出産をきっかけに膣のゆるみが気になったことがある方もいるでしょう。しかし、産後に膣のゆるみを感じたからといって、具体的にどのような対策を講じれば良いか、なかなか自分自身で判断することが難しい場合もあります。そこで今回は、産後の膣のゆるみ改善に役立つ、膣トレについてご紹介しましょう。膣トレとはいったい何なのか、膣のゆるみを放置するとどのようなことが起こり得るのかなどをまとめました。また、具体的な膣トレの方法などもご紹介します。
1.膣トレとは?その必要性はある?
膣トレとはどのようなものなのかを詳しく解説していきます。また、膣トレを実施したほうが良いのか、簡単にチェックできる方法もご紹介しましょう。
■今さら聞けない!膣トレとは?
膣トレとは、膣の締りをアップさせるためのトレーニングを指します。膣まわりの代表的な筋肉である骨盤底筋を鍛えるのが一般的。骨盤底筋は体の深い部分にあるインナーマッスルにあたる筋肉で、子宮や膀胱、腸といった重要な臓器を支えています。ほかにも、排せつや妊娠出産時にも関係している重要な働きを担っている筋肉です。この骨盤底筋が衰えることで、膣のゆるみが発生するのです。
そんな骨盤底筋が衰えるきっかけの1つとして妊娠・出産が挙げられます。妊娠してお腹の中で赤ちゃんが大きくなると、その重さで筋肉が伸び、結果的に膣のゆるみを感じるのです。また、経膣分娩による出産で骨盤底筋が伸び、出産後に膣のゆるみを感じることもあります。
骨盤底筋が伸びることでさまざまなデメリットが。そこで取り入れたいのが膣トレです。骨盤底筋を鍛えて、膣のゆるみを改善します。産後の膣トレはいつから開始して良いのか、判断に迷うこともあるでしょう。それは会陰や下腹部などの痛みを感じなくなった頃が目安。自分の体調としっかり向き合って、トレーニングを開始してみてください。
■膣トレしたほうが良い?簡単なチェック方法
膣トレをした方が良いのかどうか、まずは自身の膣圧をセルフでチェックしてみましょう。やり方は以下のとおりです。
- 膣やその周辺と、手を洗って清潔な状態にします
- 体育すわりをしてリラックスしましょう
- 手の人差し指と中指の2本をくっつけたまま、第二関節まで膣に挿入します
- 挿入した指を膣に入れたままチョキをするイメージで軽く開いてください
- 指を開いた状態で膣に力を入れ、膣圧をチェックします。
このとき、どの程度指が膣に締めつけられるかを意識してチェックしましょう。あまり締めつけを感じられない場合は、膣がゆるんでいる可能性が考えられます。セルフチェックだけで判断できないときには、医療機関で膣圧計を使って計測してもらうのも1つの方法です。
2.産後に感じた膣のゆるみを放っておくとどうなる?
骨盤底筋もほかの筋肉と同様に、加齢や普段の生活習慣などによって衰え、ゆるみます。また、妊娠・出産によって膣がゆるむ場合もあり、その原因はさまざま。そんな膣のゆるみが気になった際、放置するとどのようなことが起こり得るのかをチェックしておきましょう。
■尿漏れが起こる
骨盤底筋は、靭帯を通じて膀胱や肛門と連結しています。そのため、膣がゆるむことで、尿漏れトラブルが発生することも考えられるのです。自分の意思とは関係なくふいに尿が漏れてしまうため、お出掛けの際に不安を感じたり、においがきになったりすることもあります。こういった尿漏れの悩みは、更年期の女性を中心に感じやすいようです。
■膣に空気や水が入りやすくなる
膣がゆるむと、膣内に空気や水が入りやすくなります。すると生理の際に挿入したタンポンが下がってきやすい状態となり、経血が下着についてしまうことも考えられるデメリットの1つ。ほかにも、入浴後に水が流れ出て下着や衣類が濡れたり、性交時に膣からまるでおならのような音が出たりする場合もあります。
■骨盤臓器脱を発症する可能性がある
さまざまな臓器を支えている骨盤底筋が衰えると、子宮や膀胱、腸などが徐々に下がり、ときには、体外に出た状態となることがあります。これを骨盤臓器脱と呼び、指で押し戻す、手術をするといった処置が必要です。
■性交時の満足度がダウンする
骨盤底筋が衰え膣圧が低くなると、性交時の刺激が減り、お互いに満足度が低下することも考えられます。とくに、妊娠・出産によって膣がゆるんだ場合には、妊娠前の状態と比較してしまいやすく、余計に気になることもあるでしょう。
3.膣トレにはメリットが多数!
膣が引き締まることでさまざまなメリットが得られます。ここれでは、膣トレに期待できる効果を詳しくチェックしていきましょう。
■快適な生活が送れる
膣トレによって膣とそのまわりの筋肉を鍛え、ゆるみを軽減できれば、尿漏れや骨盤臓器脱、空気や水が入りにくくなるといった、ライフスタイルに影響するトラブル予防に効果的です。すると、外出先での不安の解消や病気による不調を感じることが減り、快適な生活が送れるでしょう。また、早めに膣トレを取り入れることで、膣のゆるみ防止に役立つかもしれません。
■生理痛や便秘の改善
膣トレによってインナーマッスルを鍛えると、筋肉の血流が促され、子宮の血流量が増加することが考えられます。すると、子宮の血流も増え、生理痛や子宮の冷えの予防にもつながるでしょう。また、骨盤底筋を鍛えると腸が刺激され、便秘の改善にも役立ちます。
■理想のボディラインが目指せる
膣トレで鍛える骨盤底筋は、お腹辺りにある臓器を支えている筋肉です。そのため、骨盤底筋が弱いと内臓が下がり、お腹がポッコリ見えてしまうことも考えられます。膣トレによって骨盤底筋を鍛えることで内臓が正しい位置に戻り、理想的なボディラインが目指せるでしょう。また、骨盤底筋には骨盤の位置を正しくキープする働きもあるため、鍛えることで良い姿勢を手に入れられるかもしれません。
4.膣トレする際の注意点
美容と健康にとって多数のメリットがある膣トレ。実際にトレーニングを行う際の注意点もご紹介します。
■食生活や姿勢にも注意する
いくら膣トレを頑張っても、普段の生活が乱れていては、なかなか良い結果は出ません。栄養バランスの崩れた食事は便秘になることもあり、その結果骨盤底筋に負担をかけることもあります。また、運動不足は筋肉を衰えさせるため、膣のゆるみにつながる場合もあるでしょう。そのため、まずは栄養のバランスに配慮した食生活を心がける、適度な運動を取り入れるといったことも意識してみてください。
あわせて、普段の姿勢にも注意が必要です。猫背などの悪い姿勢は、骨盤底筋に悪影響を及ぼしかねません。また、同じ姿勢を長時間続けることが多い方も、お尻や骨盤底筋の筋肉が衰えがちです。普段から良い姿勢を意識してみてください。
■膣トレは継続することが重要ポイント
膣トレは、1回実施したからといって、すぐに膣のゆるみが解消する効果が得られるわけではありません。そこで、毎日少しずつで良いので継続してみましょう。テレビを見ている際や家事の合間など、できる時間を探してみてください。継続できるよう、膣トレする時間を決めるなどしてルーティン化しておくと良いでしょう。自分のペースを見つけて、短い期間ではなく、上手に長く継続してみてください。
5.産後にトライしたい!セルフでできる膣トレ方法
ここでは、気軽にできる膣トレ方法をご紹介します。
- 仰向けに寝転びます
- 床から15cmほどの高さまで足を上げてください
- この状態を20~30秒ほどキープします
膣を締めたりゆるめたりすることを意識して、何度か繰り返し行ってみてください。
なかなか膣トレをする時間が取れない場合には、排尿の際に尿を出すことをいったん止めてみるのも1つの方法。ほかにも、膣や肛門、尿道をキュッと締めたりゆるめたりする動きを家事をしながら行う「ながら運動」を取り入れるだけでも、ちょっとした膣トレになります。
■まとめ
膣トレでは、子宮や臓器を支えている骨盤底筋を鍛え、膣のゆるみを改善します。膣のゆるみを放置すると、尿漏れや空気・水が膣に入るといった不快な症状が発生することも。産後の日々の生活を快適に送るためにも、膣トレは役に立ちます。また、美容においてもメリットがあるため、早めに取り入れたいもの。日々の生活習慣やトレーニングを継続することなどを意識して、膣トレに励んでみてください。
・当サイトは、美容医療の一般的な知識をできるだけ中立的な立場から掲載しています。自己判断を促す情報ではないことを、あらかじめご了承ください。また、治療に関する詳細は必ずクリニック公式ホームページを確認し、各医療機関にご相談ください。
・本記事は、執筆・掲載日時点の情報を参考にしています。最新の情報は、公式ホームページよりご確認ください。
・化粧品やマッサージなどが記載されている場合、医師監修範囲には含まれません。