多くの方にあるほくろ。顔など、目立つところにあるとシミと同様に気になることもしばしばです。美容医療では、ピコレーザーでほくろとシミを併せて取りたいと希望される方も少なくありません。そこで今回は、ピコレーザーでほくろは取れるのかどうか、シミと合わせた除去の可否をご紹介します。ほくろ取りの方法でよく知られる炭酸ガスレーザーとも比較しながら解説していきます。ほくろ取りに関心がある方はぜひご覧ください。
1.ピコレーザーはほくろ除去に効果がある?
ほくろを取りたいと考えたとき、ピコレーザーは果たして効果が期待できるのでしょうか。ピコレーザーの得意分野を確認しながら、ほくろ取りの効果の有無を見ていきましょう。シミ取りと同時に施術できるかもご紹介していきます。
■ピコレーザーは照射モードで得意分野が違う
まず、ピコレーザーには3つの照射モードがあります。モードによって効果が異なるため、肌の悩みによって使い分ける必要があります。各モードの特徴をそれぞれご紹介しましょう。
シミ・くすみ・肌質改善にはピコトーニング
ピコトーニングと呼ばれるモードは、肝斑というシミの一種やくすみを薄くしたり、肌質改善したりしたい方に向いています。低出力のレーザーを顔全体に照射して、シミやくすみのもととなるメラニン色素を徐々に減らしていきます。ほくろへのアプローチには向いていません。
ほくろ・シミ・そばかすにはピコスポット
ピコスポット(ピコショット)と呼ばれるモードは、ほくろやシミ、そばかすなどを改善したい方に向いています。高出力のレーザーを肌の気になる部分にピンポイントで照射して肌の色味を改善し、ほくろやシミなどを薄く目立たないようにします。ほくろ除去とシミ取りを同時にしたいときにもぴったりの方法です。ピコレーザーでほくろを薄くしたいときはピコスポットを選びましょう。
毛穴の開き・クレーターにはピコフラクショナル
ピコフラクショナルと呼ばれるモードは、毛穴の開きやクレーター、凹凸などにお悩みの方に向いています。肌の色味を改善するピコトーニングやピコスポットとは異なり、皮膚の再生を促す強いレーザーによる施術です。肌のハリや弾力UPも期待できます。肌へのアプローチが異なるため、ほくろ除去の効果は見込めません。
■ピコレーザーで取れるほくろの種類
ピコレーザーの効果が期待できるほくろは、膨らみがない小さなほくろに限られます。平らで2mm以下の場合は効果が高いと言われていますが、それ以上のサイズになると効果はあまり期待できません。ピコレーザーでほくろが取れない場合は、ほかの方法を検討しましょう。
2.ピコレーザー以外でほくろを取る方法
ほくろ除去にはピコレーザー以外の方法もあります。手術で切除する方法もその1つですが、傷痕が残ってしまうため、大きなほくろなどでほかの方法での除去が難しい場合以外はあまり選ばれません。ピコレーザーで取れないほくろで、傷痕のリスクを低くしたい場合は、ほかのレーザー治療を検討するほうが良いでしょう。
■ほくろ取りなら炭酸ガスレーザー
ほくろ除去のレーザーでは、炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)がよく知られています。炭酸ガスをほくろに照射すると、細胞内の水分が蒸散します。その際に、ほくろのもととなるメラノサイトも併せて蒸散させて取り除くのが炭酸ガスレーザーの施術です。使われるレーザーは遠赤外線レーザーで、お悩みの部分に照射すると皮膚の水分に吸収され、組織を蒸散させる仕組みです。ほくろだけではなく、イボや膨らみのあるシミなど、幅広い肌の悩みに使われます。
■ピコレーザーと炭酸ガスレーザーの施術の違い
ピコレーザーと炭酸ガスレーザーの施術の流れをそれぞれご紹介します。実際の施術をイメージして違いを比較してみると、治療方法選択の参考にもしやすいでしょう。
ピコレーザーのほくろの取り方
ピコレーザーでほくろを取る際は、先にもご紹介したピコスポット(ピコショット)というモードを使います。気になる部分にピンポイントで照射していくため、施術は数分で終わります。ピコスポットの場合、パチパチと弾かれるような感覚で痛みは少なく、麻酔はしないケースがほとんどです。ピコスポットでも麻酔を希望する場合は事前に確認、相談するほうが良いでしょう。
炭酸ガスレーザーでのほくろの取り方
炭酸ガスレーザーでほくろを取る際は、レーザーの照射範囲によって異なり5~30分ほどの施術です。照射部位の状態によって麻酔をしてから施術を始めますが、痛みの心配がある方は事前に申し出ておくと安心です。蒸散によって組織を削り取っていくため、ほくろを取り除いた部分にはくぼみが生まれます。施術後はここに軟膏を塗り、テープで保護しておきます。
3.ピコレーザーと炭酸ガスレーザーのメリット・デメリット
ピコレーザーと炭酸ガスレーザーの施術の流れを理解したら、それぞれ施術のメリット・デメリットも見てみましょう。同じレーザー治療でも異なる部分が多くあります。
■ピコレーザーのメリット
ピコレーザーはレーザーを照射するだけであるため、皮膚を削らず傷痕が残りにくい点が大変大きなメリットです。レーザー照射後はセルフケアが簡単で、テープ保護も不要です。施術後も通常通りのスキンケアでOK。翌日からメイクもできるため、日常生活への影響があまりありません。また、色素沈着が起こりにくい点や、ダウンタイムが抑えられる点もメリットとして挙げられます。
■ピコレーザーのデメリット
ピコレーザーは、ほくろが確実に除去できるか分かりません。経過を見ながら複数回のレーザー照射が必要であるため、一度でほくろを取りたいという方には向いていません。レーザー照射は月1回、5~10回程度は必要とされています。治療期間が長くなる傾向にあり、それに伴い費用がかさんでしまうのもデメリットでしょう。ただし、クリニックによっては取り放題メニューを設けているケースもあるため、上手に使うと費用を抑えられる場合もあります。
また、施術部位がかさぶたになることも。数日で剥がれますが、剥がれるまではメイクがしづらくなる可能性があります。
■炭酸ガスレーザーのメリット
炭酸ガスレーザーの大きなメリットは、ほぼ1回のレーザーでほくろが除去できる点です。何度も通院してレーザーを照射する必要がなく、治療期間も短期間となるため、すぐに効果を得たい方や忙しい方にも向いています。
また、ピコレーザーでの除去が難しいと判断され、炭酸ガスレーザーを選択するような膨らみのあるほくろは、保険診療が適用となる場合があります。詳しくはクリニックでご確認ください。
■炭酸ガスレーザーのデメリット
炭酸ガスレーザーは、施術により術部にくぼみができる性質上、照射後の保護テープが不可欠です。施術後2週間程度は洗顔後に軟膏を塗ったりテープを貼り替えたりというセルフケアを伴います。顔のほくろの場合、部位によってはマスクなどでカバーできますが、隠しづらい部位はどうしても周りに見えてしまいます。
また、炎症性色素沈着のリスクがあることも理解しておきましょう。個人差はありますが、施術中に痛みを感じる方も。クリニックによっては局所麻酔や表面麻酔の追加もできるため、施術のカウンセリング段階で伝え、方針を決めておくのがベターです。
■まとめ
ほくろはピコレーザーで取れるタイプもありますが、中には効果が見込めない場合も。また、シミ取りと一緒にレーザー治療できるほくろも限定されています。ほくろ除去とシミ取りを併せて行いたい場合、クリニックで相談すると症状や希望に合わせて適した治療方法が見つかりやすいでしょう。
なお、今回ご紹介したピコレーザーおよび炭酸ガスレーザーはどちらも妊娠中の方や強い日焼けのある方、皮膚疾患のある方などは施術を受けられません。ほかにもそれぞれ施術条件がありますので、事前にきちんと確認しておきましょう。
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