眼瞼下垂を切らないで改善する方法をご存知でしょうか?美容医療の進歩により、近年では切開を伴わない治療法が選択肢として確立されつつあります。
MT法(ミュラータッキング法)やMMCR(ミュラー筋結膜切除術)もその1つです。
眼瞼下垂を切らないで改善へと導く施術で、軽度〜中等度の眼瞼下垂であれば、自然な印象のまぶたを目指せる可能性があります。
MT法の効果や適応、リスクについて詳しく解説しますので、自分に合った治療法を探している方はぜひお役立てください。
眼瞼下垂とは?まぶたが重くなる原因と主な症状

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眼瞼下垂とは、まぶたを持ち上げる筋肉が弱まることで、目が開きにくくなったり眠そうに見えたりする状態です。
視野が狭くなるだけでなく、見た目の印象にも影響を及ぼすため、美容外科などのクリニックで治療を受けることを検討する方が増えています。
ここでは眼瞼下垂の原因や症状について詳しく見ていきましょう。
■眼瞼下垂が起こる原因
眼瞼下垂は、まぶたを持ち上げる筋肉の働きが弱くなったり、筋肉とまぶたをつなぐ腱膜がゆるんだりすることで発症します。
加齢によるものが主な原因です。
年齢を重ねるとまぶたを持ち上げる挙筋腱膜(きょきんけんまく)が薄くなって伸びてしまい、十分な力を発揮できなくなるのです。
長期間のコンタクトレンズの使用や、アイメイクの際の摩擦、目をこする習慣なども、まぶた周辺の組織にダメージを与えるため、眼瞼下垂を引き起こす要因となります。
そのほか、生まれつき挙筋の発達が不十分な先天性のものや、神経や頭部の病気によって眼瞼下垂が起こるケースもあります。
■眼瞼下垂の主な症状
眼瞼下垂の主な症状は、黒目の上にまぶたが被さり、目が開きにくくなることです。
視野が狭くなると、ものを見るときに顎を上げたり、おでこの筋肉を使って無理にまぶたを持ち上げたりと、無意識のうちにさまざまな行動を取るようになります。
その結果、額のシワが深くなる・目元の印象が変わるなどの可能性が考えられます。
常におでこや首の筋肉に力が入る状態が続くため、肩こりや頭痛など体の不調を訴える方も少なくありません。
見た目の面では、「いつも眠そうに見える」「疲れた印象を与える」といった悩みが代表的です。
また、左右のまぶたの開き方に差が出ることもあり、顔全体のバランスが崩れて見えるケースもあります。
眼瞼下垂を切らないで改善する方法

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眼瞼下垂の治療というと、皮膚を切開する手術をイメージする方が多いかもしれません。
しかし症状やまぶたの状態によっては、切らない方法でまぶたの開きを改善できるケースがあります。
ここでは、その代表的な治療法であるMT法(ミュラー筋タッキング法)を中心に、その仕組みや効果、適応範囲について詳しく説明します。
■MT法の仕組みと適応
MT法は、上まぶたの裏側からアプローチする治療法です。
まぶたを持ち上げる役割を担うミュラー筋を、まぶたの土台となる瞼板に固定することで、まぶたの開きを改善します。
皮膚表面にメスを入れないため、外側の傷痕が残らない点が特徴です。
施術は局所麻酔や点眼麻酔を用いて行われ、両目合わせて20~40分程度と比較的短い時間で手術は終了します。
MT法は、まぶたを持ち上げる筋肉の中でも、ミュラー筋がまだ機能している場合に適している方法です。
ミュラー筋は交感神経の働きによって収縮する筋肉のため、挙筋腱膜が多少伸びていてもミュラー筋自体が機能していれば、改善が期待できます。
MT法は糸でまぶたの構造を調整する点では埋没法と共通していますが、埋没法が二重のラインを作る美容目的の施術であるのに対し、MT法は眼瞼下垂という機能的な問題を改善するための治療という違いがあります。
■効果の持続性
個人差はありますが、一般的には糸が切れたり組織から外れたりしない限り、MT法の効果は持続します。
ただし、手術を受けたあとに加齢や生活習慣の影響などで再びミュラー筋や挙筋腱膜の機能が低下する可能性もあるため、永久的な効果が保証されるものではありません。
理想の状態を長く保ちたい場合は、定期的に医師の診察を受け、必要に応じて追加の治療を検討しましょう。
■MT法の適応範囲
MT法が適しているのは、主に軽度~中等度の眼瞼下垂です。
重度の眼瞼下垂では挙筋腱膜やミュラー筋の機能が低下しているため、MT法など切らない方法だと十分な効果が得られないケースが多くなります。
適応を判断する際に用いられるのが、フェニレフリン試験という検査です。
これはフェニレフリンという薬剤を点眼し、ミュラー筋が反応してまぶたが持ち上がるかどうかを確認します。
このテストで比較的良い反応があった場合はミュラー筋が機能しているため、MT法の効果が期待できるでしょう。
逆に、反応が鈍い場合は挙筋腱膜自体の修復が必要となるため、切開を伴う手術が選択肢として挙がります。
また、皮膚のたるみが少ない症例もMT法の適応です。
加齢によってまぶたの皮膚が大きく余っている場合は、結膜からのアプローチのみでは十分な改善が得られないため、皮膚切除を伴う治療が必要になることがあります。
MT法は眼瞼下垂の程度だけでなく、皮膚の状態や筋肉の機能を総合的に評価し、適応できるかどうかが判断されます。
■MMCRとの違い
眼瞼下垂を切らないで行う治療には、MT法のほかにMMCR(ミュラー筋結膜切除術)という方法もあります。
MMCRもまぶたの裏側からアプローチする点ではMT法と同じですが、MMCRではミュラー筋と結膜の一部を切除して眼瞼下垂の改善を目指します。
切除することでMT法よりも効果や持続性が高まる可能性はありますが、ダウンタイムがやや長引きやすいというデメリットも。
眼瞼下垂の程度やミュラー筋の反応性、患者の希望を総合的に判断した上で、医師がどちらの治療が適しているかを判断します。
MT法のダウンタイムと再発リスク、施術の限界について

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切らない眼瞼下垂治療として知られるMT法は比較的負担が少ない治療法ですが、ダウンタイムやリスクがゼロになるわけではありません。
また、再発する可能性や施術が適さないケースもあります。
SNSや体験談ブログなどをすでに見ていて知っている方もいるかもしれませんが、ダウンタイムや合併症には個人差があるものです。
ここでは、一般的なMT法の注意点や限界について解説します。
■ダウンタイムの目安と日常生活への影響
MT法のダウンタイムは短く、施術後およそ1~2週間で腫れや内出血が落ち着くケースがほとんどです。
まぶたの違和感も軽度で、基本的にはメイクでカバーできる範囲です。
日常生活に大きな支障を与えることは少ないとされています。
ただし、軽い痛みを感じる場合があるため、施術直後は目を酷使することは避けたほうが良いでしょう。
そのほか、激しい運動や長時間の入浴、飲酒なども注意が必要です。
血行が良くなり、腫れが長引く原因となります。
ダウンタイムを最小限に抑えるためにもクリニックの指示を守り、無理をしないことが大切です。
■考えられる合併症
MT法で多く見られる合併症は、左右差です。
まぶたの組織は非常に繊細で、左右で筋肉の状態や皮膚の厚みが微妙に異なるため、完全に対称的な仕上がりにすることは困難です。
軽度の左右差は許容範囲内と判断されますが、明らかな差が生じた場合は再調整が必要になることもあります。
また、稀に糸の刺激によって眼瞼けいれんを生じたり、感染が起きたりする可能性も考えられます。
適切な処置を行えば大事に至る可能性は高くないですが、万が一症状があらわれた場合は、速やかにクリニックへ連絡しましょう。
合併症を避けるには、経験豊富な医師のもとで施術を受けることも大切な考え方です。
■再発リスク
MT法を受けても、加齢や生活習慣によってまぶた周辺の筋力が低下すれば、再び眼瞼下垂になることがあります。
そのためMT法の効果は永久的ではなく、あくまでも一時的なものと考えましょう。
再発時にもう一度同じ施術を受けるか、または別の治療法を検討する必要があります。
再発の兆候を早めに把握するために、定期的に医師の診察を受けましょう。
適切なフォローアップにより、自然な状態を維持できる可能性が高まります。
■MT法が適さないケースと代わりの治療法
MT法は、すべての眼瞼下垂に適応できるわけではありません。
重度の眼瞼下垂や皮膚の余剰が多い症例や、ミュラー筋の反応が乏しい場合には、MT法では十分な効果が得られない可能性があります。
このような場合は、挙筋前転法などの切開を伴う施術が主な選択肢となります。
手軽さやダウンタイムの短さを考えるとMT法のように切らない方法は魅力的ですが、眼瞼下垂の改善を一番の目的にするならば、効果的な治療法を選択することが何よりも重要です。
MT法の限界を知ることも、満足のいく治療を受けるための大切なステップといえるでしょう。
まとめ
眼瞼下垂を切らないで改善するMT法は「切開したくない」と考える方にとって大きな選択肢です。
表面に傷痕が残らずダウンタイムも短いため、仕事や日常生活への影響を抑えながら、まぶたに関する悩みを解消できる可能性があります。
しかし、重度の症例やまぶたの状態によっては適応とならないケースも。
まずは信頼できるクリニックでカウンセリングを受け、自分の眼瞼下垂の状態を正しく把握しましょう。
医師と相談しながら適切な治療法を選択することが、より良い結果へとつながるはずです。
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