美容医療を「始めた」人のうち、「続けられている」のは3割だ。
2025年12月に実施され、2026年1月に公表された実態調査(有効回答411名・20〜60代の美容医療経験者・検討者対象)で、この数字が明らかになった。
美容医療経験者のうち月1回以上定期通院できているのはわずか約3割。
7割は定期通院ができていない状態だ。
同調査ではさらに2つの注目すべきデータが示された。
美容医療を続けるうえで重要な要素として「信頼できる医師に継続して診てもらえること」を挙げた人が45.0%で最多だった。
また、「信頼できる医師に継続して診てもらえる仕組み(いわば"かかりつけ美容医療")」への利用意向は95%に達した。
ニーズはある。でも続かない。この矛盾の正体は何か。
できているのは3割
「信頼できる医師」を選択(最多)
利用意向あり
美容医療が「続かない」理由は、個人の意志の問題ではない。
同調査と複数の市場データが示す「挫折の3大理由」はこれだ。
費用──「毎月続けるには高すぎる」
1回ごとの単価は払えても「毎月続ける」という継続コストの設計が患者側にできていない。クリニック側も「1回の施術価値」は訴求するが「続けることの設計」を提案していないケースが多い。
通院コスト──「忙しくて予約が取れない・行けない」
日本の美容クリニックの多くは都市部・夜間・土日に集中しているが、予約が取りにくく「行けるタイミングが合わない」ことが継続の壁になる。テレヘルス・オンライン診療との組み合わせが解決策として注目されている。
効果不透明──「続けることの意味がわからなくなる」
美容医療の多くは「やめると戻る」効果を持つが、「なぜ続けるべきか」を医師が丁寧に説明していないと、患者は「やめても変わらないかも」と判断して離脱する。肌の「変化の見える化」が継続率向上の鍵だ。
この継続率の問題は、日本の美容医療市場が急拡大している文脈でこそ重要だ。
市場全体の施術件数は伸びている一方、2026年1月公表の実態調査では月1回以上の定期通院率が約3割にとどまる。この2つのデータは同じ母集団を追跡したものではないため、「新規患者のほとんどが離脱している」とは言い切れないが、「市場は拡大しているのに、定期的に続けられている人は少数派」という傾向が浮かび上がる。クリニック経営の観点では「新規集客コスト増×既存顧客定着率の課題」という構図を示唆するデータと言える。
実際に「続けやすい仕組み」を整えたクリニック・サービスでは、
初回利用者の9割以上が2回目も継続しているというデータも存在する。
その差を生み出す仕組みとは何か。
仕組み① 「次回予約を今決める」設計
施術後に「次は〇週間後に来てください」と言うだけでなく、その場で次回予約を完了させる。離脱はほとんど「次回を決めていないとき」に起きる。
仕組み② 「変化の見える化」で動機を持続させる
施術前後の写真・肌スコア・数値的変化を定期的に見せることで「続けている意味」を患者が実感できる。美容医療は「続けることで効果が積み上がる」ものが多く、この実感なしには離脱が起きやすい。
仕組み③ オンラインと対面の組み合わせで通院ハードルを下げる
月1回の対面施術に加え、中間のオンライン相談・ホームケア指導を組み合わせる「ハイブリッドモデル」が、継続率の向上に有効だという知見が蓄積されている。
費用が高く毎月は難しい → サブスクリプション型・プラン型クリニックを探してみる
予約が取れない・通院が大変 → オンライン相談対応クリニックを検討する
「続ける意味がわからなくなった」 → 担当医師に「なぜ継続が必要か」を直接質問する
「次回いつ来ればいいかわからない」 → 次回予約を施術当日に決める習慣をつける
まとめ
- 2025年12月に実施され2026年1月に公表された実態調査(有効回答411名)。美容医療経験者のうち月1回以上定期通院できているのは約3割。美容医療を続けるうえで重要な要素として「信頼できる医師に継続して診てもらえること」が45.0%で最多、また"かかりつけ美容医療"的な仕組みへの利用意向は95%に達した。
- 挫折の3大理由は「費用(74.7%)」「通院負担(34.3%)」「効果不透明(25.3%)」。JSAPS調査ベースでは2019〜2023年の実施件数が約1.5倍に増加(※JSAPS会員施設集計)、ホットペッパービューティーアカデミー調査では20代男性のリピート経験率が77.1%。ただし77.1%は同一施術・同一クリニックへの継続ではなく、別施術・別クリニックも含む「リピート経験率」であることに注意が必要だ。
- 市場全体の施術件数はJSAPS調査ベースで2019〜2023年に約1.5倍(※JSAPS会員施設集計)。ホットペッパービューティーアカデミーの調査では20代男性のリピート経験率が77.1%だが、同一クリニックへの継続率ではなく別施術・別クリニックも含む広い指標だ。2026年1月公表調査の「月1回以上の定期通院率3割」と市場拡大データは異なる母集団であり直接比較はできないが、「市場は拡大しているのに定期的に続けられている人は少数派」という傾向が示唆される。
- 解決策として「次回予約の当日決定」「変化の見える化」「オンライン×対面ハイブリッド」という仕組み設計が考えられる。「続けやすい仕組み」を整えたサービスでは初回利用者の9割以上が2回目も継続しているとのデータもあり、仕組みの設計が継続率を左右する可能性を示している。
よくある質問(FAQ)
出典・参考文献
- 株式会社Neautech.「肌投資と美容医療の継続に関する実態調査」. PR TIMES. 2026年1月20日公表.(調査実施:2025年12月2〜8日・有効回答411名・インターネット調査)
- ホットペッパービューティーアカデミー.「美容医療編/美容センサス2025年下期 男女の美容医療に関する意識調査」. 2025年12月.(77.1%はリピート経験率。継続率とは定義が異なる)
- 日本美容外科学会(JSAPS).「第7回全国美容医療実態調査 最終報告」. 2025年.(※JSAPS会員施設集計値。市場全体の数値とは異なる)
- 日経ビジネス Special.「拡大を続ける美容医療。質の高い安全な環境づくりが急務に」. 2025年.(元データはホットペッパービューティーアカデミー「美容センサス」)
※本記事はNERO DOCTOR/BEAUTY編集部が公開一次情報に基づき制作した業界レポートです。特定のサービス・クリニックを推奨するものではありません。


