美容医療の現場で使用される肌診断器は、肉眼では見えにくい細部まで肌を解析できるため、患者に視覚的なわかりやすさを提供してくれます。
医師にとっても治療の方針を決める上で重要な役割を果たす肌診断器ですが、医学的評価として取り扱うことができるのでしょうか。
今回は、NERO視点で肌診断器の特徴を比較し、有効活用するためのポイントを考察します。
INDEX
肌診断器とは?NEROがピックアップする5機種
美容医療の現場で用いられる肌診断器とは、特殊な光や高解像度カメラを用いて肌の状態(シミ・毛穴・赤み・たるみなど)を可視化・数値化する機器のこと。
肌診断器で撮影した画像を医師と患者が共有することで、現状の把握や施術後のイメージングに役立ちます。
肌診断器には撮影できる部位や撮影方法、提示できる画像のクオリティが異なる複数の機種があります。
今回、NERO編集部がピックアップした肌診断器は次の5機種です。
VISIA®-CR

出典:株式会社インテグラル
「VISIA®-CR」は、アメリカのCanfield Scientific(キャンフィールドサイエンティフィック)社製の顔写真専用ミニスタジオ。
「PRIMOS 3D」技術によって、シミやシワ、隠れたシミや皮膚の隆起などの状態をミクロンの解像度で把握できます。
メラニンやヘモグロビンを画像化し、解析することも可能。ビデオキャプチャ機能もあり、静止画だけでなく皮膚の動きを動画で確認することも可能です。
NeoVoir(ネオヴォワール)3D
株式会社シーラボ製の「NeoVoir(ネオヴォワール)3D」は、日本生まれの肌分析器。3D画像を回転させ、毛穴、シワ、クマ、肌のキメ、色素、皮脂など14項目の肌悩みを解析できます。
顔のパーツの長さや角度、高低も測定可能なため、皮膚科領域に限らず、成形手術後のイメージをシミュレートするのにも役立ちます。
VECTRA®Handy H2

出典:株式会社インテグラル
「VECTRA® Handy H2」は、「VISIA®-CR」と同じくCanfield Scientific社製の3D画像撮影解析装置。
フェイスモードでは皮膚科領域の解析ができるほか、ボディモードでは胸部や腹部、臀部の3D解析も可能です。
従来機では6回の撮影が必要だった胸部画像を、3回の撮影で自動3D化できるようになりました。アラガン社のインプラント情報が搭載されており、インプラント挿入シミュレーションも可能。
鼻整形や顔の輪郭形成、乳房吊り上げ術や腹部整形など、美容外科系施術の際にシミュレーターとして活用できます。
AURA(オーラ)3Dイメージングシステム

出典:Aura Reality
「AURA(オーラ) 3Dイメージングシステム」は、計測技術で世界的なリーディングカンパニーであるHexagon社製の3Dイメージングシステム。
撮影可能部位は顔と首で、シワや毛穴、赤みやシミ、肌の質感やボリュームなどを測定できます。撮影画像を時系列で比較することができるため、施術の成果を視覚的に捉えるのにも役立ちます。
SYNCLAiRE(シンクレア)

出典:株式会社K.O.tech
「SYNCLAiRE」は、中国のMeicet社と日本のK.O.tech社が共同開発した肌診断器。アジア人特有の肌データを基盤に、日本人に合うよう設計されていることが特徴です。
シワや赤み、ニキビや色素分析など30種類以上の項目を解析可能。4,200万画素という高解像度3D画像をスピーディーに作成できます。
肌診断器、どう使い分ける?5機種スペック比較表
美容医療分野での肌診断器は多くの場合、施術の目的が皮膚科領域か、美容外科領域かで使い分けられます。
今回NERO編集部がピックアップした5機種を、主要なスペックで比較してみました。
| 機器名 | カメラ・撮影方式/画素 | 主な光モード/フィルター | 主な用途 |
| VISIA®-CR | ・高解像度PRIMOS 3D | ・7種類の光モード: 標準、傾斜、交差偏光、平行偏光、狭帯域青色吸収、狭帯域青色蛍光、UVA吸収 |
皮膚科的解析 |
| NeoVoir 3D | ・Canon EOS M6 Mark II ・3,250画素 |
・4種類の光モード: 一般光、光沢光、偏光、UV |
・皮膚科的解析 ・美容外科術前シミュレーション |
| VECTRA® Handy H2 | ・ハンディカメラで3方向から撮影 | ・モジュラー型インテリジェントフラッシュ ・顔用・体用2つのレンジングライト |
・美容外科術前シミュレーション |
| AURA 3Dイメージングシステム | ・13カメラ/最大1,300画素 ・1回の撮影で3D画化 |
・18種類のライトユニット | ・皮膚科的解析 |
| SYNCLAiRE | ・4,200万画素 ・0.1mm精度のスキャン ・180度自動回転撮影 |
・4種類の光モード: RBG、交差偏光、平行偏光、UV |
・皮膚科的解析 ・美容外科術前シミュレーション |
機種によってカメラの数や撮影方法(据え置き型か、スタッフが手に持って撮影するのか)、作成される画像の鮮明度に違いがあることがわかります。
肌の色は繊細なため、撮影画像を時系列で正確に比較するためには、毎回同じ照明効果・同じポジションで撮影することが重要です。
施術メニューの検討や、施術後の効果を評価するためには、肌診断器を使いこなすスキルと正しい知識を持った医師やスタッフの存在が不可欠でしょう。
肌診断器はマーケツールか医学的評価か?可能性と注意点

患者の現状を詳細に把握し、施術後のイメージを鮮明にするために役立つ肌診断器。美容医療の現場では何を可能にしてどんなことに注意が必要なのでしょうか。
「見える化」で患者の理解を促進する一方でアップセルの手段にもなり得る
肌診断器はシミ・シワ・毛穴など、患者が漠然と悩んでいたことを「見える化」させるツール。画像や数値で客観的に状態を把握することで、患者の理解を促進し、クリニックの説明力・説得力を高められます。
一方で、施術前カウンセリングでは、アップセルの手段として利用されないか要注意。
見えていなかった肌悩みにショックを受けた状態で「このまま放っておくと隠れているシミが顕在化してしまうかも」といわれると、検討外だった施術を言われるがままに追加してしまうことも。
肌診断器でしっかりと現状を把握しつつも、予算や希望に合わない施術は断る賢明さも患者には求められるでしょう。
あくまで“補助ツール”であることを忘れてはならない
便利な一方で、肌診断器は医師の診察と組み合わせて初めて医療的価値が担保される“補助ツール”であることを忘れてはなりません。
肌診断器は、撮影時の光源や環境の違いで結果が変動する可能性もあります。
機種ごとにアルゴリズムが異なるため、クリニックが変われば比較が困難な場合が考えられ、同一機種でもごく微細な変化であれば数値化するのが困難な場合もあるでしょう。
治療の方針を決める上では医師の診察力や提案力が非常に重要であり、肌診断器の結果単独で治療方針が決められる訳ではありません。
医師は肌診断器を過信してはなりませんし、患者も医師が肌診断頼みの診察になっていないか気をつける必要があります。
肌診断器と診察力を組み合わせて理想の施術を追求
美容クリニックで使用される肌診断器は、患者への視覚的説明(マーケティング的側面)と診療補助(医学的評価としての側面)、両方の役割を持ちます。
しかし、肌診断器の画像は診断の参考資料にはできても、単独で治療方針を決定できるものではありません。
医師には肌診断器をうまく使いこなしながら、理想の姿に近づける施術プランを提案できる力が求められます。
患者も、肌診断器の結果に一喜一憂しない冷静さを持っておくべきでしょう。
この記事を読んだあなたにおすすめの関連記事
| ・当サイトは、美容医療の一般的な知識をできるだけ中立的な立場から掲載しています。自己判断を促す情報ではないことを、あらかじめご了承ください。また、治療に関する詳細は必ずクリニック公式ホームページを確認し、各医療機関にご相談ください。 ・本記事は、執筆・掲載日時点の情報を参考にしています。最新の情報は、公式ホームページよりご確認ください。 ・化粧品やマッサージなどが記載されている場合、医師監修範囲には含まれません。 |



