【Breaking News】20代男性、美容医療利用率で女性を逆転──6,310億円市場が示す「メンテナンス化」という構造転換

📌 記事をざっくりまとめると…

  • 20代男性の美容医療利用率が女性を上回った(22.8%)

  • 男性の年間美容医療費は10万円超

  • 主流は外科ではなく皮膚科系・肌メンテナンス

  • 消費動機は「コスパ」「時短」「確実性」

  • 美容医療は“特別な変身”からサブスク型習慣消費へ

静かに反転した市場

美容医療の消費構造が、静かに反転している。
リクルートの「美容センサス2025年下期」では、20代男性の“1年以内の美容医療利用率”が22.8%となり、同年代女性を上回ったのだ。

年間支出は10万円超
さらに、50代以上の利用も伸びている。

かつて“女性中心市場”と見なされてきた美容医療は、
いまやジェンダーを横断し、世代を越える自己管理インフラへと変貌しつつある。

拡大の本質は、「変身」ではない。
サブスクリプション型の“メンテナンス医療”への転換だ。

美容医療は今、
「変わるための投資」から
“維持するための習慣”へと構造転換している。

20代男性の美容医療利用が女性を逆転──“サブスク化”する自由診療市場出典:リクルート「ホットペッパービューティーアカデミー 美容センサス2025年下期」よりNERO編集部作成

出典:日経MJ/ホットペッパービューティーアカデミー 美容センサス2025年下期

1|「男性化」ではなく「合理化」

調査で示されたのは、利用率(=1年以内に利用した割合)の上昇だ。
そして男性の年間支出は10万円超
とされる。

取材記事内で浮かび上がった選択理由は明快で、

  • 結果が見えやすい

  • 短時間で終わる

  • 価格が下がっている

という“合理性”に集約される。

つまりこれは、
「美容への関心が増えた」というより、
費用対効果の高い“自己管理手段”として美容医療が選ばれているという話だ。

2|外科から皮膚科へ──「構造転換」の兆候

SBCメディカルグループによると、
かつて約8割を占めていた外科施術は減少。

現在は皮膚科領域が約7割
ただし、これは「外科が不要になった」という意味ではない。
今回の文脈で読み取れるのは、
直近1年で選ばれやすいのが、低侵襲・短時間・反復型の施術に寄っているという利用動向だ。

伸びているのは、

  • 医療脱毛

  • 肌育注射

  • ボトックス

ここに共通するのは一つ。

劇的変化ではなく、継続管理。

美容医療は
“人生を変えるイベント”ではなく
“変身”ではない、維持と整えへ。

歯科検診のように通う場所へと近づいているかもしれない

3|50代以上×福利厚生という新経路

伸び率で目立つのは50代以上(SBCメディカルグループ)。
背景として紹介されているのが、同社の福利厚生サービス(導入約150社)だ。

ここで重要なのは、
需要が増えたことよりも、流入経路が変わった点。

自由診療が、
“贅沢な個人消費”だけでなく、
企業の制度(福利厚生)を通って生活に入り込む形が出てきた。
これは今後、業界のマーケ構造を変えうる。

4|6,310億円市場の裏側

矢野経済研究所によれば、美容医療市場は
2024年に6,310億円(前年比+6%)

需要が伸びる一方で、記事内でも

  • 施術や契約を巡るトラブル

  • 医師の地域偏在/専門医不足
    といった課題が並走する。

市場が「生活インフラ」に近づくほど、
“選ばれる医療”の条件は厳しくなる。
価格や手軽さだけではなく、説明・同意・適応・アフターが問われる局面に入っている。

起きているのは単なるブームではない

✔ 美容医療の民主化
✔ 価格の標準化
✔ メンテナンス化
✔ 習慣消費化

美容医療は、

「変わりたい人」が行く場所から
「整えたい人」が通う場所へ。

これは消費構造の変化だ。

編集長POINT|感情消費から管理消費へ

今回の構造転換は明確だ。

✔ 変身 → メンテナンス
✔ 女性中心 → ジェンダー横断
✔ 特別支出 → 定期支出

美容医療は
感情を動かす消費から、管理する消費へ移行した。

問題はここからだ。

市場が拡大するほど、

  • どこまでを医療と呼ぶのか

  • 誰が安全基準を担保するのか

  • 自由診療の倫理はどこに置くのか

この問いは避けられない。

まとめ

  • 20代男性の「1年以内利用率」22.8%で女性を上回った
  • 男性の年間美容医療費は10万円超
  • 直近で選ばれやすいのは皮膚科系・反復型の傾向
  • 50代以上×福利厚生という新しい流入経路が出てきた
  • 市場拡大とともに、説明責任・契約・制度が重くなる

美容医療は、
一部の選択肢から、社会構造の一部へ。

この転換をどう設計するか。
それが次の戦場だ。

NERO 安達健一 

NEROでは、世界各国における医療の制度変容と自由診療の構造分析を継続的に報じている。今後も「医療市場の倫理とサステナビリティ」をテーマに、
日本がどこまで自由診療を拡張すべきか、その境界を問い続ける。