クリニックを開業する際、開業するエリアが都内であるか地方であるかで、取るべき戦略は変化します。
とくに美容クリニックの場合、地域によって患者の意識や行動パターンが大きく異なることも想定されるため、都内で成功した方法が必ずしも地方で成功するとは限らず、逆も然り。
本記事では、都内と地方それぞれで美容クリニック開業を成功させる戦略を比較し、相違する点と共通して押さえるべきポイントについて考察します。
都内と地方の開業で違うのは“患者の姿”と“患者の母数”

美容クリニックの開業を検討する際、まず明確にしておきたいのは「どんな患者に対してサービスを提供するのか」という点です。
都内と地方では、患者の属性や母数に大きな違いがあり、それがクリニック開業の戦略を大きく左右します。
都内の患者層:属性が多様で情報感度が高い
東京都内には、若年層から富裕層、さらにはインバウンド客まで幅広い層の患者が存在します。
SNSや口コミを通じて美容医療に関する最新情報への感度が高く、施術内容に対する知識も高めです。
そのため、クリニック開業を成功させるには他のクリニックとの「差別化」が重要なポイントとなります。
ありふれた施術メニューでは競合に埋もれてしまいやすいため、最新機器の導入やドクター自身の専門性を打ち出すなど、独自のブランディングが欠かせません。
さらに、都内の患者は美容クリニックの選択肢が多いため、リピート率を高める接遇やアフターケアの仕組みも重要です。
地方の患者層:母数が少なく口コミの影響力が強い
地方では、そもそも美容医療の患者母数が都内と比べて少ない傾向があります。
地方在住の人の中には、まだ「美容医療はハードルが高い」と感じる人も多く、ニーズは存在するものの顕在化していないケースもあるでしょう。
その分、口コミや地域での評判が患者数に直結しやすく、信頼の積み重ねが重要になります。
最初の一歩を踏み出すのに慎重な反面、一度信頼を獲得できればリピーターとして長期的に来院してもらえる傾向が強いのが、地方の特徴です。
患者層の違いを押さえることが戦略の出発点
クリニック開業の戦略を考える際、“誰を”対象にするかを定めることが最初の一歩となります。
美容クリニックを都内で開業する場合は、「情報感度が高く、選択肢が多い層」に対して差別化を図る必要があり、地方では「慎重だが、一度信頼すれば定着する層」に対して丁寧に関係を築くことが鍵となります。
まずは、開業を検討しているエリアの患者層についてリサーチすることが欠かせません。
集患・採用・投資回収……エリア別に必要な戦略

クリニックを運営する際に直面するのが、「集患・採用・投資回収」という3つの課題。
ここでは、都内と地方で比較しながらこの3つのポイントについて整理します。
集患:広告方法と求められる立地の違い
都内では競合クリニックが多いため、SNS広告やリスティング広告などのデジタル集患が欠かせません。
さらに駅近や人通りの多い場所といったアクセスの良さも重視され、広告と立地の両輪で患者を集める必要があります。
都内で立地の良いエリアでは、「同じビルに3軒も美容クリニックが入居している」といった状態も珍しくありません。
美容クリニックが乱立している状況の中で生き残るためには何が必要なのか、ブランディングと解析を徹底した上での集患戦略が重要となります。
一方、都内に比べて競合クリニックが少ない反面、患者の母数自体も少ない地方都市では、広告投資よりも紹介や口コミがより大きな効果を発揮しやすい傾向があります。
地方都市では車移動の患者も想定されるため、クリニックに駐車場が完備されているかどうかも重要視されます。
地域イベントへの参加やローカル紙への出稿など、小回りのきいたマーケティングが効果的なケースも。
都内では集患の即効性が求められるのに対し、地方は長期的でアットホームな関係構築が目標となります。
採用:スタッフの確保が課題
都内は医療スタッフとして働ける人材の絶対数が多いものの、競合クリニックも多いため優秀な看護師や受付スタッフの確保は容易ではありません。
給与水準や福利厚生に加え、「このクリニックで働きたい」と思わせるブランディングが不可欠です。
地方は医療スタッフの人材母数が少なく、採用自体に時間がかかることも珍しくありません。
そのため、待遇や採用後の教育などで、一度採用したスタッフの定着率を高める工夫が重要になります。
投資回収:スピード感の違い
都内では開業費用が高額になりがちですが、患者数が多いため集患が上手くいけば回収スピードは比較的早い傾向にあります。
その代わり競争が激しいため、回収計画には余裕を持ち、想定以上の広告費がかかる可能性も見込んでおくと良いでしょう。
地方での開業は初期費用を抑えられる場合もありますが、患者母数が少ない分、回収には時間がかかる傾向にあります。
開業時の医療機器は必要最低限のものにしたり、リースを検討したり、コストを抑える工夫が重要です。
成功クリニックが押さえている“共通ルール”

ここまで都内と地方の違いを見てきましたが、成功しているクリニックには都内・地方関わらず共通するルールが存在します。
安定したクリニック運営を可能にするためのポイントを見ていきましょう。
ルール1:患者理解を徹底する
成功しているクリニックは、患者の声によく耳を傾けています。
カウンセリング時のヒアリング、施術後のアンケート、SNSでの反応などを分析し、サービスに反映させています。
都内では「最新トレンドへの即応」、地方では「安心感と信頼の積み重ね」という形で違いはあれど、患者理解を軸にした改善が欠かせません。
ルール2:スタッフ教育と組織文化
どんなに医師の技術が高くても、スタッフの接遇レベルが低ければリピートにはつながりません。
成功しているクリニックは、スタッフ教育に力を入れ、接遇・説明の統一感を持たせています。
また、スタッフが働きやすい環境を整え、定着率を高めることも重要です。
これは都内・地方を問わず共通して必要な取り組みといえるでしょう。
ルール3:無理のない投資計画
美容医療は新しい機器や薬剤が次々と登場する分野ですが、成功しているクリニックは「背伸びしすぎない投資」を行っています。
都内であれば多様な患者に応えるため最新機器を導入しつつも、回収シミュレーションを明確に行います。
地方であれば「必要最低限の機器で確実に回収できる体制」を重視。
いずれにしても、投資と回収のバランスを崩さないことが重要です。
ルール4:情報発信の一貫性
クリニック運営を成功させる上では、SNSや公式サイトでの情報発信も重要です。
都内では最新トレンドを意識した発信、地方では親近感や安心感を与える発信が効果的です。
いずれも「医師の専門性」や「クリニックの姿勢」を一貫してわかりやすく伝えることで、信頼の獲得につなげています。
ルール5:デジタルツールの活用
問診システムや電子カルテ、オンライン予約サービスなど、デジタルツールを活用して診療の効率アップを図っています。
クリニックにとっては業務やコストの削減につながり、患者にとっては待ち時間の短縮や予約の取りやすさといったメリットがあります。
デジタルツールの活用は、コスパ・タイパが重視される現代において欠かせない戦略だといえるでしょう。
クリニック開業はエリア特性に合った戦略が不可欠
美容クリニック開業には、5,000万~1億円程度の初期費用がかかるといわれています。
都内と地方で初期費用や投資回収のスピード感に大きな違いがありますが、どちらもしっかりとした戦略に基づいて開業しなければ生き残れない厳しい世界です。
成功しているクリニックが持つ共通ルールは、どれも基本的かつ時代に即したものばかり。
エリア特性に合った戦略を描きつつ、普遍的な原則を守ることが長期的な成功につながります。
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