肝斑にシミ取りレーザーは失敗?レーザー治療を迷うときに知っておきたいこと

肝斑にシミ取りレーザーは失敗?レーザー治療を迷うときに知っておきたいこと

1.「肝斑にシミ取りレーザー」は失敗する?理由を解説

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シミを取りたい場合はレーザー治療が効果的ですが、失敗につながるリスクも潜んでいます。シミ取りレーザーの失敗原因で特に多いのが、肝斑です。なぜ肝斑があるとシミ取りレーザーが成功しないのか、理由を解説しましょう。

■そもそも肝斑とは

肝斑とは、30~40代の女性に起こりやすいシミです。老人性のシミとは違い、シミの境界線があいまいでぼんやりとしています。濃さは人それぞれですが、左右の頬を中心に、ほぼ同じ大きさ・形で左右対称に現れるのが特徴です。
女性ホルモンの変動が影響すると考えられていますが、肝斑が現れる明確な原因はわかっていません。肌を擦りすぎたり紫外線ダメージを受けたりすることも、肝斑の発生に関係している可能性があります。

■肝斑にレーザーを当てた場合の反応

レーザー治療はシミ取りに対する一般的なアプローチ方法です。しかし肝斑には、刺激の強いレーザーを照射することは禁忌になります。肝斑にレーザーを当ててしまった場合、肝斑が悪化する可能性があるためです。なぜ肝斑は、レーザーに当たると悪化するのでしょうか。肝斑は他のシミとは違う性質を持つ、特殊なシミです。原因がはっきりせず治療も難しい一方で、年齢を重ねることで自然に治る場合もあります。肝斑は刺激に非常に敏感なため、高出力のレーザーが当たることでメラニン色素が増産され、濃くなる可能性があるのです。

■肝斑の一般的な治療法

肝斑を改善したい場合に推奨される治療法は、色素沈着を抑えるトラネキサム酸やビタミンCの内服です。ハイドロキノンといった成分の外用薬(塗り薬)も使用する場合があります。また肝斑は、レーザーだけでなく摩擦によっても悪化するリスクがあるため、肝斑が治るにはスキンケアの方法も重要です。

2.肝斑以外にも?シミ取りレーザーで失敗と感じた事例と原因

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レーザーでシミ取りをしようとして失敗した事例を紹介します。シミ取りレーザーは、ダウンタイムや副作用もある治療です。そのため特徴を理解しないままシミ取りの施術を受けた場合、後悔につながる恐れがあります。

■シミが消えず効果を感じなかった

シミ取りレーザーは、シミの種類に合わせて適切な出力のレーザーを当てなければ、効果が期待できません。シミ取りレーザーをしたのに黒いままシミが残ってしまったという場合は、「ほくろや炎症後色素沈着などレーザー治療が適応するシミではなかった」「レーザーの出力が弱かった」「1回の治療では取り切れないシミだった」などが考えられます。医師の診断が不十分であったり、治療方法が適切でなかったりする場合は、レーザー治療をしても効果を感じられないでしょう。

■むしろシミが濃くなった

シミ取りレーザー後にシミが濃くなった場合は、隠れ肝斑があった可能性があります。肝斑は診断が難しいシミです。認識できないほど薄かったり、皮膚の奥に潜んでいたりします。表面のシミに照射したつもりでも、隠れた肝斑にレーザーが当たってしまい、肝斑が濃くなった可能性が考えられるでしょう。
ただしシミ取りレーザー後は、通常の経過としてかさぶたが生じます。そのため、シミが濃くなるように感じる方もいるかもしれません。治療後1週間ほど経つと自然にかさぶたが取れ、シミが目立たなくなるのが、一般的な流れです。

■シミが再発した

レーザー治療の効果は永久的ではありません。一度シミを改善しても、シミの産生元であるメラノサイトは破壊できないため、新しいシミが作られてしまいます。シミが作られる大きな原因は、紫外線です。レーザー治療をあわせて適切な紫外線対策やアフターケアをしなければ、シミは再発する可能性が高くなります。
ただし、同じ場所にシミができた場合は、戻りジミといわれる炎症後色素沈着の可能性もあるでしょう。戻りジミは、治療によって一時的に発生するシミで、通常は6ヶ月程度で自然に消えていきます。

■傷痕ができた

レーザーの出力が強すぎると、火傷が起こり、水ぶくれやヒリヒリとした強い痛みが顔の広い範囲で起こる可能性があります。しかし適切な出力で治療した場合は、跡が残るよう深い傷ができることはありません。治療後の赤みや痛みは通常の経過でも起こりますが、部分的・一時的なものであり、数日ほどで自然に治まります。
ただし、治療後の経過でできるかさぶたを無理に剥がしてしまった場合は、傷跡が残るかもしれません。自然に剝がれるまで、触らないようにしましょう。

■白斑化した

レーザー治療でまれに起こる反応として、白斑(はくはん)化があります。レーザーにより色素がダメージを受けて、白く色が抜けてしまった状態のことです。通常、1回の治療で起こることはほぼありません。短期間に何度もレーザーを照射した場合に起こりやすい症状です。

3.肝斑が不安な方も!レーザー治療前に知っておきたい失敗しないコツ

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肝斑が不安でシミ取りレーザーを迷っている方へ向けて、失敗しないために、治療前に知っておきたいポイントを紹介します。参考にしてください。

■シミの種類に適したレーザー治療を受ける

ひとくちにレーザー治療といってもさまざまな種類(波長)があります。ピコレーザーやQスイッチルビーレーザー、QスイッチYAGレーザーなどが代表的なレーザーです。シミ取り治療で失敗しないためは、自分のシミの種類に合った、適切なレーザーを選択することが重要です。

シミの 種類 老人性色素斑 そばかす(雀卵斑) 肝斑 ADM(後天性真皮メラノサイトーシス) 炎症後色素沈着
シミの

特徴

 

紫外線によるシミ 鼻を中心に頬に広がる小さなシミ 頬や眼の下などにある左右対称の薄いシミ 灰色・青色を帯びたアザの一種 ニキビ治癒後やレーザー治療後に起こる
適した

レーザー

・QスイッチYAGレーザー
・Qスイッチルビーレーザー
・ピコレーザー
・IPL(フォト治療)
・QスイッチYAGレーザー
・Qスイッチルビーレーザー
・ピコレーザー
・IPL(フォト治療)
・レーザートーニング
・ピコトーニング
・QスイッチYAGレーザー
・Qスイッチルビーレーザー
・ピコレーザー
・レーザートーニング
・ピコトーニング

※クリニックによって適したレーザーが異なる場合もあります。詳しくは各クリニックでご確認ください。

実際には、1種類のシミではなく複数のシミが同時に存在していることも珍しくありません。よくあるのは、肝斑の中に老人性のシミがあるパターンです。その場合は、強いレーザーを使ったシミ取り治療はしないほうがいい可能性があります。肌の状態を見極めながら、肝斑治療も並行して慎重に行うのがおすすめです。いずれのシミも自己判断するのは難しいため、医師に相談しながら治療を選択しましょう。

■信頼できるクリニックを選ぶ

レーザー治療は、出力や照射部位の判断など、医師の診断や治療者の技術によっても効果が左右されます。肝斑を誤診したり、不適切な治療を受けたりすると、悪化する場合もあるため、実績があって信頼できるクリニックを選ぶことが大切です。クリニックのHPやSNSに治療実績が掲載されている場合があるため、事前にチェックしておきましょう。
また分からないことや不安に思うことは、カウンセリングでしっかり確認することが大切です。カウンセリングを丁寧にしてくれるクリニックは、アフターケアやトラブル時にも誠実な対応が期待できるクリニックといえます。

■正しいアフターケアを行う

シミ取りレーザーを受けても、適切なアフターケアができない人は、治療後のトラブルが起こる可能性が高くなります。日焼け予防や十分な保湿、擦らないことなど、指導された内容は必ず守るよう心がけましょう。レーザー治療後の経過やアフターケアについて分からないことがあれば、治療前に確認しておくことが大切です。

■まとめ

レーザー治療は、シミやそばかすの悩みを解決してくれる、効果的な治療法です。しかし肝斑があると、レーザー治療で悪化してしまうかもしれません。レーザー治療による失敗を防ぐためには、信頼できる医師のもとで診断・治療を受けることや、アフターケアを行うことが大切です。適切な治療を受ければシミや肝斑は改善が期待できるため、レーザー治療が気になる方は、クリニックに相談してみましょう。

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