脇汗悩みにボトックス注射という選択肢があるのをご存知でしょうか。「効果があるならしてみたい」「いつから効きはじめるの?」と興味がある方もいるでしょう。
脇汗悩みが改善できれば、夏場だけでなく日ごろの生活の質も向上し、より過ごしやすくなるはず。そこで今回は、脇汗ボトックスの効果の持続時間や気になる費用、デメリットなど詳しく解説していきます。
そもそも脇汗ボトックスとは?汗とニオイを抑える仕組みを解説
そもそも脇汗ボトックスとはどんな仕組みで汗を抑えるのでしょうか。効果につながる仕組みやおすすめの人をご紹介します。
■ボトックス注射が脇汗に効くメカニズム
発汗は、脳から「汗を出せ」という指令が発せられ、「アセチルコリン」と呼ばれる神経伝達物質がエクリン汗腺へ信号を伝達することで起こります。
脇汗ボトックス注射では、ボツリヌストキシンが神経の末端に作用します。脳からの指令がエクリン汗腺へ適切に伝達されなくなり、汗腺の活動が抑制されてワキからの過剰な発汗量が大幅に減少。これが、脇汗の悩みを軽減するボトックス注射の仕組みです。
■こんな悩みを持つ人には脇汗ボトックスが効果的
過剰な脇汗は、日常生活においてさまざまなストレスや不便をもたらすことがあります。とくに以下のようなお悩みには、脇汗ボトックスが解決策となり得るでしょう。
- 汗ジミが気になり、好きなファッションを楽しめない
- 仕事や勉強に集中できないほど、緊張したときに汗が増える
- 制汗剤やデオドラント製品が手放せず、頻繁なケアにストレスを感じる
- 汗による蒸れやにおいが気になり、人と距離をとりがち
脇汗ボトックスの効果と特徴
脇汗ボトックス注射はQOLの向上だけでなく、対人コミュニケーションの壁を取り払う手助けにもなります。ここからは、脇汗ボトックスの施術を検討されている方が気になる効果がいつから実感できるのか、脇汗以外にもボトックスの効果は現れるのかなどを解説します。
■脇汗ボトックスして効果はいつから出る?
まずは脇汗ボトックスの効果をいつから実感できるのか、そのタイミングについて解説します。
脇汗ボトックスでは、多くの場合施術後2〜3日ほどで汗の量の減少を実感し始める傾向です。
1~2週間程度で安定して脇汗が抑えられ、約1ヶ月後を効果のピークといわれています。脇汗の量が安定すると、脇汗による不快感や衣類の汗ジミが軽減され、快適な日常生活が期待できます。
ただし、脇汗ボトックスの効果の現れ方や実感の度合いには個人差があり、注入量や施術を受ける方の体質によって異なる場合があることに留意しましょう。
■脇汗ボトックスは汗だけでなくニオイも改善する?
次に、脇汗ボトックスの効果は、汗だけでなくニオイも抑えることができるのかを、変化をいつから実感できるのかについてもご紹介しましょう。
結論からお伝えすると、過剰な汗によるワキのニオイに関しては、脇汗ボトックスでニオイを軽減する効果が期待できます。
ワキのニオイは、主に汗が皮膚の常在菌に分解されることで発生します。分泌された汗と常在菌が混じり合うことでワキの湿度が上がり、菌が繁殖しやすい環境に。こうしてワキのニオイが強まりやすくなるのです。
脇汗ボトックスで発汗を抑えることで菌の繁殖も抑制され、結果ニオイを抑えることにつながります。
■脇汗ボトックスはワキガも改善できる?
ここで注意したいのが、ワキガのニオイです。脇汗ボトックスは、ワキガの根本的な原因「アポクリン汗腺」に直接作用するわけではありません。
そのため、重度のワキガでお悩みの場合は、根本的な解決を目指す剪除法などの外科手術がより適しています。ご自身の症状に合わせ、適切な治療法をまずは医師に相談することが重要です。
■脇汗ボトックスで他のところから汗が増える「代償性発汗」は起こる?
代償性発汗とは、特定の部位の汗を抑えた結果、体の他のところから汗が過剰に出る現象です。脇汗ボトックス治療では、「代償性発汗」が起こる可能性は極めて低いとされています。
脇汗ボトックス注射は、発汗を促す神経伝達物質アセチルコリンの放出を、注射したワキの汗腺付近でのみ一時的に抑えます。そのため、効果は注射したところに限定され、全身の汗のバランスに影響を与えることはほとんどありません。
これにより、他のところから汗が生じるリスクは極めて低いのです。また、代償性発汗が起こる場合は、頭皮や顔、背中などに生じることが多く、脇汗より気になりにくいでしょう。
知っておきたい脇汗ボトックスのデメリットと注意点
脇汗ボトックスは、手軽に汗の悩みを軽減できる効果的な治療法ですが、施術を受ける前に理解しておくべきデメリットや注意点があります。事前に把握したうえで治療を検討しましょう。
■脇汗ボトックスの効果は永続的ではない
脇汗ボトックスの効果は一時的なものであり、永続的に持続するわけではありません。使用する製剤の種類や注入量、個人の体質によって差が生じることがありますが、一般的に、効果の持続期間は約4ヶ月~半年程度とされています。
時間の経過とともに体内でボツリヌストキシンが分解されると、抑えられていた神経伝達機能が徐々に回復します。汗腺が再び活動を始めると、発汗量は元の状態に。
そのため、脇汗の量を抑えた状態を維持するには、定期的な施術が必要です。脇汗ボトックスの効果を感じなくなってきた頃が、次の施術を検討する目安となるでしょう。
■脇汗ボトックスを繰り返し打つと効果が弱まる可能性も
脇汗ボトックスの効果を維持するためには定期的な施術がポイントとなりますが、短期間で繰り返し施術しすぎるのもNGです。
脇汗ボトックスは高い効果が期待できる一方で、短期間かつ高頻度の注射で体内に「中和抗体」が生成されるリスクが生じる可能性があります。
この中和抗体は、体内に注入されたボツリヌストキシンを異物と認識し、攻撃する働きがあります。抗体が生成されると、ボツリヌストキシン本来の神経伝達物質の抑制作用が阻害され、効果が十分に得られなくなったり、その持続期間が著しく短くなったりする可能性があるのです。
とくに、短期間に大量注入を繰り返すと、このリスクが高まる傾向。一度抗体ができてしまうと、その後のボトックス治療で効果を得ることが難しくなる可能性も考えられるため、施術の頻度とタイミングには注意が必要です。
美容皮膚科でできる脇汗対策
脇汗ボトックス以外にも、実は脇汗対策には選択肢があります。主に美容皮膚科で扱う脇汗に対する施術は以下の通りです。個人差がありますが、効果はいつからなのか実感するタイミングなど特徴をまとめたので、参考にしてみてください。
| 施術の種類 | 特徴 | 効果を実感するタイミング |
| ボトックス注射 | 情報伝達物質を遮断することで脇汗を抑える | 術後2~3日後 |
| ミラドライ | 汗腺を熱破壊することで脇汗を抑える | 術後すぐ |
| 外用薬(塩化アルミニウム液など) | 汗腺を塞ぐことで脇汗を抑える | 2~3週間後 |
まとめ
脇汗ボトックスについて仕組みや効果、いつから効果を実感できるのかなどを詳しく解説しました。
脇汗ボトックスには汗による日常生活における不快感を大幅に改善するメリットがあります。一方で、短期間かつ高頻度で脇汗ボトックスを打つことにはデメリットも。効果を持続させるなら、効果が薄れる頃が再施術のタイミングです。
もし脇汗にお悩みなら、一人で抱え込まずに美容医療を頼るのも1つの手かもしれません。
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【施術の内容】 ボツリヌストキシン製剤の注入
【施術期間および回数の目安】約3~4ヶ月ごとに1回程度 ※状態によって異なります。
【費用】¥15,000~¥100,000※本施術は自由診療(保険適用外)です。注入部位や製剤、クリニックによって異なります。
【リスク・副作用等】注射部位の痛み、腫れ、筋肉の部分的な脱力、内出血など
【未承認医薬品に関する注意事項について】
・本施術には、日本国内において薬事承認を受けていない未承認の医薬品を使用する場合があります。
・施術に用いる医薬品は、医師の判断のもと、個人輸入手続きが行われています。詳細は厚生労働省の「個人輸入における注意すべき医薬品等に関する情報」をご確認ください。
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/purchase/index.html
・薬事承認を取得した製品を除き、同一成分を有する他の国内承認医薬品は存在しない場合があります。
・重大なリスクや副作用が明らかになっていない可能性があります。
・万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。


