ISAPS Global Survey 2024 × IMCAS China 2026 × VOGUE JAPAN
「二重にしたい」「目元をパッとさせたい」──
美容医療を検討するとき、最初に思い浮かぶのが目元という人は多い。
その感覚は、世界の統計と一致している。
国際美容形成外科学会(ISAPS)の集計で初めて、
「眼瞼手術(二重まぶた・眼瞼下垂手術)」が世界で最も多い外科美容施術になった。
213万件・前年比13.4%増。ISAPSの長期集計で上位を維持してきた脂肪吸引を、初めて抜いた。
これは単なる施術人気の話ではない。
「美容医療で何を変えたいか」の世界的な変化を示している。
ダイエット・脂肪吸引のような「体型を変える」から、
「目元・輪郭・顔全体の印象を整える」方向へ。
VOGUE JAPANが報じた「東は埋める・西は削る」という対比も、
この大きな流れの一断面だ。
では、その先に何があるのか。数字から読み解く。
- ✦「二重・眼瞼手術が世界No.1」が示す、美容医療の大きなシフト
- ✦バッカルファット除去・複合施術が増えている背景──世界と日本で今、何が起きているか
- ✦「この施術を1つ受ければOK」という時代は終わりつつある──「構造設計」とは何か
- ✦【クリニック選びのヒント】失敗しないために「全体設計できる医師か」を見分ける方法
- ✦【業界・経営の視点】「得意技1本」では生き残れない時代に何が求められるか
INDEX
眼瞼手術が世界No.1になった「本当の意味」──
ISAPS Global Survey
ISAPS(国際美容形成外科学会)が2025年6月に発表したグローバルサーベイは、
美容医療の歴史を変えるデータを含んでいた。
前年比13.4%増。脂肪吸引を抜いた。
眼瞼手術がNo.1になった意味を考えると、興味深い。
眼瞼手術は「量を変える」施術ではなく、
「目の開き・形・印象を変える」施術だ。
「体を細くする脂肪吸引」より「顔の印象を変える眼瞼手術」が勝った──
少なくとも世界の外科美容で「顔まわりの介入」の存在感が強まっていることを示すシグナルと読める(NEROの解釈)。
日本・中国・韓国・タイなどで非常に多く行われている。
Plastic Surgery(2025年・PMC11723682)では、East Asian blepharoplasty という用語を使い、
東アジアの眼瞼形成術には独自の解剖学的配慮が必要だと整理している。
同論文は市場トレンドではなく用語・多様性の整理が主眼であり、
「欧米とは異なる解剖学的設計が必要」という点の根拠として活用できる。
バッカルファット除去・複合施術が追跡対象に──
「何が施術として数えられるか」が変わった
ISAPS のサーベイには、もう一つ重要な変化がある。
今回からバッカルファット除去・手の若返り(脂肪注入)・複合施術・えくぼ形成などが
新たに追跡対象に追加された(Dr. Amin Kalaaji・ISAPS Global Survey Chair)。
ISAPSは「美容領域の新興トレンドを反映するため」と説明している。
つまり、美容医療は「豊胸・脂肪吸引・隆鼻」という従来の3大手術から、
より細かく・複合的な顔の設計施術へと多様化している。
手の若返り(脂肪注入):顔だけでなく「顔以外のエイジングケア」への関心の広がり
複合施術(Combined Procedures):単品手術ではなく複数手技の同日・連続実施が増加
えくぼ形成・陥凹ニップル修正:「量を変える」から「形を変える」細部への関心の高まり
「削るvs埋める」を超えた先──
「顔の構造を全体で設計する」という次の潮流
VOGUE JAPANが提示した「東は埋める・西は削る」という対比は、
文化論として面白い視点だ。
でも業界はすでにその先に進んでいる。
「削るか・埋めるか」の二択より、「顔全体をどう見せるか」の設計が主役になりつつある。
「頬を削りたい→バッカルファット除去を受ける」
パーツを個別に変えることを目標にする。
目・頬・輪郭・肌質をどう組み合わせて整えるか」を医師が設計する。
ヒアルロン酸・ボトックス・RF・レーザーなどを組み合わせて、
1回で変えるのではなく複数回に分けて整えるアプローチ。
IMCAS China 2026でも、この「コンビネーション設計」が前面に出ている。
さらにISAPS が「複合施術を追跡対象に加えた」のも、
この流れが無視できないほど大きくなったからだ。
東アジアで「埋める」・欧米で「削る」──どちらも正しい一面はある。
でも両方に共通しているのは、
「顔全体をどう見せるか」に対する執着が強まっているという事実だ。
それが「構造設計時代」の到来を意味している。
日本は世界3位。日本市場の施術傾向と
「構造設計」への移行
ISAPS で日本は世界第3位(米国・ブラジルに次ぐ・AmSpa経由のISAPS要約)だ。
ただし日本では低侵襲・非外科的施術への関心が高いとみられる。
ボトックス・HA注入・レーザーなどが多く選ばれている印象はあるが、
日本国内の施術種別データは今回の確認ソースでは直接取れていない点をお断りする。
「複数手技を組み合わせた設計」を提案するには、
医師が患者の顔全体を評価する診察時間・体制・コミュニケーション設計が必要になる。
「構造設計を提案できるクリニック」と「単品施術を繰り返すクリニック」の差は、
10年後の患者の顔の仕上がりに大きく反映される。
「AIスキン診断×複合施術設計」という方向性はIMCAS China 2026が示しているが、
日本での普及時期は予測の域を出ない。今後の動向に注目したい。
【クリニック選びのヒント】
「先生の得意技」より「全体設計できるか」を問う時代
「このフィラーが上手な先生」「このレーザーがある」「インスタで人気」──
そういう選び方で、なんとなく通い続けている人は多いのではないか。
でもISAPSのデータが示す「構造設計時代」には、クリニックの見方も変わる。
「何が得意か」より「顔全体を見て、どう提案してくれるか」が判断軸になる。
「今きれいになる」より「年を重ねても自然でいられる設計」を一緒に考えられる医師かを見る
「この施術一択」ではなく「あなたの場合はこれとこれが合う、これは不要」と答えられる医師を選ぶ
データに基づく設計があるかを確認する
「不要な施術を断れる医師」は、患者の顔を全体で見ている証拠だ
まとめ
- ✦ISAPS Global Surveyで眼瞼手術(213万件・前年比13.4%増)が史上初めて世界No.1外科施術になった。ISAPSで長年上位を維持してきた脂肪吸引を抜き、美容医療の関心が「体型」から「顔の表情と構造」へシフトしたことを示す(ISAPS 2025年6月発表)。
- ✦ISAPS から新たにバッカルファット除去・手の若返り(脂肪注入)・複合施術・えくぼ形成などが追跡対象に追加された。これは「パーツ単位の単品施術」から「顔全体の複合設計」への業界移行を示している。
- ✦「東は埋める・西は削る」という文化的対比(VOGUE JAPAN)の先で、IMCAS China 2026・ISAPS ともに「AI診断+コンビネーション設計」という方向性を示している。「削るか埋めるか」の二項対立を超えた「顔の構造設計」が次の潮流だ。
- ✦日本は世界第3位(米国・ブラジルに次ぐ、AmSpa経由のISAPS要約)。施術内訳の詳細データは今回確認できていないが、低侵襲・低ダウンタイムの施術への関心が高いことは業界の共通認識だ。「構造設計を提案できるクリニック」と「単品施術を繰り返すクリニック」の差は、患者の長期的な仕上がりに反映される。カウンセリングで「長期設計・複合提案・理由の説明」ができる医師を見分けることが重要だ。
よくある質問
出典・参考文献
- ISAPS. "New Global Aesthetics Report: A Shift Towards Facial Surgery Globally as Eyelid Ranks Top Procedure." PRNewswire. June 20, 2025. prnewswire.com
- ISAPS Global Survey 2024全文. isaps.org
- AmSpa(ISAPS 2024要約). "ISAPS Annual Statistics Now Available." 2025. americanmedspa.org(HA 630万件・日本3位は同要約より)
- PMC11723682. "Embracing Diversity in Asian Facial Morphologies: Rethinking Terminology in Eyelid Surgery." Plastic and Reconstructive Surgery. 2025. pmc.ncbi.nlm.nih.gov
- IMCAS China 2026公式サイト. imcas.com
- VOGUE JAPAN. "Comparing Plastic Surgery Trends in the East and West." vogue.co.jp


