
「痩せる薬を病院でもらいたい」「食事制限や運動が続かない」とお悩みの方へ。
仕事や育児に追われ、ダイエットの結果をなかなか出せない人にとって、医療ダイエットは新たな選択肢となりつつあります。
近年では、美容クリニックなどで“痩せる薬”を入手できるようになり、ダイエットの選択肢も多様化されました。
そこでこの記事では、痩せる薬の種類やおおまかな費用を解説するとともに、知っておきたい注意点を解説。医療ダイエットを開始する前に、まずは正しい知識を身に付けていきましょう。
痩せる薬を病院で処方してもらうには?保険適応になる?

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痩せる薬が、ダイエットサプリメントと大きく異なるのは、医師の診察と処方が必要なことです。
まずは、痩せる薬とはどんなものを指し、また誰でも保険適用で処方してもらえるのか、基本の知識を見ていきましょう。
◾️病院で処方される痩せる薬とは?
病院で処方される痩せる薬とは、太る原因となる“食べすぎ”を防いだり、糖や脂質の排出を促したりする効果が認められているものを指します。
糖尿病や高血圧などの生活習慣病の治療に使われていた医薬品に、体重減少の効果が見られたことで、一般的なダイエット薬としての応用に注目が集まりました。
現在の医療ダイエットにおいては、ただ薬を処方するのではなく、食事内容の見直しや運動習慣の改善が前提となります。
効果的に痩せるには、医師の指導のもと、計画的に薬を取り入れることが大切です。
◾️病院で処方される痩せる薬の費用相場
できるだけ安く入手するために、「美容クリニックではなく、内科でもらえる痩せる薬はないの?」と思う方もおられるでしょう。
実は、痩せる薬が保険適用で処方されるのは、肥満が健康に悪影響を及ぼしていると医師が診断した場合に限ります。
つまり、一定の条件を満たし、「糖尿病」や「肥満症」、「メタボリックシンドローム」といった疾患が認められると、クリニックの種類に関わらず保険適用となるのです。
一方で、美容目的や体型維持のためのダイエットの場合は、自由診療となるため保険は適用されません。
1ヶ月あたりの薬代は、種類やクリニックの価格設定によって異なりますが、錠剤で8,000〜15,000円、注射薬で20,000〜40,000円を目安として考えておきましょう。
なお、薬代のほかに、初診料や検査代などがかかる可能性も高いため、事前に確認しておくと安心です。
病院で処方される主な痩せる薬の種類

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痩せる薬を病院で処方してもらう際、種類や選び方に迷いますよね。ここからは、医療ダイエットで処方されることが多い、主な薬をご紹介します。
◾️GLP-1受容体作動薬
GLP-1受容体作動薬とは、血糖値の上昇を抑えるホルモンGLP-1と似た働きを持つ、食欲を抑える薬です。
食事管理や運動と併用することで脂肪が蓄積しにくくなり、服用することで痩せやすく太りにくい体へと導きます。
種類は錠剤の「リベルサス」や自己注射の「サクセンダ」「ウゴービ」「オゼンピック」などがあり、用量や服用のタイミング・回数に合わせて選ぶケースが多いでしょう。
なお、血糖値をコントロールする薬のため、一般的には糖質中心の食生活になっている方、過食傾向がある方に向いているとされています。
副作用として、吐き気や嘔吐などの体調不良が現れることがあります。
◾️GIP/GLP-1受容体作動薬
GIP/GLP-1受容体作動薬は、GLP-1の作用に加え、GIPというホルモンにも働きかける薬。皮下注射薬の「マンジャロ」が代表的です。
痩せる理由は、食欲抑制や満腹感を持続させるだけでなく、脂肪の分解をサポートすることで、体重減少効果が高まるため。
比較的、変化を実感できるまでの期間が短いとされており、急いで減量を目指す方の選択肢の1つになり得るでしょう。
こちらも、GLP-1受容体作動薬と同様に、吐き気や嘔吐、下痢などの副作用が考えられます。
◾️SGLT2阻害剤
SGLT2阻害剤は、血液の中の余分な糖分を、尿として排泄させる働きがあります。
1日でおよそ200~500kcalの糖を排出するとされており、1ヶ月に置き換えると、約6,000〜15,000kcalもの糖を省ける計算に。
一般的に、体重を1kg減らすには約7,000kcalの消費が必要ですが、SGLT2阻害剤を活用することで、1ヶ月でおよそ1〜2kgの減少が見込める方もいます。
「フォシーガ」、「カナグル」、「ルセフィ」など、錠剤タイプがラインナップ。副作用として、膀胱炎や頻尿、性器感染症のリスクが高まる点がデメリットといえます。
◾️脂肪吸収抑制剤
膵リパーゼ阻害薬とも呼ばれる脂肪吸収抑制剤は、その名のとおり、食事に含まれる脂質の吸収を抑制する薬です。
摂取した脂質の約30%が吸収を阻害されるため、脂っこい料理が好きな方に向いています。
病院で処方される薬は錠剤タイプの「ゼニカル」が主流ですが、近年では痩せる市販薬として、「アライ」が薬局やドラッグストアに登場しました。
効果的なダイエット薬を市販で入手できるのは便利ですが、年齢や腹囲、BMIなど、一定の条件をクリアしなければ購入できません。
また、脂肪吸収抑制剤は脂肪を便とともに排出するため、脂っぽい便が出たり、下痢になったりする場合があります。
◾️食欲抑制剤
食欲抑制剤は、食欲をつかさどる視床下部に働きかけ、食欲を抑えることで食事量をコントロールする薬です。
糖や脂肪の吸収を抑制する効果はなく、肥満の治療をする際に、食事療法をサポートする目的で使用されます。
錠剤タイプの「サノレックス」が代表的な薬として広く知られており、依存性が高い薬のため、3ヶ月程度の短期間に限定して使用される場合が多いでしょう。
依存性のほかに、のどの渇きや便秘などの副作用にも注意が必要です。
◾️漢方薬
漢方薬は暮らしの中でもなじみ深いものですが、実はいくつもの生薬を組み合わせた医薬品。全身のバランスを整え、体質から改善することで減量をサポートします。
ダイエットに有効な漢方は、脂肪燃焼や便秘改善を促す「防風通聖散」や、水太りやむくみに効果的な「防已黄耆湯」が代表的。
ただし、漢方は体質に合っていなければ効果を実感しにくく、即効性もありません。自分の体質を見極めた上での、長期的な服用が、ダイエット成功の鍵になるでしょう。
痩せる薬を病院でもらう際の注意点

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医療ダイエットに挑戦する前に、痩せる薬の注意点を知っておきましょう。
◾️自分に合った薬を選ぶ
痩せる薬は、種類によって効果はもちろん、投与方法や費用、副作用も異なります。
例えば、普段の食生活1つとっても、糖質中心か脂質中心かでアプローチ方法が変わるでしょう。継続的に使用するものだからこそ、続けやすく、自分に合ったものを選ぶことが大切。
まずは、信頼できる医師に相談してみましょう。その際、料金やアフターフォローが明瞭なクリニックを選ぶこともポイントです。
◾️自己判断での使用はNG
もともと、糖尿病や肥満症などの疾患を治療する際に用いられることが多い痩せる薬。種類によって副作用があり、症状の出方にも個人差があります。
まれに、重篤な健康被害が起こるリスクも潜んでいるため、自己判断での使用は厳禁。
SNSやネットで「1ヶ月で10キロも20キロも痩せる薬」と銘打った広告なども散見されますが、魔法のようなダイエットは存在しないため、安易に手を出さないようにしてくださいね。
◾️食事や生活習慣の見直しは必須
痩せる薬は、あくまでもダイエットのサポート役です。薬に頼って暴飲暴食をしていては、効果が半減するだけでなく、リバウンドのリスクも高まります。
医療ダイエットで大事なのは、薬で食欲や血糖値をコントロールしながら、健康的な食事と生活を習慣づけること。医師のアドバイスを受けながら、太る原因を1つずつ解決していきましょう。
まとめ
痩せる薬を病院でもらうには、医師の診察が必要です。
GLP-1受容体作動薬をはじめとした薬にはそれぞれ異なる作用や副作用があるため、自分に合ったものを選ぶことが大事。
ただし、医療ダイエットはあくまでも減量だけが目的ではなく、健康管理の一環として取り入れられるもの。
まずは信頼できる医師に相談し、薬の特徴をよく理解した上で、無理のないダイエットを行いましょう。
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【治療の内容】
GLP-1受容体作動薬(リラグルチド・セマグルチド) の内服や皮下注射
【治療期間および回数の目安】
リラグルチド:2~3ヶ月以上 セマグルチド:3~6ヶ月以上
※状態によって異なります。
【費用相場】
1ヶ月あたりリラグルチド:¥20,000~¥40,000 セマグルチド:¥10,000~¥35,000※個人の状態・投与方法・用量によって異なります。
【リスク・副作用等】
吐き気、嘔吐、食欲不振、下痢、便秘、頭痛、倦怠感 稀に急性膵炎や胆のう症など
【医薬品に関する注意事項について】
・本治療には、国内未承認医薬品または薬事承認された使用目的とは異なる治療が含まれます。
・治療に用いる医薬品は、各クリニック医師の判断のもと、個人輸入手続きが行われています。個人輸入における注意すべき医薬品等に関する情報は、下記をご参考ください。
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/purchase/index.html
・薬事承認を取得した製品を除き、同一成分や性能を有する他の国内承認医薬品および医療機器はありません。
・諸外国における安全性等に係る情報
-リベルサスは、ノボ ノルディスク ファーマ株式会社が厚生労働省より「2型糖尿病」を効能・効果として、日本における製造販売承認を取得しています。
-リベルサスは、米国FDA(アメリカ食品医薬品局)、MFDS(韓国食品医薬品安全処)の承認を取得しています。
-重大なリスクや副作用が明らかになっていない可能性があります。
・万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
【治療の内容】GIP/GLP-1受動態作動薬:チルゼパチド
【治療期間および回数の目安】数か月~※状態によって異なります。
【費用相場】1ヶ月あたり¥24,000~¥140,000※容量やクリニックによって異なります。
【リスク・副作用等】吐き気、下痢、便秘などの消化器症状、食欲不振、倦怠感、まれに低血糖
【医薬品に関する注意事項について】
・本治療には、国内未承認医薬品または薬事承認された使用目的とは異なる治療が含まれます。
・治療に用いる医薬品は、日本イーライリリー株式会社から各クリニック医師の判断のもと、個人輸入手続きが行われています。個人輸入における注意すべき医薬品等に関する情報は、下記をご参考ください。
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・薬事承認を取得した製品を除き、同一成分や性能を有する他の国内承認医薬品および医療機器はありません。
・諸外国における安全性等に係る情報
-マンジャロは、日本イーライリリー株式会社が厚生労働省より「2型糖尿病」を効能・効果として、日本における製造販売承認を取得しています。
-リベルサスは、米国FDA(アメリカ食品医薬品局)の承認を取得しています。
-重大なリスクや副作用が明らかになっていない可能性があります。
・万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
【治療の内容】SGLT阻害薬:ルセオグリフロジン水和物
【治療期間および回数の目安】3~6ヶ月程度※状態によって異なります。
【費用相場】1ヶ月あたり¥9,000~¥15,000※状態や製剤によって異なります。
【リスク・副作用等】脱水、尿路感染症、低血糖、ケトアシドーシスなど
【医薬品に関する注意事項について】
・本治療には、国内未承認医薬品または薬事承認された使用目的とは異なる治療が含まれます。
・治療に用いる医薬品は、各クリニック医師の判断のもと、個人輸入手続きが行われています。個人輸入における注意すべき医薬品等に関する情報は、下記をご参考ください。
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/purchase/index.html
・薬事承認を取得した製品を除き、同一成分や性能を有する他の国内承認医薬品および医療機器はありません。
・諸外国における安全性等に係る情報
-重大なリスクや副作用が明らかになっていない可能性があります。
・万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
【治療の内容】脂肪吸収阻害薬・内臓脂肪減少薬:オルリスタット
【治療期間および回数の目安】3ヶ月程度※状態によって異なります。
【費用相場】¥5000~¥15000程度※容量やクリニックによって異なります。
【リスク・副作用等】油漏れ便、ガス、下痢、脂溶性ビタミン欠乏など
【医薬品に関する注意事項について】
・本治療には、国内未承認医薬品または薬事承認された使用目的とは異なる治療が含まれます。
・治療に用いる医薬品は、各クリニック医師の判断のもと、個人輸入手続きが行われています。個人輸入における注意すべき医薬品等に関する情報は、下記をご参考ください。
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/purchase/index.html
・薬事承認を取得した製品を除き、同一成分や性能を有する他の国内承認医薬品および医療機器はありません。
・諸外国における安全性等に係る情報
-重大なリスクや副作用が明らかになっていない可能性があります。
・万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
【治療の内容】食欲抑制薬:マジンドール
【治療期間および回数の目安】原則3ヶ月まで、長期使用は不可とするクリニックもあり
【費用相場】1ヶ月あたり¥20,000~¥45,000※クリニックによって異なります。
【リスク・副作用等】
不眠、口渇、動悸、便秘、精神不安定、依存性・耐性・心血管リスク・精神症状悪化など
【医薬品に関する注意事項について】
・本治療には、国内未承認医薬品または薬事承認された使用目的とは異なる治療が含まれます。
・治療に用いる医薬品は、各クリニック医師の判断のもと、個人輸入手続きが行われています。個人輸入における注意すべき医薬品等に関する情報は、下記をご参考ください。
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/purchase/index.html
・薬事承認を取得した製品を除き、同一成分や性能を有する他の国内承認医薬品および医療機器はありません。
・諸外国における安全性等に係る情報
-サノレックスは、ノバルティスファーマ株式会社が厚生労働省より「高度肥満症」を効能・効果として、日本における製造販売承認を取得しています。
-重大なリスクや副作用が明らかになっていない可能性があります。
・万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。