―
※本セッションは高度な注入判断を含むため、具体的な術式や症例詳細は本記事では扱わない。
【NERO潜入レポ|レスチレン】 ガルデルマ なぜ自然に見える人とそうじゃない人がいるのか —— ヒアルロン酸をめぐり医師たちが議論した“顔の読み方”

■「なんとなく柔らかい」で選ぶ時代は終わるのか?

SPEAKER|宮田 成章 先生
みやた形成外科・皮ふクリニック 院長

ヒアルロン酸治療というと、
「硬い」「なじむ」といった感覚的な言葉で語られることが多い。

しかし宮田先生が最初に提示したのは、

“その感覚、本当に再現性がありますか?”
という問いだった。
治療を偶然の成功にしないためには、
製剤の性質を科学的に理解する必要がある。

そこで登場するのが、
レオロジー(流動・変形特性)という考え方だ。
※物質に力が加わった際の変形と流動を解析する学問

講義では、
G’(貯蔵弾性率)=形状保持に関与する弾性成分
G’’(損失弾性率)=動的変形時に粘性成分として消散するエネルギー
といった指標が紹介され、

ヒアルロン酸は
単なる“硬さ”ではなく、
動いたときの振る舞いで理解すべきだと語られた。

顔は静止している構造ではない。

笑う、話す、表情が変わる……
そのたびに内部には大きな力が加わる。

だからこそ臨床では、
どれだけ硬いかではなく、
どこまで変形に耐えられるか(ストレイン)

つまり…
顔は静止構造ではなく動的環境(dynamic environment)にあるため、
ストレインという視点が重要になる可能性が示された。

■“ヒアル顔”は製剤ではなく、設計不足で生まれる?

講義の後半では、
歯磨き粉やマヨネーズを例に、
物質は力のかかり方で性質が変わることが解説された。

ヒアルロン酸も同様に、

・支持力を重視する性質
・動きに追従する性質

など役割が異なる。

そこで提示されたのが、

G’ × ストレインのバランスで考える
という設計思想だった。

※講義の中では、同じヒアルロン酸でもNASHA® と OBT™ のように製造プロセスの違いによってレオロジー特性が異なり、支持力を重視する設計と動きへの追従性を重視する設計が存在する。
製剤選択は“硬い・柔らかい”ではなく力学的な振る舞いの理解から考える必要性が示唆された。
また、ここで語られていたのは数値の優劣を比較することではなく、物性を“臨床設計の文脈”として理解するという考え方であり、
スペックそのものを評価する意図ではない。

【NERO潜入レポ|レスチレン】 ガルデルマ なぜ自然に見える人とそうじゃない人がいるのか —— ヒアルロン酸をめぐり医師たちが議論した“顔の読み方”
単にスペックの高い製剤を選ぶのではなく、
顔の動きや部位に合わせて選択する。

その積み重ねが、
自然な仕上がりにつながる可能性があるという。

講演の中で印象的だったのは、

「ヒアル顔を生むのは製剤ではなく、
サイエンスを伴わない判断」

という言葉だった。

SNSや印象論ではなく、
物性理解に基づいた選択こそが
医療としての注入を支える基盤になる。

≪Takeaway|自然さは“柔らかさ”ではなくレオロジー理解で決まる≫
ヒアルロン酸は“硬いか柔らかいか”だけでは語れない

・G’だけでなくストレインとの関係が重要と紹介
・顔は静止構造ではなく“動く構造”として評価する視点
弾性と追従性のバランスが臨床判断の鍵になる可能性
サイエンスに基づく選択が自然な仕上がりにつながると示唆

【NERO潜入レポ|レスチレン】 ガルデルマ なぜ自然に見える人とそうじゃない人がいるのか —— ヒアルロン酸をめぐり医師たちが議論した“顔の読み方”

写真:宮田成章先生の講義内容をもとに、ヒアルロン酸注入におけるレオロジー(G’/G’’/Strain)の関係性と「G’×ストレイン」という臨床判断の考え方を、NERO編集部が再構成・可視化したビジュアル。

◆ Session 3:Optimal Balance Technology
― “硬さ”か“柔らかさ”かではなく、動きに合わせて選ぶという考え方 ―
※本セッションは高度な注入判断を含むため、具体的な術式や症例詳細は本記事では扱わない。
【NERO潜入レポ|レスチレン】 ガルデルマ なぜ自然に見える人とそうじゃない人がいるのか —— ヒアルロン酸をめぐり医師たちが議論した“顔の読み方”

■「硬い=良い」でも「柔らかい=自然」でもない?

SPEAKER|Dr. Stephanie Lam
Central Health Medical Practice(Hong Kong)
Plastic Surgeon

ヒアルロン酸製剤はこれまで、
「リフト向き」「なじみやすい」といった
感覚的な言葉で語られることが少なくなかった。

しかし今回、Stephanie Lam先生が提示したのは、
その二択そのものを問い直す視点だった。

NASHA と OBT....
異なる2つの技術を比較しながら語られていたのは、

“製剤の性格”ではなく、“顔の動きとの関係性”

NASHAは
注入位置に留まりやすい
Targeted Product Integrationという考え方。

一方OBTは
組織へなじむように広がる
Distributed Product Integrationという概念として説明された。

つまり、
重要なのは優劣ではなく、

どの動きに、どの性質を合わせるか。
それが今回のセッションの軸だった。

■“自然に見える”とは、動いた瞬間に違和感がないこと?

講義ではレオロジーの視点から、

投影を支える構造的な製剤
表情に追従する柔軟性の高い製剤

という対比が示された。

NASHAは
比較的しっかりとしたゲル構造により
立体的な支持や投影を意図する場面で語られ、

OBTは
柔軟性を持つことで
動的部位や表情変化の大きいエリアへの適応として紹介された。

特に印象的だったのは、

“自然さは静止状態ではなく、動いた瞬間に評価される”

という言葉だった。

顔は常に動いている。
笑う、話す、力が入る....
そのたびに内部環境は変化する。

だからこそ重要なのは、

どれだけ形を作れるかではなく、
どれだけ動きに馴染むか
という視点なのかもしれない。

【NERO潜入レポ|レスチレン】 ガルデルマ なぜ自然に見える人とそうじゃない人がいるのか —— ヒアルロン酸をめぐり医師たちが議論した“顔の読み方”

講義後半では、
OBTの設計思想として

Firmness(支持) × Flexibility(柔軟性)
というバランス概念が紹介された。

高いストレイン特性は、
大きな変形にも追従する可能性として語られ、
これが “Perfect Balance” の背景にある考え方のひとつとされた。

ただし講演を通して繰り返されていたのは、

「製剤はあくまで選択肢のひとつであり、
医師の設計思想の中で役割を担う“ツール”として位置づけられていた。」

というメッセージだった。

臨床例では、

・厚みのある組織での立体形成
・動きの大きい下顔面
・口周囲や顎の微細な変化

など、
顔の構造と動きに応じて物性を使い分けるという視点が示された。

そこにあったのは、
単一製剤への依存ではなく、

異なる物性をどう設計するかという考え方だった。

≪Takeaway|“自然さ”は硬さではなく「動きへの適合」で決まる≫

✅ NASHAとOBTは優劣ではなく“役割”の違いとして語られた

・NASHA=位置保持と立体構造を支える設計思想
・OBT=動的部位に馴染む柔軟性という考え方
表情変化を前提にした製剤選択が重要という示唆
・Firmness × Flexibility のバランスという新しい評価軸

■まとめ― ヒアルロン酸は「入れる技術」から“顔を見極める医療”へ【NERO潜入レポ|レスチレン】 ガルデルマ なぜ自然に見える人とそうじゃない人がいるのか —— ヒアルロン酸をめぐり医師たちが議論した“顔の読み方”

今回のセッションで繰り返し語られていたのは、
新しい製剤や手技そのものではなかった。

ヒアルロン酸治療は今、
「どれをどれだけ入れるか」から
“入れる前にどう読むか”という思考へ
少しずつ軸足を移し始めているように感じられた。

Dr. Stephanie Lamが提示したAARTは、
顔をパーツではなく“空間”として捉えるための順序思考だった。

そして宮田先生が示したレオロジーの視点は、
「硬い」「柔らかい」といった感覚的な言葉を越え、
G’やストレインといった科学的指標から設計を考える
という新しい判断軸を示した。

さらにOptimal Balance Technologyの議論では、
NASHA® と OBT™ が優劣ではなく
位置保持か、動きへの適合かという“役割の違い”として語られ、
自然さは製剤“だけ”で決まるのではなく
顔の構造や動きに合わせた設計から生まれるという考え方が共有された。

パネルディスカッションでは、
慶田 朋子 先生、田中 亜希子 先生、梁川 厚子 先生らが
日常臨床で積み重ねてきた評価プロセスや長期的な経過観察の視点から、
ヒアルロン酸治療における介入の限界や設計の考え方について議論。

理論だけではなく、
“実際の外来でどう判断しているのか”という臨床知が共有された。

・少量でも印象が変わるケースが増えていること
・製剤の物性を理解することで“止める判断”がしやすくなること
・すべてを消すのではなく、自然さを残す設計の重要性

などが語られた。

そこにあったのは、
技術の派手さではなく、

どこまで変えるかではなく“どこで止めるか”を考える臨床だった。

だからこそ今回の議論が示していたのは、
ヒアルロン酸治療が

「量で変える医療」から
“読み方で整える医療”へ向かっている

というひとつの潮流だったのかもしれない。
【NERO潜入レポ|レスチレン】 ガルデルマ なぜ自然に見える人とそうじゃない人がいるのか —— ヒアルロン酸をめぐり医師たちが議論した“顔の読み方”

NEROは今回も現地に入り、
手技や製剤の優劣ではなく、
「自然さとは何か」「どこで止めるのか」という
医師たちの思考そのものを追い続けてきた。

ヒアルロン酸治療は今、
量やテクニックの時代から、
顔を読み解く“設計の医療”へと移行しつつある。

NEROはこれからも、
現場で生まれる判断の背景を社会へ翻訳しながら、
“良き美容医療とは何か”という問いを、
現場から伝え続けていく。

NERO 安達健一