📌 記事をざっくりまとめると…
AUA × SUFU × AUGS がGSM新ガイドラインを発表
低用量膣エストロゲン療法が第一選択として明記
過活動膀胱(OAB)・再発性UTIにも有効性を整理
乳がん・心血管疾患・認知症リスク増加は認められずと安全性明確化
デバイス治療は標準治療とは位置づけられず
フェムゾーン治療が“流行”から“医学的基盤”へ
American Urological Association × SUFU × AUGS 共同ガイドライン発表
フェムゾーンケアは、いま美容領域でも確実に広がっている。
デバイス治療、注入療法、フェムテック製品。
選択肢は増え、市場も拡大している。
その中で2026年、
American Urological Association(AUA)を中心とする共同ガイドラインが発表された。
明記されたのは、
女性ホルモンの低用量局所投与(膣エストロゲン療法)である。
これは対立ではない。
拡大する市場に、
医学的な中心軸が示されたという出来事だ。
INDEX
GSMとは何か?なぜ今、整理されたのか
GSM(Genitourinary Syndrome of Menopause)とは、
更年期以降のホルモン低下によって生じる
泌尿生殖器症状の総称である。
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膣乾燥
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性交痛
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尿もれ
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頻尿
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過活動膀胱(OAB)
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再発性膀胱炎
これらは「年齢だから仕方ない」ものではない。
医学的に診断・治療の対象となる状態として明確化された。
さらに重要なのは、
診断はホルモン値ではなく“症状ベース”で行うと明示された点だ。
数値ではなく、
“感じている症状”が出発点になる。
これは臨床的にも読者心理にも大きい。
何がガイドラインで明確になったのか
今回の共同ガイドラインでは、
■ 第一選択は低用量局所膣エストロゲン
最も確固たるエビデンスを持つ治療として明記された。
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乾燥
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刺激感
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性交痛
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再発性UTI
に対し改善が示されている。
さらに重要なのは安全性だ。
過去に懸念されていた
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乳がん
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心血管疾患
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認知症
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子宮内膜がん
について、
低用量局所投与ではリスク増加は認められないと整理された。
加えて、
子宮内膜サーベイランス(定期検査)は不要とも示されている。
これは臨床現場にとって極めて大きい。
他の治療はどう位置づけられたか
ガイドラインでは明確に整理されている。
■ 膣DHEA・オスペミフェン
一定の選択肢だが、推奨度は条件付き。
■ 保湿剤・潤滑剤
補助的選択肢として推奨。
■ エネルギーデバイス(CO₂レーザー、Er:YAG、RFなど)
エビデンスが十分ではなく、標準治療とは位置づけられていない。
実験的治療として、
慎重な共同意思決定のもとでのみ検討可能と整理された。
ここは極めて重要だ。
市場が拡大する中で、
何が第一選択で、何が補助的・実験的なのかが明確化された。
共同意思決定(SDM)が中心に置かれた
このガイドラインは、
Shared Decision Making(共同意思決定)を強調している。
一律の治療ではない。
患者の価値観・目標・性生活・心理社会的背景を含めて
治療を選ぶ。
また、骨盤底理学療法や性療法への紹介も選択肢として示されている。
GSMは慢性疾患であり、
継続的な再評価と長期管理が前提となる。
単発的な介入ではない。
なぜ今、意味があるのか
フェムゾーン領域は急速に拡大している。
それ自体は自然な流れだ。
だが選択肢が増えるほど、
「何が医学的土台なのか」は見えにくくなる。
今回のガイドラインは、
フェムケアを
“流行”ではなく“医学的基盤の上”に再定義した。
さらに、委員長である
Melissa R. Kaufman医師(ヴァンダービルト大学)は、
「泌尿器科医が積極的に関わるべき領域だ」と強調している。
つまり、
フェムゾーン症状は
婦人科だけでも
美容だけでもない。
泌尿器科領域として正式に位置づけられた。
ここが構造的転換点だ。
編集長POINT|足す前に、整理する
フェムゾーン治療が広がることは健全だ。
だがその前に必要なのは、
自分の症状が何に分類されるのかを医学的に整理すること。
とりあえずデバイス
とりあえず注入
とりあえずフェムテック
ではなく、
ホルモン低下に起因するGSMなのかどうか。
今回のガイドラインは、
拡大する市場に“地図”を示した。
フェムケアは、
足す前に、理解する。
その段階に入った。
まとめ
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女性ホルモン局所投与がAUA共同ガイドラインに正式明記
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診断は症状ベースで行う
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低用量膣エストロゲンが第一選択
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安全性(乳がん・心血管疾患・認知症リスク増加なし)を明確化
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デバイス治療は標準とは位置づけられず
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GSMは慢性疾患として継続管理が前提
フェムケアは拡大している。
だからこそ、
エビデンスを知ることは武器になる。
トレンドではなく、軸を持つ。
それが次のスタンダードだ。
