TCAクロスをセルフで行うと肌の状態が悪化する?治療するなら医療機関に行くべき理由

TCAクロスをセルフで行うと肌の状態が悪化する?治療するなら医療機関に行くべき理由

ニキビ痕(ニキビ跡)の治療について調べていると、SNSやブログに書かれたセルフで行うTCAクロスに遭遇することも。読んでいると簡単そうに思えますが、実はTCAクロスは技術力と医師の判断が重要な美容医療のため、セルフで行うより医療機関に任せたほうが良いでしょう。今回は、TCAクロスをセルフで行うリスクや治療するならどんなクリニックを選べばよいかを解説します。

1.TCAクロスとは?特徴や一般的な治療の流れ

TCAクロスがセルフでできるなどの口コミをみかけて気になっている方も、まずはTCAクロスについて治療の特徴や、一般的な施術の流れを確認していきましょう。

出典:photoAC

■TCAクロスの特徴

TCAクロスは、濃度の高いトリクロロ酢酸を肌に塗布することで、皮膚の再生力を利用して凹みを整える、自由診療で行われる美容医療です。ニキビ痕などクレーター状態になっている肌の凹み、水ぼうそうの痕や外傷を負って残った傷痕などに効果が期待できます。トリクロロ酢酸は酸の一種で、皮膚科のイボ治療に使われることもある薬剤です。
TCAクロスの治療は、主に鼻や頬、眉間などのニキビ痕に対して使われます。その中でもTCAクロスの治療が向いているのは、アイスピック型とボックスカー型の2種類。アイスピック型のニキビ痕は、表皮・真皮のさらに奥にある皮下組織までダメージが及んでいる状態で、小さな点のように見えます。対してボックスカー型のニキビ痕はダメージが表皮・真皮層に留まり、平らな凹みが特徴です。

■TCAクロスを医療機関で行う流れ

まずは医療機関でTCAクロスを施術する場合の、一般的な流れをご紹介しましょう。

  1. 医師による肌の診察を行います。気になっている場所の状態や、ニキビ痕の深さなどを見極め、TCAクロスが適切であると判断されれば治療へと進みます。
  2. 施術前に、洗顔でメイク汚れなどを落として肌を清潔にします。
  3. 患部にTCAを塗布します。薬剤を塗った患部が白くなるのが特徴です。施術時間は約10~15分と短く、施術中は痛みや熱感がありますが麻酔薬を使うことはありません。
  4. 術後の肌は日焼けによる色素沈着が起こりやすいため、紫外線対策をしっかりとしながら帰りましょう。シャワーは当日からOK、お風呂や洗顔、メイクなどは翌日までNGです。

少しずつ皮膚を再生させることで凹みを浅くすることを目的に、一般的に治療は約1ヶ月の間隔をあけて3~5回に渡って行います。

■TCAクロスの経過とダウンタイム

TCAクロスの副作用には、施術後の経過中に薬剤を塗布した部分が白くなるフロスティング反応が表れること、かさぶたができて剥がれた部分に赤みが出ることなどが挙げられます。赤みは自然と目立たなくなりますが、色素沈着が起きてしまうと、患部が茶色っぽくなってしまう場合も。さらに、ダウンタイム中にニキビ痕よりもかさぶたが大きくなってしまうことで、施術前よりも患部が広がったと誤認してしまうこともあります。ただし、まれではありますが医療機関であっても傷痕が肥大する場合もあるため、術後の経過には注意が必要です。
TCAクロスのダウンタイムは約1週間ですが、赤みは1~2ヶ月残ることも留意しておきましょう。

2.TCAクロスをセルフで行って悪化……セルフケアをおすすめしない理由

TCAクロスは全額自費診療の美容医療です。継続治療を行って費用が高くなることを懸念して、医療機関ではなくセルフでしてみようかなと考えている方は要注意。薬剤を塗布するだけと簡単に思えるTCAクロスですが、セルフで行うと失敗して悪化してしまうリスクが高いのです。

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■TCAクロスをセルフで行う際の方法が正しくない可能性がある

TCAクロスをセルフで行っている方の多くが、体験談やブログ、SNSなどを参考に実施しています。アプローチ方法が正しいかどうかは行っている本人でさえも分かりません。あくまで個人の体験談であるため、TCAクロスのセルフ施術が成功して効果が見られたとしても、その人のその肌状態に合っていただけで、体験談を参考に行おうとしている方の肌に合う確証はないため、失敗するリスクがあります。
その点、医療機関を選択すれば、それぞれの肌状態に沿った薬液の濃度や塗布量に調整してくれるため、セルフで行うより安心して受けられるのです。

■TCAクロスは使用する薬剤の取扱いが難しい

TCAクロスで使用するトリクロロ酢酸は、医薬品医療機器等法上で承認されていない医薬品。国内で同一の成分や性能を持つ国内承認医薬品はないため、医療機関で使用する際も医師の判断のもとで購入し、治療に使用しています。つまり、TCAクロスをセルフで行う場合、それだけ取り扱いの難しい薬剤を自分で購入して、濃度を調整しなければならないのです。TCAクロスをセルフで行った方の体験談には、セルフですることに対する危険性を感じずに実施している場合が多く、リスクが一段と高いことがうかがえます。
医療機関ではしっかりと管理された状況で治療を行うため、TCAクロスの治療そのもののリスクはありますが、セルフで行う場合に比べるとはるかに失敗するリスクは低いでしょう。

■TCAクロスのセルフケア中に注意すべき副作用が幅広い

TCAクロスでは、注意すべき副作用が幅広いことも、セルフケアをおすすめしない理由の1つです。
TCAクロスで用いるトリクロロ酢酸の副作用には、フロスティング反応・赤み・色素沈着の他に、皮膚の乾燥や色素脱失、皮膚炎、びらん、潰瘍(かいよう)などもあります。一般的に医療機関で行う場合は少しずつ皮膚を再生させるように薬剤を塗布するため、大きな副作用が出る確率は高くありません。しかしながらTCAクロスをセルフで実施する場合、素人が判断した薬剤量や濃度で塗布するため、元の肌状態より悪化したり、副作用が大きく出たりしてしまう可能性が高いのです。大切な肌が取り返しのつかないことになってしまうよりは、医療機関に任せることをおすすめします。

■TCAクロスのセルフケアでは困ったときも自己責任

TCAクロスをセルフで行う場合に怖いのが、困ったときも自己責任になってしまう点です。
TCAクロスは、皮膚組織にダメージを加えることで、細胞が再生しようとする治癒力を引き出して凹んだ皮膚を整えていく治療。ダメージを加えるため副作用が強く出る場合もありうるのですが、医療機関であればアフターフォローがしっかりしているため、困った場合もすぐに相談できます。
体験談などを参考にTCAクロスをセルフで行った際に、体験談と違って肌により酷い反応が起きたとしても、その反応が正しいと思ってしまいかねません。判断が遅れれば状態は悪化の一途。TCAクロスのように取り扱いが難しい治療は、些細な異変でも相談できる医療機関で行うのが無難です。

3.TCAクロスはセルフで行うより医療機関へ!クリニックの選び方

これほど扱いが難しいTCAクロスの治療を任せる医療機関は、どのような点に注意して選べば良いのでしょうか。ここからはTCAクロスを任せるクリニックの選び方をご紹介します。

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■TCAクロスの価格表示や治療に関する記載をチェック

TCAクロスの治療価格の表記は、クリニックによって違います。部位ごとに金額を設定しているところもあれば、20ヶ所所までの金額を設定しているところなどさまざま。価格が安く見えても対象回数が少ない、治療方法や治療手順が不明瞭で不親切、アフターフォローがないなど、治療を受けるにあたって不安要素がないクリニックを選ぶことが必要です。クリニックを選ぶ際には金額だけでなく治療に関してどのように記載しているかも確認してみましょう。

■TCAクロスを受けて大丈夫?クリニックの得意分野をチェック

TCAクロスは医師の判断が重要な治療方法です。クリニックを選ぶ際には、顔や肌の美容医療を得意とするクリニックであるか、確認することをおすすめします。
クリニックによっては公式Instagramやブログなどに症例写真を載せている場合もあるため、まずは公式サイトを確認してみましょう。症例を確認することで、TCAクロスにどんな治療をプラスしていくと良いかなどの情報や、検討しているクリニックが自分の求めているレベルの技術・仕上がりに到達しているかを知ることができます。

■TCAクロスを受けるならまずはカウンセリングで信頼できるかチェック

高いリスクを伴う治療であるTCAクロスでは、実際にクリニックを訪れてカウンセリングを受け、医師とクリニックが信頼できるかどうかを確認することも大切です。
美容医療は医療行為のため、施術の前に医師による治療方法の検討や、治療の流れを患者さんへ説明するのは非常に重要なプロセス。無理に合わない治療をすすめられたり、オプションが追加されていたりしないか、実際に医師と話して確認してみましょう。美容医療を扱うクリニックでは、カウンセリング無料の場合が多いため、数ヶ所に絞って最後はカウンセリングで決めるのも良いかもしれませんね。

■まとめ

TCAクロスは、技術力と医師の判断が重要な治療方法です。セルフで行いたい気持ちがある方は、再度TCAクロスをセルフで行うリスクの高さを認識したうえで判断することをおすすめします。また、医療機関であっても安いところ・少ない治療回数で終わるところを選ぶのではなく、しっかりと症例やクリニック・医師のことを調べてから任せるようにしましょう。

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