
厚生労働省は、美容医療を含むすべての医療機関に対して、
「管理者(院長)は診療時間中、原則として常勤すべき」との従来ルールを改めて明示した。
この通知は1954年の通達を再確認する形で出されたもので、
長期不在や安全体制の欠如は医療法違反にあたることを明確にした。
自由診療クリニックの拡大に伴い、
“組織としての医療責任”が今、再び問われている。
INDEX
1. 管理者の「常勤原則」を再確認 ― 70年前のルールが再び脚光
厚労省は今回、医療法第10条および第15条の規定を踏まえ、
「診療時間中は、原則として管理者が常勤すべき」という原則を再提示した。
このルールは実は1954年に示された古い通知に基づくもので、
長年“形式上の原則”として扱われていた。
しかし、美容クリニックなど自由診療主体の医療機関で、管理医師が不在のまま施術が行われるケースが増えたことを背景に、
今回あらためて“運用上の厳格化”が求められた形だ。
例外は限定的
通知では、医師不足地域や、育児・介護などのやむを得ない事情がある場合に限り、
「常勤でない管理者」も認められるとした。
ただしその場合でも、
-
常時連絡可能な体制を整えること
-
現場統括責任を果たせる仕組みを構築していること
が条件とされた。
つまり、形式上の在籍ではなく、実質的な責任管理体制が求められる。
2. 安全管理体制 ― 指針と研修の「証跡」が義務化
今回の通知では、管理者が担うべき安全管理体制も詳細に言及された。
医療法第6条の12および施行規則第1条の11に基づき、
以下2点の整備が義務として再確認された。
🩺 医療安全体制の2本柱
-
医療安全指針の文書化
(事故報告、再発防止策、相談対応などを含む) -
職員研修の定期実施と記録保存
(職種を超えた年2回程度の開催が望ましい)
これらを怠れば、医療法違反として行政処分の対象になり得る。
美容クリニックの多くが「安全マニュアル」や「研修記録」を曖昧にしている現状を踏まえ、
今後は“形より中身”が問われるフェーズに入る。
3. 医療広告の適正化 ― “誇大表現”に再警鐘
通知では、医療広告の適正化にも再び警鐘が鳴らされた。
医療法に基づき、広告可能事項以外の表示は原則禁止であり、
誤認を招く表現や根拠の乏しい効果訴求は違法となる。
特に美容医療分野では、
「症例数No.1」「○○治療専門」などの曖昧表現や、
医師でない人物のビフォーアフター発信が問題視されている。
行政による監視は今後さらに強化される見通しだ。
編集長コメント
~“個の技術”から“組織の信頼”へ、医療が進化する時~
美容医療の現場では、
医師の個人技術やSNSでの発信力が集患を左右してきた。
しかし今回の通知は、そうした“個の時代”に一線を引く。
これからの時代に問われるのは、
「誰がうまいか」ではなく「どの組織が信頼されるか」。
常勤の有無、安全指針、職員研修――。
それらは単なる行政ルールではなく、
患者の安全と医療の持続性を守るための最低限の設計図である。
美容医療が「自由診療」という言葉のもとで拡張していく中、
組織運営の倫理こそが、次の競争軸になるだろう。
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管理者は診療時間中、原則常勤(1954年通知を再確認)
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長期不在は医療法第15条違反の可能性
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安全管理体制(指針+研修)は義務
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不備があれば行政処分対象
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医療広告の誇大・虚偽表現も改めて禁止
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自由診療でも「組織的医療」の責任が求められる
まとめ
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管理者の常勤原則を再提示(1954年通知の再確認)
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長期不在は医療法違反の可能性
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医療安全体制=指針と研修の整備が必須
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安全管理の不備は行政処分対象
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誇大広告への規制も再強化
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美容クリニックも「組織の医療責任」が問われる
NEROでは、今後も美容医療における法制度・行政動向の変化を継続的に追跡。
自由診療の進化とともに、医療の信頼をどう守るか――
その答えを読者とともに考えていきます。
参考文献
▼以下、参考内容/
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