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最新データと背景が示す60万人の日本人が韓国で美容医療を受けた理由──数字が語る「日本の美容医療」への問い

最新データと背景が示す60万人の日本人が韓国で美容医療を受けた理由──数字が語る「日本の美容医療」への問い

「韓国に行って皮膚科に寄ってくる」

この言葉が、旅行の計画として当たり前になりつつある。
SNSには「韓国で打ってきた」「ソウルで肌ケアしてきた」という投稿があふれ、
美容目的の渡航が一つの文化として定着しつつある。

韓国保健福祉部は2026年4月24日、2025年の「外国人患者誘致実績」を発表した(国内報道は4月27日ごろ広く配信)。
数字はこうだ。
2025年に韓国で医療を受けた外国人患者は約201万人──過去最多、前年比71.9%増。
そのうち日本人は約60万人で全体の29.8%を占め、中国人(約62万人)に次ぐ第2位だった。

改めて、この数字が示しているのは単なる「旅行のついで」ではない。
日本の美容医療市場に対して、患者が何かを求めて別の場所に行っているという事実だ。
なぜ、60万人は韓国を選んだのか。

📋 この記事でわかること
  • 韓国保健福祉省の公式データ:201万人・日本人60万人・29.8%の内訳
  • 診療科目の内訳:皮膚科62.9%・美容外科系11.2%──何を目的に行っているか
  • 「韓国を選ぶ理由」の構造──価格・技術・文化・SNS
  • 2026年の変化:美容整形免税制度の終了と円安の影響
  • NERO編集部の問い:この数字は日本の美容医療に何を示しているか

データの全体像──201万人、3年連続過去最多

201万人
2025年・韓国を訪れた
外国人患者総数
(前年比71.9%増・3年連続最多)
60万人
うち日本人
(全体の29.8%・国別2位)
前年比36.0%増
62.9%
診療科目別・皮膚科が最多
美容外科は11.2%
美容目的が圧倒的多数

出典は韓国保健福祉省の公式発表(2026年4月27日)と時事通信・日経新聞等の国内報道。
2023年から毎年2倍規模の増加を見せており、統計開始(2009年)以来の最多記録を3年連続で更新した。

注目すべきは診療科目の内訳だ。
皮膚科が62.9%で最も多く、美容外科系(성형외과・11.2%)を大きく上回る。
「韓国に行って整形してくる」というイメージとは異なり、多くの人が「皮膚ケア・肌質改善」を目的に渡航していることが数字に表れている。

何を受けに行っているか──韓国の皮膚科で人気の施術

人気
シミ取り・トーニングレーザー──ダウンタイムが少なく旅行中でも受けやすい。日本より施術単価が低い傾向があり、複数回通いやすい
人気
サーモンDNA注射(PDRN)・エクソソーム──再生系スキンブースターの種類が豊富で、日本未承認の製剤も含む。日本で受けにくい施術を求める層が多い
注意
注入系(ボトックス・フィラー)──日本と同様の施術だが、帰国後に何か問題が起きた場合のアフターケアが受けにくいというリスクがある

「韓国を選ぶ理由」の構造

なぜ60万人の日本人が韓国を選んだのか。「安いから」だけでは説明できない複数の理由がある。

① 施術の種類の豊富さ
PDRN・PN・エクソソームなど日本では承認されていない製剤や、最新の機器施術が先行して使用可能。「日本では受けられないものを受けに行く」という動機が一定数ある。
② 皮膚科クリニックの密度と専門性
ソウル江南・明洞エリアには皮膚科クリニックが高密度に集積しており、皮膚科専門医によるレーザー施術が競争環境の中で磨かれてきた。「外国人慣れ」した対応も整備されている。
③ K-POPとSNSが作った「美容医療文化」
K-POPアーティストの肌への関心がSNSで広がり、「韓国の肌ケア」に対する信頼感が醸成された。「韓国で皮膚科に行く」というロールモデルが可視化されることで、行動のハードルが下がった。
④ 旅行との組み合わせという設計
「ソウル旅行のついでに皮膚科へ」という設計で、施術コストを旅行費用の一部として捉えられる。ダウンタイムが少ない施術を選べば、観光も美容も両立できる。

2026年の変化──「安さ」の前提が揺らいでいる

ただし2026年以降、「韓国=安い」という前提に変化が生じている。

⚠️ 2026年に変わった重要な前提
美容整形免税制度(付加価値税還付)が2025年12月31日で終了。外国人患者への施術費10%還付がなくなり、価格競争力が一定程度低下した
円安の継続。渡航費・滞在費・施術費の総額で計算すると、「日本で受けるのと変わらない」あるいは「高くなる」ケースも出てきている
2025年の数字は免税制度終了前の年のもの。税制優遇終了後も需要が維持されるかは今後の確認が必要だが、少なくとも価格以外の要因(施術の多様性・文化的親和性等)も議論されている

NERO編集長 安達健一
NERO編集長 安達健一

60万人という数字を見て、最初に考えたのは「なぜ日本では満たせないのか」という問いだった。
価格・施術の種類・専門性・SNSの文化──全てが重なっている。
「安いから行く」だけでは、免税制度が終わった後も増え続けていることの説明がつかない。

一方で、帰国後のアフターケア・トラブル対応という問題は無視できない。
韓国で受けた施術に問題が起きたとき、日本のクリニックが対応を断るケースがある。
この「渡航美容医療のリスク」を含めて正直に語れるメディアが必要だと思っている。
NEROwはその問いを続けて取材していく。
NERO編集長 安達健一
NERO編集長 安達健一

まとめ

  • 韓国保健福祉省の公式発表(2026年4月27日):2025年に韓国を訪れた外国人患者は前年比71.9%増の約201万人。統計開始以来3年連続で過去最多を更新。
  • 日本人は約60万人で全体の29.8%・国別2位(1位は中国人約62万人)。前年比36.0%増。診療科目は皮膚科が62.9%で最多、美容外科系よりも「肌ケア・皮膚施術目的」が圧倒的に多い。
  • 「韓国を選ぶ理由」は価格だけではない。施術の種類の豊富さ・皮膚科の専門性・SNSで醸成された文化・旅行との組み合わせという複合的な要因がある。
  • 2025年12月末に韓国の美容整形免税制度(VAT還付特例)が終了し、円安継続も重なって価格面でのメリットは低下している。2025年の増加数字は制度終了前の年のもので、2026年以降の行動変化は今後の確認が必要だ。価格以外の要因(施術の多様性・文化的親和性等)も議論されているが、統計のみからの断定は難しい。帰国後のアフターケア・トラブル対応リスクも含めて考えることが重要だ。

よくある質問(FAQ)

Q
韓国で美容医療を受けるリスクはあるか?
主なリスクは「帰国後のアフターケア」だ。韓国で受けた施術に問題が起きた場合、日本のクリニックが「他院施術」として対応を断るケースがある。また日本未承認の製剤を使用した場合、日本国内での再施術や経過観察が難しくなる可能性がある。渡航前に施術の種類・使用製剤・帰国後の対応について十分に確認し、信頼できるクリニックを選ぶことが重要だ。外国人患者誘致医療機関として登録されているクリニックかどうかの確認も推奨される。
Q
2026年以降も韓国の美容医療は日本より安いか?
施術の表示価格だけで比較すると安いケースが多いが、渡航費・宿泊費・通訳費・帰国後の経過観察コストを含めた「総額」で比較することが重要だ。2025年12月末に美容整形免税制度(付加価値税10%還付)が終了したことに加え、円安の継続により、「日本で受けるのと変わらない」あるいは「高くなる」ケースも出てきている。受診時点の為替・クリニック公式情報で総額を比較することを推奨する。
出典:レディアンクリニック六本木「韓国美容医療おすすめ施術2026」
Q
韓国の皮膚科で受けた施術、帰国後に日本のクリニックで続けられるか?
施術の種類による。ボトックスやヒアルロン酸など日本でも承認されている製剤であれば、帰国後に日本のクリニックで継続が可能なケースが多い。ただし「他院施術」として扱われ、追加費用が発生したり対応を断られるケースもある。PDRN・エクソソームなど日本未承認の製剤を使用した場合は、日本国内での再施術・経過観察が制限される可能性がある。渡航前に「帰国後の継続計画」も含めて検討することを推奨する。

出典・参考文献

  1. 韓国保健福祉部.「外国人患者誘致実績」. 2026年4月24日発表(2025年分データ).(国内報道は4月27日ごろ広く配信)
  2. 時事通信.「韓国へ『医療観光』、過去最多 美容など、日本人が3割──25年」. 2026年4月27日.
  3. 日本経済新聞.「韓国、美容医療が外国人客を魅了 首都と皮膚科に偏る医師」. 2026年7月11日.
  4. ライブドアニュース.「ほぼ3分の1が日本人、大半が整形などの美容医療 韓国を訪れた"外国人患者"200万人超え」. 2026年4月25日.
  5. レディアンクリニック六本木.「韓国美容医療おすすめ施術2026」. 2026年7月.

安達健一

安達 健一 NERO DOCTOR/BEAUTY 編集長

日本・米国看護師(BSN)・MBA保有。
世界の一次医療データをもとに監修。
広告主からの影響を受けない独立した編集方針を貫いています。