トルコ・韓国で植毛?地道に美髪治療?髪の悩みを解決する医療アプローチ—再生医療から植毛までの最新治療法—

トルコ・韓国で植毛?地道に美髪治療?髪の悩みを解決する医療アプローチ—再生医療から植毛までの最新治療法—

植毛や美髪治療は、男性が行うものというイメージがあるかもしれませんね。しかし近年では、女性の頭髪にまつわる悩みにもスポットライトが当てられています。薄毛や抜け毛、生え際の形、どんなヘアケアをしても元気がない髪の毛など、ヘアコンプレックスはさまざま。肌の悩みと同様に、頭髪にも「治療」という考え方があるのです。そこで今回は、現代における美髪治療の選択肢を解説するとともに、トルコや韓国で発展している植毛について解説していきます。

AGAからFAGAへ!髪の毛が“老ける”って本当?

薄毛治療といえば男性型脱毛症(AGA)が有名ですが、近年では女性の男性型脱毛症として「FAGA」が広まりつつあります。多くの女性が頭髪に関する悩みを抱えるものの、薄毛に関する悩みは男性に比べて目立ちにくいため、これまでの薄毛治療は男性がメイン層になっていました。しかし、カラー・パーマを繰り返し行うことや、加齢、妊娠・出産によるホルモンバランスの崩れなど、さまざまな要因で女性でも薄毛や抜け毛は引き起こされるものです。髪は女性らしさの象徴でもあるように、肌や顔立ちと同様、美しさや若々しさを左右しやすい要素。このような悩みを解消するため、美容医療の分野でもFAGA治療の発展が急がれるようになり、さまざまな治療方法が広がっています。

自毛植毛で永久的に髪を増やす!手術の流れとメリット・デメリット

日本でもAGA・FAGAクリニックが増えてきていますが、世界的に見れば、まだまだ追いついていない状況です。とくに植毛に関しては、最先端といわれるトルコに比べて選択肢が限定的。そんな中で、人気美容インフルエンサーの美容整形ちゃん(@SiVb67hfoc)が体験した、トルコでの自毛移植が話題に!ここからは自毛植毛について解説するとともに、トルコに次いで植毛技術が発展する韓国と、日本の違いを比較していきます。

植毛治療の施術から髪が生えるまで

美容整形ちゃんは、自身の体験記を自身のX(@SiVb67hfoc)やYouTubeで語っています。日本人女性でいながら、丸坊主×植毛治療という稀に見ない自毛植毛を遂行。美容整形ちゃんの体験を交えながら、植毛の流れを見ていきましょう。

美容整形ちゃんがトルコで行ったのは、およそ1750株の移植。前髪の生え際が薄く、老けた印象になることに悩みトルコでの自毛植毛を決断したそうです。美容整形ちゃんは完成度を高めるために丸坊主にしましたが、丸坊主にしなくても植毛治療できるとのこと。施術はデザインを決めた後、静脈麻酔をして頭部にも麻酔を打っていきます。施術時間は移植株数やドクターの技術力にもよりますが、一般的には3~7時間が目安です。

こちらは移植して3週間後の様子。Xで「フケが出てくる」と綴られているように、植毛後1ヶ月はかさぶたができる過程で、かゆみやフケが出てきます。また、この時期に一時的に髪が抜け落ちる正常反応が現れますが、4ヶ月ほどで再び生え始めるため、つらい時期ですが耐えどきです。

植毛して9ヶ月目の様子。生え際がフサフサになり、若々しい印象になっていますよね。植毛後6ヶ月以降は新しい髪の毛が生えそろい始め、カラーリングも可能になります。1年経過すると、最終的な結果が確認でき、より自然な仕上がりになるとのこと。
また、美容整形ちゃんはトルコで植毛をした感想として、「トルコは植毛のダウンタイム中の人が多く、包帯をつけて町を歩いていても人目が気になりにくい」と動画内で話していました。

自毛植毛の種類と国ごとの違い

美容整形ちゃんが行った自毛植毛とは、自身の髪が生えている毛根や頭皮を採取して、増毛したい部分に移植する方法です。自毛植毛には「FUT法」と「FUE法」という代表的な2つの手術用法があり、それぞれの違いは以下のとおりです。

FUT法 後頭部にメスを入れ、健康な頭皮ごと移植する毛を採取して植え込む方法。皮膚ごと採取するため毛根が傷みにくく、定着率が高い。広範囲の移植に向いているが、切開を伴うためダウンタイムが長い、痛みが続くなどのデメリットがある。
FUE法 健康な髪の毛を、毛根から1本1本採取して植え込む方法。傷口が小さくダウンタイムが短い一方で、手作業で行うためコストがかかる。

いずれの方法も、移植後の定着率は100%ではなく、10%程度は定着しないことに理解が必要です。傷痕がある部分への移植はさらに定着率が下がり、50%ほどといわれています。また、移植後は一旦毛が抜け、そこから新たな毛が生えてきます。個人差はありますが、きれいに生えそろうまで1年前後の期間を要するため、美容整形ちゃんの体験記でも分かるように、広範囲の治療になると周囲に隠し通すのは難しいでしょう。

現在、日本ではFUT植毛とFUE植毛の両方ともが主流ですが、品質や技術力が高い反面、200万円~500万円とかなり高額な料金で提供されています。トルコはFUE法の技術が進んでおり、クリニックによっては60万円以下のプランを提供しているところもありますが、施術の質や医師の技術によって価格の幅が広いことも特徴です。

近年注目されている韓国は、日本とトルコの中間の価格帯で、100万円~150万円が相場。韓国の植毛はDHI法というFUE法を進化させた特殊なペンを使った技術が開発されたことにより、より正確な移植が定着してきています。また、PRP治療や幹細胞治療を積極的に導入しており、自然治癒力を高め、ダウンタイムを短くすることに注力していることも違いといえるでしょう。

自毛植毛の選び方

自毛植毛は世界的にもトルコが有名ですが、トルコでの移植には次のようなデメリットがあります。

  • 現地でのコミュニケーションの課題
  • アフターケアや緊急時の対応
  • 日本人の毛髪特性への理解度
  • 長時間の移動による身体的負担

トルコでは英語も用いられますが、カウンセリングや移植中はトルコ語が使用されるケースがほとんどです。通訳を雇っても上手くコミュニケーションが取れなければ、希望と異なる仕上がりになる可能性も。また、植毛には感染症や、植え込んだ毛の成長不良などさまざまなリスクが伴います。トラブル発生時はどのようなケアが受けられるのか、事前に確認しておくことが大切です。

さらに、海外の方に比べて、日本人や韓国人の頭皮は硬く、毛髪は太めという特徴があります。このような違いを理解していないクリニックの場合、毛髪を採取する工程や埋め込む工程に不備が生じるケースも。トルコ植毛は技術・コストともに優れていることに間違いはありませんが、アフターフォロー体制や安全面も考慮して、韓国や日本での施術と総合的に比較・検討しましょう

植毛治療のダウンタイムと術後ケア

植毛直後は、腫れや軽い痛みなどが生じることがあります。しかし頭皮に負担をかけない仕事であれば、翌日から職場復帰も可能です。ただし、術後のケアを丁寧に行うことが定着率アップのコツ。植毛直後はとくにデリケートになっており、日常生活で頭をぶつけたり、摩擦や刺激を加えたりしないよう注意を払わなければいけません。
また、洗髪は翌日から可能ですが、ゴシゴシ洗いは厳禁。多くのクリニックでは、翌日に洗髪指導をしてもらえます。植毛は熱に弱いため、普段どおりの洗髪がOKになっても術後2ヶ月はドライヤーを冷風、または温風で30cmほど離すように当てることが推奨されています。

再生医療を生かしたAGA・FAGA注入治療:髪の毛を根本から再生する最新技術

ここからは、植毛以外のAGA・FAGA治療をご紹介。最新の治療の1つとして話題となっているのが、再生医療を生かした注入治療です。主に、成長因子(グロースファクター)やPRP(自己血小板療法)を用いた、細胞を生まれ変わらせる治療を指します。再生医療はエイジングケアとして有効なだけでなく、病気や怪我などで機能不全になった組織・臓器にも利用される治療方法。まずはFAGAの注入治療について解説していきます。

▼髪のエイジングケアについてはこちらもチェック

注入治療の効果

 

薄毛の要因は、ホルモンバランスや遺伝、生活習慣などさまざま。それらの改善を図ると同時に、細胞へダイレクトにアプローチできるのが注入治療です。健やかな毛髪は、毛乳頭細胞や毛母細胞を「成長因子」がサポートしています。成長因子はタンパク質の一種であり、体内で自然に生成される物質です。しかし、10代をピークに減少するため、年齢とともに細胞への働きが弱まり、結果として薄毛や抜け毛の原因の1つになるとされています。

成長因子の種類は複数存在し、毛髪に関わるのはハリや弾力を生み出すFGF(繊維芽細胞増殖因子)、毛髪の原材料となるKGF(ケラチン細胞増殖因子)、細胞分裂を促進するIGF-1(インシュリン様成長因子-1)など。注入治療ではこれらの成長因子を外部から補い、少しずつ時間をかけてヘアサイクルを整え、健やかな毛髪を育てていきます

注入方法・費用・治療期間について

FAGA注入治療には、成長因子が含まれる製剤を注入する方法や、自分の血液から成長因子を抽出するPRP、脂肪幹細胞を抽出して培養するHARG療法などいくつかの選択肢があります。いずれも発毛育毛の原理は同じですが、PRPやHARGは自己由来の成長因子の注入になるため、異物反応(アレルギー反応)が低いことが特徴です。

注入方法は、注射器での手打ちのほか、ダーマローラー(ローラー状の針で穴を開ける)、レーザー照射などがあります。また、治療期間の目安は月1~2回程度の施術を半年~1年ほどと、比較的長く治療を続けることが大切です。費用は施術内容と効果の程度にもよりますが、1回10,000円〜200,000円と幅が広め。一般的にPRPやHARG療法は抽出する工程が必要になるため、費用が高くなる傾向にあります。採用する注入方法や治療期間はクリニックによって異なるため、比較して通いやすいクリニックを選びましょう。

注入治療による発毛育毛治療はこんな方におすすめ

注入治療による発毛育毛治療は以下のような方に向いています。

  • 急な変化を避け、段階的に治療したい
  • 内服薬による副作用リスクを避けたい
  • ライフスタイルに合わせて治療したい

注入治療は効果に個人差があり、変化を実感するまで長期間かかることもあります。しかし、成長因子というもともと体内に存在する物質を利用するため、安心感があることや、周囲にバレにくい自然な発毛育毛を目指せる点がメリットです。また、必要に応じて治療を中断することもできるため、スケジュールを立てにくい方でも受けやすいでしょう。

ヘアラインアートメイクで理想の髪型に!手軽にできる美髪アプローチ

出典:photoAC

再生医療とは反対に、「すぐに変化を感じたい」「もっと手軽に治療したい」という方は、ヘアラインアートメイクという選択肢も。さっそくメリットや注意点を見ていきましょう。

ヘアラインアートメイクのメリット

ヘアラインアートメイクは、生え際や分け目などの気になる部分に色素を注入し、薄毛を目立たなくさせる治療です。生え際の余白を埋めて小顔効果を狙うこともでき、韓国の女優やアイドルの中ではもはや常識の施術となっています。
アートメイクは一度施術を受ければ1~3年は色が持つとされており、メンタル面でも気負わず美髪治療ができることが魅力です。また、アートメイク用の色素は調合して髪色や肌色に合わせるため、ヘアカラーをしていても施術を受けられ、自然で目立たない仕上がりを再現しやすいことも特徴です。

ヘアラインアートメイクの施術方法と費用

アートメイクは、表皮からおよそ0.02~0.03mmのごく浅い層に針で色素を入れていきます。事前のカウンセリングで、色や濃さなどデザインの希望を伝えましょう。1回の施術では色素の定着にムラが出る可能性があるため、2週間ほど間隔を開けて2回目の施術を推奨するクリニックがほとんどです。
費用の相場は施術範囲にもよりますが、生え際全体を2回施術した場合はおよそ10万円~20万円が目安。また、アートメイクはターンオーバーで徐々に薄くなるため、年に1回程度メンテナンスをすることで持続力がアップします

ヘアラインアートメイクの注意点

アートメイクは運動やサウナ、頭皮の日焼けなどが色素を薄くする原因になります。そのため、汗をかきにくく日差しが弱い秋~冬に施術するのがおすすめです。また、アートメイクは施術者の技術力が仕上がりを左右します。クオリティの高い仕上がりを求めるには、クリニックの実績だけでなく、施術者の経歴や症例をチェックしておきましょう

▼韓国と日本のアートメイクについて比較した記事はこちら

内服治療で髪を増やす!効果的な増毛薬の選び方

出典:photoAC

AGA・FAGA治療には、飲むだけで発毛育毛を促せる内服薬も開発されています。代表的な薬が、フィナステリド(プロペシア錠)とミノキシジル。これらの薬には厳格な使用方法が定められており、一般的な内服薬に比べて服用、保管に注意が必要です。詳しく解説します。

内服治療薬で育毛発毛する仕組み

フィナステリドとミノキシジルではそれぞれ役割が違います。フィナステリドは薄毛や抜け毛に大きく関与する「5αリダクターゼ」という危険因子を阻害するお薬。5αリダクターゼを抑制することで、強力な男性ホルモン「ジヒドロテストステロン」の増生を抑え、AGAの進行を抑えるというものです。抜け毛の進行を遅らせるほか、ヘアサイクルを正常化させ、発毛促進効果も期待できます

一方ミノキシジルは、もともと血圧を下げるためのお薬。副作用として体毛が濃くなる症状が見られたことで、AGA・FAGA治療に応用されるようになりました。ミノキシジルには血流を良くする作用があり、弱った毛母細胞に栄養や酸素を行き届かせることでヘアサイクルを整えます。抜け毛予防の効果はなく、発毛を促すことに特化しています。また、ミノキシジルは内服薬だけでなく、外用薬(塗り薬)もあることが特徴です。

内服治療薬の服用・取り扱い注意点

フィナステリドは、男性機能の低下や肝機能障害、抑うつなどの副作用があります。そして最大の注意点は、女性や未成年は服用できないということ。フィナステリドの作用で体内のホルモンバランスが乱れ、妊娠に必要な機能の損失につながるためです。妊娠中の女性の場合、フィナステリドが胎児の生殖器の発達を阻害し、奇形リスクが高まることも分かっています。また、フィナステリドは経皮吸収による影響も伴うため、パートナーが服用する際は保管場所や接触に十分に注意しておきましょう。

ミノキシジルは、男女関係なく服用できるお薬です。最初の1~2ヶ月は抜け毛が目立つ可能性がありますが、ヘアサイクルを整えるための正常反応とされており、この時期に服用を中断しないことが重要です。内服薬の場合、副作用は血圧の低下や動悸など。外用薬の場合、頭皮のかゆみやフケなどの症状が現れる可能性があります。ミノキシジルは血管拡張剤であるため、安易な服用は厳禁です。疾患がある方は心不全を起こす恐れもあるため、必ず専門機関やクリニックで処方してもらいましょう。

内服治療薬の費用・治療期間

フィナステリドの月額相場は10,000円~が相場です。ミノキシジルの月額相場は7,000円前後。どちらも個人差がありますが、効果を感じられるのは半年~が目安とされており、地道に服用を続けることが大切です。個人輸入で安価に入手できるサイトなどもありますが、偽造薬や粗悪品である可能性もあり、健康被害に遭う危険性があります。AGA・FAGA治療の内服薬は、知識と経験がある医師の指導のもと服用するようにしてください

こんな方におすすめ

内服治治療による発毛育毛治療は以下のような方に向いています。

  • なるべく安価に治療したい
  • 痛みや通院を伴わないホームケアが希望
  • 早めに薄毛・抜け毛対策したい

内服治治療の魅力は、比較的安価かつ、飲むだけで自宅でAGA・FAGA治療ができるということです。女性はフィナステリドを服用できませんが、ミノキシジルとサプリメントの併用で治療効果を高められるケースもあるため、まずは受診して治療方針を探ってみましょう。また、内服薬治療は症状が軽いほど効果が高いとされています。今ある症状の治療としてはもちろん、予防としても向いている治療です。

まとめ

令和は毛髪にまつわる悩みを女性でも堂々と治療できる時代です。自毛植毛、注入治療、アートメイク、内服薬治療と、多くの選択肢から自分に合った治療方法を選んでくださいね。治療と同時に、食生活や生活習慣の乱れを正していくことも忘れずに。肌と同様に毛髪にも目を向けて、髪の毛1本1本まで自信に満ちた自分になりましょう。

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