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「若返り注射」を打ったら、顔が膨らみ続けて止まらなくなった──韓国で広がる「バブルフェイス」被害の実態

「若返り注射」を打ったら、顔が膨らみ続けて止まらなくなった──韓国で広がる「バブルフェイス」被害の実態

「バブルフェイス(Bubble Face)」とは、違法・未規制のグロースファクター(成長因子)注射によって顔が膨らみ、変形し続ける状態を指す。
ヒアルロン酸フィラーと異なり溶解剤が存在せず、ステロイド注射や外科手術後も増殖シグナルが止まらないケースが報告されている。

2026年7月9日、英国の美容業界メディアBritish Beauty Bloggerがこの問題を特集した。
韓国・中国を中心に被害が拡大しており、複数の形成外科医がSNSで警告を発しているにもかかわらず、
「安価な注射」を提供する無資格施術者が施術を続けている実態が報告されている。

British Beauty Blogger / RajaniMD / BloomingWell ── 2026年7月報告
溶かせない。止まらない。
元に戻せない。
グロースファクター注射による顔面変形は
ヒアルロン酸フィラーとは根本的に異なる問題だ

本稿では、この問題の構造・メカニズム・日本への波及リスクを、
一次情報に基づいて整理する。

まず、混同されやすい概念を整理する。

✅ ヒアルロン酸フィラー(通常の美容施術)

物理的にボリュームを補填する(体積を増やす)

ヒアルロニダーゼ(溶解酵素)で溶かして除去できる

体内で徐々に分解・吸収される(6〜18ヶ月)

⚠️ グロースファクター(成長因子)注射(問題の対象)

細胞に「成長・増殖せよ」というシグナルを送る生物学的タンパク質

溶解剤が存在しない。除去が困難または不可能

増殖シグナルが「オフ」にならず、組織が膨張し続けるリスクがある

長期的な影響がまだ医学的に解明されていない

British Beauty Bloggerの7月9日の報告でこう記されている。

British Beauty Blogger(July 9, 2026)

「ヒアルロン酸フィラーと異なり、グロースファクターは細胞に成長を命令する。
腫れは数ヶ月、場合によっては数年にわたり継続する可能性がある。
ステロイド注射や外科手術後も、成長シグナルはオンのままで、長期的な影響は誰にもわからない。」

02
WHY IT SPREADS

なぜこの問題が広がっているのか──「ワイルドウェスト」状態の規制の現実

25年以上の美容医療経験を持つ米国の美容外科医・Rajani MD(ラジャニ医師)は
2026年5月の解説記事でこう述べた。

💬 Rajani MD(RajaniMD.com 2026年5月)

"再生系美容医療の一部は、今や『ワイルドウェスト』の状態だ。
偽造品は本物と見た目がまったく同じ。
シリンジは別の内容物で再充填される可能性がある。
オンラインで販売された製品はラベルに書いていないものが入っているかもしれない。"

バブルフェイス問題が拡大する4つの構造的要因

1

規制の空白

FDA・韓国食品医薬品安全処(MFDS)・日本PMDA等の主要規制機関は、美容目的のグロースファクター注射を承認していない。しかし「グレーゾーン」を利用した無資格施術が横行している。

2

「再生系・ナチュラル」というブランディングの誤用

「成長因子」「幹細胞」「エクソソーム」「ステムセル」という言葉が安全性・自然由来の象徴として使われるが、これらはすべて生物学的活性を持つ物質だ。「ナチュラル=安全」ではない。

3

「初期の見た目の良さ」という落とし穴

施術直後は浮腫(むくみ)により顔が滑らかで若々しく見えることがある。この一時的な改善が口コミで広まり、「効果がある」という誤認が拡散する。問題が顕在化するのは数ヶ月〜数年後だ。

4

偽造品・無認可製品の流通

本物と外見が同一の偽造製品が市場に流通している。シリンジの再充填・オンライン販売品の成分不明等、品質管理が機能していないチャンネルからの製品が施術に使われるリスクがある。

03
WHAT IS SAFE

何が安全で何が危険か──PRF・エクソソーム・グロースファクターの区別

「グロースファクター系は全部危険」という単純化も正確ではない。
Rajani医師は以下のように整理している。

比較的安全

PRF(多血小板フィブリン)──自己血由来

患者自身の血液から作製するため、異物反応リスクが低い。制御されたコラーゲン産生促進が可能。ただし施術者の技量・衛生管理が重要で、無資格者による施術はPRFでも危険だ。

要注意

エクソソーム──FDA承認品なし

現在、美容目的で承認されたエクソソーム製品はFDA・PMDAともに存在しない。正規の研究機関での臨床応用は進んでいるが、市販品の品質・安全性は施設によって大きく異なる。NEROの既掲載記事「エクソソームの現在地」も参照。

高リスク

未規制グロースファクター注射──バブルフェイスの直接原因

PDGF(血小板由来成長因子)・VEGF・EGF(上皮成長因子)等を高濃度で顔面に注射する行為。規制外・美容サロン・オンライン購入製品での施術は特に危険。韓国・中国で深刻な被害が報告されている。

04
JAPAN RISK

日本への波及リスク──「再生医療」という言葉の乱用と読者への問い

「バブルフェイス」はまだ韓国・中国の問題か。
現時点では主にそう見えるが、日本への波及リスクを考える上で重要な構造がある。

「再生医療」という言葉の定義が曖昧なまま使われている

日本の再生医療等安全性確保法は細胞治療を対象とするが、グロースファクター注射の位置付けは曖昧だ。「再生系」「幹細胞由来」という広告表現を使った施術がグレーゾーンで提供されているリスクがある。

韓国・中国からの製品の個人輸入が容易

オンラインで購入できる製品の成分・品質を消費者が確認する手段は現状では限られている。「韓国製の高品質美容製品」というイメージを悪用した未規制製品の流入リスクがある。

SNSによる施術情報の急速な拡散

InstagramやTikTokでの「ビフォーアフター」投稿は、施術直後の見た目の改善(多くは浮腫)を「効果」として見せる。問題が顕在化する数ヶ月後には、投稿者自身が別のアカウントに移動している場合もある。

📋 施術前に確認すべきチェックリスト(NERO編集部まとめ)
「グロースファクター」「成長因子」「幹細胞」という言葉が含まれる施術は、必ず製品名・成分・承認番号を確認する
美容サロン・無資格者・オンライン購入製品での注射施術は受けない
「溶かせるか(修正可能か)」を施術前に必ず医師に確認する
「価格が安い・SNSで話題」という理由だけで選ばない
PRFは自己血由来で比較的安全性が高いが、施術者の資格・衛生管理を確認すること

NERO編集長
NERO編集長

臨床の現場を知る者として、この問題は「韓国の話」で終わらないと感じている。
日本でも「再生系」「幹細胞由来」という言葉を使った施術の広告は増えている。
ヒアルロン酸フィラーは「溶かせる」という安心感が浸透したが、グロースファクター系にはその「出口戦略」がない。
美容医療リテラシーの高い読者ほど、この非対称性を認識しておくべきだ。
NEROがこの問題を取り上げる理由は、「感情ではなく理解で選ぶ」という基本に立ち返るためだ。

「ナチュラル・再生系・成長因子」という言葉は、それ自体では安全を保証しない。
美容医療において「修正できるか」という問いは、施術を選ぶ前に必ず確認すべき最初の問いだ。
NERO編集長
NERO編集長

まとめ

  • 「バブルフェイス」は未規制グロースファクター注射による顔面組織過形成。韓国・中国で多発が報告されており、2026年7月に英国・米国のメディアが相次いで警告を発した。
  • ヒアルロン酸フィラーと決定的に異なる点は「溶解剤が存在しない」こと。ステロイド・外科手術後も成長シグナルが持続するケースがあり、長期影響は医学的に未解明だ。
  • 問題が広がる構造的要因は「規制の空白」「ナチュラル・再生系というブランディングの誤用」「初期の見た目の良さ」「偽造品の流通」の4点だ。
  • 日本でも「再生系・幹細胞由来」という言葉を使った施術のグレーゾーン提供は存在する。施術前に「この施術は修正可能か」を医師に確認することが最初のリテラシーだ。

よくある質問(FAQ)

Q
クリニックで「グロースファクター」「成長因子」という施術を勧められたらどうすればいいか?
まず「この施術で使う製品の正式名称・製造元・PMDA(医薬品医療機器総合機構)または厚生労働省の承認状況」を確認することを推奨する。次に「施術後に問題が起きた場合、修正・除去できるか」を明示的に質問してほしい。「溶かせない」「修正困難」という回答が出た場合は、施術の延期・別の医師へのセカンドオピニオンを検討すべきだ。
出典:Rajani MD. "Bubble Face // The Deadly Growth Factor Trend." 2026年5月; British Beauty Blogger July 2026
Q
PRF(多血小板フィブリン)はバブルフェイスと同じリスクがあるか?
PRFは患者自身の血液から作製する自己由来製品であり、未規制の外来グロースファクター製品とは本質的に異なる。自己血由来のため免疫反応・異物反応のリスクが低く、比較的安全性が高いとされている。ただしPRFも注射施術であるため、無資格者による施術・衛生管理不足による感染リスクはゼロではない。有資格の医師が適切な環境で行うことが前提だ。
出典:Rajani MD. "Bubble Face // The Deadly Growth Factor Trend." 2026年5月
Q
バブルフェイスになってしまった場合、治療法はあるか?
現時点では確立された治療プロトコルは存在しない。報告されている対処法はステロイド注射による炎症抑制・外科的な組織除去等だが、「成長シグナルをオフにする」根本的な手段が存在しないため、完全な回復が困難なケースが多い。これがこの問題の深刻さの核心だ。現在、韓国・中国の形成外科医が症例報告を積み上げており、治療ガイドラインの策定が模索されている段階だ。
出典:BloomingWell Medium "Growth Factor Injections Leave Patients Permanently Deformed" May 2026; British Beauty Blogger July 2026

出典・参考文献

  1. BritishBeautyBlogger (Jane Cunningham). "Beauty Business News July 2026." Substack. July 9, 2026.
  2. Rajani MD. "Bubble Face // The Deadly Growth Factor Trend !!" RajaniMD.com. May 2026.
  3. BloomingWell. "Growth Factor Injections Leave Patients Permanently Deformed." Medium. May 29, 2026.
  4. FDA. "FDA warns consumers not to use injectable products marketed as containing exosomes." FDA.gov. 2023(継続更新).
  5. Aesthetic Plastic Surgery. "Tracking 32 women who suffered growth factor complications at non-medical beauty spas." 2023.

※本記事はNERO DOCTOR/BEAUTY編集部が公開一次情報に基づき制作した業界レポートです。特定のクリニックや施術を推奨・批判するものではありません。施術の判断は必ず有資格の専門医への相談のうえ行ってください。

安達 健一
NERO DOCTOR/BEAUTY 編集長

この記事は、米国看護師(RN)・MBA保有のNERO編集長・安達健一が、世界の一次医療データをもとに監修しています。「感情ではなく理解で選べる美容医療」を届けるため、広告主からの影響を受けない独立した編集方針を貫いています。

NERO 安達健一