脂肪移植は胸にも可能?脂肪注入豊胸の気になるところを徹底解説

脂肪移植は胸にも可能?脂肪注入豊胸の気になるところを徹底解説

脂肪移植による豊胸、いわゆる「脂肪注入豊胸」は、自分の脂肪を使って自然なバストアップを目指す方法です。

施術の仕組みや定着率について、やせ型の方への対応も踏まえつつ、しこりや石灰化などのリスクまで幅広く解説します。

この記事を通して、脂肪注入豊胸の特徴を理解し、自分の体型や理想のバストに合わせた最適な選択肢を検討していきましょう。

脂肪移植による豊胸とは?

おなかの脂肪をつまむ女性 脂肪移植は胸にも可能?脂肪注入豊胸の気になるところを徹底解説|NERO DOCTOR / BEAUTY(美容医療)

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脂肪移植(脂肪注入)による豊胸とは、脂肪吸引で自分の体から採取した脂肪細胞を胸に注入してバストのボリュームアップを図る施術です。

人工物を使用しないため、自然な質感を得られるのが特徴です。

ここでは、脂肪移植による豊胸の基本的な仕組みに加え、どんな人に向いているかを詳しく解説します。

■脂肪注入豊胸の基本的な仕組みと特徴

脂肪注入豊胸は、お腹や太ももなどから脂肪吸引によって採取した脂肪を精製し、胸に注入することでボリュームを形成します。

自己組織を用いるこの方法は、注入した脂肪のうち、生着した細胞が半永久的に維持できる可能性があります。

大きな特徴は人工物を使用した豊胸ではない点でしょう。

そのため、見た目や触感がよりナチュラルに仕上がる傾向があります。

また、脂肪吸引が必須の施術のため、部分痩せしたい部位を細くすることが同時にできる点も特徴の1つです。

ただし、脂肪注入豊胸を受けたとしても、注入した脂肪がすべて生着することはありません。

定着率には個人差があるため、術式のメリットとデメリットを理解したうえでの医師選びが重要といえます。

■脂肪移植による豊胸はどんな人に向いている?

脂肪移植を用いた豊胸は、なるべく自然な見た目と触り心地を求める方に向いています。

胸に人工物を入れることに抵抗がある場合や、切開を伴いたくない方にも選ばれやすい施術です。

また、お腹や太ももなどにある程度の体脂肪があり、十分な量を採取できることが前提となります。

一方で、しっかりとしたサイズアップを希望の方や、採取できる脂肪の量が少ない場合は、別の豊胸手術を検討する必要があるでしょう。

理想のバストサイズやバランスを見ながら、専門医の指導のもと進めることが大切です。

脂肪移植での豊胸における「定着率」と持続期間の目安

体にメジャーを当てる女性 脂肪移植は胸にも可能?脂肪注入豊胸の気になるところを徹底解説|NERO DOCTOR / BEAUTY(美容医療)

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脂肪移植を用いた豊胸では、注入した脂肪がどの程度残るのかという点が気になるポイントでしょう。

定着率は個人差があり、仕上がりの自然さや持続期間にも影響します。

ここでは、定着の仕組みと定着率を左右する要因について解説します。

■定着率の目安と仕組み

一般的に脂肪注入豊胸をした際の定着率は、約50~60%とされています。

これは、胸に注入した脂肪の半分ほどがバスト内で生着し、残りは時間の経過とともに吸収されることを意味します。

注入した脂肪細胞が、周囲の組織と同様に血流を得られるようになると生着し、長期にわたり自分の胸の一部として維持される仕組みです。

生着できなかった脂肪は、自然と体に吸収されるか、しこりとして残るケースもまれにあります。

■定着率を左右する要因

胸に注入する脂肪の定着率を上げるためには、注入方法だけでなく、採取した細胞の質や施術後のケアも重要です。

まずは、遠心濾過により不純物を除去し、いかに良質な脂肪を精製できるかが大切。

また、血流の乏しい場所へ一度に多くの脂肪を注入すると、十分な酸素や栄養を受け取れずにしこりや壊死などの原因となるケースもあります。

そのため、脂肪が塊にならないよう複数回に分けて注入する技術が求められるでしょう。

施術後は定着するまでの期間、生活習慣に注意する必要があるほか、定着後も極端な体重変化を避けるといったケアが大切になります。

やせ型でも脂肪移植による豊胸はできる?

脂肪注入豊胸は、脂肪吸引が必須の施術のため「脂肪の少ない体型でも可能なのか?」という疑問を持つ方もいるでしょう。

やせ型の方でもわずかなボリュームアップや、バストの形を整える目的であれば適応可能な場合もあります。

ここでは、採取する脂肪量の目安や、やせ型の方が豊胸を検討する際の選択肢について解説します。

■採取できる脂肪量の目安と注入量の上限

やせ型の方でも、お腹や太ももなど、ある程度脂肪のある箇所から脂肪を採取することが可能です。

しかし、脂肪注入豊胸に必要な量を無理に吸引すると、体への負担が大きくなります。

例えば、両側の太ももだと、採れる脂肪量の目安は約600~800㏄とされています。

また、注入できる脂肪量の上限は、片方の胸で250~300㏄程度とするクリニックが多い傾向にあり、採取量と注入量には限度があるのです。

しっかりとカウンセリングを受けて、適した量を医師と決めましょう。

■ハイブリッド豊胸という選択肢

脂肪量が少ない場合や大幅なボリュームアップを望む場合、有効とされている豊胸手術がハイブリッド豊胸です。

ハイブリッド豊胸とは、「シリコンバッグ豊胸」と「脂肪注入豊胸」を組み合わせた方法で、シリコンバッグで確実なボリュームを確保しつつ、脂肪で自然な輪郭や触感に整えられます。

脂肪を注入することで、シリコンバッグ特有の形が浮き出るような不自然さを緩和できる点がメリットです。

ハイブリッド豊胸であれば、やせ型の方でも無理な脂肪吸引をすることなく、自然なバストラインを形成できます。

ただし、「シリコンバッグ豊胸」と「脂肪注入豊胸」、両方の技術と経験が必要となる高度な術式です。

そのため、美しいバストラインを作るには、豊胸手術の経験が豊富な医師による繊細な設計力が重要といえます。

脂肪注入豊胸のリスクは?

注意マークのついた白衣の女性 脂肪移植は胸にも可能?脂肪注入豊胸の気になるところを徹底解説|NERO DOCTOR / BEAUTY(美容医療)

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ここでは、脂肪移植による豊胸の主なリスクと、その背景にあるメカニズムについて解説します。

■しこり・石灰化のリスク

脂肪注入豊胸の代表的なリスクが、しこりや石灰化です。

注入した脂肪の一部が、血液からの栄養を十分に受け取ることができず、壊死して固まってしまうことで起こります。

ただし、近年では医療技術の向上により、しこりや石灰化のリスクは減少傾向にあります。

リスクを抑えるため、脂肪を分散して注入し、血流を確保して壊死を防ぐ手法が主流です。

■ボリュームの左右差・吸収のばらつき

脂肪移植による豊胸は、脂肪の吸収率が左右で異なる場合があります。

もともとのバストの形状や皮膚の張りなどが関係するため、完全に均一なバストの形を得るのは難しいとされているのです。

脂肪注入豊胸は、術後3~6ヶ月に定着を確認したうえで、必要に応じて再注入や修正手術を検討するケースがあります。

脂肪移植を行う際の施術の流れとダウンタイム

脂肪移植による豊胸は、脂肪吸引と脂肪注入の両方を行うため、一般的な注入施術よりも工程が多くなります。

ここでは、施術の基本的な流れと、術後に気になるダウンタイムの経過について解説します。

■施術の基本ステップ

脂肪注入豊胸の施術は、大きく分けると4つのステップで行われます。

  1. カウンセリング・デザイン
    希望のサイズや形をもとに、吸引部位や注入部位、注入後のデザインを決定します。
  2. 脂肪吸引
    お腹や太ももなどから脂肪を吸引します。
    局所麻酔または全身麻酔が用いられることが一般的です。
  3. 脂肪の精製
    吸引した脂肪を遠心分離器などにかけて不純物を除去し、注入に適した脂肪のみを抽出します。
  4. 脂肪注入
    精製した脂肪を少量ずつ丁寧に注入します。

施術時間は約2~3時間で、麻酔から覚醒後に状態が安定していれば帰宅できますが、一泊入院して退院するケースもあります。

■ダウンタイムと回復するまでの経過

脂肪移植による豊胸の場合、吸引部と注入部の両方に痛みや腫れといった症状が見られます。

吸引部は腫れなどが少し残るものの、2~4週間もすれば落ち着くのが一般的です。

一方、注入部は2週間経過する頃には、日常生活への影響がほぼなくなるでしょう。

ただし、注入した脂肪の定着に数ヶ月要するため、その間は、締めつけの強い下着の着用やうつ伏せで寝るなど、バストへの圧迫に注意する必要があります。

経過を観察しながら医師の指導のもと、丁寧なセルフケアを行うことが大切です。

ほかの豊胸方法との違い

豊胸には、脂肪注入のほかにシリコンバッグやヒアルロン酸注入といった方法があります。

ここでは、代表的な2つの方法と脂肪注入豊胸を比較しつつ、その違いを整理します。

■脂肪注入 vs シリコンバッグ

脂肪注入とシリコンバッグによる豊胸の違いは、使用する素材と仕上がりの質感でしょう。

脂肪注入豊胸は、自分の脂肪を使用するため、本来のバストに近い見た目や触感に仕上げることができます。

一方、シリコンバッグ豊胸は、人工物を挿入することでバストサイズをアップさせるため、触感や谷間が不自然になる、仰向けの状態で胸が流れないといった特徴がありますが、確実にボリュームアップできるのが強みです。

より自然な胸を重視するなら脂肪注入、確実なボリュームアップを望むならシリコンバッグが向いており、目的によって選ぶ必要があるでしょう。

■脂肪注入 vs ヒアルロン酸注入

ヒアルロン酸注入は、施術時間が短くダウンタイムもほとんどない方法で、その手軽さから「プチ豊胸」とも呼ばれることも。

注入直後から効果を実感できる即効性が魅力の施術ですが、ヒアルロン酸はときの経過とともに吸収されるため、効果は永久ではありません。

持続期間は約2年とされており、状態の維持には定期的な追加注入が必要です。

一方、脂肪注入の場合は、定着した脂肪は自分の組織として長期間残るため、持続力が高い点が特徴です。

ただし、仕上がりが安定するまでに数ヶ月を要する点や、その間一部の脂肪は吸収されるため、バストサイズが最終的に変わる点も考慮する必要があります。

まとめ

脂肪移植による豊胸は、自分の脂肪を利用してバストアップする方法です。

そのため、仕上がりが非常にナチュラルで、体への負担も考慮されている点が魅力。

一方で、注入した脂肪の定着率に個人差が生じることや、吸引部と注入部の両方にダウンタイムがある点を理解しておく必要があるでしょう。

自然なボリュームアップを望む方には、脂肪注入豊胸は有力な選択肢となります。

カウンセリングでしっかりと自分の希望を伝えましょう。

満足度の高い結果に繋げるためには、経験豊富な医師と一緒に検討しながら進めていくことが大切です。

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