
アクアフィリング豊胸について、分かりやすく解説します。「アクアフィリング豊胸はやばい?」と感じるような話を聞いたことがある方もいるでしょう。
この記事では、アクアフィリング豊胸のリスクや他の治療法についてまとめています。
豊胸に興味がある方をはじめ、過去に「アクアフィリング」の注入治療を受けてお悩みの方は、参考にしてください。
INDEX
アクアフィリング(アクアリフト)豊胸とは
アクアフィリング豊胸とは、「アクアフィリング(AQUAfilling®)」という注入剤をバスト内に注射し、ボリュームアップしたり形を整えたりする豊胸術のことをいいます。
「アクアフィリング」は、塩化ナトリウム溶液98%、コポリアミド2%で構成された親水性ゲルです。
アクアフィリング豊胸は、アクアリフト豊胸とも呼ばれます。
メスを使わずに注入することで悩みにアプローチできる、施術時間が短くダウンタイムもほぼない、バストの触り心地がやわらかいといったメリットがあります。過去には多くのクリニックで実施されていました。
アクアフィリング豊胸は危険性が指摘されている?過去に起こったトラブル例を紹介

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アクアフィリング豊胸は、トラブルが増加したことから現在は自粛する流れとなっています。事例をもとに、アクアフィリング豊胸の危険性をチェックしていきましょう。
■【アクアフィリング豊胸のトラブル事例1】しこりができる
アクアフィリング豊胸後のバストはやわらかな触り心地が特徴とされていますが、場合によっては大きなしこりを生じることも。
しこりができるとゴツゴツとした見た目になり、乳腺腫瘤などとの区別がつきにくくなってしまうケースもあります。
クリニックによっては、麻酔をかけてマッサージすることもありますが、それをきっかけに炎症が起こる可能性も否定できないため、注意しましょう。
■【アクアフィリング豊胸のトラブル事例2】炎症が起こる
バスト内で炎症が起こり、腫れや発赤、痛みが生じるケースも。
場合によっては、抗菌薬投与や針を刺して「アクアフィリング」を取り除くといった治療で症状が改善しないこともあります。
このようなケースでは、脇や乳房下縁の皮膚を切開し、過去に注入した「アクアフィリング」の一部またはすべてを除去する必要があります。
アクアフィリング豊胸後は、一定以上の時間が経過していても、授乳などを機に手術を要するほどの感染や炎症が引き起こされることがあるため、注意が必要です。
■【アクアフィリング豊胸のトラブル事例3】体内を移動する
「アクアフィリング」が、乳房下縁のラインを超えて他の部位に移動するリスクもあります。
ある研究報告によると「アクアフィリング」を使用した症例の8.2%に移動が確認されています。
お腹・背中・股間など、移動した先で感染や閉塞症を引き起こすケースもあるため、要注意です。
なお、移動した「アクアフィリング」を取り除く場合は、切開による手術が必要です。
■【アクアフィリング豊胸のトラブル事例4】授乳ができなくなる
「アクアフィリング」が体内を移動し、母乳の通り道である乳管で閉塞を引き起こした場合は、授乳が困難となるでしょう。
母乳と一緒に分泌されてしまう恐れもあるため、基本的には授乳できないと考える必要があります。
そもそも「アクアフィリング」は、安全性が確立されていません。アクアフィリング豊胸が原因でがんを発症したというデータはありませんが、発がん性が否定されていないため、赤ちゃんに母乳を与えないようにしましょう。
「アクアフィリング」のリスクの中でもとくに大きな問題点といえるのが、完全に吸収されることなく体内に残り続ける可能性があることです。
メーカーの説明によると3~5年程度で吸収されることになっていますが、10年後に残っていたという症例も多く確認されています。
「アクアフィリング」が体内にある限り、生涯にわたってさまざまなトラブルを心配しなければならなくなります。
そのため、現在は「アクアフィリング」を除去して、豊胸の修正手術を行う方も少なくありません。
国内外で多くの合併症が確認されていること、そしてその治療が困難であることなどを踏まえ、一般社団法人日本形成外科学会や一般社団法人日本美容外科学会(JSAPS)などは、共同声明において「安全性が証明されるまでは豊胸目的での非吸収性充填剤注入を実施すべきではない」としています。
日本のみならず、アメリカや韓国などでも危険性が指摘されており、世界的に使用を自粛する方向性となっています。
アクアフィリング豊胸以外の選択肢は?

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ここからは、アクアフィリング豊胸以外で、バストの悩みにアプローチする治療法をご紹介します。
■シリコン豊胸
脇や乳房下を切開し、シリコンバッグを挿入してバストアップを目指します。
半永久的な効果が得られるだけでなく、他の治療法と比べて一度の手術で大幅なサイズアップが叶うことがメリットです。
そのため、2カップ以上サイズアップしたい方などにも選ばれています。
ダウンタイム中に見られる症状は、痛み・内出血・腫れなどです。個人差がありますが、痛みは1週間程度、内出血は10日程度で落ち着くでしょう。
強い腫れが見られた場合は、1~2週間程度を回復の目安としてください。
シリコン豊胸のデメリットは、傷痕が残る、触り心地がかたい、形や位置が不自然になることがあること。
時間の経過に伴って劣化し破損する可能性もあるため、エコー検査による正しい評価が大切です。
■ヒアルロン酸豊胸
ヒアルロン酸豊胸は、ヒアルロン酸製剤を胸に注入してバストアップを図る施術です。
メスを使用しないため傷痕が残らない、施術時間が短いといったメリットがあります。
施術後に見られる可能性のある症状は、腫れ・痛み・内出血・赤みなどです。これらの症状は、個人差はありますが1~2週間程度でおさまるでしょう。
ヒアルロン酸豊胸には、大幅なバストアップが望めない、効果の持続性に限界があるといったデメリットも。
効果の持続期間は、1~2年程度となっています。注入量が多かったりしこりになったりすると触り心地がかたくなることもあるため、あらかじめ把握しておきましょう。
■コンデンスリッチ豊胸(脂肪注入)
自分の体から脂肪を採取し胸に注入する治療を、コンデンスリッチ豊胸といいます。
お腹や太ももなどの脂肪を採取するため、スタイルアップも目指せるでしょう。自分の脂肪を用いることから、触り心地や見た目が自然な仕上がりになる点も魅力です。
コンデンスリッチ豊胸の施術後は、痛み・内出血・腫れなどの症状が出る可能性があります。
落ち着くまでの期間は個人差がありますが、痛みなら1週間程度、内出血なら10日程度、強い腫れは1~2週間程度です。
■ハイブリッド豊胸
ハイブリッド豊胸は、シリコン豊胸とコンデンスリッチ豊胸を同時に行う治療を指します。
もともと痩せていて脂肪注入のみでは希望するバストサイズにならない場合や、シリコンのみでは輪郭が浮き上がってしまう場合は、両方の治療を併用することで自然なバストアップが可能です。
ハイブリッド豊胸の施術を受けたあとには、筋肉痛程度の痛み・内出血・腫れが見られることがあります。
痛みは1週間程度、内出血は10日程度、強い腫れは1~2週間程度で落ち着くでしょう。
豊胸手術で後悔しないために重要なことは?

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豊胸手術で後悔しないために重要なのが、治療・クリニック選びです。ポイントを以下にまとめました。
- 豊胸手術の種類とリスクを理解する
- 症例写真をチェックする
- クリニックの実績を確認する
- カウンセリングやアフターフォローの充実度をチェックする など
それぞれの治療のリスクを理解し、クリニックの情報も調べた上で、自分に合った治療を選びましょう。
また、アクアフィリング豊胸の施術を過去に受けて修正手術を検討している方も、後悔のないクリニック選びが必要です。
クリニックによっては「アクアフィリング」の除去に対応していないところもあります。しこりや炎症を放置していたり、他の部位に移動してしまったりといったケースでは、除去が困難な場合もあるでしょう。
まずはクリニックで相談し、除去や修正手術が可能かどうか確認しましょう。
まとめ
アクアフィリング豊胸は、さまざまな危険性が指摘されています。バストアップしたい場合は、シリコン豊胸やコンデンスリッチ豊胸といった別の治療法を検討しましょう。
これから豊胸術を受ける方はもちろんですが、すでにアクアフィリング豊胸を受けてお悩みの方も、信頼できる医師を探すことが重要となります。
カウンセリングの様子などもチェックしながら、実績があり親身に相談にのってくれる医師を見つけましょう。
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【治療の内容】豊胸術
【治療期間および回数の目安】通常1回
【費用相場】
・シリコンバッグ豊胸:約 ¥300,000~ ¥1,000,000
・ヒアルロン酸豊胸:約1ccあたり ¥3,000~ ¥4,000(使用量は個人差があります)
・脂肪注入豊胸:約 ¥800,000~ ¥1,200,000
・ハイブリッド豊胸:約¥130,000~¥3,000,000
※術式によって各クリニックで異なります。
【リスク・副作用等】内出血、血腫、感染、痛み、傷口の赤み・硬さ・突っ張り・色素沈着、アニメーション変形など
【未承認機器・医薬品に関する注意事項について】
・本治療には、国内未承認医薬品または薬事承認された使用目的とは異なる治療が含まれます。
・治療に用いる医薬品および医療機器は、各クリニック医師の判断のもと導入しています。
・重大なリスクや副作用が明らかになっていない可能性があります。
・万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。