ニキビ痕の色素沈着や、毛穴の開きなどに効果が期待できるダーマペン。しかし、ダーマペンによって色素沈着ができたという話を聞き、施術をためらう方もいるのではないでしょうか。今回は、ダーマペンの施術後に色素沈着が残った場合の原因と予防策について解説。リスクを最小限に抑えながら、きれいな肌を目指したいという方はぜひチェックしてください。
1.ダーマペンで色素沈着ができる?
ダーマペンについて調べる中で、「ダーマペンは色素沈着できるから、やめたほうがいい」、「ダーマペンの施術で後悔した」といった意見が目に入り、不安になる方もいるかもしれません。まずは、ダーマペンによって色素沈着が出るといわれる理由について解説します。
■ダーマペンとは
ダーマペンとは、ペン型の美容機器を使用し、毛穴の開きやニキビ痕、小じわやたるみなどの改善を目指す施術。新型機種の「ダーマペン4」は先端に超極細の16本の針を備えており、肌にあてることで微細な穴を開けて皮膚の自然治癒力を引き出します。それにより、コラーゲン・エラスチンの生成促進、ターンオーバー改善をもたらす効果が期待できるのです。さらに、肌に開けた穴へ薬剤を塗布することで、皮膚の深部へ美容成分を浸透させることも可能。幅広い肌悩みに対し、肌の奥からアプローチできる施術です。
■ダーマペンで色素沈着が出るケースがある
ダーマペンの施術後は一定期間のダウンタイムがあり、穴が開いた肌が回復する過程で、かさぶたができることも。そのかさぶたが酸化して黒ずんだ状態が、色素沈着のように見えることがあります。このことが「ダーマペンで色素沈着が出る」といわれる理由ですが、通常は傷が治癒するとともに黒ずみは剥がれてきれいな状態に戻ります。
しかし、なんらかの原因でダーマペンによる色素沈着が治ることなく、長く残ってしまうケースも。次項で詳しく解説します。
ダーマペンのダウンタイム期間と症状をチェック
ダーマペンはアプローチしたい肌の層に合わせて、針を刺す深さを0.2~3.0㎜まで0.1㎜単位で調節しながら施術を行います。ダウンタイム期間は、針の深度やコンディションによって変わりますが、数日~1週間程度。ダウンタイムの経過として、施術直後に赤み・腫れ・内出血の症状が出て、傷が治る過程でかゆみや皮むけが生じ、1週間ほどで徐々に治まっていくケースが多いでしょう。ダーマペンはダウンタイム中でも、薄めの化粧や仕事をしても良いとするクリニックが多くみられますが、赤みなどが気になる場合は自宅で安静にすることをおすすめします。
針の深度別のダウンタイム期間はクリニックによって見解が異なりますが、目安は以下のとおりです。
針の深度と
針が届く層 |
ダウンタイム | 対応できる症状 |
0.2mm~
(表皮) |
約2日 | ニキビ・シミ・くすみなど |
~2.0mm
(真皮) |
約2~3日 | ニキビ痕・毛穴の開き・たるみなど |
2.0mm~
(皮下組織) |
約4~7日 | クレーター・傷痕など |
2.ダーマペンで色素沈着が残る原因は?
ダーマペンのダウンタイム終了後も色素沈着が長く残ってしまう場合、以下の原因が考えられます。
■紫外線を過度に浴びた
ダーマペンの施術後は、針によるダメージによって肌のバリア機能が低下し、非常にデリケートな状態に。その間に、日焼け対策をせずに外出して紫外線を過度に浴びると、色素沈着やシミが残る原因になります。
■肌を過剰に刺激した
ダーマペンのダウンタイム中は、肌の皮むけやかさぶたが生じやすく、つい気になって触ったり、剥きたくなったりしがちです。しかし、こういった行為は肌への強い刺激となり、色素沈着などの肌トラブルを引き起こす原因になります。顔のマッサージや洗顔時に肌をゴシゴシこすることも同様にNG。ダウンタイムが長引くことにもつながります。
■肝斑に治療を行った
シミや毛穴などへの効果が見込めるダーマペンですが、「肝斑」に施術を行うと色素沈着のように濃くなるリスクがあります。これは、肝斑が一般的なシミよりもデリケートで、刺激によってメラノサイトが活性化してしまうことによるものです。
肌の浅い部分に刺すなど、配慮しながら施術することで肝斑の悪化を防げますが、クリニックによっては肝斑治療にダーマペンを使わず、他の治療をすすめられるケースも。また、シミや毛穴の近くに肝斑がある場合は、肝斑を避けながらダーマペン治療が行なわれることもあります。
■治療の間隔が短かった
ダーマペンは時間をかけて少しずつ肌を整えていくため、複数回施術を受けるのが一般的。2回目以降の施術は、肌が回復するタイミングで行うために、3~4週間程度の間隔が必要です。しかし適切な間を置かずに頻繁に施術を受けた場合は、肌へのダメージが蓄積し、色素沈着が生じるリスクが高まります。早く肌をきれいにしたいからといって頻繁に施術を受けることはせず、肌が十分に回復するのを待ちましょう。
■セルフダーマペンを使用した
自宅で肌ケアを行えるアイテムとして、ネット通販などで販売されている「セルフダーマペン」。これは美容クリニックで使用しているダーマペンの模倣品であり、まったくの別物です。セルフダーマペンは安全性が保障されていないうえ、自己判断で使うと針の角度や深さを見極められず、傷を広げたり色素沈着などの肌トラブルが生じたりする可能性があります。
肌を悪化させないためにも、ダーマペンの施術は必ずクリニックに相談しましょう。
3.ダーマペンの色素沈着対策に!ダウンタイム中の過ごし方とは
ダーマペンによる色素沈着を防ぎ、ダウンタイムによる症状を早く治すには、医師のアドバイスに従うことが重要。ダウンタイム中の過ごし方やアフターケアを紹介しましょう。
■紫外線対策をきちんと行おう
ダーマペン後の肌は非常に敏感な状態です。季節を問わず、施術後は普段以上に紫外線対策を徹底しましょう。しかし、施術直後は日焼け止めの使用を禁止しているクリニックが多くみられます。日傘や帽子の使用、外出を最低限に留めるなどして、できるだけ紫外線を防いでください。
■肌への刺激をできるだけ控えよう
肌への摩擦は、紫外線に匹敵するほどの刺激になるといわれています。
マッサージはもちろん、皮むけやかさぶたを剥がすなどの肌への刺激につながる行為は控え、必要以上に肌に触れないようにしましょう。
■健康的な生活でホルモンバランスを整えよう
ダウンタイム中の過ごし方として、普段の習慣を見直すことも大切。
過度なストレスや睡眠不足などによって生活習慣が乱れると、ホルモンバランスが崩れ、肌のターンオーバーに影響が出ます。睡眠を十分にとり肌が修復する時間を確保すること、ストレスはこまめに発散することを心がけましょう。健康的な生活を送ることでも色素沈着を防ぐことができます。
4.ダーマペンの色素沈着は施術者が原因のケースも……
ダーマペンによる色素沈着は、施術者の知識や経験不足が原因であることも考えられます。安心して施術を受けるためのポイントを見ていきましょう。
■針の深度を誤ると肌トラブルの原因に
ダーマペンは、肌のどの層に悩みの原因があるのかを見極め、適切に針の深度を変える必要がある難しい施術。高い効果が得られるからといって、針を深く刺しすぎるのはNGです。針が深いほど肌内部を傷つけることになり、色素沈着などのトラブルを引き起こす可能性が高まります。
■ダーマペンの治療は実績豊富なクリニックで受けよう
ダーマペンの施術はしっかりとカウンセリングを行い、肌悩みに合わせて針の深度を調整することがリスクを抑えることにつながります。そのためクリニックを選ぶ際は、ダーマペンの実績が豊富かどうかをチェックすることが大切。ホームページやSNSで症例数や症例写真をチェックしてみると良いでしょう。また、ダウンタイム中の過ごし方を丁寧に説明してくれるかどうかも判断材料にしてみてください。
■まとめ
本来であれば色素沈着にも効果をもたらすダーマペンですが、ダウンタイムの過ごし方や施術の受け方によっては、色素沈着などのトラブルを引き起こしてしまうケースがあります。ダウンタイム中は、普段よりも紫外線対策を徹底し、肌をいたわる生活を心がけてください。またダーマペンの施術は、医師よっても仕上がりやダウンタイムの症状に差が出ます。正しい知識と技術を持つクリニックで施術を受けることで、より美しい肌を目指せるでしょう。
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