アートメイクが原因でMRIを断られた人も!でも受けたい……ならどう備える?

アートメイクが原因でMRIを断られた人も!でも受けたい……ならどう備える?

アートメイクが原因でMRIを断られた方がいることをご存知ですか?実はこれ、本当です。では、アートメイクをしたすべての方が、MRIなどの精密検査が受けられなくなるのでしょうか。そこで今回は、アートメイクに興味がある方やこれからアートメイクを受けようと考えている方に向けて、アートメイクとMRIの関係や注意点などを紹介します。

1.アートメイクとMRIの関係とは?

出典:photoAC

「眉毛アートなどのアートメイクやタトゥーをするとMRIを受けられない」と思っている方もいらっしゃるでしょう。厳密にいうと、できない場合とできる場合にわかれます。まずはMRIとはどういうものなのか、なぜアートメイクをしている方が、MRIがNGとなるのかを見ていきましょう。

■そもそもMRIとは?

MRIとは「Magnetic Resonance Imaging」の略で、日本語だと「磁気共鳴画像」という意味です。トンネル型の装置に横になったまま入って、磁場と電波を使って体をスキャンすることで、体内を断面的にチェックできます。

頭部や関節、脊椎、子宮などさまざまな部位を細かく確認でき、病気や腫瘍のほか、がんなどを発見するために役立つ機器です。

■なぜアートメイクをしているとMRIがNGなの?

では、アートメイクをしている方がMRIをするとどうなるのでしょうか?
前述したように、MRIでは体をスキャンする際に、磁場や電波を使います。強力な磁力の作用で体の水分を共鳴させ、照射した電波によって送信された信号を画像にするという仕組みです。

MRIで使用する電磁波は金属に反応してしまうため、MRI検査をする際はアクセサリーなどの金属類を外さなければなりません。金属類をつけたままだと診断画像が乱れ、正確な診断ができなくなる恐れがあります。また、やけどを起こすケースもあるのです。

現在使用されているアートメイクの顔料には、微量の金属成分が含まれています。しかし以前のアートメイクや美容クリニック以外での施術に使われていたインクには、多くの金属成分が含まれている場合も。

微量の金属成分であれば、MRI検査の結果に大きな影響は及ぼさないといわれていますが、多量の金属成分が含まれていると、アートメイクした眉など目元にやけどや皮膚トラブルが起きます。

不鮮明な診断画像を用いることは、診断に影響するだけではなく手術にも悪影響を及ぼす可能性があるため、注意しなければなりません。

■アートメイクをしていると絶対に検査は受けられないの?

アートメイクをしていると絶対にMRI検査を受けられなくなるのでしょうか?

実は「絶対にNG」ではありません。先ほども説明したように、最近のアートメイクに使用する色素に含まれる金属含有量は低くなっています。

そのため、「アートメイクをしてMRIを受けても大丈夫」といわれているのです。また、脳や骨の病気は命に関わるため、病気の治療を優先するためにMRI検査を行う傾向にあります。

■MRIを受けられない場合はどうなる?

万一「MRI検査が受けられない」となった場合、他の方法で検査することはできるのでしょうか。それとも、アートメイクをしているとCTなどの検査もできないのでしょうか。

MRI以外で考えられる検査は、CTや超音波検査などです。いずれもアートメイクしていても検査を受けることは可能ですが、デメリットもあるため確認しておきましょう。

主なデメリットは、CT検査では被ばくの可能性が考えられるため、妊娠中の方はできるだけ避けたほうが良い点です。超音波検査は母体や赤ちゃんにも無害のため検査OKですが、脂肪が邪魔して確認したい部位が見えにくいケースが考えられます。

2.「リスクはあるけどアートメイクをしたい」どうしたら良い?

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アートメイクに関するリスクを理解したうえで、「やっぱりアートメイクをしたい」と思ったときにチェックしてほしいポイントが2つあります。それは、FDA認可の原料を使ったインクまたはMRI SAFEのインクを使用しているかという点です。

■FDA認可の原料を使ったインクを使用

FDAとは「Food and Drug Administration」の略で、アメリカ食品医薬品局のことです。日本でいう厚生労働省のような機関で、消費者の安全な生活のため、さまざまな製品をチェックしています。

FDA認定を受けた原料を使ったインクは、金属含有量が少ない点が特徴です。金属含有量が少なければ、万一のときにMRIを受けることができたり、MRIによるやけどのリスクを軽減できたりするでしょう。ただし、使用するMRIによっては微量の金属でも反応する場合があることも覚えておいてください。

■MRI SAFEのインクを使用

名前のとおり「MRIを受けてもOK」とするMRI SAFEのインクもあります。現在の技術では、アートメイクをする場合、どうしても金属が含まれるインクでなければ施術できません。MRI SAFEのインクはMRI検査ができるように、できる限り金属の含有量を抑えて作られています。

3.アートメイクをしている方がMRIを受ける際に注意すること

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最後に、これからアートメイクをする方や、アートメイクをしている方に知っておいてほしい注意点を紹介します。

■医師に申告する

アートメイクをしている方は、検査に影響が出たりやけどしたりするリスクがあるため、必ず事前に医師に申告してください。アートメイクをしてから年数が経過し、薄くなっている場合でも申告しましょう。

10年前や20年前に施術したアートメイクのインクには、多くの金属が含まれている可能性があります。たとえ施術から10年後であっても金属が残っていると、MRI検査にてやけどするリスクがあるためです。

基本的には、事前の問診票やカウンセリングなどでアートメイクについて聞かれますが、問診票にアートメイクの項目がなくても、念のため申告するようにしてください。申告しておけば、アイマスクなどで冷やしながら検査するなどの対応が行われます。

■ダウンタイム中のMRIはNG

アートメイク施術直後はもちろん、施術後1~2週間はMRI検査を受けることはNGです。ダウンタイム期間は肌が敏感になっています。FDA認可の原料使用のインクや、MRI SAFEのインクであれば、MRI検査の結果に影響は出にくいものの、アートメイクの仕上がりに影響が出る可能性があるためです。

万一、MRI検査を受けなければならない場合は、2週間以上経過してから検査するようにしましょう。

■目を開けたままにしない

アートメイクは、眉毛やアイライン、唇などに施術します。とくにアイラインのアートメイクをしている方は、目を開けたままMRI検査を受けないようにしましょう。

実はMRI検査では、円状になっている部分が発熱しやすくなります。例えば、アイラインの上下にアートメイクをしている場合、目を開けたままだとアートメイクの部分が円状になってしまいます。やけどのリスクを軽減するためにも、目を閉じて検査を受けてください。

■アートメイクを受けたクリニックに確認する

最近のアートメイクでは金属含有量が少ないインクを使用していますが、念のためアートメイクを受けたクリニックに「どんなインクを使用したのか」と確認しておくと安心です。また、これから施術を受ける予定の方は、「万一のときはMRIを受けても大丈夫なインクなのか」を確認しておきましょう。

■まとめ

現在、アートメイクに使うインクには、ごくわずかな金属しか含まれないため、基本的にはMRI検査は受けられるでしょう。しかし、美容クリニック以外の違法なサロンなどでは、昔使われていた金属含有量が多いインクを使っているかもしれません。「お得だから」と違法なサロンを利用すると、トラブルの原因になる可能性があるため注意しましょう。また1度でもアートメイクを受けたことがある方は、MRI検査を受ける前に医師に申告することを忘れないようにしてください。

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