一宮美容クリニック 院長 坂東 勇弥先生へインタビュー。坂東先生は愛知県一宮市で地域密着型の美容クリニックを構え、美容外科や美容皮膚科などの治療をオールラウンドに展開されています。今回は医師としての歩みや坂東先生とクリニックの強み、KOL（キーオピニオンリーダー）を務めるPDLLA製剤とその治療法などについて伺いました。さらに、美容医療業界の課題や展望、患者さまや地域密着型クリニックの開業を考えている医師に向けてのメッセージもいただいたので、ぜひ最後までご覧ください。
INDEX
ドクターズプロフィール
一宮美容クリニック 院長
坂東 勇弥（ばんどう ゆうや）先生
2012年香川大学医学部を卒業後、愛知県内の大学病院や市民病院など複数の基幹病院に勤務。その後、勤務医として診療を行いながら名古屋市立大学大学院へ進学し、研究や論文執筆に取り組み博士号を取得。美容医療の世界に入り、複数のクリニックで注入治療や難治性の皮膚疾患におけるレーザー治療や二重整形、クマ取り、小顔治療、鼻整形などの技術を磨く。
得意とする治療は、クマ取り・二重埋没法・カスタマイズヒアルロン酸・糸リフトなど。美容皮膚科の施術ではダーモスコピーや美肌診断機を用いた正確なシミ診断や複数のレーザー治療を組み合わせた肌全体の改善、スキンケア指導も含めたオーダーメイドのシミ治療を行う。
| （経歴） 2012年 香川大学医学部 卒業 津島市民病院 勤務 名古屋市立大学医学部附属病院 勤務 刈谷豊田総合病院 勤務 江南厚生病院医長 就任 愛知医科大学病院皮膚科助教 就任 ヒアルロン酸・ボトックス専門クリニック 勤務 韓国系美容皮膚科クリニック 勤務 大手美容外科クリニック 院長 2023年 一宮美容クリニック 開院 （資格） 医学博士 日本抗加齢医学会専門医 臨床指導医 BOTOX VISTA®認定資格医 JUVEDERM VISTA®認定資格医 JUVEDERM VISTA®バイクロス認定資格医 緩和ケア研修修了 （所属学会） 日本美容外科学会（JSAS） 日本美容皮膚科学会 日本抗加齢医学会 日本皮膚科学会 |
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医師としての背景 ～放射線科や皮膚科で保険診療や研究に従事～
―――医師を志した理由と医師になって最初に勤務した診療科のことを教えてください。
放射線科医の父に影響を受けて医師を志しました。父は画像診断を通して診断のアドバイスを行っており、診療科の枠を超えて他科の医師から慕われるその姿に憧れていたんです。大学時代は皮膚科も考えていましたが、研修医のときに放射線科の先輩医師に誘われて父と同じ放射線科に進みました。放射線科では血管内治療（IVR）*の分野に強く興味を持ち、血管破裂や交通事故による臓器損傷などを起こした患者さまに対してカテーテルで止血し救命する仕事にあたっていました。
その経験から、致死率が非常に高い大動脈の破裂について研究するために大学院へ進学。イギリス・ポルトガル・台湾など、たくさんの国際学会で論文を発表する機会にも恵まれました。
*血管内治療（IVR）…CTや超音波などの画像を見ながらカテーテルと呼ばれる特殊な細い管を血管に挿入し、さまざまな疾患にアプローチする特殊な治療法。IVRはInterventional Radiologyの略。
―――その後、放射線科以外の診療科も経験したそうですね。
はい。もともと興味のあった皮膚科領域を勉強して専門分野を増やそうと考え、大学病院の皮膚科に入局しました。それまで所属していた放射線科は他科に比べて患者さまとのコミュニケーションの機会が少なくて。患者さまを自分自身の手で治したという実感が欲しかったことも転科した理由の1つです。皮膚科治療も非常に奥が深く、皮膚疾患の外来診療や皮膚腫瘍の切除手術などの経験は私の基礎となっています。
また、大学病院の皮膚科では診断が悩ましい症例に対して病理検査を行うことが多く、多数の症例が細胞レベルで起こっていることを深く学びました。そのときに得た知識がクリニック開業後の現在まで役立ち、治療法を選択する際に活かせています。
美容医療への情熱 ～どんなときも患者さまに寄り添う姿勢を貫く～
―――美容医療の世界に入ったきっかけと現在までの歩みを教えてください。
保険診療の皮膚科医として働く中で、患者さまからシミや肝斑などについて相談されることが多くなりました。患者さまの希望に応えるためには保険診療の範囲内だけでは治療が難しく、自由診療の知識や経験が必要だということに気づいたんです。
ご縁があり、美肌治療に特化したクリニックに転職した後、複数の美容クリニックに勤務しました。担当した患者さまから「学校に行くのが楽しくなった」「気持ちが明るくなった」と言われることが増え、美容医療への情熱がさらに加速。レベルアップするために大手美容外科クリニックにも勤め難易度の高い切開手術を習得し、そこで院長も経験しました。
その後、もともと強かった独立への想いがより高まり、自分の理想とする医療を形にするために「一宮美容クリニック」をオープンしました。
―――美容医療を行ううえで先生が大切にしていることは何ですか？
私にとって美容医療とは、患者さまの外見の美しさだけではなく心の豊かさや自信を引き出すツールです。そのためには、患者さまが自分らしく輝けるように要望をじっくりと伺い、医師としての倫理観と確かな技術で寄り添うことが使命だと考えています。
売上第一主義のクリニックもあるかもしれませんが、私が念頭に置いているのはどんなときも患者さまに寄り添った美容医療を行うこと。大手美容外科クリニックの分院を立ち上げたときから現在に至るまで、「患者さま一人ひとりを大切にしていれば結果は後から返ってくる」というのが私の口癖です。
―――進化のスピードが速い美容医療において注意していることはありますか？
美容医療業界では、毎月のように新しい治療法や製剤が出てきますよね。厚生労働省の認可が追いつかないものも多いため、美容医療に携わる1人として目の前の患者さまに不利益が生じないように注意しています。
具体的には、信頼性の高い論文を確認してから治療を開始することを徹底。新しい治療法や製剤に関する論文はほとんどが英語です。論文の執筆経験があるため英語の論文を読むことが苦ではなく、過去の経験が今に活かされていると感じます。
坂東先生の強み ～オールウランダーとして難治症例に対応、KOLの活動にも注力～
―――先生の得意とする施術について教えてください。
美容外科や美容皮膚科の施術をオールラウンドに行っています。中でもクマ取りとヒアルロン酸は愛知県内ではトップクラスの症例数をさせていただいていると思います。クマ取りは目元の状態に合わせて複数の治療法を提案でき、視野が取りづらいケースや凹みが強いケースなどの難治症例にも対応しています。クマがなくなると若々しい印象になるため、クマ取りは総合的に高い満足感を提供できる施術だと思います。
ヒアルロン酸注射は技術的に難しいとされる鼻先・鼻翼基部（小鼻の付け根）・腟などの部位にも注入可能です。これまで数万症例のヒアルロン酸注射を経験してきましたが、血管塞栓事故*を起こしたことはなく今後も事故ゼロを継続して行きたいと思っています。放射線科で血管内治療をしていたため、針先が血管内に入る感覚を敏感に察知できる点は強みといえるかもしれません。
*血管塞栓事故…ヒアルロン酸を誤って血管に注入した場合に起こる、血管の詰まりや組織の壊死などのこと。
―――治療の仕上がりでこだわっていることは何ですか？
できる限り自然な仕上がりになるように心がけています。カウンセリングでは、患者さまの希望されるデザインと想定される実際の結果を十分にすり合わせます。患者さまと私の間に行き違いがないことを確認したうえで、手術や治療に臨んでいただいています。当院は現状ワンドクター制のため、大手クリニックのように他のドクターから診療のサポートを受けることはできません。そのため、患者さまへの対応はより強い責任感を持って真摯に取り組んでいます。
また、ヒアルロン酸注射の仕上がりに関しては結局のところ医師のセンスだと思っています。注入する場所や注入量、注入の深さに加えて、注入する形が線か面かなど。美容医療の教科書的な注入方法にはこだわり過ぎず、施術後のトラブルが少なくなることを心がけています。
―――先生がKOLを務めるPDLLA（ポリ乳酸）製剤の治療について教えてください。
出典：一宮美容クリニック
2024年9月に韓国・VAIM社の「etrebelleTM（エトレベルTM）」という製剤のKOL*1に就任しました。当院は開院以来、1日平均80人以上、多いときは1日100人以上の患者さまが来院されます。症例数の多さがKOLに選ばれた理由のようです。
「エトレベルTM」はPDLLA（ポリ乳酸）とヒアルロン酸を合わせたハイブリッドフィラーで、ヒアルロン酸の充填効果とPDLLAによるコラーゲンの生成効果で若々しい肌へと導きます。
出典：一宮美容クリニック
「エトレベルTM」には2種類の濃度があり、悩みと期待できる効果に合わせて選択します。
| エトレベルTM 50 | エトレベルTM 200 | |
| 特徴 |
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| 期待できる効果 | 肌の再生・毛穴の改善 | ほうれい線・こめかみの凹みの改善 |
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「エトレベルTM」は新しい製剤のため、ほかの医師に向けて論文ベースの正しい情報を広めて行く必要があります。美容医療業界は発展する勢いが強い一方で、アカデミックさには少々欠けるところもあるため、エビデンスに基づいた治療が行われるように意識しています。
現在注力しているのが、「エトレベルTM」×サブシジョン*2という相乗効果が期待できる先端技術の医師向けセミナー。世界的に見ると難治性ニキビ痕の治療で行うPDLLAサブシジョンの論文は多数発表されています。しかし、日本においては製剤や治療法などに関する情報が2024年になってようやく入ってきたという状態。できるだけトラブルを防止して患者さまの症状が改善するように、セミナーを通じて正しい情報を伝えていきたいです。
*1KOL…特定の分野に影響力を持つ専門家のことを指す。Key Opinion Leader（キーオピニオンリーダー）の略。
*2サブシジョン…クレーター上のニキビ痕に存在する固い繊維を専用の医療用針で切断・剥離する治療法。凹凸のないなめらかな肌に導く。
一宮美容クリニックの強み ～“自分が行きたくなるクリニック”という理想を形に～
―――開業した理由とクリニックのコンセプトや独自性について教えてください。
ハイレベルかつ適正価格で幅広い治療メニューを提供したい…そんな想いで「一宮美容クリニック」の開業を決意しました。さらに、物理的な通いやすさと雰囲気の良さもコンセプトに加え、院長の私自身が行きたくなる美容クリニックを目指しました。開院当初からクリニックの雰囲気づくりで参考にしているのは、世界的に有名な某高級ホテルのホスピタリティ。現在もクリニックの朝礼で「患者さまの期待を上回るように意識しましょう」とスタッフに伝えています。
患者さまをできる限りたくさん受け入れたいという想いから、ベッド数11台にスタッフ約20名という個人の美容クリニックとしては大きな規模になりました。当院独自のオペレーションシステムによりカウンセリング枠や施術枠も多めに確保していて、当日予約が可能な場合もあります。当院は前日や前々日に予約が入ることも多いのですが、予約が立て込んだ日でも患者さまを長時間お待たせすることはほぼありません。
当院は名古屋市から少し離れていることもあり、初めて美容医療を受ける患者さまが多いことが特徴です。美容クリニックは敷居が高いと思っていた方に、普通のクリニックと同じような戸建の当院は親しみやすいのだと思います。
一方で、当院のある愛知県一宮市は人口約38万人（2024年11月時点）と比較的規模の大きな都市で、美容医療に詳しい患者さまも訪れます。物理的な近さや車移動できダウンタイム中でも人目が気になりにくいという側面が気に入られ、名古屋市の大手美容クリニックからうちに通ってくださるようになった患者さまもいます。
―――採用やスタッフとのコミュニケーションで大事にしていることは何ですか？
ありがたいことに「一宮美容クリニック」の求人は応募倍率が10倍以上になることも多く、現在のスタッフは全員が美容医療業界の経験者です。ただ、私が採用で大事にしていることは技術よりも人柄。採用後に技術は指導できますが、患者さまへの対応やスタッフ同士のコミュニケーションにあらわれる人柄を教育することは困難であるためです。
また、スタッフが気持ち良く働けるように、プライベートのできごとや他愛もない話をしてコミュニケーションをできるだけ取るように意識しています。
―――「一宮美容クリニック」の目標を教えてください。
一宮エリアで地域に根付いたクリニックになれるよう努力し続けて行きます。実際に患者さまから「一宮に美容クリニックをつくってくれてありがとう」というお声をいただいたこともあり、少しずつ理想に近づけているように感じます。
分院展開のお話をいただくこともあるのですが、現在クリニックがある場所でこの先何十年も患者さま一人ひとりに責任を持って対応して行く考えです。当院では小陰唇縮小術や膣ヒアルロン酸注射、ED治療を取り扱っていますが、今後は性のお悩みに対応できる治療メニューをより増やして行きたいと思っています。
美容医療業界の課題 ～正確な知識を習得し患者さまに責任を持つ医師を増やしたい～
―――業界の現状について問題視していることはありますか？
気になっているのは、一点特化型のクリニックが増えていること。とくに美容外科領域でその傾向が強いと感じます。多くの医師が知識や技術を幅広く得たいと思う一方で、市場の成熟により一点に特化してブランディングしなければ生き残れない状況になっているのです。そのため、美容医療のオールラウンダーとして活躍することが難しくなってきています。
また一点特化型クリニックが増えると、患者さまがいろいろなクリニックで施術を受けた結果、顔のトータルバランスが不自然な印象になりやすいことも問題視しています。できるだけ1つのクリニックで施術を受けたほうが自然な仕上がりになりやすく、アフターフォローや今後の治療についても提案しやすいでしょう。当院の患者さまにカウンセリングを行う際は自然な仕上がりを意識し、施術が必要かどうかも含めて提案するように心がけています。
読者へのメッセージ ～患者さまに信頼され地域密着型のモデルとなるクリニックへ～
―――まずは患者さまへのメッセージをお願いします。
美容クリニックの公式ホームページや公式インスタグラムを見るだけでは、患者さまの本当に求める情報がつかめず信頼に値するクリニックかどうか分からないこともあると思います。
私たち「一宮美容クリニック」は皆さまに信頼されるように、患者さま一人ひとりのカウンセリングを丁寧に行ってまいります。美容医療に詳しい方もそうでない方も、どれだけ些細なことでも私やスタッフに質問してください。慣れないうちは緊張するかもしれませんが、気軽な気持ちでクリニックにお越しいただければ幸いです。
―――地域密着型美容クリニックの開業を考えている医師へメッセージをお願いします。
現在、「一宮美容クリニック」と同様に都心からやや離れたエリアで開業する美容クリニックの立ち上げに協力しています。当院のように都心部から少し離れた地域では、「美容クリニックに行ったことがない、行くのが怖い」という方も多い傾向にあります。そのような方々が気軽に行けて、安心して通えるようなクリニックが増えることは非常にうれしいです。
地域密着型のクリニックとなるためには、幅広い治療メニューを提供してできるだけ1つのクリニックで治療が完結することを目指します。また、院内の雰囲気やスタッフ同士のチームワークも醸成する必要があるでしょう。まずは、当院が先駆けとなって地域密着型美容クリニックのモデル事例となれるように努力してまいります。
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・治療に用いる医薬品および医療機器は、当クリニック医師の判断のもと、個人輸入手続きが行われています。個人輸入における注意すべき医薬品等に関する情報は、下記をご参考ください。
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・本治療には、国内未承認医薬品または未承認医療機器を用いた施術が含まれます。
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副作用・リスク：内出血、アレルギー、施術直後の肌の凸凹など
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・薬事承認を取得した製品を除き、同一成分や性能を有する他の国内承認医薬品および医療機器はありません。
・諸外国における安全性等に係る情報
－重大なリスク・副作用などが明らかになっていない可能性があります。
・万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
