肩こりにはボトックス注射もあり?気になる副作用やダウンタイムもチェック

肩こりにはボトックス注射もあり?気になる副作用やダウンタイムもチェック

慢性的なつらい肩こりに悩まされ、エステや整体に行っても治らないとお悩みの方へ。ボトックスは、もともとシワの改善など美容目的で用いられる治療方法ですが、近年、ボトックス注射が肩こりにも効果的だと注目されているのをご存知ですか?この記事では、肩こりの治療になぜボトックスが効果的なのか、また肩にボトックス注射をする際の副作用、実際の施術で行われることなどを詳しくご紹介します。

1.肩こりにボトックス注射が効果的って本当?

出典:photoAC

まずはボトックス注射の基本知識と、治療を受けるのに向いている人や、肩こり以外に効果的な症状について解説します。

■そもそもボトックス注射とは

ボトックスの成分は、ボツリヌス菌から生成された自然由来のタンパク質です。これをボツリヌストキシンと呼びます。ボツリヌス「菌」と聞いて不安になる方もいるかもしれませんが、毒素を分解・精製した医薬品のため、危険なものではありません。ボトックスには表情筋の強張りをやわらげる作用があり、主に美容クリニックでは目元のシワなどの治療に、医療現場では目や顔のけいれんを治療する際に用いられます。
ボトックスの名称は治療方法として世に広まっていますが、実はアメリカの医薬品・医療機器メーカーであるアラガン社が開発した製剤「ボトックスビスタ®」が由来です。中国や韓国メーカーからもボツリヌストキシンを使用した製剤が開発されており、クリニックによってどの製剤が使用されているかが異なります。

■僧帽筋への注射で肩こりの緩和にアプローチ

肩こりは筋肉の強張りによって血流が悪くなり、疲労物質が蓄積することで、痛みや張りといった症状として現れます。エステや整体に通っても治らない肩こりは、このサイクルが長く続き、筋肉の緊張状態が定着してしまっているからです。
肩こりに関係する筋肉はさまざまですが、主に「僧帽筋(そうぼうきん)」と呼ばれる、首の後ろ~肩~背中にかけて広がる筋肉が影響しています。僧帽筋に対して筋肉の緊張をほぐすボトックス注射を直接打つことで、肩こりの根本的な原因へのアプローチが可能となるのです。

■肩ボトックスが向いている方

肩ボトックスが向いているのは、以下のような方です。肩こりの症状が軽い方や、一時的に肩がこる方は、効果を感じにくいかもしれません。

  • 長年肩こりが治らないことに悩んでいる
  • 肩こりがひどく、頭痛もする
  • 年齢を重ねるごとに肩こりがひどくなっている
  • 首から肩まわり、背中にかけての筋肉に痛みを感じる
  • エステや整体でマッサージをしてもすぐに肩がこる
  • エステや整体に通わず、時間をかけずに治したい
  • 首や肩まわりがこんもりしており、すっきり見せたい

■肩ボトックスにはこんな効果も?

ボトックスは肩こりの改善だけでなく、ほかにもうれしいメリットがあります。例えば、近年スマホの使い過ぎで悩む方が多い巻き肩は、横から見たスタイルが悪く見えるばかりか、肩こりにもつながります。また、肩の筋肉が強張ると、首から肩のラインが盛り上がりごつごつとした印象に。ボトックス注射を打つと見た目の悩みの解消にも役立ち、すらっと伸びた背筋や、すっきりとした肩・首を目指せます。
そのため、結婚式を控えている方や水着をきれいに着たい方にもおすすめ。ボトックス注射で筋肉がほぐれると、血行が良くなり酸素や栄養素が体内に行きわたるようになります。血流の滞りが原因の肩こりによる頭痛も改善が見込めるでしょう。

2.肩ボトックスの施術ではどんなことをするの?

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ボトックスを慢性化した肩こりに打つと、どの程度効き目が期待できるのでしょうか。また、施術は痛みを伴うのか気になりますよね。ここでは、施術方法や効果が持続する日数についてお伝えします。

■肩ボトックスの注射方法と痛み

ボトックス注射を施術する際は、まず医師によるカウンセリングや触診が行われます。肩がこる部分は人によってさまざまであるため、医師にどこがつらいのか伝えましょう。注射は片方の肩に、およそ5~10箇所行います。チクチクした痛みが伴いますが、麻酔クリームなどで対応してくれるクリニックもあるため、注射の痛みが苦手な方は先に申し出るようにしましょう。

■肩ボトックスの効果が出るまでと持続日数

肩ボトックスの効果は、施術後約2~5日で変化が現れ、1~2週間後には効果を実感できるとされています。その後、およそ3~5ヶ月間は効果が持続しますが、肩こりがない状態を保ちたい場合は、効果が薄くなってきたと感じるタイミングで再び注射を打つ必要があります。症状の重さによって間隔が異なり、軽度の方で6ヶ月に1度、重度の方で3ヶ月に1度が目安になるでしょう。
個人差はありますが、ボトックス注射は定期的に打ち続けると肩こりを感じにくくなる場合があります。

■肩ボトックスには治療後のNG行為もある

肩ボトックスは施術後のケア次第で、効果を感じにくい場合があるため、注意しましょう。例えばボトックス注射後にすぐにマッサージを行うと、注入した製剤がほかの筋肉にも移り、効果が半減する可能性があります。
ボツリヌストキシンは熱に弱いため、人の体温などからも影響を受けます。施術後はサウナや入浴、激しい運動は控え、体温が上昇しないよう注意が必要です。

3.肩ボトックス注射にデメリットはある?

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美容クリニックでの施術は、副作用やダウンタイムが心配な方もいるでしょう。肩ボトックスにデメリットはあるのか解説します。

■肩ボトックスの副作用・ダウンタイムについて

肩ボトックスは、ダウンタイムや副作用がほぼないことが特徴です。施術後、腫れたり炎症が見られたりする場合がありますが、ほとんどの場合、数日後にはおさまります。ごくまれに内出血が起こることもありますが、こちらも一時的なもので、心配はいらないでしょう。
中には頭痛を引き起こす方もいますが、筋肉の動きが普段と変わることが要因とされています。こちらも自然におさまるでしょう。
ただし、なかなか症状が改善しない場合などは、治療を受けたクリニックに相談すると良いでしょう。

■肩ボトックスは後悔するといわれる理由

肩ボトックスについて調べたことがある方は、注射のリスクとして「力が入らなくなった」「後遺症が残った」といった情報を目にしたことがあるかもしれません。肩ボトックスは筋肉の緊張をやわらげるため、一時的に肩がだるい、また重いものを持ちにくいと感じる場合もあります。しかし数日で回復するもので、日常生活には影響するほどではありません。
国内ではアラガン社の製剤に限り、厚生労働省により承認を受けています。心配な方はクリニックを選ぶ際に、製剤のメーカーにも着目してみましょう。

■肩こり治療であってもボトックス注射は保険適用外

肩ボトックスは肩こりの治療ではありますが、自由診療となり、健康保険の対象にはなりません。そのため費用は全額自己負担となります。費用はクリニックや使用する製剤によって異なり、製剤を注入した量で設定しているところもあれば、定額にしているところもあります。一般的に肩ボトックスは1回の施術につき100単位※1で行われ、費用はおよそ70,000~90,000円が相場であることが多いでしょう。

※1:ボトックスの注入量

■まとめ

肩こりにボトックス注射を打てば、長年悩んでいたつらい症状の解消や、首・肩まわりのラインをすっきり見せることもできます。1回の施術で数ヶ月ほどは効果が持続するため、忙しくてマッサージに通う時間がない方にもぴったりの方法でしょう。しかし美容医療に分類される施術のため、副作用が伴うことは理解しておきましょう。気になった方は予算や製剤のメーカーなどを考慮して、ご自身に合ったクリニックを探してみてくださいね。

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