フェムケアのやり方を正しく知りたいと思うのは、女性として自然な感情です。
女性の悩みは妊娠、産後、更年期などライフステージによって変化していくため、当然、取り入れるべきフェムケアもライフステージごとに異なります。
本記事では、セルフケアと美容医療の両面からフェムケアの取り入れ方をご紹介。
デリケートゾーンの悩みを解消し、健やかな毎日を送るためにも、ぜひお役立てください。
フェムケアとは?正しいやり方はある?

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フェムケアとは、女性のライフステージに合わせて展開されている、製品やサービス、サポートの総称です。
具体的には、ホルモンバランスの変化に伴う女性特有の悩みを、解決へと導くためのケアを指します。
近年は「将来の不調を予防するケア」としても注目されており、正しいやり方を理解しておくことが大切です。
そこでまず、フェムケアの目的や基本的なやり方を解説します。
■フェムケアの目的
フェムケアの目的は、デリケートゾーンをケアし、生理痛や腟乾燥、におい、性交痛、膣のゆるみなど、ライフステージごとに訪れる女性特有の不調を予防・軽減することにあります。
膣や外陰部は粘膜で構成されており、ホルモンバランスの影響を受けやすい部位です。
ケアを怠るとトラブルが生じやすくなるため、美容目的というより「デリケートゾーンの健康を保つケア」という位置づけが現代のフェムケアの基本的な考え方となっています。
フェムケアを取り入れると心身の不良を和らげる効果が期待できるため、女性が働きやすい環境づくりの一環として、企業の福利厚生として導入する例も近年増えています。
■フェムケアの基本的なやり方と頻度
フェムケアの基本的なやり方は、専用ソープでのやさしい洗浄、乾燥を防ぐための保湿、骨盤底筋の筋力維持を目的としたトレーニングが中心です。
中でも重要なのが洗浄。
デリケートゾーンはほかの部位と比べて皮膚が薄いため、ゴシゴシとこするように洗うとかえってトラブルの原因になるため注意しましょう。
また、洗浄したあとは、水気をやさしく拭き取ってから丁寧に保湿を。
保湿ケアでも皮膚を傷付けないよう、オイルやジェルなどデリケートゾーン専用のアイテムを使用します。
膣のゆるみや尿もれが気になるときは、骨盤底筋トレーニングで膣周辺の筋肉を鍛えるのが有効です。
■やってはいけないNGケア
デリケートゾーンを強くこするような洗い方や締め付けの強い下着の着用、香料が入った製品の過剰な使用はデリケートゾーンを刺激し、乾燥やかゆみを招く原因になります。
また、デリケートゾーンの洗いすぎもNG。
常在菌のバランスを乱し、膣炎や感染症のリスクを高めることがあります。
そのほか、ナプキンや吸水ショーツを交換せず、長時間使い続ける行為も避けましょう。
摩擦や刺激を与えすぎず、体をやさしく労わること。
これがフェムケアの基本です。
妊娠・産後はどんな状態?フェムケアのやり方は?

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妊娠・産後は急激なホルモンバランスの変動により、デリケートゾーンの状態が大きく揺らぐ時期です。
とくに多くの女性を悩ませる膣のゆるみや乾燥については、セルフケアだけでなく、美容医療の選択肢を知っておくことが精神的な安定にもつながるでしょう。
■ホルモンバランスの変化による膣状態の変化
妊娠中はエストロゲンとプロゲステロンが急増し、膣粘膜が一時的にやわらかくなり厚みを増します。
しかし、出産後はホルモン量が急激に低下。
エストロゲンの分泌も抑えられるため、膣のうるおいが不足しがちです。
また、分娩による女性器へのダメージや骨盤底筋のゆるみもあり、膣の締まりや尿もれといった機能面の悩みにつながりやすい時期でもあります。
■膣のゆるみや乾燥に対するフェムケア
産後は体の回復を優先する必要があるため、無理のない範囲でフェムケアを取り入れると良いでしょう。
具体的には、摩擦を避けながらぬるま湯でやさしく洗浄する程度でかまいません。
体が回復してくれば、専用のアイテムを使った保湿ケアを取り入れていきます。
これにより、デリケートゾーンの乾燥や摩擦を防ぐ効果が期待できます。
また、膣の締まり具合が気になる場合は、骨盤底筋トレーニング(膣トレ)が有効。
呼吸に合わせて膣周囲を意識的に引き上げるように行うエクササイズが、デリケートゾーンケアに役立ちます。
■美容医療での選択肢
セルフケアでの改善が難しい膣のゆるみや乾燥には、美容医療を検討するのも方法の1つです。
膣の引き締めやコラーゲン生成を促す2つの治療をご紹介します。
インティマレーザー
インティマレーザーは、膣粘膜にレーザーを照射し、コラーゲンの生成を促して膣壁の弾力とうるおいを取り戻すことを目的とする施術です。
メスで切開する必要がないのはもちろん、膣粘膜の表面を傷付けずに目的とする層へ熱エネルギーを加えられるため、ダウンタイムや痛みが比較的少ないのが特徴。
産後、赤ちゃんの世話で忙しいママから選ばれやすい治療と言えます。
施術後に膣内の粘膜がふっくらとすれば、尿もれや軽度のゆるみが改善されることも。
膣の機能回復と環境維持の両面にプローチできる点が魅力で、定期的にメンテナンスすることで、効果の維持が見込めます。
膣ハイフ
膣ハイフは、膣の奥にある筋肉層に高密度焦点式超音波を照射し、熱刺激で内部組織のたるみ引き締めを図る治療です。
レーザーよりも深層に作用するため、腟圧の低下や中度のゆるみに悩む方に適しています。
特徴は、新たなコラーゲンを形成させるために、あえて熱刺激を与えて今あるコラーゲンを変性させること。
これにより内側から引き締まるような感覚を得られるケースが多く、性交時の感度低下が気になる方からも支持されています。
ダウンタイムは比較的短く、施術直後から日常生活に戻れることがほとんどです。
更年期はどんな状態?フェムケアのやり方は?

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更年期はエストロゲンの分泌が急激に低下し、膣粘膜や外陰部の環境が大きく変化する時期。
乾燥やかゆみ、尿もれ、性交痛などのトラブルが増えるため、年齢に合ったフェムケアへ切り替えることが大切です。
■エストロゲン低下によるデリケートゾーンの変化
40代後半から閉経にむけて、膣内の健康を保つエストロゲンが急激に低下すると、膣粘膜の萎縮や血流低下が起こり、うるおいや弾力が失われやすくなります。
膣内の自浄作用を担っている乳酸菌などの善玉菌も減少するため、pHバランスも大きく変化。
雑菌が増殖しやすく、防御機能が弱まることでかゆみや炎症を繰り返してしまうこともあります。
また、膣粘膜が薄くなるのも、更年期特有の症状。
性交時の痛みや出血、尿道まわりの筋力低下による尿もれなど、機能面での悩みが増えていくのも、この時期の特徴です。
そのため、更年期のフェムケアは、たるみなどの見た目の変化だけでなく機能の低下にもアプローチが求められます。
■腟乾燥・尿もれ・性交痛に役立つフェムケア
更年期のフェムケアでは、「洗いすぎないこと」と「丁寧な保湿」が基本です。
やさしく洗浄し、デリケートゾーン専用のクリームやオイルを使って皮膚や粘膜のうるおいを補うことを心がけましょう。
保湿ケアを習慣にすることで、乾燥によるかゆみや炎症が和らぐ可能性があります。
また、尿もれ予防には、骨盤底筋トレーニングが効果的。
性交痛がある場合は潤滑ジェルの使用も有効ですが、痛みの程度が強い場合にはセルフケアと並行しながら医療的アプローチも検討することをおすすめします。
■美容医療での選択肢
セルフケアだけで改善が難しい腟乾燥、ゆるみ、性交痛には、ホルモン補充療法やレーザー治療などが選択肢となります。
ホルモン補充療法
ホルモン補充療法は、低下したエストロゲンを外部から補うことで、更年期症状を緩和する治療法です。
内服・貼付・塗布などの方法があり、性交痛や腟乾燥の改善が見込めます。
ただし、婦人科系疾患のリスクや持病との兼ね合いがあるため、医師の診察のもと、定期的なフォローアップを受けながら行うようにしましょう。
モナリザタッチ
「モナリザタッチ®」は、膣粘膜に炭酸ガスレーザーを照射し、線維芽細胞を刺激してコラーゲン産生を促す治療です。
膣壁にふっくらとした厚みやひだを再生させることで、腟の乾燥や性交痛の緩和が期待されます。
また、血流が改善し、性的機能が向上する可能性も。
メスでの切開を伴わないためダウンタイムが短く、負担も少ないことから、更年期特有の悩みを抱える方から多く選ばれています。
年齢に伴う膣の萎縮、乾燥、かゆみ、尿もれ、性交痛など複合的な悩みに対応できる点が特徴です。
まとめ
フェムケアは、デリケートゾーンの状態に応じてライフステージごとにやり方を変えていく必要があります。
とくに妊娠・産後・更年期は、ホルモンバランスがダイナミックに変化する時期。
膣のゆるみや乾燥、尿もれ、性交痛など、さまざまなトラブルに悩まされることも珍しくありません。
保湿ケアや骨盤底筋トレーニングなど、自宅でできるケアもありますが、程度が強い場合や明確な改善を期待する場合は、美容医療の力を借りるのも有効な選択肢となります。
心身の健康のためにも、信頼できる医師に相談しながら、自分に合う方法を無理なく見つけていきましょう。
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【治療の内容】インティマレーザー(膣内へのEr:YAGレーザー)
【治療期間および回数の目安】約4~8週に1回、計1~3回程度
【費用相場】1回¥33,000~¥198,000 ※各クリニックによって異なります。
【リスク・副作用等】痛み、違和感、おりものの増加、一時的な排尿時痛・排尿困難など
【未承認機器・医薬品に関する注意事項について】
・本治療には、国内未承認医薬品または薬事承認された使用目的とは異なる治療が含まれます。
・治療に用いる医薬品および医療機器は、各クリニック医師の判断のもと、個人輸入手続きが行われています。個人輸入における注意すべき医薬品等に関する情報は、下記をご参考ください。
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/purchase/index.html
・薬事承認を取得した製品を除き、同一成分や性能を有する他の国内承認医薬品および医療機器はありません。
・諸外国における安全性等に係る情報
-重大なリスクや副作用が明らかになっていない可能性があります。
・万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
【治療の内容】膣への医療用HIFU(高密度焦点式超音波)
【治療期間および回数の目安】治療後3ヶ月~6ヶ月以降から再照射可能 ※治療期間や回数等はクリニックごとに異なります。
【費用相場】1回約¥65,000~¥300,000
【リスク・副作用等】熱感、むくみ、鈍痛、内出血、しこり、おりもの増加など
【未承認機器・医薬品に関する注意事項について】
・本治療には、国内未承認医薬品または薬事承認された使用目的とは異なる治療が含まれます。
・治療に用いる医薬品および医療機器は、各クリニック医師の判断のもと、個人輸入手続きが行われています。個人輸入における注意すべき医薬品等に関する情報は、下記をご参考ください。
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/purchase/index.html
・薬事承認を取得した製品を除き、同一成分や性能を有する他の国内承認医薬品および医療機器はありません。
・諸外国における安全性等に係る情報
-重大なリスクや副作用が明らかになっていない可能性があります。
・万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。


