FOR DOCTORS

あなたは「インフルエンサーの推薦」で施術を決めたことがあるか──世界1,600人調査が突きつけた、美容消費者の本音

あなたは「インフルエンサーの推薦」で施術を決めたことがあるか──世界1,600人調査が突きつけた、美容消費者の本音

美容医療を考えるとき、あなたはどこから情報を集めるだろうか。

SNS、インフルエンサーの投稿、クリニックの広告、友人の口コミ、医師のブログ──
情報源は無数にある。でも、本当に信頼しているのはどれか。

ニューヨーク・ファッション工科大学(FIT)の大学院研究チームが
2026年、世界16カ国・1,600人超を対象にこの問いを投げかけた。
答えは、美容業界の「常識」を大きく揺さぶるものだった。

ニューヨーク・ファッション工科大学(FIT) "The Longevity of Beauty" 2026
世界16カ国・1,600人超・定量/定性複合調査
インフルエンサーを
「最も信頼する」のは
5%
75%
医師・皮膚科医を信頼
45%
友人・家族の口コミを信頼
5%
インフルエンサーを信頼
つまり医師は、インフルエンサーより15倍信頼されている

「そんなはずない、SNSは集客できているのに」と思うかもしれない。
でもこの数字が示しているのは、「集客できる」と「信頼されている」は別の話だということだ。
本稿では、この調査の核心を読み解きながら、日本の美容医療への示唆を問いかける。

この調査が示す最も「不都合なデータ」はこれだ。

FIT "The Longevity of Beauty" 2026 ── 調査結論より

"「NAD+・エクソソーム・エピジェネティクス」という言葉が
ブランドをより信頼できるものにすると答えた消費者はわずか14%
一方で56%は「老化の科学をもっとわかりやすく説明してほしい」と回答した。"

→ 消費者が求めているのは「専門用語」ではなく「わかりやすい説明」だ。

美容業界が「科学的権威性」を演出するために使う専門用語が、
実は消費者の信頼を下げている可能性がある。

業界の「思い込み」vs 消費者の「本音」

❌ 業界の思い込み

専門用語→科学的→信頼される

✅ 消費者の本音

専門用語→わからない→不信感

インフルエンサー推薦→購買に繋がる

インフルエンサー信頼5%・友人口コミ45%

ロンジェビティ訴求→高付加価値に見える

58%が「ロンジェビティは医学の領域」→美容ブランドへの懐疑

新トレンド連発→関心を引き続ける

85%が「製品選びに圧倒感」→選択疲れ

02
THE NUMBERS

全データを読む──2026年美容消費者の「信頼の地図」

主要データを一覧で整理する。
美容医療を選ぶ側も、提供する側も、知っておくべき数字だ。

🔵 信頼の構造

75%

皮膚科医・医師を「最も信頼する情報源」として選択

45%

友人・家族の口コミからブランドを知った(インフルエンサー経由5%の9倍)

5%

インフルエンサーを「最も信頼する情報源」に選んだ消費者

🟡 科学への態度

56%

「老化の科学をもっとわかりやすく説明してほしい」

14%

「NAD+・エクソソーム等の専門用語が信頼を高める」と回答した消費者

58%

「ロンジェビティは美容ではなく医学の領域」と認識している消費者

🔴 選択疲れと美容への態度

85%

「美容製品を選ぶことに圧倒感を感じる」(うち21%は毎回)

83%

ロンジェビティ系製品を「使用中または使用に前向き」

94%

上昇志向に疑問を持つ層が「美容を長期的な自己投資」と位置づけ

03
GLP-1 × BEAUTY

GLP-1ユーザーの「意外な本音」──健康より外見、不況でも美容は削らない

この調査にはGLP-1(マンジャロ・オゼンピック等)ユーザーのデータが含まれており、
業界の「常識」を覆す知見が出ている。

62%

のGLP-1ユーザーは「外見改善目的」

「健康のため」と回答したのは29%のみ。「GLP-1ユーザーは健康志向」という美容業界の想定とは逆の結果だ。
体重が落ちた後の「たるみ・萎縮」への美容医療需要が急増している背景と直結する。

72%

のGLP-1ユーザーがボディケアを購入

引き締め・肌弾力・筋肉サポート系製品への需要が急拡大。
GLP-1による急速な体重減少が「ボディの美容医療ニーズ」という新市場を生み出している。

40%

のGLP-1ユーザーは経済的ストレス下でも美容小物を購入(非ユーザーは16%)

不況でも美容への支出を維持する傾向が強い。「外見への投資=自己投資の継続」として位置づけているためだ。

04
FOR JAPAN

日本の美容医療への問い──「医師という信頼資産」を使い切れているか

この調査データを、日本の文脈で読み直す。

「医師を75%が信頼」「友人口コミが45%」「インフルエンサーは5%」──
この構造は、日本の美容医療においてどれだけ活かされているか。

問い① 医師が「自分の言葉で語る」情報発信をしているか

75%の消費者が医師を信頼している。それはつまり、医師が語る一言がインフルエンサーの投稿15本分の信頼力を持つということだ。クリニックが医師の声を前面に出しているか、が問われている。

問い② 「わかりやすさ」が差別化になっている時代

「NAD+」「エクソソーム」という言葉を並べるより、「なぜそれが肌に効くか」を平易に説明できるクリニックが選ばれる。専門用語は医師間のコミュニケーションには有効だが、患者向けには「信頼の障壁」になりうる。

問い③ 「ロンジェビティ×医療」は日本のクリニックの最大の強みになりうる

58%の消費者が「ロンジェビティは医学の領域」と認識している。これはブランドへの懐疑でもあるが、同時に「医療機関への期待」でもある。医師が提供する「予防×ロンジェビティ×美容」の統合アプローチは、最も高い信頼を持って受け入れられる可能性がある。

📋 この消費者行動の背景にある4つのマクロ力(同調査より)

社会的不確実性──経済不安・インフレが「確実なエビデンス志向」を強める

上昇移動への疑念──美容を「外からの変化」ではなく「長期的な自己投資」として捉える層が増加

認知疲労──情報過多が85%の「選択疲れ」を生み、信頼できる人間の声へ回帰させる

最適化志向──ロンジェビティ・生体データ・予防医療が美容の文脈で語られるようになった

NERO編集長
NERO編集長

この調査を読んで最初に感じたのは「NEROがやっていることは正しい」という確認だった。
「医師への信頼はインフルエンサーの15倍」「専門用語は逆効果」「口コミが最大の武器」──
これはNEROが創刊時から持ち続けている「感情ではなく理解で選ぶ美容医療」という編集方針と完全に一致する。
と同時に、日本の美容業界への問いでもある。
医師という「最強の信頼資産」を持ちながら、それを活かした情報発信が十分にできているクリニックはまだ少ない。
SNSのフォロワー数より、医師が語る一言の方が、患者の心に届く時代になっている。


「ロンジェビティ」という言葉を掲げるだけでは、もう届かない。
「なぜそれが効くのか」を医師が平易な言葉で語ること──
それが2026年の美容医療に求められている最大の差別化だ。
NERO編集長
NERO編集長

まとめ

  • ニューヨーク・ファッション工科大学の世界16カ国・1,600人超調査(2026年)。インフルエンサーを「最も信頼する」のは5%。医師・皮膚科医は75%が信頼し、信頼度はAI専門家の14倍だ。
  • 「NAD+・エクソソーム・エピジェネティクス等の専門用語が信頼を高める」と回答した消費者は14%のみ。一方56%は「老化の科学をわかりやすく説明してほしい」と回答している。専門用語の乱用は逆効果だ。
  • GLP-1ユーザーの62%は「健康目的」ではなく「外見改善目的」。ボディケア購入が72%に急増し、美容医療との連携需要が高まっている。
  • 日本の美容医療が持つ「医師という信頼資産」は、世界で最も高い価値を持つ。わかりやすく語れる医師こそが、2026年以降の差別化の核心になる。

よくある質問(FAQ)

Q
「ロンジェビティ(Longevity)」とは美容医療の文脈で何を意味するか?
ロンジェビティ(健康寿命延伸)は美容医療において「老化の補正・修復(アンチエイジング)」から「老化の予防・維持・最適化」へのパラダイムシフトを指す。コラーゲン産生の長期的維持・皮膚バリア機能の強化・生活習慣との統合が中心テーマだ。「老けて見えない」だけでなく「長期的に肌が健康であり続ける」という目標設定が特徴で、ロンジェビティ系施術にはバイオスティミュレーター・PRF・予防的スキンケアプロトコルなどが含まれる。
出典:FIT CFMM Capstone 2026 "The Longevity of Beauty"; BeautyMatter July 2, 2026
Q
美容クリニックを選ぶ際に信頼できる情報源は何か?
この調査の結論として推奨順に並べると①皮膚科医・医師が自ら発信する情報(公式メディア・医師ブログ・学会発表等)②実際に受診した知人・友人の体験談③医師監修が明確なメディア情報、となる。インフルエンサーのPR投稿・クリニックの広告のみを根拠にすることはリスクが高い。また「科学的専門用語が多い=信頼できる」という判断基準も誤りで、むしろ「平易な言葉で丁寧に説明する医師」の方が信頼性が高い傾向がある。
出典:FIT CFMM Capstone 2026 "The Longevity of Beauty"; BeautyMatter July 2, 2026
Q
18〜29歳と45〜60代で美容への関心の軸は違うか?
大きく異なる。18〜29歳の72%は「レジリエンス(回復力)重視」で情報獲得に積極的(39%が「もっと説明がほしい」)。一方45〜60代の57%は「外見志向」だが、60代以上の47%は「科学的主張はマーケティング」として懐疑的だ。つまり若い世代には「わかりやすい科学の説明」が刺さり、上の世代には「実績・口コミ・医師への直接的信頼」が有効という設計の違いがある。
出典:FIT CFMM Capstone 2026 "The Longevity of Beauty"; BeautyMatter July 2, 2026

出典・参考文献

  1. FIT CFMM (Cosmetics and Fragrance Marketing and Management) Class of 2026. "The Longevity of Beauty." Capstone Research. New York: Fashion Institute of Technology. 2026.
  2. Condell O. "FIT Study Finds Longevity Is Reshaping Beauty Through Trust, Science, and Healthy Aging." BeautyMatter. July 2, 2026.
  3. BeautyMatter. "Longevity Is Reshaping Beauty as Consumers Demand Science, Personalization, and Proven Results." June 28, 2026.
  4. Technology.org. "Why Skin Longevity Is Becoming the Next Frontier of Cosmetic Science." June 30, 2026.

※本記事はNERO DOCTOR/BEAUTY編集部が公開一次情報に基づき制作した業界レポートです。特定のブランドや施術を推奨するものではありません。

安達 健一
NERO DOCTOR/BEAUTY 編集長

この記事は、米国看護師(RN)・MBA保有のNERO編集長・安達健一が、世界の一次医療データをもとに監修しています。「感情ではなく理解で選べる美容医療」を届けるため、広告主からの影響を受けない独立した編集方針を貫いています。

NERO 安達健一